極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

蛍・花火・火花

2015年08月02日 | 時事書評

 

 

 

   愛国者は常に祖国のために死ぬことを語るが、祖国のために殺すことは語らない。

                                                                バートランド・ラッセル

 

 

 【縮原発論 Ⅲ: 核ごみ廃棄処理のススメ

  目次

  第1章 日本人の体内でおそるべきことが進行している!
  第2章 なぜ、本当の事実が、次々と闇に葬り去られるのか?
  第3章 自然界の地形がどのように被害をもたらすか
  第4章 世界的なウラン産業の誕生
  第5章 原爆で巨大な富を独占した地下人脈
  第6章 産業界のおぞましい人体実験
  第7章 国連がソ連を取りこみはじめた
  第8章 巨悪の本丸「IAEA」の正体
  第9章 日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか


  第2章 なぜ、本当の事実が、次々と闇に葬り去られるのか?

                  放射性物質が持つ長期性と濃縮性

  この章では、第1章で述べた大被害がどのように出るかを、もう少し具体的に予測し
 てみる。
 
 フクシマ原発事故の被バク経過を見た通り、日本の原子力産業に巣喰うシンジケート
 集団
は、現在もすべて、半世紀以上前の1950年代に広島・長崎の原爆被曝者をモル
 モルモットに
して観察したアメリカのABCC(原爆傷害調査委員会)なる組織が秘密
 に収集した資料と、
アメリカで大気中の核実験を実施したAEC(後述する原子カエネ
 ルギー委員会)が語った
カビの生えた言葉と、さらにICRP(国際放射線防護委員会)
 が”勝手に”定めた安全基
準を、おうむ返しにくり返しているだけなのである。

※ 
ICRP勧告 日本語版シリーズ「PDF無償公開のお知らせ

  セント・ジョージ住民を殺したのは、体内に取りこまれた死の灰である。ところが、
 中川
恵一らの”日本の放射線の専門家と「自称する」ほとんどの人間”が引用している
 ICRP
の基準は、レントゲン写真――医療用の放射線――自然界から受ける放射線・
 飛行機に乗
って浴びる放射線――すべて体の外から浴びる空間線量である。このような
 外部被バクだけ
を論じて、内部被バク量を無視しているので、医学的な根拠など、まっ
 たくないのである。



  原発事故の場合、危険の尺度となるのは、休の中に入ってくる放射性物質の量である。
 その放射性物質(死の灰)には、発癌性のほかに、ふたつの特徴がある。
  ひとつは、長期性であり、もうひとつは、濃縮性である。そして体内で濃縮を起こす
 のが、内部被曝なのである。
  この最大の特徴が、ICRPとIAEAによって無視され、踏みつけられ、闇に葬ら
 れてきたために、いまだに世界中のほとんどの人に、大被害の危険性が認識されないの
 である。

  その結果、日本の新聞とテレビも、大手食品業界も、フクシマ原発事故の内部披バク
 問題をほとんど真剣に議論していないのだ。わが国における、フクシマ事故後の基準(
 2012年以降現在までの食品1キログラムあたり100ベクレル)という数字が、あ
 まりに危険すぎるにもかかわらず、この数字を超えない食品は安全だという迷信が、日
 本じゅうに流布している。

  そのおそろしさを説明しよう。 

  ユタ州の場合、原子カエネルギー委員会の死の灰や研究班ハロルド・ナップ博士が調
 べあげながら、闇に葬られたデータがある。それによれば、空気中での放射能の測定値
 がわずかに4ラドという地域でさえ、そこに生活する羊のノドにある甲状腺が、3万5
 000ラドの被バク量を示す放射性物質の濃縮を起こしていた。胃腸でも1万2000
 ラドと、空気中の3000倍まで濃縮が起こっていたのである。当時は、生物の体の部
 位・臓器ごとに受ける放射啼量を、このようにラドという単位で表現していたが、百ラ
 ドは、36頁の「換算の数値グレイを合計したものが、全身抜バク量のシーベルトとな
 る。

