極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

桶川宿の紅花

2014年01月09日 | 医療健康術

 

 

【中山道仮想ローイング:桶川宿】

寒さが厳しとニュースは言う。いろんなニュースが流れた。その中には、あるチャンネル
では、滋賀県高島市の放射能汚染木くず撤去トラックの追跡報道や細川護熙元首相の脱原
発をめぐる都知事立候補の去就など話題盛り沢山な今日だった。さて、今日の仮想ローイ
ングは、中山道六十九次(木曽街道六十九次)のうち江戸・日本橋から数えて6番目の宿
場(武蔵国のうち、第6の宿場)の東海道武蔵国足立郡桶川郷桶川宿。現在の埼玉県桶川
市にあたる。日本の近世にあたる江戸時代に整備され、栄えていた宿場町。江戸・日本橋
を出立した旅人がおよそ1日歩き通して日暮れどきを迎え、宿を求めるのがここ桶川あた
りであった。「桶川」の地名の由来については諸説ある。 最も有力なのは「沖側(オキ
ガワ)」説で「オキ」を「広々とした田畑」の意とし、その「方向(ガワ)」である「沖
(オキ-ガワ)」が転訛したとするもの。 他にも、湿地が多い土地柄で、東に芝川、南に
鴨川の水源があることから、「川が起こる」意で「起き川(オキガワ)」とする説がある。
桶川宿は寛永12年(1635年)に設置。 当初わずか58軒に過ぎなかった宿内家数は「中山
道もの」といわれた紅花等の染料や食用農作物の集散地となっていた天保14年(1843年)
頃には347軒に達し、経済的にも文化的にも繁栄し宿内家数は347軒となる。

 

加賀前田家を始めとする参勤交代の大名の多くが、桶川宿の府川本陣を定宿。 水戸藩第
9代藩主・徳川斉昭も
足跡を残し、文久元年11月13日(西暦1861年1月2日)には、皇女・
和宮(親子内親王)が公武合体政策の一環で徳川将軍・家茂の御台所として降嫁すべく江
戸へ下向の際宿泊している。また、特産物の紅花は桶川宿を中心とした桶川郷一帯で盛ん
に栽培され、最上紅花に次いで全国第2位の生産量を誇った。紅花の栽培は、桶川郷内の
上村(桶川上村〈現・上尾市上地区〉)の農家の七五郎が、江戸の小間物問屋「柳屋」か
ら紅花の種を譲り受けて栽培したのが始まりであると、江戸の勘定奉行の記録に記されて
いる。出羽国最上郡こと村山地方に比べて気候温暖な桶川周辺の紅花は早く収穫できたた
め、紅花商人たちからは「早場もの」として喜ばれという。桶川は紅花がもたらす富によ
り大いに潤ったが、今も残る桶川祇園祭の山車の引き回しは京の都から、祭囃子は江戸か
ら採り入れ、桶川で独自に発展した行事である。しかし、明治維新後は化学的合成染料の
導入などから衰退し消滅。現在の自治体である桶川市では平成6年(1994年)以来、発展
をもたらした紅花を蘇らせ、街づくりのシンボルとする「べに花の郷づくり事業」を展開
する。なお、鉄道と駅(桶川駅)は、明治18年(1885年)3月1日の日本鉄道・品川 -
赤羽支線開業に始まる。現在の桶川市は、埼玉県の中東部にある人口約7万6千人の市。
かつての中山道の宿場町の一つの桶川宿から発展する。

 
桶川では、大麦や甘藷(かんしょ。さつまいも)など食用農作物のほか、「武州藍(ぶし
ゅう-あい)」と呼ばれた染料の藍、「桶川臙脂(おけがわ-えんじ)」と呼ばれた紅花な
ども取引された。藍の子美(たね)を焙じてお茶として飲めるということで、名産品とし
て再生することは可能だろう。藍の葉や藍の種は、古くから解熱剤や感冒薬として使われ
てきた。「和漢三才図絵」には、藍の実には諸毒を解し五臓六腑を整える薬効効果がある
と記されているというし、殺菌作用、消臭作用、止血作用は手ぬぐいや野良着、そして、

おむつや産着にも利用されているという。ただし、寒性もあるともあり体温を下げてしま
うので、商品開発には細心要注意だ。紅花は、中国の医学書『開宝本草』(973年)に「
紅藍花」という別名で薬として記載されているという。また、薬物書『本草網目』(1590
年)に同じく紅藍花という名で薬効がまとめられている。紅花は婦人病薬として主に血行
障害の治療、冷え性、更年期障害に応用されていきたが、現在も、民間薬、漢方薬として
紅花散、活血通経湯、治頭瘡一方、補陽還五湯などの方剤に配合されているという。山形
県衛生研究所の研究開発で、紅花のアルカンジオールに腫瘍抑制作用を確認している。

 宇部興産株式会社  WO20130737704A1

 

 

※ 「紅花の薬理学的研究―中枢に対する作用および抗炎症作用-」山形県衛生研究所 
笠原義正、久間木国男、佐藤孝男、片桐進 『生薬学雑誌』43(4),331~338(1989)

 

ということで、紅花の食品展開が考えられるが、山形県では大々的に研究開発が進んでい
るので、付加価値の高い医食同源産物のレシピとして研究開発し直す必要があるようだ。
また、生薬以外にマーガリン、サラダ油、染料も古くから開発されてしまっているので、
アルコール度の高い蒸留酒や醸造酒や地ビールの商品開発に絞るのも良いかもしれない。
それとも、紅花のドルチェ、スイートやジェラートに特化させるのもひとつの選択肢だろ
う。化粧品もや日用雑貨品もある。麺類に練り込めるものはもう開発されているので、こ
れ以上の高付加価値化は難しいかもしれない。ご当地ラーメンの麺に使用することはこれ
で決まりだから、本庄宿(『フード・ファントム・メナス(3)』)の鯰(キャット・フ
ィッシュ)をアラビアータ風にサンフラワーオイルで揚げ、紅花麺に薄づくり刺身を乗せ
た上から加熱スープ注ぎいただく桶川ラーメンとして出せばどうかと考えてみた。
さて、これで今月末までには江戸に到着できる。

 

   

 

 

【フード・ファントム・メナス(5)】

 ウインナー・ソーセージ 

 ●15~30%加水されている

  ウインナー・ソーセージを手作りするとき、原料に水や牛乳を加えると、やわらか
 くでき上がる。この加水は、肉の重量の10%まで。それ以上だともろくなり、水が
 出てまずくなる。
  食品添加物を使って加水率をさらに高め、増量したのが大手食肉メーカーのウイン
 ナー・ソーセージだ。肉重量の30%の水を入れ、でん粉を多く入れて加熱し、糊に
 して中身がバラバラになるのを防ぐ。ゼラチンを加えて、冷えたら固まってジューシ
 ーで滑らかな食感になるようにしたものが多い。
  さらに食品添加物を加えて、適度な硬さ、弾力性、保水性を持たせ、化学調味料や
 たんぱく加水分解物、酵母エキスで旨味を加え、それに水あめなどの糖類を加えて甘
 くし、塩分で味のバランスを調整する。
  原材料が薄まって腐りやすくなるため、クエン酸などの酸味料を加えて日待ちを長
 くする。
  こうして手軽な商品に仕上げられているが、高級品でも水を15%入れている。加
 水率の多い商品を見分けるには、原材料表示をよく見ることだ。原材料がたくさん書
 かれているウインナーは、ゼリーに近い食感になっていることが多い。
 「無塩せき」ソーセージは、添加物が少なく、加水率が低くて、いい商品である。

 ●「カルシウム入り」子どもソーセージも添加物だらけ

  子どもが喜ぶキャラクター商品のソーセージは、かつては原材料に気をつけ、添加
 物を減らしたいい商品だった。
  どの商品も、子どもに食べさせたくなるように「カルシウム入り」になっているが、
  今は、添加物だらけの商品があるので、油断は禁物だ。発色剤は必ず使われている
 がミネラルを奪うリン酸塩、合成保存料、化学調味料だけでなく、合成着色料の赤色
 102号を使用した商品もある。また、魚肉ソーセージは無添加に見えるが、リン酸
 塩入りの魚肉すり身を使用しているので、やはりミネラルを奪われる。


 ハム

 ●水あめ、砂糖などで2.2倍に増量されている
  
  豚肉に塩とコショウなどの香辛料をすり込むのが、古典的なハムの製法だ。手間ひ

 まかけて加工するから、ハムは値段が高くなる。
  ところが、ロース豚肉より安い?スハムが売られている。この矛盾した価格差が、
 ハムの問題点を象徴している。
  ヨーロッパで100年ほど前に、豚肉にたくさんの注射針を刺して、筋切をしなが
 ら、塩、コショウなどを注入する合理的な製造方法が編み出された。
  このインジェクション装置を使って、日本は増量ハムを作るようになったのだ。肉
 に、水あめ、砂糖、卵タンパク、食塩、香辛料、それに化学調味料、リン酸塩、亜硝
 酸塩などを混ぜ込んで、最大2.2倍にまで増量している。

