極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

世界最高!耐熱バイオプラスチック

2014年02月25日 | 新弥生時代

 

金子准教授は「どんな構造にすれば、有効なバイオプラスチックができるか、分子設計に5年間
苦労した。この構造なら、バイオプラスチックの用途は飛躍的に拡大できる。透明性は思いもよ
らなかった。ガラスの代替材料としても活用できる」と話している。



【バイオプラスチック製法技術 高耐熱構造を実現!】

バイオプラスチックのほとんどは柔軟なポリエステルで耐熱性や力学物性が劣るため、その用途
が限られ、主に使い捨て分野で使用されているのが現状。例えば、ポリ乳酸は代表的なバイオポ
リエステルだが、その主骨格は一般的な工業用プラスチックに用いられる高分子に比べて柔軟で
あり、軟化温度は60℃程度(上表参考)で実用性に乏しかった。今回、北陸先端科学技術大学
金子達雄准教授らの研究グループは、天然物で香辛料のシナモン系分子を多く生産する微生物を
遺伝子組み換え、下記の反応式の光反応と高分子量化を行い、微生物由来のバイオプラスチック
であるポリイミドを世界初作製することに成功。

 

このポリイミドは、耐熱温度が従来報告されている最高耐熱の芳香族バイオポリエステルの30
5℃を超
える390-425℃を達成。これは鉛フリーはんだの融点(最高378℃)を超えて
いるため、電装部品での
使用が可能となり、線熱膨張係数(熱変化率)が40ppm/K以下と
金属並みに低く、金属代替材料として
自動車のエンジン周りなどに使用できる。また、10GPa
を超える高ヤング率(剛性の指標)、難燃性(自
己消火性)、細胞適合性、透明性、高屈折率、
紫外線分解性も確認しており、今後、自動車部品などの金
属やガラスを代替する物質として設計
する予定とか。将来的には、大気のCO2削減、運送機器の軽量化
、産業廃棄物削減など、さま
ざまな応用展開が期待できるという。

●開発背景

研究チームはこれまで、剛直な構造の桂皮酸(シナモン系分子)から得られるバイオポリエステ
ルにガラス繊維を混ぜ込むことで、305℃の耐熱温度を持つバイオプラスチックを作成してき
た。しかし高性能鉛フリーはんだの融点を超えるものではなく、また自動車エンジン周りで使用
できるレベルの低い線熱膨張係数(250℃までで50ppm/K以下)を持つものではなかっ
た。

今回のプロジェクトは、天然にはほとんど存在しないシナモン類であるアミノ桂皮酸(特別な放
線菌が作る抗生物質に含まれる)を大腸菌で生産する手法を開発。これは、石油化学的にも生産
できるが、工程数が多く極めてコスト高(約10万円/kg)となる。一方、遺伝子工学的手法
で作成すれば食品添加物並(約2~4千円/kg)となると予想。さらにこの物質に光を照射し、
化学重合することで耐熱温度390-420℃の高耐熱ポリイミドを作製。この値は高性能鉛フ
リーはんだの融点(最高378℃)超える。従って、電装部品で従来はバイオ由来品への変換が
不可能であったものが変換可能となり、同時に、エンジン周りの耐用温度である250℃までの
線熱膨張係数が金属並みの40ppm/K以下となった。さらに透明性も高く(透過率88%@
波長450nm)、すべての透明プラスチックの中で最高レベルの耐熱温度(390℃以上)と
剛性の指標であるヤング率(10GPa)に達することも分かりました。そのほかにも、高屈折
率(1.6)、紫外線分解性、自己消火性などの特殊な機能も持つ。


●作製方法

遺伝子工学的技術を用いて、大腸菌を papABCとPALという変換酵素の遺伝子群で操作し、
適切な培養条件で培養することで、天然にはほとんど存在しない4-アミノ桂皮酸の微生物生産
を行う
。また、4-アミノ桂皮酸を塩酸塩化した後、高圧水銀灯で照射させ光二量化し4,4’
-ジアミノトルキシリン酸という芳香族ジアミンが得られました。これをモノマー材料として用
い、さまざまなテトラカルボン酸二無水物と反応させて各種ポリアミド酸を得た。さらに、これ
らをキャスト法によりフィルム化して150-250℃の真空下で加熱処理することにより6種
類のポリイミドフィルムを作製した。