  「われわれは、畏い間まちがった計算をしてきた」と、ナップ博士は公聴会で証言し
 た。空気中での空間線量の測定値に対して、羊の甲状腺ではその1万倍の被バク量に相
 当する濃縮を起こし、胃腸でも数千倍の濃縮が起こっていた、ということになる。
  人体でも、それぞれの人間の体が集めている放射性物質の量を、直接測定しなければ
 意味がない。しかしそれは、すぺての臓器を取り出して生体解剖しないと測定できない
 ので不可能だ。

  人体の中に蓄積された放射性物質の量は、現在ではホールボディーカウンターと呼ば
 れる全身測定器で測ることができ、体内の”量の変化”を知るには有効だが、セシウム
 137がバリウム137に安定化するまでに放出する透過吐の高い“ガンマー線”しか
 測定できないので、絶対量の測定ではない。ストロンチウム90や、”染色体異常を引
 き起こす放射性水素トリチウム”が出すベータ線は、まったく測定できない。日本全土
 に降ったセシウム137が出しているのは、実はそのべータ線である。また、猛毒物プ
 ルトニウムが出す“アルファ線”エネルギーは特に強く、ガンマ線より20倍も影響が
 深刻だが、この危険物も測定できない。どのような曝類の放射性物質が、体内のどこに
 どれほど蓄積しているかを測定できなければ、実際の被バク量を計算することは不可能
 なのである。


※ EXPERT FAULTS U.S. ON 50'S ATOM TESTS  The New York Times 1982.10.10



                          知られざる内部被バク問題

  フクシマ事故後の日本の新聞を見ていると、一放射能摂取量(ベクレル)×実効線量
 係数=被曝量(シーペルト)」なる換算式がまことしやかに書かれ、あたかもベクレル
 とシーベルトを換算できるかのような錯覚を与えてきた。しかし、地震にたとえると、
 放射能の量を
示すベクレルは、震源地で発生した地震の大きさ(エネルギー)を示す「
 マグニチュード」
であるのに対して、被バク量のシーベルトは実際の建物や人間が受け
 た摺れの大きさを示す
「震度」に相当する。つまり、いくら地震のマグーチュードが大
 きくとも、どれほどの被害
が出るかは、地震の揺れを受けた場所によって、まったく異
 なる。マグュチュードを震度に
換算するバカはいない。それと同じように、一人ずつの
 部位ごとの体内放射能の測定が不可
能だから、ベクレルをシーベルトには換算できない。

  医学的に何の根拠もない計算式である。

  しかも現在のホールボディーカウンタjの測定は、胸部だけを図って、簡易測定です
 ませ
る場合さえある。これでは全身の測定ではない。呼吸によってノドに蓄積した放射
 性物質も、
胃腸や筋肉、骨に蓄積した放射性物質も測っていないのだ。体内の放射能を
 調べるのにも
有効な尿検査もほとんどおこなわれていない。

  多くの人が測っている空間線量の2時間あたりマイクロシjベルト」の数値、36頁の
 「換算表」の「線量当量]のところにある通り、モれを8・76倍すると「一年間あた
 りのミリシーベルト」になる。あまり汚染していない地域の平均的な空間線量は、測定
 条件と、場所や地面からの高さによって変るが、およそ毎時0・05マイクロシーペル
 ト(年間0・44ミリシーベルト)前後である。しかしこの数値は特別に危険な地帯を
 知るための、ほんの目安でしかないことを肝に銘じておく必要がある。

  常に同じ条件で測定しているこの数値が、大事故が発生した場合のように、普段より
 一桁以上も高くなれば、それは「確実に危険だ!」と叫んでよい。だが日常、空気中
 が多少低いシーベルトでも、内部被バク量が分らなければまったく安全とは言えないの
 である。

  そこで、注意深い多くの人は、内部被バクを減らすために、食品中のセシウム137
 を測定している。なぜなら、このセシウムが出す放射線のエネルギーは、人間の体内の
 分子を結合しているエネルギーの10万倍もある!!プルトニウム239では100万
 倍だ!!つまり、医療用X線より10倍も100倍も大きなエネルギーであるから、体
 内の分子をずたずたに引き裂くのだ。したがって医療用放射線と比較してはならない。