  そして、この技術は、豚カツ用豚肉にも用いられるようになった。また、この装置
 で肉に油を注入すると、牛・馬肉の霜降り加工となる。

  ハムは、精製原料で増量した上に、リン酸塩でミネラルを奪うから、食べるとミネ
 ラル不足が深刻になってしまう食品だ。

 「無塩せき」と表示しているハムを選べば、増量もあまり行われていない。

                  小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.81-84

 

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フード・ファントム・メナス(3)

2014年01月06日 | 医療健康術

 

 



【一汁一菜を極める】

年頭の言葉を探した。大局観は「嵐」という言葉は、昨年と同じで当面変わりない。そこ
で、もう少し
焦点を身近に合わせ「極」という言葉を選択。これは、「極める」という意
味で自分にとって二つ意味する。それがセカンド・ライフにおける「健康進」と今抱えて
いる生涯の目標の「仕事」にかかわる。後者について言えば、基礎的な知識の集積にほと
んどの時間を割かざるをえず、ひたすら机に釘付け状態に終始。ことしもこれを続けるこ
とは自分の性格からどこかで破綻するだろうという鬱たる思いがあり、夏までにはこれを
極め、第二ステージに突入したいと願望、あるいは、を見極める、と。そう言う意味での
「極」である。さて、前者の「健康」あるいは「体力維持」のための「健康」というだが、
昨年、"和食"が世界無形文化遺産に登録したこともあり、特異なな加工方法・技法ではな
く、古来から日常的に食してきた素材のレシピに焦点を当てたいと考えている。年末も、
彼女に、朝食はご飯と香の物に、味噌汁と魚介類の干物をアレンジしてくれないか相談す
る(我が家は、厨房が狭いこともあり、"男子禁制"というタブーが布かれている)。そこ
で、今日は、"めざし"を考えてみる。まずは、『食べるな、危険!』から放射能汚染から
考察を始めた。

 

 

 ●太平洋が史上最大の放射能汚染

 
  福島第一原発から出た放射能のハ割が、太平洋を汚染した。
 過去にアメリカ、イギリス、フランスが行った核実験で南太平洋やインド洋が汚染
 されたし、それらの国の核兵器や核燃料の再処理工場も、放射能による海洋汚染を引
 き起こしてきたが、福島の事故が史上最大の海洋汚染となった。
  汚染された海水の塊は、福島県沖に高濃度の汚染地帯を残したまま、2010年夏
 にハワイの北側を通ってカリフォルニア沖に向かって移動している。ハワイ大学のシ
 ミュレーションでは、2014年にカリフォルニア沖から北半球の太平洋全域に汚染
 はゆっくり拡散していくと予想されている。
  海面に浮いている漂直物は、2013年にはカリフォルニア沿岸に続々と漂着して
 いくことだろう。
  セシウムー37の半減期は三〇年、ストロンチウム90の半減期は29年である。放
 射能が1000分の1になるまでに、300年かかるから、海産物の不安は長く続く。
 
放射能は海水中で拡散し、薄まっていくが、その一方で、海洋生物は海水中から放射性セシ
 ウムと放射性ストロンチウムを取り込んで濃縮する。

  この濃縮スピードと、海水中で薄まる速さと、魚の移動によって、どの海産物が、
 どのくらいの放射能濃度になるかに、大きな違いが出てくる。
  それがどうなるかを正確に予想できないので、サンプル調査などで、危なそうな海
 産物を見つけて、それを獲るのを自粛させているわけである。
  そうしていても、魚が予測とはまったく違う移動をして、予期しなかった放射性セ
 シウムや放射性ストロンチウムが検出されることがある。
  これからは、基準を超えた魚が見つかると、「先日、食べてしまった」と、がっか
 りさせられることがときどきあるだろう。
  高濃度に放射能汚染された海産物が出回っていることが、ある日、突然わかるのだ
 から、完全に避けることはできない。
  だから、汚染されていないと考えられる海域で獲れた海産物だけをできるだけ食べ
 るようにして、普段から自衛しておきたい。

 ●最大値はアイナメ

  2012年8月に福島県南相馬市の太田川沖合で獲れたアイナメ2匹から、1㎏当
 たり平均25800ベクレルの放射性セシウムが検出された。
  それまで、海の魚の最大値は2011年4月に獲れたコウナゴの14400ベクレ
 ルで、川魚では飯舘村のヤマメで18700ベクレルだったが、それらを更新してし
 まった。
  アイナメは海底近くにすむ魚で、この魚が獲れた状況から考えると、太平洋の魚の
 実態が見えてくる。
  2匹とも25mほどのアイナメで、1匹は38000ベクレル、もう1匹は930
 0ベクレルだった。
  同日、同地点で獲った魚で、次に高い値を示したのはコモンカスベの260ベクレ
 ル。最低値はガザミで22.7ベクレル。周辺の海水は0.1~0.01ベクレル
 った。

  1ヵ月ほど前に同地点で獲れたアイナメは、82ベクレルたった。
  これらをまとめると、
 
 
①同じ日に、同じ地点で、同じ魚種を獲ったのに、放射能値には四倍の差があった。
 ②魚種が違うと、同じ地点で同じ日に獲れても、放射能値に数千倍の差が出た。
 ③海水の放射能濃度は低いのに、非常に高い汚染度の魚がいた。
 ④1ヵ月ほどたつと、同じ地点で、同じ魚種から、500倍ほど多く検出された。
 
  これが実情なので、公表されている測定値が低くて安全に見えても、太平洋産の魚

 は、いつ危険が表面化するかわからないのである。
  魚を選ぶときに誤解されやすいのは、中国産だ。今や中国は北太平洋での漁獲量が
 日本より多くなっている。太平洋で獲れる魚は、中国産でも安心できない。
  淡水魚は、河川や湖沼のミネラルが少ない水からミネラルを取り込んで生きている。
  だから、体質的に放射性ミネラルを体内に取り込んで濃縮しやすい。
  山に落ちた放射能が少しずつ川に出てくるので、淡水魚からも長い間、放射能は検
 出され続けるだろう。だから、妊婦や、今後妊娠する可能性のある女性は、福島県、
 宮城県、岩手県、山形県、関東の川魚や、湖の魚を食べないようにするのがいい。

                  小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.15-19



 ●イワシ・煮干し 東シナ海、日本海、瀬戸内海産が安心

 
  1000年以上前から日本人が、動物性タンパク源として食べてきたのがイワシだ。
 江戸時代からは肥料としても利用されるほど大量に獲れていた。カルシウムなどのミ
 ネラルが全般的に豊富なだけでなく、血液をサラサラさせるDHAやEPAなどの不
 飽和脂肪酸も多く、肌の健康を維持する補酵素のコエンザイムQ10や、細胞膜の主要
 構成成分であるレシチンも豊富に含まれている。
  だから、イワシは日本人の健康を支えてきたといえるが、マイワシは1988年を
 ピークに漁獲量が減少し、少ししか獲れなくなってしまった。
  しかし、カタクチイワシとウルメイワシの漁獲量は減っていないので、煮干しがな
 くなることは今のところない。
  2011年10月には千葉県房総沖で獲れたマイワシから、11ベクレル/㎏の放
 射性セシウムが検出されている。だから、マイワシの刺身や、寿司屋のイワシは、こ
 の程度は放射能で汚染されていると覚悟せざるを得ない。
  煮干しは骨ごと食べるので、放射性セシウムだけでなく、放射性ストロンチウム汚
 染も心配だ。放射性ストロンチウムは骨に蓄積するので、怖い放射能だ。
  イワシは放射能汚染海域で漁獲されたものが多く、銚子漁港を筆頭に、千葉県と茨
 城県で多く水揚げされている。だから、100円寿司でも放射能が検出されている
  煮干しを食べるなら、東シナ海、日本海、瀬戸内海産にするのがいい。この産地の
 煮干しを関東以北で買おうとすると、少し探さないと見つけにくい。

                   小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.36-37

 