※“Biobased Polyimides from 4-Aminocinnamic Acid Photodimer”(4-アミノ桂皮酸光二量体から
  のバイオベースポリイミド)

●成果ポイント

1.天然には微量にしか存在しない4-アミノ桂皮酸を遺伝子組換え大腸菌から産出

4-アミノ桂皮酸は、抗生物質の構成要素として特殊な菌(放線菌)が産生するが、この大腸菌
を用いた
高効率な生産方法や条件はなかった。一般に甘味料のアスパルテームの合成の際に使用
される生合成
経路であるシキミ酸経路を、papABCPALという遺伝子群を用いた遺伝子
組換えにより制御(ATは大腸菌が持つ遺伝子)し導出した。その結果、芳香族アミンである
-アミノフェニルアラニン(4APhe
)の生産と4Pheの4-アミノ桂皮酸(4ACA)へ
の変換が可能となった。

2.微生物からは得ることの極めて困難な芳香族ジアミンを紫外線を利用し合成

芳香族アミン類は一般に微生物に対する毒性が高く、微生物生産は困難であり、アミノ基の2つ
置換された芳香族ジアミン類は微生物生産できない。一方、この芳香族ジアミンはポリイミド開
発で必須のモノマー。今までバイオポリイミドが開発することができなかった根本的な理由がこ
こにある。そこで、桂皮酸の光二量化という極めて効率の高い反応を利用。1.の方法で生産
できる4-アミノ桂皮酸を塩酸塩状態で紫外線照射を行うとほぼ100%の変換効率で4,4’
-ジアミノトルキシリン酸が得られることが分かり、これをエステル化することで芳香族ジアミ
ンとして利用できることを発見した(下図参照)。


 

3.史上最も高耐熱のバイオプラスチックを分子設計

2.で得られたバイオモノマーである芳香族ジアミンと種々のカルボン酸類を反応させることで
6種類のポリイミドを合成(下図参照)。中でもPI-1と記述したポリイミドで用いたカルボ
ン酸類である1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物も天然分子であるマレイ
ン酸の光二量化により得られることを確認したため、このポリイミドは完全なバイオポリイミド。
このPI-1の物性を以下に列挙。

※10%重量減少温度:390℃/引っ張り強度:75MPa/ヤング率:10GPa/屈折率
 :1.60/光透過率:88%(光の波長450nm)/ガラス転移温度:350℃以下で観
 察されず/線熱膨張係数:40ppm/K以下

 

光と熱で形状記憶するバイオフィルムを世界で初めて開発


鳥肌が立つような発明ですね。「新弥生時代」の産業イメージを発想して10年(ネオコンバー
テックも同様
)。夢が次々とこの日本で現実して来ている。実に面白い国ですね日本は。



ウクライナの政治危機は武力衝突に発展→体制崩壊→ヤヌコビッチ大統領逃亡→ ウクライナ警察
ヤヌコビッチ氏を指名手配。ウクライナは1917年のロシア革命や、第二次世界大戦に続く時代、暴
力は日常茶飯事。ウクライナの歴史は、旧ロシア帝国、革命以降のソ連と切り離しては語れず、ソ
連の独裁者、ヨシフ・スターリンが敵対者を次々に葬った大粛清。1932~33年には、スターリン主
導の集団農業化が失敗、「ホロドモール」という数百万人規模の大飢饉がウクライナを襲った。ク
レムリンの政治家にとって、ウクライナは重要な国。ソ連成立から崩壊までの歴史で果たした役割
を考えると、「新ソ連」構想においてウクライナは鍵となると言われている。いずれにしても、暴
力の連鎖を食い止めないと、クリミア半島周辺諸国は再び泥沼化する。政治・宗教権力のミスリー
ド禍を何としても食い止めなければと祈念する他ない。

 

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