  現在もフクシマ原発事故現場から大量に、それも天文学的な量のセシウム137と”
 ほとんど測定されていないストロンチウム90やトリチウム”が外洋に流れ出し、コン
 トロール不能の状態が4年以上も続いて、太平洋全域を大汚染海域に変えてきた。観測
 親に洗われるそのフクシマ沖合の海を、あの食卓の王様サケ、サバ、サンマ、カツオが
 泳いでいる。だが、日本のマスメディアは、まったくその深刻さを伝えていない。食卓
 にあがる魚介類の放射能を測定するだけでは、安心できないのである。

  小さな生物のブランクトンが死滅した場合には、海中の魚介類が餌を失って生息でき
 なく
なり、やがて太平洋の生態系が連鎖的に崩れることも指摘されている。
  誰でも知っているように、カルシウムは骨をつくる元素である。そしてストロンチウ
 ムは
原子の構造がカルシウムと似ているため、カルシウムと行動を共にする傾向がある。
 
  したが
って海で魚に取りこまれた放射性物質は、魚の体内で数千倍にも濃縮され、魚
 や人間の骨に
蓄積される。これが「魚粉」に加工されて牛や豚の家畜飼料になり、小魚
 であればニボシに
なって、すでに食卓に浸入してきているのだ。カルシウムに似たスト
 ロンチウム90が人間の
体内入ったあと、骨に運ばれてゆき、骨に固定される。われわ
 れ人間は、その背骨の中で血
液をつくっている。こうして骨に一旦固定されてしまうと、
 容易に排出されずに、血液をつ
くる骨髄(背骨)に強い放射線を浴びせ続けることにな
 る。

  体という文字は、"體”と書いた。つまり骨のまわりが豊かになって 肉体ができる。
 それは、胎児から小児へ、小児から成人へと発育してゆく過程で、新しい養分を次から
 次へと吸収することによって身長が伸び、体重が増え、体積を増やして、大人になって
 ゆく人間の姿を示している。そのとき、ほとんど測定されていないストロンチウム90
 が食べ物に混入していると、骨のなかに吸収され、それが微量ずつ一日一日と蓄積され
 てゆく。

  放射線を出すストロンチウムが濃縮されれば、骨髄で生産される白血球のいくつかが、
 その影響を受けて癌細胞になる。この異常の発生する割合が高くなり、人体が持ってい
 る修復機能を超えて、癌細胞が血液中で増殖しはじめ、正常な白血球に打ち勝った時、
 ナダレ現象
のように白血病の疾患があらわれる。

  成人の場合には、発育は止まっている。しかし新陳代謝も鈍くなっているため、一旦
 固定
された物質が体内から追い出されるまでに、非常に長い期間を要する、今夜の食事
 に入って
いた"死の灰”のカケラが、死ぬまで体の中に残る。こうしで、取りこみ速度も
 鈍い代りに
排出速度も鈍いとき、体内では、ゆっくりと無気味な濃縮が起こってゆく。
 
  脂肪、蛋白質、炭水化物のように口々刻々と新陳代謝を進めながらエネルギー源とな
 る有
機物に比べて、ストロンチウムやプルトニウムのような無機物は、体内での停滞期
 間がこと
に長い。そのため、濃縮を起こす。さらにこれらストロンチウムやプルトニウ
 ムが、水俣病
の大悲劇を招いた水銀のように、有機化して全身をめぐり、脳に達する危
 険性もある。


  また医学的には、人体と、個々の臓器は、個人差が千差万別である。


  ○男と女(精子と卵子)――チェルノブイリ汚染地での甲状腺癌は、女性が男性の5
   倍とい
うデータがある。卵子への放射性物質の濃縮度は特に大きい
  ○胎児を体内に持つ妊婦と、出産後の授乳期にある女性と、妊娠していない女性
  
○細胞分裂が盛んな幼児と、成長が止まった高齢者
  ○白人・黒人・黄色人種による違い
  ○大きな人間と、小さな人間-肥満とやせつぽち--大食漢と少食、などの体質  
  ○病弱者と、健常者(すでに病気を持っている人は、放射線被曝を受けて病状が悪化
   しても、
被害はまったく無視される,モの傾向は高齢者でも同じである)