【目刺しの食文化小史】

目刺(目刺し、めざし)は、干物の一種。カタクチイワシやウルメイワシなどのイワシ類
の小魚を塩水に漬けた後、目から下あごへ竹串やワラを通して数匹ずつ束ね、乾燥させた
もの。通常はそのままではなく、焼いて食べる。また「目刺」は春の季語のひとつでもあ
る。なかでも目刺しは「目を竹串や藁(わら)などで刺して干したもの」、頬刺し(鰓刺
とも)は鰓から口に竹串や藁(わら)を刺し通して干したもの」。目刺しは千葉県が代
表的な産地、頬刺しはもともとは九州を中心に作られたもの。千葉県で作られる目刺し・
頬刺しではマイワシは3尾、カタクチイワシは4尾で一串としたという。目刺しを含めた
干物の歴史を辿ると、奈良時代には、各地で作られた干物が、宮廷への献上品や租税とし
て納められている。交通も保存技術も発達していなかった当時、日本各地から奈良の都に
海の幸を運ぶには、干物に加工する必要があった。『正倉院文書』などの記録では、イワ
シなどの小魚の丸干しは「きたひ」、鮭やマス、スズキなど大きな魚の身を細く切って干
したものは「すわやり」と呼ばれていました。こうした記録から、このころすでに塩味を
つけて干したり、煮てから干すなど現在にも伝わる製法が確立していたことがわかってい
る。平安時代になると、漁獲量とともに干物の生産量も増え、京の宮廷では、干物を「ひ
もの」と読まずに「からもの」と読み、酒宴に欠かせない肴であった。『源氏物語』にも、
光源氏たち平安貴族が興じた宴の酒肴として「からもの」が登場する。これらは生鮮魚介
類の少なかった平安京ではたいへん珍重され、都の市には干し魚の店が出ていたと、古書
に掲載されている。そして、江戸時代には各地の名産干物が発展。当時地方の大名は、幕
府への献上品として、また藩の産業振興のためにも、競って名産品の製造を奨励したため
だ。元禄時代に編纂された『本朝食鑑』には、小田原のあじの干物を絶賛する記述もあり、
その他、明石の干しだこ、長崎のからすみなど、今に伝わる名産干物の多くは、各藩の努
力の賜物でもあった。食生活が豊かになっていった江戸時代には、干物は庶民の食卓にも
のぼるようになり、『東海道中膝栗毛』の弥次さん、喜多さんがお伊勢参りに行ったよう
に旅をする人も多く、日持ちのする干物は、当時から旅のみやげとしても人気だったとい
う。

【目刺しの栄養学】

カタクチイワシか小型のマイワシを食塩水に漬けた後、干したもの。通常4尾一単位で藁
か棒で刺し通してある。焼いて食べる。成分表では廃棄量15%となっているので頭は食べ
ない前提の成分値。 栄養成分は高たんぱくで脂質も多くビタミンD、ビタミンB6、ビタミ
ンB12、ナイアシン(ビタミンB3)、カルシウム、マンガンが豊富。いわし丸干しと比較す
るとたんぱく質が半分程度で脂質が三倍以上。塩分はいわし丸干しより少ないが干魚とし
ては多い方。 一尾3~20g程度。一尾 21.8Kcal、たんぱく質 1.5g。現在は塩を控えた生
干しが主流。現在も魚の干物は、ふだんのおかずにも、旅のみやげにも欠かせない存在。
大きく様変わりしたのは、塩をきかせてしっかり干したものよりも、塩を控えてさっと干
した生干しや一夜干しなどが主流になった。これには、保存技術や交通の発達で、生に近
い状
態でも流通するようになったことや、塩分を控えたいという健康志向も影響している。 
生干しや一夜干しは、干物とはいえ保存性はそれほど高くないので、要冷蔵か要冷凍保存。
また、干物の最大の敵は「油焼け」、つまり
脂質の酸化が進んで、風味が落ちる。これを防ぐ
には、ぴったりとラップをして空気に触れないように保存する。

 

 【アラカルト:めざしのおろし漬け】

 

骨粗鬆症撃退!!大根おろしにめざしを漬け込み、一晩。熱いごはんにのせていただきま
す-
カルシウム補給に効果があるとして紹介されているが(COOKPAD)、それによると、
おつまみ用めざし4~5匹に対し大根を用意。めざしにたっぷり大根おろしをのせて、ラ
ップをして、冷蔵庫で一晩置く。めざしがやわらかくなり、大根おろしにだしが出る。炊
きたてのご飯にのせるだけの簡単レシピが、ここにポン酢(食酢でもよい?)を降りかけ
てみたい。さらに、"焼き目刺しの酢漬け"も柔らかくできるので良いかも。
 
  
 
 

 
【仮想ローイングの旅 本庄宿】
 
肩の痛みを押して、ローイングを初めて見たら、以外と痛みが取れることに驚く。と、言
っても、完璧に痛みが取れたわけでない。そこで、中山道を急いで上ることに。今夜は本
庄宿の滞在となる次第。本庄宿は、中山道六十九次(木曽街道六十九次)のうち江戸から数え
10番目の宿場。武蔵国児玉郡の北部国境付近に位置し、武蔵国最後の宿場。現在の埼玉
県本庄市に当たる。江戸より22里(約88km)の距離に位置し、中山道の宿場の中で一番人
口と建物が多い宿場街。それは、利根川の水運の集積地としての経済効果もあった。江戸
室町にも店を出していた戸谷半兵衛(中屋半兵衛)家は全国的に富豪として知られていた。
市街地の北西端には、中山道と信州姫街道の追分がある。場所は、現在の千代田3丁目交叉
点付近。追分はT字路状で、江戸側から見ると、左折すれば信州姫街道、右折してすぐ左
折という枡形ルートで中山道京都方面となる。


元禄6年(1693年)頃では384軒ほどだったが、享保7年(1722年)には500軒となり、文化
8年(1811年)には1072軒、文政5年(1822年)には1088軒、天保14年になると1212軒とな
る。この天保14年をピークに、その後は次第に減少へ転じている(『武州本庄宿ふるさと
人物史1』より)。中山道では本庄宿に次いで大宿なのが、近江国の高宮宿(64番目)、武
蔵国の熊谷宿(8番目)、上野国の高崎宿(13番目)、美濃国の加納宿(53番目)となる。
現在の本庄市は、埼玉県の北西部県境に位置し、北に利根川が位置し、市内中央部にJR高
崎線が、南部に関越自動車道と上越新幹線が東西に横断している。市街地は本庄駅付近に
集中する。国道17号(本庄駅北側)より北部は畑が広がり、住宅密集地は本庄駅の南部方
面に広がっている。本庄北部は畑が広がっている為、風をさえぎる物がなく、秋冬では西
風が強い。内陸の台地で比較的安定した風土を保つ。旧市内域(児玉町合併以前)では、
3分の2が台地上に当たる。一方で、児玉南部方面は山麓地帯である為、夏場では山間独
特の湿度の高さがあり、土砂崩れも多いという。利根川に架かる坂東大橋が架け替えられ、
2004年3月6日に開通。また同年3月13日には、上越新幹線の本庄早稲田駅が開業した。


 
 
ところで、ご当地グルメとして、本庄の地粉と滋味豊かな地元野菜を使ったいわゆる「す
いとん」。「つみっこ」の呼び名は、養蚕の仕事である桑の葉を摘み取る様子と、小麦粉
を練ったものを手で「つみとる」ようにちぎって鍋に入れたことを言い表した本庄地方の
方言だという養蚕・機織りが盛んだった本庄市で、仕事の合間に食べられた繭の町本庄の
伝統を受け継ぐ庶民の味とか。そこで、恒例のご当地ラーメンの創作なのだが、さいたま
市はB級グルメで"豆腐ラーメン"が有名だとか。あっさりした鶏がらスープの醤油ラーメ
ンで、その上に醤油ベースのなめらかな絹豆腐と挽肉の餡がたっぷりかかった麺料理。餡
は見た目は麻婆豆腐に見えるが、辛さはそんなにない豆腐あんかけの縮れ麺が特徴。
 


地元志向で言えば、さっぱりとしたナマズの白身に衣つけ揚げ、鷹の爪の辛みを効かした南蛮漬
け風の餡のラーメンにアレンジしてはどうだろうか。勿論、豆腐にはこの際拘らない。さて、旅の先
を急がなければ!? 
 
 
 
 
 

 

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鍼灸治療の科学

2014年01月02日 | 医療健康術

 

 

「量子の制御とコンピュータ 」


 表 量子コンピュータの候補と現状
 

  【量子コンヒュータの実用化】

量子コンピュータは、スーパーコンピュータでも数十億年かかる暗号の解読を数分で終える能力が
あるとされるが数年前までは実現性を疑われていたものだ。最近、ブレークスルーが相次ぎ本格的
な量子コンピュータの実用化が近づいたとされる。超電導回路、MRAMなどのメモリ、Si 半導体、
光伝送などの技術者が実現一番乗りを目指して走りだした。今、量子コンピュータ(QC)の開発
が大きな節目が今年だろうか。長く開発が続けられていたタイプのQCでいよいよ、実用化に向けた
動きが出てきたその一方で、新しい原理に基づくQCが登場し、一部は既に開発を終えて実用化さ
れてきたと言われる。従来からあるQCは「量子チューリング・マシン」とも言われ、問題に応じた
アルゴリズムに従って、そろばんをはじくように演算を進めていくタイプのQCである。この3年ほ
どで急速に実用化への道が開けてきた。「本格的QCはあと数年~10年で実現可能」。2012年2月、
QCの研究機関が相次いでこう主張し始めた。例えば、米IBM社は「我々は、QCを製造する間際にい
る」と発表。米University of California, Santa Barbara(UCSB)校でQCを研究するProfessorのJohn Ma-
rtinis
氏のグループも「技術的には10年以内に本格的なQCを実現できる」と述べた。数年~10年先と
いうのは遠い将来にも思えるが、数年前までは専門の研究者の中でさえ、「QCの実現は1000年先」
「単なるSF」という声が少なくなかった。それが、実現時期を見通せるほどに現実的になってきた
のである。一方で、新原理のQCの中には、「既に開発が終わり、発売を始めた」とするQCもある。
この新原理のQCでは、解くべき問題に応じたアルゴリズムを持たない。解くべき問題は、特定の物
理学の問題に翻訳し、その解は、一種の物理実験を通して得る。そしてその結果を解くべき問題に
対する回答として再翻訳するのである。カナダのベンチャー企業であるD-Wave Systems社は2007
年に、この“もう一つのQCの最初のプロセサを発表した。その後、システムを急速に拡大し、
2011年5月には最初の製品を戦闘機大手の米Lockheed Martin社に販売したと言われる。

  

ここまで、打ち込んでみて、一知半解以下であることを思い知らされる。知らされることには違い
ないが、科学技術進歩のテンポが半端じゃない。と、そんなことを考え、自分が納得できる程度ま
では基礎力を習得することに。



     


【山元新頭針療法とは】

鍼療法を受けた経験は、後にも先にも三十年前の一回きり。それも、毫鍼(ごうしん)治療と電気
鍼療法の二種類、治療大別でいうところの反射療法と物理(電気)療法。その治療目的といえば、
頸肩腕症候群(cervico-omo-brachial syndrome治療。ところが、双方とも軽度の吐き気を伴うこと
なりそれ以上続けることはなかった。つまり、効かなかったのだが、もっとも、ビタミンE服用の
学療法でも交感神経を高めてしまうということもあって、印象悪く記憶にとどまる。かといって
灸医療を否定してもいない。ようするに、定点皮下刺激療法の科学的根拠が曖昧・模糊として
信用できないという理由による。言い換えれば、『脳スキャナと倫理』のところでも触れたが「気」
「経絡」「経穴」の生理学的相互関係が見いだされていないのなら、定点皮下刺激を脳スキャナー
を介して生理学的相互関係を図像データ化する研究を行うなどに意味があると考えているが、ここ
では、その詳細方法は触れない(これが体系化できれば新たな産業構造(第5次産業)の創出に繋
がるのではと考えている)。

 

さて、東洋医学が西洋医学とは異なる特徴は3つあるといわれる。1つは、全身を見て治療を行う。
複数ある症状をもって「証」(いわゆる病名を)という概念で治療方針を決める。2つはめは、
間の心身がもつ自然治癒力を高めることで治療する(生薬の服用は許容される)。そして、3つ

は、体内の恒常性を乱すこと(侵襲)なく、望診、聞診、問診、切診の四診をもって診断すると

う特徴をもつ。中国では、清末以来の戦乱により、体系立った伝統医学などは残っておらず、老中
医にしても、ほとんどが家伝の生薬方なり鍼灸方なりを、各個伝えているだけで、これら個々の伝
統技術を統合する理論体系として戦後再構築される。ところで、中国の後漢(B.C.5世紀~A.D.3世
紀)を起源とし、その実態は身体へ加えた様々な物理刺激による臨床経験知の集積技術論とした技
法を「鍼灸」
と言われる。近世まで、生薬方と共に東アジア各国の主要な医療技術として発展。17
~19世紀の日本における鍼灸は独自発展を遂げ基盤形成。また、20世紀後半は欧米でも認識活用さ
れるようになり、1996年10月28日~11月1日、世界保健機関(WHO)は、セルビアで「鍼に関する
会議」を開催し、1999年、同機関は鍼治
療の基礎教育と安全性に関するガイドラインを提示。ユネスコ
は「伝統中国医学としての鍼灸」(Acupuncture and moxibustion of traditional Chinese medicine)を、
2010年11月16日
には無形文化遺産に指定する。 また、日本においては、生薬方を用いる医師と鍼
灸を用いる鍼灸医は、早い時代から分業化していたが、分業が決定的になったのは江戸時代の盲人
政策による。幕府の政策の「あんま(按摩)」を
盲人の鍼灸も職業となり、一般的な生薬を用いる
漢方医と、盲人による鍼を用いる鍼灸医が医療の
担い手となったという。ところで、鍼灸は種類が
多くどんな治療を受ければよいのか分かり辛いと
いう欠点をもつ。その種類は大まかに(1)伝統
鍼灸:『黄帝内経』『難経』という東洋医学・鍼
灸の原典である古医書をもとにし、陰陽、五行、
東洋医学の臓腑論などを利用して治療を行うもの。(2)現代鍼灸:現代の解剖学や生理学と言っ
たものを基本にした治療で、脈診などの伝統的な診
断方法よりも、現代の検査法などをより重視し
、鍼をするところも、幹部のある局所であることが
多く、電気(パルス)治療などの器具を使うと
ころも多い。(3)専門鍼灸:「美容鍼灸」「スポ
ーツ鍼灸」など、より専門性を追究した鍼灸。
方法論は伝統的なものよりも、現代的な鍼灸が多く、
身体全体の調整をしたり、体質改善をすると
いう効果よりも、特化したその分野により力を入れて
いるものに大別できるとされる。 次に、頭
鍼療法は頭皮上に治療を目的とする刺鍼点を定め(大脳皮質を頭皮上に想定して定める。





または、経絡・経穴を主体に組み合わせて定める)、その点から頭皮を切皮して頭蓋骨上の帽状腱
膜を必要な位置まで進鍼する方法。このような頭鍼療法は、特に脳血管障害の後遺症治療に応用さ
れている。頭鍼療法は、大脳皮質の機能局在を頭皮上に投影することで刺激(治療)領域を定めて
いる。これを「定位区」と言い、この定位区に帽状腱膜上を滑らすように刺鍼をして治療を行う。
例えば、刺鍼後1分間に200回の雀啄術(鍼を上下に動かす手技)を行う。上図のように、定位区
を取るために、2本の基本線をしっかり押さえ、その基本線が基準となり定位区が定める。頭鍼療
法の定位区は穴(つぼ)と違い、0.5センチメートル程の幅をもったライン状の領域で、刺入方法
はほぼ横刺(水平刺、15°~30°)にて行う。刺入ポイントは、しっかり切皮をし、極めて小さな
雀啄を行い、抵抗感がないことを確認(この時点で抵抗感があれば、刺鍼痛を伴うことが予想され
るので、無理に刺入しないこと)→左右に高速回旋を入れながら、手の重みだけを与えるように刺
入→刺入方向が疎性結合組織の中を通過していれば、スムーズに鍼先は流れるように進むが、その
方向に角度がつきすぎると、帽状腱膜上に絡み強い痛みが伴うため、鍼先の抵抗感に集中して刺入
操作する、と解説されている。
 





※鍼灸治療は保険点数化された「療養」とは規定されていないため、健康保険を適用する場合「療
養費」として請求する。「療養費」とは、保険医療機関における保険点数化された「療養」以外の
治療を保険医療機関以外の医療施設(鍼灸院、接骨院など)で受けた場合、その治療費を保険者に
請求できる制度のため、患者本人の負担率は保険医療機関において、通常の療養を受給した場合と
同様で
あるもの、その支給は、点数化された「療養」の支給は保険者の義務であるが、「療養費」
の支払
いは保険者の義務ではなく、それを支給するか否かは、各保険者の裁量に任されので、療
養費の請求が、本来は治療費をいったん全額負担した患者本人が保険者に請求を行なう償還払い制
度である。患者
本人に非常に煩雑な手続きを強いるため、慣例として「受領委任払い」が取られ、
治療院などが患
者の療養費請求を代行できる制度で「鍼灸院」「整骨院(接骨院)」がこれを行な
っている。






山元敏勝医師により確立された山元式新頭鍼療法とは中国式の頭鍼療法と全く異なる概念で考案された
診断・治療法が世界的な普及を見せているという。同じ頭鍼療法だが、首や肘にある診断点で、圧痛や
硬結といった反応を探り、その診断点に対応した頭部の治療点に刺鍼。その反応を取り除いていくことで、
症状を改善させていく。腰痛、肩こり、膝痛などの運動器疾患をはじめ、痛み、しびれ、めまいなどの神経
疾患、パーキンソン病、特に脳血管障害などの中枢神経疾患の治療に有効という。そこにはまだまだ解き
明かさなければならない謎が山積しているように思える。敢えて言えば、この謎解きにこそ次へのスプリン
グ・ボードが隠されている?と。 




ジムから帰ってきて暫くするとひどい頭痛だ。頭は混乱状態に落ち込む。ここは休むしかない。


                                                          



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パファで無病息災

2013年12月31日 | 医療健康術

 



【オメガ3脂肪酸とは】

高脂質摂取の弊害に苦しむ米国で、“日本人”の長寿命と賢明さに注目し?研究開発されてきたオメガ3脂
肪酸が流行しているというが、脂肪酸の研究が始まったのは、1800 年代に入ってから。 1813 年から
1823 年にかけミシェル・ユージン・シュヴルールによって脂肪の研究が行われ、脂肪は脂肪酸とグリ
セリンのエステル様結合物であることが発見されました。オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸な
どの脂肪酸も発見され
その後、脂質分析の技術が進歩し、1844年にリノール酸、188 年にリノレン酸が
発見され、1909 年には肝脂質からアラキドン酸が、日本では 1935年にイワシの抽出油からアラキドン