  そのため、同じ食品を食べても、実際の被曝の影響は、個々の人によってまったく異
 なる。

  ところが、食品中の放射性物質の規制基準は、特別の注意が必要な妊娠中の女性でも
、高齢
者でも一律、1キログラムあたり100ベクレルである。"乳児用"食品だけ半分の
 50ペク
レルにしているが、育ち盛りの幼稚園児・小学生・中学生・高校生・大学生の
 世代について
は、まったく考慮されていない。

  この世代が、大人と同じ汚染物を食べれば、大被害が出ることは明白だ。

  特に、汚染物を同量摂取しても、少量ずつ毎日食べた場合と、高濃度の汚染物質をま
 とめ
て食べた場合では、少量ずつ摂取したほうが、体内の濃縮度(蓄積量)がはるかに
 高くなる。

  この事実から考えると、若い世代にとって、現在のような100ベクレルの高い基準
 がきわ
めて深刻になるので、基準を大幅に引き下げるよう、日本政府に要求する国民的
 運動が必要
である。

 
 最大の問題は、最も危険な地帯である福島県内で現状おこなわれている実質的なシー
 ベル
トの測定が、空間線量である、という点にある。つまり、モ’一タリング・ポスト
 や線量計などで空
気中を飛び交う放射線を測っているのだから、内部被バク量とは関係
 のない数値である。
 
 内部披パクにとって最も重要な単位は、体内に取りこむ食品と、水と、呼吸する空気
 中の
放射性物質の種類(アルファ線、ベータ線、ガンマ繍の違い)と絶対量(ベクレル)
 の総計
なのだから、東日本全域の土壌の放射能濃度(ベクレル)を実測しなけれぱなら
 ないのだが、
日本では空間線量の推定図ばかりが横行して、ベクレル実測がおこなわれ
 ていないのである。

 

 
              20年で100倍に激増した自然界の放射能

  もう少しくわしく、現状の地球の全体像を説明しておこう。
  なぜ大気中の核実験のように危険なことがおこなわれたかという歴史の経過は、第4
 章以
下にくわしく迷べるが、大気中の核実験が終ったあとも、放射性物・質は、原子力
 発電所の日
常の運転でも匯突と排水ロから放出され、年々大量に、地球上の空気と水を
 汚染してきた。

  1970年に、アメリカ環境問題協議会がニクソン大統領向けに出した,「環境評価
 レボー
ト」の中には

  ――いまや、”天然自然の放射線”という言葉を使うのはふさわしくない時代になっ

    てきている。なぜなら、原子力から人工的に出される放射能を、天然のものと区
    別することはできないからである。その量は、きわめて大きくなりつつある――
  という趣旨の警告が書かれていた。今から45年も前のレポートである。その後、19
 79年
にアメリカでスリーマイル島原発事故、1986年にソ連でチェルノブイリ原発
 事故、2011
年にフクシマ原発事故が起こって、一挙に大量の放射性物質がぱらまか
 れた。つまり、
日本の放射線専門家たちが呪文のように唱えている「自然界にも放射線
 があります」という
数字は、大昔の話なのだ。アメリカで最初の原爆実験がおこなわれ、
 ヒロシマ・ナガサキに
原爆が投下された1945年より以前にしか成り立だない話なの
 である。

  彼らが測っている被バク量は、「自然界」の被バク量ではない。「原水爆と原子力発
 電」に
よる被バク量を大量に加えた量であろ。
  1982年10月6日には、国連の放射線委員会がつぎの内容のレポートを総会に提
 出し
た。

  ――原子力発電所から生活環壇のなかに放出される放射能の量は、1960年に比べ
 て、20
年後の1980年には、その100倍に漱増してきている――
  このレポートのあと、チェルノブイリ原発事故とフクシマ原発事故が起こって、地球
  上の
人工放射性物質が激増したのだから、「自然界にも放射線があります」という言葉
 は悪質な冗談でしかない。ところが日本では、IAEAやICRPが宣伝に使うこの言
 葉が横行しているのである。


  地球にしのび寄る影がまだまだ存在しているに違いない。ところが一方でわれわれが
 聞い
ているのは、アペゴベに、”人類の平均寿命が伸びある”という朗報である。
  実はこの平均寿命の伸びという迷信は、第一に「乳幼児の死亡率が激減したこと」と、
 第
二に「近年、主虻高齢者に対する延命治療が普及したこと」が最大の要因なのである。
 した
がって、これは統計的な数字上のトリック虻すぎない。むしろ逆に、平均寿命の伸
 びの蔭に
まったく別の形で人類の背後にしのび寄ってくる影がある。