酸が発見される(脂肪酸研究が進んだ理由:ガスクロマトグラフィー技術が貢献)。さて、脂肪酸は飽
和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。不飽和脂肪酸は、その構造からオメガ3(n-3系脂肪酸)、オ
メガ6(n-6系脂肪酸)、オメガ9に分類される。青魚に含まれるDHA・EPAやえごまに含まれる
αリノレン酸は、オメガ3に分類される脂肪酸で、この脂肪酸は細胞が正しく機能するためには不可欠
なものであることがわかってきた。オメガ3脂肪酸は青魚をはじめ、えごま油、シソ油、亜麻仁油、く

るみ、緑黄色野菜、豆類などの食品から摂取できる。このように 体を作るのに欠かせない「必須脂肪
酸」は、高度不飽和脂肪酸PUFA)とも呼ばれ、動脈硬化の予防やコレステロールの増加による高血
圧、心臓疾患を予防するという優れもの。
楽天の田中将大投手を支えた里田まいさいも愛用している「
オメガ3」を含んだ油だとか。この油、日本ではあまり知られていませんが、欧米では広く普及してい
ていたが、日本でも2005年に厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」で増やすべき栄養素として目標値
を設定。
オメガ3は、アマニ油やえごま油などの精製された油だけでなく、身近な食品にも含まれていまる。
もっとも、フードファディズムの傾向にあるらしくオールマイティーの食材としての喧伝に戒める批判
もでてきている(「フードファディズムか希少糖」)。ところで、この高度不飽和脂肪酸PUFA)の
製法技術開発も、盛んに行われていて下記のサントリー社の新規考案が提案されている。

高度不飽和脂肪酸PUFA)とは、炭素数18以上で二重結合を2個以上持つ脂肪酸である。PUFAは種々
の特異な生理活性を持ち、各種の食品及び動物飼料へ添加してその機能性を高めるために使用される。
主なものとしては、リノール酸(LA)、α-リノレン酸(ALA)、γ-リノレン酸(GLA)、ジホモ-γ-
リノレン酸(DGLA)、ミード酸(MA)、アラキドン酸(AA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘ
キサエン酸(DHA)等が該当する。利用にあっては、遊離脂肪酸型やリン脂質型として用いられることも
あるが、主として、トリグリセライド型として用いられ、そのアシル残基にPUFAが構成々分として含
まれる場合が多い。ところが、PUFA自体の化学合成は難しく、製造コストが高く、また、油糧植物、魚
介類、微生物、微細藻類などから抽出供給するが、これらの生物は、多種類のPUFAを含み単一のPUFA
での
構成はない。PUFAをトリグリセライド型の利用には、PUFAの結合位置や結合個数
を特定した「
造脂質
」での利用により機能性が高まる。構造脂質を製造す
る場合、位置特異的な化学的手法もあるが、
多くの場合、食品用途が中心を前提に、リパーゼなどの酵素を用いたアシル基の変換反応で製造するこ
とが多い(国際公開W0 03/004667
)。この場合、原料トリグリセライド中の特定位置に結合した脂肪酸
の結合を切断せず、その他の位置に結合した脂肪酸のみを加水分解反応または、アシル基交換反応など
で除去する(下図に反応式を例示:PUFA含有トリグリセライド混合物とカプリル酸とのリパーゼ反応
により、1,3位にカプリル酸を含むトリグリセライドと遊離脂肪酸が生成する場合の例を示す(A~
I:脂肪酸、8:カプリル酸)。

特開2010-042037

 

この場合、生成物である構造脂質中の目的のPUFA含量は、原料のトリグリセライド中の、切断しな
脂肪酸残基(この場合は2位)中に含まれる目的の
PUFA含量に依存する。副生する遊離脂肪酸の利用
価値が高い場合が多いが、この遊離脂肪酸に含まれる脂肪酸の種類と割合は、原料のトリグリセライド
中の切断する脂肪酸残基(この場合1位と3位)中に含まれる脂肪酸の種類と割合に依存する。
特定の
PUFAを特定の位置に含む構造脂質を、そのPUFAを含むトリグリセライドなどを出発原料として、リパ
ーゼなどを用いたアシル基の変換反応で製造するとともに、副成する脂肪酸も利用する時、出発原料が
多種類のPUFAを含んだ混合物である場合には、以下の点が問題となる。(1)グリセロール骨格に結
合した状態で残したいアシル基に、目的のPUFA以外の脂肪酸が混入してしまう。(2)グリセロール
骨格からはずれ副生する脂肪酸、多種類の脂肪酸の混合物になる。

この問題を同時解決するには、トリグリセライドを構成する3つの脂肪酸残基がすべて目的のPUFA
種類から成るトリグリセライドを出発原料にすればよい。こうすることにより、グリセロール骨格
に結
合した状態で残したいアシル基についても、グリセロール骨格からはずれて副成する脂肪酸についても、
すべて目的のPUFA 1種類のみから成る純度の高いものとなり付加価値が高まる。しかし、これまで自
然からや発酵法で得られたトリグリセライドの中で、PUFA1種類で成るトリグリセライドを高い割合
で含むもはなく、モルティエレラ・アルピナ(油糧糸状菌:Mortierella alpine)を培養して得たトリグリ
セライドの約19%のトリアラキドノイルグリセロールのみである。これを、高速液体クロマトグラフィ
ーなどを用いて分離精製することは、トリグリセライドを効率的かつ安定的に製造が難しい。
 

したがって、実用的には、生物資源からの抽出法に限定され、主な供給源として、リノール酸やα-リノ
レン酸は油糧植物から、アラキドン酸やジホモ-γ-リノレン酸は微生物から、EPAやDHAは魚介類や微細
藻類などが挙げられるものの、そのトリグリセライドには、多種類のPUFAが含まれ、その結合位置も
グルセロール骨格の1位、2位、3位のすべてに分布。このように、トリグリセライドの3個の脂肪酸
残基の種類を区別したトリグリド分子種の観点では非常に多種類の分子種が混在し、トリグリセライド
を構成する3つの脂肪酸残基がすべて目的のPUFA1種類から成るトリグリセライドである分子種が含
まれず、あるいは、も少量存在しているだけに過ぎず、供給源からの分離精製が難しい。グリセロール
の3個のヒドロキシル基に同一の高度不飽和脂肪酸が結合するトリグリセライドの比率が、全トリグリ
セライドに対して20重量%以上の油脂製造方法では、この油脂を産生することが出来る微生物を培養し、
目的油脂を採取し、新規なトリグリセイドを含む油脂、その製造方法、その製造に使用する微生物を提
供する。



今年、めでたく世界文化遺産に登録された"和食"、"一汁一菜"の代表格の味噌にも鰯にも豊富に含まれ
る"パファ"(高度不飽和脂肪酸PUFA)で来年も無病息災を祈念するとしよう。


 

ミュージシャンの大滝詠一(おおたき・えいいち、本名=大瀧榮一)が亡くなったことが今夜知る。昨日
午後7時ごろ、東京都瑞穂町の自宅で倒れ病院に運ばれたが帰らぬ人となったという。警視庁福生署な
によると、大滝さんは当時自宅で、家族と一緒にいてリンゴを食べていたが、とつぜん倒れたという。
119番通報で救急搬送する際には既に心肺停止状態だった。死因は解離性動脈瘤だという。

   

   

  

北欧の空のように、オーシャン・ブルーのように印象的な透明な歌声。カーステレオにはしっかり録音してある。遠出
するとき、ハンドルを握った時、忘れず君のこと思い出しているだろう。

                                                        
                                                            大晦日に合掌

 

 

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フード・ファントム・メナス(2)

2013年12月30日 | 医療健康術

 

 

【フード・ファントム・メナス(2)】

食品大手のマルハニチロホールディングス(東京)グループ社は、冷凍食品への農薬混入問題で、大規模な自
主回収に乗り出したが、原因は特
定できておらず、何者かが人為的に混入した疑いも残る。「身近な食品を信
じられないなんて」。年末年始に備えて冷凍食品を買い込んだ家庭に不安が広がったと報じられた。客から「
食品から異臭がする」という申し出を受けたのは11月13日。それから、公表まで1か月半以上が経過して
いる。この点を問われ、担当者は「群馬工場が9月に工事をしたことから、ペンキなどの臭いが移行したと判
断した。農薬とわかるのが遅れ、反省している」と釈明する。問題の食品はいずれもアクリフーズ群馬工場で
製造されたが、食品の種類はピザやコロッケ、フライなど複数で、販売場所や原材料の生産国もバラバラ。田
辺社長は「人為的な混入の可能性も含め、あらゆる調査をしている」と強調。最も懸念されるのは健康への影
響は、混入した農薬マラチオンの毒性は比較的低いとされ、マルハニチロホールディングスの担当者は「例え
ば最も高い濃度が検出されたコロッケでも、体重20キログラムの子どもが1度に60個を食べて、初めて急
性の中毒症状が起きる程度。健康への影響は少ないとみられる」と説明。一方、群馬県は30日、アクリフー
ズ群馬工場に対し、食品衛生法に基づく立ち入り検査を行う。同県衛生食品課によると、農薬の検出結果、生
産システム、清掃状況などを調べているという。

以上が冷凍食品への農薬混入問題のニュースの経緯だ。ところで、マラチオンMalathion)は、有機リン系の
殺虫剤、殺ダニ剤の一種だが、寧ろ「マラソン」と言った方がピントくる世代だ。特異臭を有する黄~褐色の
液体で、水にはほとんど溶けず、酸・アルカリにより加水分解される。光には安定であるが、加熱により分解
される。国内では、1953年に初めて農薬登録され、アザミウマ類、アブラムシ類、ハダニ類等の広範囲の害虫
に効果があるため、現在、十数社から販売されている。米国では、ポ
ストハーベスト農薬として、船倉、倉庫
等に貯蔵する小麦等の穀類に直接散布することが認可されている。作用機作は、コリンエステラーゼ活性の阻
によるもので、選択性及び速効性を有し、浸透移行性はあるが残効性は低く、また低毒性であることが知ら
れている。ところで、急性毒性は低く、経口投与によるげっ歯類でのLD50 は様々な報告があり、値も1,000~
10,000mg/kg
体重と幅が広い。これは、マラチオンに含まれる不純物の毒性の影響によるものといわれている
一方、水性生物及びミツバチに対しては毒性が強い。経口接種した場合、直ちに吸収、代謝され、尿または糞
便中に排出される。発ガン性、催奇形性及び遺伝毒性はない。ヒトのADI(許容1日摂取量)は0.02 mg/kg 体
重/日である。なお、現在、食品安全委員会が、農薬の飼料中の残留基準を設定するために食品健康影響を評
価中である。



残留については、2008~2010年度の農林水産消費安全技術センターが実施したモニタリング結果がある。マラ
チオンは、基準値のある飼料原料では、とうもろこしの7%(6/87
点、最大値:1.4 mg/kg)から検出された
が、他の飼料原料からは検出されなかった。
一方、基準値のない飼料原料では、ふすまの45 %(34/76 点、最
大値:0.48 mg/kg)、コーングルテンフィードの6%(2 /33 点、最大値:0.035 mg/kg)、コーングルテンミ
ールの10%(1 / 10 点、最大値:0.035 mg/kg)、DDGS の20%(1 / 5 点、最大値:1.7mg/kg)、スクリー
ニングペレットの100 %(2 / 2 点、最大値:0.56 mg/kg)から検出。また、配混合飼料では、9%(75 / 871
点、最大値:1.5 mg
/kg)から検出された。マラチオンは、飼料原料では、とうもろこし自体に残留している
場合もあるが、小麦及びとうもろこしの加工品(ふすま、スクリーニングペレット、DDGS、コーングルテン
ミール、コーングルテンフィード等)への残留、それらの使用量が多い牛用配合飼料での残留が顕著。そして、
飼料規制については日本国内では、えん麦、大麦、とうもろこし、マイロ、ライ麦2mg/kgが、国内の食品規
制では、鶏、豚、牛の筋肉で2mg/kg(米国より2倍厳しい)と定められている。

なお、毒性の発現は、昆虫の体内のシトクロムP450(群水酸化酵素:様々な基質を水酸化するので、多く
の役割を果たす。肝臓において解毒生物の正常活動に必要な反応に関与)により→マラオクソンへと代謝→非
可逆的なコリン(Choline, Cholin:循環器系と脳の機能、細胞膜の構成と補修に不可欠な水溶性の栄養素)エス
テラーゼ
阻害作用による毒性を発現するが、マラチオンは哺乳類ではカルボキシエステラーゼにより分解され
て不活化されるために毒性が低いとされるが、
アレルギー発症自衛行動から『食べるな危険!』を経由し、こ
とは急テンポで、この領域の情報に触発される格好になっている。世の中って複雑に絡み合っていることを再
確認させられた。
 

 

 健康な子は6%しかいないウクライナ

 ●チェルノブイリ原発事故による被害は26年後も

 「健康な子は6%」と、ウクライナ政府は2011年4月、「未来のための安全」と題した報告書で公表
 した。ウクライナは、旧ソ連時代にチェルノブイリ原発事故を起こした国で、事故後、大人も子どもも、
 健康状態が急速に悪化した。事故から6年後の調査で健康な子は22%しかいなくなっていたが、それ以
 降も、少なくなり続けている
  今、慢性疾患のある子は78%で、16%はときどき病気にかかる子だ。
  福島県と日本人の将来を知るには、ウクライナを調べる必要があると考え、2012年に、私は3度の
 現地調査を行った。第2回の調査で、「足が痛い」と言う3歳の女の子に出会った。この地域の放射線の
 空間線量は、埼玉県さいたま市にある私の事務所の日常値と同じだった。それからは、足のことを必ず聞
 くようにすると、半数ほどの子が「痛い」と言う。
  それで3回目の調査では、その地域の1校と、その1.5倍ほど線量が高い地域の2校で、計101人の
 子どもに挙手してもらい、足、頭、喉が痛いかどうかを調査した。
  すると、足が痛い子は7割、頭が痛い子は5割、喉の痛い子が4割いた。
  ウクライナの田舎は、森でキノコとベリーを採ってきて貯蔵し、食料をほぼ自給している。食べている
 食材の放射能値を検査すると、キノコは1㎏当たり200ベクレル以上、ベリーは50ベクレルを超える
 ものから10未満まであった。
  私の事務所と同じ空間線量の地域では、食事からの摂取量は1日当たり約10ベクレル/㎏。この水準
 を食べ続けると内部被曝で「痛み」が出るわけである。
  日本でも、福島県はもちろん、関東北部の自給度の高い農家では、このレベルの食事をしている。だか
 ら、子どもが足や頭が痛いと言ったら、放射能の影響を疑う必要があるのだ。

 ●再生しない組織が、放射能でダメージを受けると

  放射能の基準は、日本も国際基準も、ヒトの「無発ガン量」を考えて作成されており、ガン以外のこと
 はほとんど考慮されていない
 「痛み」は、まったく考慮されていないから、こういうことが起こるのである。
  放射線が、盛んに分裂する細胞の遺伝子を傷つけるとガンが発生する。このことは、専門家がよく研究
 し、マスコミもよく取り上げている。
  一方、細胞分裂しない「非再生系」の組織や細胞が放射線で傷つけられると、ダメージを回復できない。
 このことが考慮されず、知られてもいなかったので、ウクライナでは、食品汚染による内部被曝で、心臓、
 脳、神経、筋肉などがダメージを受け、痛みを発している子が多いのに、対策が取られていないのだ。

 ●26歳女性は「ニトログリセリン」を持ち歩かなくなった

  この痛みは、治るのか、治らないのか、それが大きな問題だ。
  そこで、月刊「食品と暮らしの安全」の読者からいただいたカンパで、このような痛みのある26歳の
 女性に、2012年4月12日から70日間、非汚染地で保養・療養してもらい、どうなるかを確かめて
 みた。
  チェルノブイリ原発から西へ約120㎞で、移住できる権利があった第3種汚染地域にあるビグニ村で
 生まれ、大きくなったナタリアさんは病気がちで、手も足も頭も痛く、心臓も悪いので、心臓薬のニトロ
 グリセリンを常に持ち歩いていた。
  そのナタリアさんに、非汚染地帯で保養・療養をしてもらうと、1人暮らしでストレスがたまったこと
 もあり、45日目でも体調は良くなっていなかった。
  そこから体調が上向き、54日目には体の痛みが少なくなって、70日目には痛みがなくなり、ニトロ
 グリセンを持ち歩かなくなっていた。
  現地での報告会の最後に「ほら、どこも痛くないわよ」と明るく語り、「元気になったので、来年、結
 婚します」と、ナタリアさん。非汚染地帯の首都キエフで仕事を探している彼女に、調査ツアーの参加者
 はすぐにカンパを集めて、1ヵ月分の生活費に相当する結婚祝いを贈った。間もなくキエフで仕事が見つ
 かったので彼女の、痛みは再発しないだろう。
  ストレスを少なくして保養すれば、痛みはおそらく60日で消える。
  そこで次は、痛みを訴える子どもの家庭に、汚染度が特に高いキノコを食べないようにする代わりに、
 肉と牛乳を無償で提供して、どうなるかを調査している。
  それで成果が出れば、ウクライナ政府に、食品安全の基準を引き下げるよう提案する予定だ。
  日本でも、福島県だけでなく、岩手県から関東にかけて住んでいる子に「痛み」の被害が出たら、一連
 の調査実験の知見が、治療に役立つことだろう。