  フロリダ大学のドハティ博士が、アメリカの大学生を対象に調べたところ、精液1cc
 あ
たりの精子の数は、ちょうどネバダの大気中核実験開始の直前にあたる1951年に
 平均1
億個だったものか、1981年時点では、6000万個へと減少し、核実験前の
 6割しか
含まれていないことが明らかにされている。

  これは、30年間で4割の精子が自然に抹殺されていることを意味する。ドハティ博
 士の研究では
、学生のほぼ4人に1人の高い割合で、精子のなか突然変異の原因となる
 物質も発
見されている。精子にしのびよる影があるなら、放射能が濃縮しやすい女性の
 卵子にはそれ
以上の影響があるはずだ。

  ローレンス・リヴアモア研究所のワイロベク博士も、やはり同様の研究をおこない、
 こうした男性の精子異常と、女性の出産異常とのあいだに明瞭な関係を発見している。
 この影響が、胎児→新生児→小児→青年へと、年齢的な段階を追って、ゆっくりと現わ
 れてくる。
  男性の精子は最も幼い生命である。30年間で4割の死滅が起こっていろなら、生き
 残った6割の生命には、死と違う形で、障害がおよぷのも当然である。死産の難関を乗
 り越えて出生したあとも、放射性物質の発癌作用は残り続ける。

  結局、地球上の”空気”や”水”がほんのわずか放射能で汚染されているとしても、
 人体は、桁違いの放射能による影響を受けていることになる
  ここに死の灰の”長期性”のおそろしさがある。
  アメリカ原子カエネルギー委員会と日本の電力会社と、自称,放射線の専門家がこれ
 まで住民に説明してきたような、レントゲン写真による被バク量を、これら体内の披バ
 ク量と比較すること自体が非科学的であるという事実が、これまでの大量犠牲者の実害
 によって、実証されてきたのである。
 
  それでも日本人は、ICRPの基準に身を任せるのか?


ここでは、歴史的事実を検証しながら、暴走しモンスター化した"原子力エネルギー政策”
”国家官僚と専門家”とそれ
に加担する政治家、産業資本家や経営者への痛烈な批判と告
発を行い、そして、無防備な勤労国民への警告を行う。ここは慌てず熟っくりと読み進め
ていくことに。

 
                                                   この項つづく   

 


● 非連続・読書日記: 蛍・花火・火花

  沿道から夜空を見上げる人達の顔は、赤や青や緑など様々な色に光ったので、彼等を
 照らす本体が気になり、二
度目の爆音が鳴った時、思わず後ろを振り返ると、幻のよ
 に鮮やかな花火が夜空一面に咲いて、残滓を煌めかせな
がら時間をかけて消えた。自然
 に沸き起こった歓声が終る
のを待たず、今度は巨大な柳のような花火が暗闇に垂れ細か
 い無数の火花が捻じれながら夜を灯し海に落ちて行く
と、一際大きな歓声が上がった。

 熱海は山が海を囲み、自
然との距離が近い地形である。そこに人間が生み出した物の中
 では傑出した壮大さと美しさを持つ花火である。この
ような万事整った環境になぜ僕達
 は呼ばれたのだろうか
と、根源的な疑問が頭をもたげる。山々に反響する花火の音に自
 分の声を掻き消され、矯小な自分に落胆していたの
だけど、僕が絶望するまで追い詰め
 られなかったのは、自然や花火に圧倒的な敬意を抱いていたからという、なんとも平凡
 な理由によるものだった。

  この大いなるものに対していかに自分が無力であるかを思い知らされた夜に、長年の
 師匠を得たということにも意味があったように思う。それは、御本尊が留守のうちにや
 ってきて、堂々と居座ったようなものだった,そして、僕は師・匠の他からは学ばない
 と決めたのだ。