                            小若順一 著『食べるな危険!』、PP.21-25


 牛肉
 オーストラリア産の赤身を選ぼう

 ●放射能汚染が低レベルの牛肉を食べるか食べないかの選択

  原発事故から三ヵ月ほどたつと、放射性セシウムが1㎏当たり1千ベクレルを超える牛肉が次々と見つ
 かった。それから一年以上たったので、当初の汚染された牛肉は売りつくされ、高いレベルの放射能が含
 まれる牛肉の不安はなくなっている。
  これからは、百ベクレル/㎏の基準は超えないが、少し数値の出るレベルの牛肉を食べるか、食べない
 かの選択になる。
  中部地方から西と、青森県・秋田県から北は、牛肉の検査結果はすべて「不検出」になっているが、福
 島県とその近くの県の国産牛肉は、数値が出ることもある。基準から見ると低レベルだが、毎日食べ続け
 ると体に痛みが出るレベルもある。たまに食べるなら心配ないが、牛肉好きの人は避けた方がいい。
  妊婦や子どもは、「不検出」地域の国産牛肉か、輸入牛肉を食べよう。
  産地が不明の国産牛肉よりも、輸入牛肉にした方が無難だ。

 ●牛肉による食中毒にはブームがある
 
  牛肉による食中毒は、地域や菌が違っても、起こるときは、立て続けに起こる傾向がある。食中毒には
 ブームがある。
  そして、ブームには理由があるのだ。
  最近の例では、成型肉が原因だった。本来の肉をステーキにするのなら、肉の中は菌で汚染されていな
 いから、表面だけ焼けば、食中毒は起きない。
  ところが成型肉は、肉の中に菌が入っているから、中まで焼かないと食中毒が起きる。このことは、大
 手ステーキレストランチェーンではわかっているので、当初は気をつける。しかし、何年もたつと気が緩
 んできて、加熱条件が甘くなる。それで、チェーン店で相次いで腸管出血性大腸菌O-157などによる
 食中毒が起こったのだ。
  これがニュースになると、腹痛になっても「肉の食べすぎ」と思っていた人が「食中毒かもしれない」
 と思うようになり、食中毒に気づく人が増えて、他のステーキチェーンでも、次々と食中毒が「発生」す
 ることになる。腸管出血性大腸菌は、放牧されて草を食べている牛の胃の中にはいない。ところが、牛を
 太らせようと、穀物を食べさせると、牛の胃袋の中で発生してくる。それが、牛糞堆肥として田畑に撒か
 れるから、野菜や地下水も汚染されるようになっている。
  O-157による集団食中毒が発見されたのは1982年だ。アメリカとカナダで同年に発見されてい
 ることは、両国で牛を大らすために、当時から穀物を食べさせていたことを示している。
  一方、オーストラリアの牛は自然放牧なので、草を食べて育つ。だから、同国内で食べている牛はO-
 157を持っていない。
  ところが、オーストラリアでも、日本や韓国向けの牛は、穀物を食べさせるフィードロットという巨大
 施設に3ヵ月から1年ほど入れて、無理して太らせるので、O-157を持っているのだ。
  オーストラリアに行って、現地の人が食べているグラスフェッドという放牧牛の肉を塩・コショウで食
 べると、とてもうまい。脂身が少ないから、健康にもいい。
  日本人も、常食する牛肉はこういう赤身の肉にして、サシの入った高級肉はまれに食べるようにするの
 がいい。脂を避けようと、鶏肉を食べている女性も、オーーストラリア産の赤身の牛肉なら、脂肪分は大
 差ないので、安心して食べていい。
  2012年7月から、飲食店で牛レバーは生食用としての販売・提供が禁止された。
  レバーの内部からも腸管出血性大腸菌が検出されたからだ。レバ刺しを提供できなくなり、レバーを販
 売・提供する場合には、レバーの中心部まで63度で30分間以上か、75度で1分間以上加熱しないと
 客に出せなくなった。
  すると、豚の生レバーを出す店が出てきた。だが、豚は人に近い動物なので、生で食べると、菌やウイ
 ルスが人に感染する可能性が高い。「無菌豚」も特定の数種類の病原菌がいないだけで、生食すると危険
 である。それで、厚生労働省は全国の自治体に、豚レバーも十分に加熱してから提供するよう飲食店に指
 導する通知を出した。
  原子力村の研究者たちは、放射線照射によって肉の内部を殺菌し、生牛レバーを出せるように提案し、
 研究を始めている。原発事故で原子力が先細りになることを恐れての提案だが、放射線照射した生レバー
 が解禁されても、気持ちが悪いので、食べる消費者は少ししかいないだろう。こういう研究は税金のムダ
 使いだから、研究費を福島県民への補償に回すべきだ。
  レバーの中にいる菌を殺すより、牛を健康にして生レバーを安全にする方がいい
  牛に草や干し草を一週間、食べさせたら、胃の中から0-157は消える。草を食べさせて健康的に牛
 を飼っていたら、レバーの中にO-157はいなくなるのだ。しかも、健康な牛のレバーは味がいい。だ
 から、草を食べて健康的に飼われている牛だけ、生レバーを食べられるように解禁する制度にすればいい
 のだ。
 

                            小若順一 著『食べるな危険!』、PP.70-73


http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/nouyaku_doku_3sakuin.html(農薬毒性の事典 第3版 索引一覧)

以上、晦日、大晦日前夜のブログとしてはなんとも高揚感のないテーマを扱ってしまったが、これはこれとし
てシリーズとして適宜、適時、時宜を得て掲載していくこととする。
 

 

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フード・ファントム・メナス(1)

2013年12月27日 | 医療健康術

 

 

 





昨日も朝から彼女が頭痛がひどいと慌てて病院に駆け込む騒ぎがありして、予定が狂
い何とか格好付けて一日を終えることができたが、夜になると先日もあった腹痛・下
痢症状がでて惨憺たる状態で就眠する。その前に、例の通販注文した書籍が届いてい
たので(『スタインベックと花粉』)、早速、目を通すことに。
 

 福島第一原発が爆発事故を起こしてから、食品の安全性は大きく変化した。事故
 の前は、まず六割を占める輸入食品の安全性を考え、次に国産食品の安全性が、

 どの位置にあるかを考えて適切な食品を選べばよかった。ところが、9.11以
 降は、
まず国産食品の放射能汚染を考えねばならなくなった。今は、福島県産以
 外の農産物はほとんど放射能が「不検出」になり、その後放射能
の規制基準が強
 化されたので、多くの人が放射能汚染のことを忘れ去ろうとしている。
だが、ま
 もなく「痛み」が、放射能汚染のことを思い出させるだろう。
私は、20回1年
 にチェルノブイリ原発事故が起きたウクライナを三度調査した。
原発事故が起き
 たとき、強い放射線を浴びた労働者は、血をはいて数時間でミイラ
のようになっ
 て死んだり、筋肉が骨から脱落して苦しみながら死んでいった話を聞い
て衝撃を
 受けた。

 そして「非汚染地域」に区分されている学校に行き、「足が痛い子」と問うと、
 七割が手を挙げ、「頭が痛い子」は二割、「喉が痛い子」は三割が手を挙げた。
 ここは、埼玉県さいたま市のわが事務所と同じ線量だから、日本も無事ではすみ
 そうにない。ウクライナ政府は三二万人の子どもを調べて「健康な子は六%」と
 報告している。日本はウクライナより被害は少ないが、それでも福島県はもちろ
 ん関東でも被害者が出そうだ。太平洋産の魚をよく食べる人は、病気にかかりや
 すくなるだろう。危ないと感じている人は、痛みが出る前に、放射能への対策を
 取ろう。対策の第一は、放射能汚染が少ない地域の食品を食べることだ。第二は、
 放射性セシウムの「同族ミネラル」であるカリウムと、放射性ストロンチウムの
 「同族ミネラル」であるカルシウムをたっぷり摂って、放射能を体に入れないよ
 うにし、さらに体内から放射能を追い出すことだ。放射能を抜くために、煮汁を
 捨ててはいけない。ほとんどの人はミネラル不足の食事をしているので、病気に
 かかる危険性が高くなる。原発事故が起こる五年前から私は、食品加工でミネラ
 ル不足が生じていることの解明に取り組んでいた。そして、さまざまな食事のミ
 ネラルを実測して、現代人がミネ
ラル不足の食事ばかり食べていることを実証し
 ていた。基準を満たさない状態が1ヵ月ほど続くと、1ミネラルだけで半数の人
 が病気になる「推定平均必要量」という食事摂取基準がある。この基準を満たさ
 ないミネラルが、四つも五つもある人が多いのが実情だ。

 それなのに、ミネラルを体内に吸収させない食品添加物が使用されているから、
 心身の健康状態を低下させている人が非常に多いのである。食物アレルギーなの
 に、無農薬のものを食べたら何ともなかった人が多かったことから、残留農薬が
 アレルギーにかかわっているという事実も、もう忘れ去られている。0157な
 どの病原性大腸菌は、家畜の生理に反した飼い方によって発生しているのに、飼
 い方を変えないで対処するから、危険はいつまでたっても解消しない。本書を手
 掛かりに、あなたと家族が、安全な食生活をおくるようにすれば、健康になって
 幸福感が増すことになるだろう。