  花火を夢中で見上げる人々の前で、最終的に自暴自棄になった僕が、「インコは貴様
 だ」と飼い主に絶叫するセキセイインコをやり始めたところで、ようやく僕達の持ち時
 間である十五分が終了した。汗ばかりかいて、何の充実感もなかった。そもそも、花火
 が打ち上がるまでに余興は全て終7Jする予定だったのだ。大道芸を披露した老人会の
 面々が観衆にのぼせあがり、大幅に持ち時間を越えたために、このような惨事が起きた
 のである。今宵の花火大会において末端のブログラムに生じた些細なずれなど誰も修正
 してくれはしない。たとえば僕達の声が花火を脅かすほど大きければ何かが変わっただ
 ろうけれど、現実には途方もなく小さい。聞こうとする人の耳にしか届かないのである。


                              又吉直樹 著『火花』


時代は太陽道を渡る Ⅲ』(2015.07.18)でとりあげた、『火花』を休息がてら読んでみる。
芸人が花火会場で運命的な先輩との出会いに触れられているプロローグの場面。作者の「侘
び(imperfect)描写」がいかにも巧みである。
 

  

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時代は太陽道を渡る Ⅳ

2015年08月02日 | デジタル革命渦論

 

 

 

   難問は分割せよ。  /  ルネ・デカルト


 

【時代は太陽道を渡る Ⅳ: 25%超ソーラーの量産 】

株式会社カネカは、銅めっき法により集電極を設けた大面積(6インチ角)のヘテロ接合結晶シ
リコン太陽電池セルで、変換効率世界最高水準となる24.52%を 達成したと発表。この成
果は 高品質アモルファスシリコンを用いた結晶シリコン基板の表面欠陥低減技術に加えIMEC
との共同研究の成果を一部適用した銅めっき法による電極形成技術などの独自技術を活用

結晶シリコン太陽電池の分野で主流となっている6インチ角のセルで
世界最高水準の変換効率
が達成されたことで、生産コスト低減に大きく寄与するものと見られる。

カネカは、今年度中にヘテロ接合結晶シリコン太陽電池モジュールの販売開始に続き製造能力
を拡大してきており、この成果の一部は、昨年度まで実施した国立研究開発法人新エネルギー・
産業技術総合開発機構(NEDO )との共同研究で得られたものだという。
また、太陽電池セル・
モジュールの高効率化実現に向け、NEDOが実施するプロジェクトの
「結晶Si太陽電池をベー
スとした複合型太陽電池モジュールの開発」に参画する。

カネカの報告は次のようなことを意味する。全世界に導入された14年の177ギガワットで
平均の変換効率が15%と仮定すれば、全てこれが25%に置き換えると177×25/15
=295ギガワットとなる。全て置き換わる20年後まで、ソーラーパワーの導入増加率を仮
に25%変換効率として、年間10%づつ逓増すると仮定し、35年は、295×(1.1)20

≒1,985ギガワットとなる、20%で逓増すると仮定すれば、295××(1.2)20 ≒1
1,309ギガワット、30%の場合、295×(1.3)20 ≒56,064ギガワットとな
り、
つまり。全世界の化石燃料の推定埋蔵量に匹敵するエネルギーに全世界の年間のソーラー発電
量が匹敵するレベルとなり、再エネ百%はソーラーと蓄電装置の組み合わせで余りあるエネル
ギー過剰社会が実現する
(あくまでも超概算見積もり)。

さて、カネカのソーラー技術の肝はどのようなものだろうか?下図の新規考案(下図の上をダ
ブルクリ
ック)によれば、めっき法で集電極が形成可能であり、集電極が低抵抗化され、太陽
電池
の変換効率を向上することができることにある。また、従来技術のめっき法による集電極
の形成方法では、絶縁層のパターニングプロセスが必要であるが、パターン形成のためのマス
クやレジストを用いずにめっき法によるパターン電極の形成を可能とするもので、第一導電層
と第二導電層の間に絶縁層の構造で、第一導電層と第二導電層の表面粗さを所定の範囲に制御
することで、第一導電層と第二導電層の密着性を向上させることができ、第二導電層の表面粗
さを所定の範囲に制御し、高信頼性の太陽電池を作製できるため、高効率で高信頼性の太陽電
を安価に提供するということにある。

 

 
【再エネ百パーセント時代:4月急拡大、過去最大の136万キロワット稼働】

スマートジャパン(2015.07.31)によると、固定価格買取制度の認定を受けた発電設備が15
5年4月だけで136万キロワットも運転開始したという。これは原子力発電の1基分を大き
く上回る規模で、制度開始から4年弱で最大の伸びになる。太陽光発電が130万キロワット
と大半を占める一方、認定の取り消しを受ける発電設備も増えている。136キロワット
のう
ちメガソーラーを中心とする非住宅用の太陽光が121万キロワットにのぼり、引き続き日本
の再生可能エネルギーを牽引。しかし、天候の影響を受ける太陽光発電の課題も広がる状況だ。
そのほかの再エでは出力が安定しているバイオマスが6万キロワット、中小水力も1万キロワ
ットと着実に増えてきている。
 

このように、新たに運転を開始する発電設備が増えたことで、電力の買取量も拡大。4月だけ
で34億キロワットアワーに達した。このペースで伸びていくと、日本の年間の発電電力量の
5%以上を固定価格買取制度の発電設備で供給可能だ。買取金額も月間で1,221億円にの
ぼり、前月と比べて249億円増加しているが、反面、
新規に認定を受ける発電設備は伸び悩
み、15年度に入り太陽光発電の買取価格が引き下げられたことに加えて、発電事業者には不
利な出力制御の運用ルールが1月下旬から拡大した影響している。いよいよ、蓄電設備導入政
策が本格的に議論するべき段階に入ったと見る。
  

【最新燃料電池論Ⅰ:  超高変換効率発電】

数10年前では考えられないことが燃料電池技術で起きているらしい。これも、『デジタル革
命渦論』での象徴である数値解析工学の進化とシンクロしての話。九州大学次世代燃料電池産
学連携研究センタの佐々木一成主幹教授らの研究グループが、東京ガス株式会社基盤技術部と
の共同研究で、超高効率を特長とする固体酸化物形燃料電池(SOFC) の発電効率飛躍的に向
上させる革新技術の理論設計に成功したことを発表。2
つ以上のセルスタックを燃料供給の上
流から下流への流れに沿って多段に配置し、固体電解質内部の電荷担体(イオン)を、従来の
酸化物イオン(O2-)からプロトン(H+)に置き換えた場合、発電効率が80% LHVを超える
"超高効率発電"が発現することを、そのメカニズムとともに世界で初めて示すことに成功した
という。このような超高効率で行われることで、化石燃料から電力へのエネルギー変換は、環
境性の高いスマートエネルギー社会実現に向けた基幹エネルギー技術として期待される。また
この成果はエネルギー変換材料の研究開発の方向性にも重要な知見を与える。



まず、発電効率を多種のパラメータの代数関数として定式化する手法を開発→得られた手法を
適用し、SOFCの2つのセルスタック(セルの内部抵抗=0.383 Ωcm2、温度=1000 K;絶
対温度)を燃料の上流と下流にそれぞれ配置した2段構成→発電効率が最大化するように構成
パラメータを最適化→スタックの耐久性を損なわないように、各スタックの燃料利用率の最大
値を制約条件として規定。



さらに、最適化条件において固体電解質内部の電荷担体(移動イオン)を従来の酸化物イオン
O2-)からプロトン(H+)に置き換えた場合に 発電効率として80%LHVを超える"超高効率"
が発現することを理論的に世界で初めて発見。電荷担体(移動イオン)の違いが起電力発生機
構や電気化学反応時の燃料組成の変化に与える影響を解析し、この "超高効率" が発生するメ
カニズムも明らかにする。
結果の検証に、この"超高効率"を示した構成を用い、メタン燃料を
0.01モル秒-1の流量で供給し、電気エネルギーに変換する反応システムの数値実験を実施。
その結果、"超高効率発電"が数値実験でも高精度に再現された。


と、ここまで書いてきたが専門用語多くて理解されないことを心配するが、話をすすめよう。
高温(例えば、600~900℃)で作動する固体酸化物形燃料電池(SOFC)は発電効率が
高く、燃料多様性が極めて高いため、アノード(陽極)内部で炭化水素燃料を改質して発生し
た水素を燃料として発電を行う直接内部改質運転(DIRSOFC)が原理的に可能である利点が
ある。そのため、小型(1キロワット級)でも高い効率が得られると期待されている。この単
セル(1段構成)の代表的な構造として、緻密な固体電解質の支持体の一方の面にアノード(
陽極:燃料極)、他方の面にカソード(陰極:空気極)を設けた固体電解質自立膜型単セルが
挙げられる。一方、単セルの性能を高めるには、固体電解質を薄膜化し、IRロスを極力低減
させることが有効であるが、この固体電解質支持型単セルでは、固体電解質膜の緻密性や機械
的強度を保つため、固体電解質の薄膜化には制限がある。

イオン伝導性酸化物繊維を不織布状のペーパー状多孔質支持基体と、電極触媒粒子及びイオン
導性酸化物粒子で構成されるアノード活性層で、アノード活性層の一部が、ペーパー状多孔
質支持
基体の内部に形成される固体酸化物形燃料電池用アノード支持体を備えたアノード支持
型固体酸
化物形燃料電池単セルは、アノード支持体の細孔径、気孔率(空隙率)が非常に大き
く、電極反応
の起こる3相界面がイオン伝導性酸化物繊維で形成されたネットワーク上に3次
元的に広がってい
るだけでなく、ネットワーク内に広がる3相界面厚さを薄く保つことができ
優れた発電性能を示す十
分な機械的強度を維持し、高い気孔率を有する固体酸化物形燃料電池
用アノード支持体とこのア
ノード支持型固体酸化物形燃料電池単セルが、この研究グループか
ら出願されているが、この様な
イオン伝導性膜」(今回の研究成果ではプロトン導電性電解
質)の物性、特に、プロトンの移動速度を高め消滅させないことは第一優先課題である。

 

このようなことを踏まえ、最も基本的な構成――スタック2段構成で、プロトン伝導性電解質
と多段SOFCの組み合わせを検討し、変換効率の良好な結果を提示。今回の知見に基づき、追加
の技術としては、3つ以上ステージ構成で、供給燃料を混合し、下流のスタックへの新鮮な燃
料の多段供に給し、例えば、さらに発電効率の改善のために適用可能である。これらの技術で
は、より高い効率を達成させるための可変パラメータがたくさん存在する。
この研究では、プ
ロトン伝導性電解質が、1つのプロトン輸送量を元にして、トランスポート量は、材料と温度
に依存する。いくつかのアプローチは、それぞれ、理論値の1に漸近するプロトン輸率と開回
路電圧(OCV)を増加させる。例えば、(1)動作温度を低下させることは有効である。(2)
別のアプローチとして、理論値と高い性能に近いOCVが鉛(Pd)膜使用し酸化物イオンをブロ
ックすることが報告されている。(3)また純粋なプロトン伝導性と化学的安定性を有する新
規なペロブスカイト型材料が報告されている。これらのアプローチは、「進化の概念}の実現
を可能にする。

 

高い電気効率および高温度で、熱自立運転が考慮すべき重要な課題である。また、SOFC  シス
テムの最小の可能な発電容量は、熱自立運転能力により決定される。ここで、熱自立運転は、

システム自体から発生する熱により、システムの動作温度を維持を伴う。プロトン伝導性電解
質の場合には、水素(発熱反応)の電気化学的酸化は、空気極側で発生、十分な余裕をもって
熱自立運転の下で、プロトン伝導性電解質とのスタックが(酸化物イオン伝導性電解質に基づ
く)は、従来のスタックの場合と同様にBOPのデザインで、その結果、効果的に空気によって
冷却され、熱自立運転の能力とSOFCシステムの最小の可能な発電容量が大きくても高いと変
換効率、動作温度、およびスタック、システムの構成、相対的に極小さな発電能力に依存する
効率は、SOFCシステムとして
受け入れられる。と、要点だけを抜き書きすればこのようにな
るが多分に誤認、誤謬も多々あると思われるが、超高効率発電の実現に向け新たな目標が設定
されたと考える。このテーマは残件扱いとする。

母の初盆も近づき、従兄弟からお供えと暑中見舞いが届く。そこで、お礼返信を投函しようと
久しぶりに、筆書きをしはじめたが、漢字の箇所で、その文字が書けないのだ。これはある程
度予期していたものの、「手書き入力」は宅急便の受け取りサインだけというほどに慣れてい
ない。「継続は力なり」以前の問題なのだ、これは。

 

コメント
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