                小若順一 著『食べるな危険!』、
前書きより

                              
 


●放射能汚染による格付け図

魚だけでなく、野菜、米などの農作物も、個々の値が大きく違う。だから「安全宣言」
が出ていても、安全になったと考えるのは早計である。
放射能汚染食品を的確に避け
ることができるように、原発事故から一年後に公表さ
れた都道府県の放射能汚染デー
タを基に、放射線量が一桁ずつ違う十ランクに分類し
て、格付け図を作成した。3ラ
ンク違えば、汚染度に大きな差があるから、個々の
データより、格付け図を参考に、
産地を見て的確に食品を選はうと提案している。
汚染は徐々に減るので、公表データ
から2012年5月に格付けランクを改訂した。
それが、放射能汚染による格付けである。
この図は海の魚には適用できない。海産物は、魚種と海域で選ぶのがいい。北海道の
海産物は安全だったが、2012年10月、室蘭市沖で獲れたマダラから1キログラム
当た
り百ベクレルが検出された。このマダラは三陸沖から北上したとみられ
ているが、北
海道の海産物も安全でないものが出てきている。

 

前書きの「ところが、9.11以降は、まず国産食品の放射能汚染を考えねばならな
くなった」 
との但し書きがこの著書を支配していることに気づく。著者の小若順一は
、食品と暮らしの安
全基金代表。岡山県岡山市生まれ。現場取材と食品検査が得意な
市民運動家。ポストハー
ベスト農薬の全容を解明した。安全性の分野で幅広く活動し、
最新情報を月刊誌『食品と暮らしの安全』で発信している。9.11以降は、2012年
からチェルノブイリ原発事故が起きた国、ウクライナへの調査開始。 遺伝的な影響を
念頭に置き、第1回実態調査を2012年2月に。 2回目は5月末に調査。 2012年9月に
行く。3回目の調査で、放射能が非再生組織に痛みを引き起こすことを発見。食品が
10 ベクレル/kg 程度汚染されているだけで、足が痛い子が7割、頭痛が2割、喉痛が
3割もいたとし、 「ウクライナ調査報告書」を作成している。


 


放射能汚染禍情報は大変重要だが、ここは鶏肉・鶏卵の安全性に絞り、読み進めるこ
とにする。

 耐性菌の製造工場になっている肉用の養鶏場

 鶏肉は、肉の中で最も安い。それは、
鶏を過密に飼っているからだ。肉にする鶏
 は、畳一枚のスペースに三〇~五〇羽
の割合で飼っている。小さいうちはこれで
 いいが、鶏が大きくなってくると、詰
め込まれた状態になる。鶏が見えるぎりぎ
 りの暗さにして、運動をさせないと、
少量のエサで鶏は太る。だが、元気ではな
 いので、エサには常に三種類の抗生物
質が混ぜ込まれている。エサに混ぜる抗生
 物質は薄い濃度だが、実は、この方が
耐性菌は出現しやすい。腸内に出現した耐
 性菌は、糞に混じって出てくる。鶏は
糞の上で生きているので、糞が乾燥し、抗
 生物質の濃度が高くなると、耐性菌は死ぬ。だが、生き残った菌がいると、それ
 が増えて、高濃度の抗生物質でも効かなくなるからだ。こうして耐性菌は鍛えら
 れ、ほとんどすべての抗生物質が効かなくなったのが、ヨーロッパで発生したV
 RE(バンコマイシン耐性腸球菌)だ。「菜・彩・鶏」「南部どり」などの銘柄
 鶏にすれば、健康的に鶏を飼っているから昧もいいし、耐性菌の心配もない。鶏
 肉も、福島県産以外なら、放射能の心配はもうない。

 チキンナゲットには添加物がたっぷり

 ハンバーガー店でよく食べられるチキンナゲットには、ミネラルを奪うリン酸塩
 を
筆頭に、添加物がたっぷり入っている。「チキンナゲットだけは食べない方が
 いい」と業界に詳しい人が言うので、メーカー
の公表値と、食品成分表の鶏ひき
 肉を比較すると、チキンナゲットの方が圧倒的に多
かったのが、子不ルギー(カ
 ロリー)、脂質、炭水化物、ナトリウムである。これは
鶏肉と鶏皮にデンプンを
 入れて増量し、食塩、化学調味料で味をつけて揚げたことを示している。
 チキンナゲットと、チキンバーガーのミネラルを実測してみると、カルシウムと
 鉄はチキンバーガーの半分以下だが、マグネシウムは二倍も含まれていた。
 極端に少なかったのは増量したために薄まったからで、多かったのは添加物が使
 われているからだ。
 一食分の食事を消化するのに、人体は1~1.5リットルの消化液を作る。それに
 必要なミネラルをチキンナゲットから取り出して用いることができないので、体
 のどこかから奪い取って用いることになる。
 チキンナゲットはミネラル不足をひどくする食品だから、食べるときは粒マスタ
 ードをたっぷりかけることだ。そうすれば、種に含まれている豊富なミネラルが
 ミネラル不足をかなり解消してくれる。
 チキンナゲットを買ってきて食べるときは、粒マスタードだけでなく煮干し粉を
 混ぜたケチャップソースや、すりゴマを混ぜたマヨネーズソースを作って、ミネ
 ラルを補給しながら食べるのがいい。
 リン酸塩不使用のチキンナゲットを販売しているのが生協である。「リン酸塩」
 「pH調整剤」「ベーキングパウダー」など、リン酸塩を含む添加物は使用して
 いない。
 レベルの高い生協では、抗生物質不使用で育てた鶏肉を用い、化学調味料を不使
 用にしてナトリウムを減らしたチキンナゲットもある。チキンナゲットに関して
 は、生協のものが断然、安全性が高く、健康にいい。
  


                          - 中 略 -                          
  
                                

  たまごでレシチンを補おう

 卵の黄身の色は、合成色素を用いた枡色から、トウモロコシと大豆絞りかすだけ
 の黄色い色、国産米を飼料に用いた白い色まで、さまざまある。
 黄身の色が濃いものは、合成色素のカンタキサンチンで着色されたものが多い。
 野菜のパプリカでも、黄色から赤色に近い色まで着色できるので、一時は合成着
 色料に変わって、全国的に使われるようになった。
 しかし、多量に使って黄身の赤い卵にしようとすると、鶏が嫌がるだけでなく、
 鼻がいいイヌも食べなくなる。卵がまずくなるので、パプリカを使用する養鶏場
 は減ってきている。


 今はケージを14段まで積み重ねている
 

 鶏はケージ養鶏がほとんどだが、10年前は10段にケージを積み重ねたのが、最高
 
だった。その後、飼育システムの近代化がさらに進み、今では一四段まで積み重
 ねた
大手養鶏会社が出てきている。まさにケージを森のように、広く、高く積み
 重ね、照
明を落として、森の夜のような環境の養鶏場になっているのだ。
 鶏舎は、無窓のウインドレス鶏舎が主流だ。このタイプが広がった理由のIつが、
 鳥インフルエンザである。野鳥が鳥インフルエンザのウイルスを運ぶので、窓が
 ない
方がウイルスを感染させにくいというわけだ。
 ところが、「森のたまご」で有名なイセ食品の、ウインドレス鶏舎で鳥インフル
 エ
ンザが発生し、次々とウインドレス鶏舎で鳥インフルエンザが発生した。
 「ウインドレス鶏舎では鳥インフルエンザに感染しない」という説は間違いで、
 不健康な鶏は、ほんの少しのウイルスが侵入しても感染することが判明したのだ。

 黄身には、肌や神経に必要なレシチンが多く含まれる
 
 卵の黄身には、細胞膜や神経組織に必要なレシチンが豊富に含まれている。現代
 
の食事は、水洗い、湯洗い、水煮、油で揚げるなどの調理されたものが多い。
 レシチンは細胞膜の主成分だから、どのように調理しても、必ず食品の素材から
 出てしまう。今は調理後の汁をたいてい捨てるので、卵を食べない現代人はレシ
 チン不足になっている。すると、肌荒れが起こるだけでなく、神経組織の働きが
 鈍くなり、頭脳も本来の能力を発揮できない。
 レシチンは熱に弱いから、半熟卵や生卵を食べるのがいい。レシチンが足りると、
 細胞膜が健全になるから、皮膚がいきいきするようになり、神経細胞も健全に働
 くようになるので、精神的にタフになり、子どもの場合は成績が向上する。

  平飼いの元気な鶏の卵を

 ケージに入れず、平飼いしている鶏の卵は、価格が高い。鶏が元気に遊び回って
 健
康で、その健康を受け継いだ良い卵なので、高いのは仕方ない。
 スウェーデンやデンマークでは、鶏を虐待せずに飼っている良質な卵として、か
 な
り高い卵が何割ものシェアを占めている。日本には、そういう卵が少ない。
 それどころか、ケージに鶏を満員電車のように詰め込んでヨーロッパでは虐待の
 象
徴とされるように飼っている全国流通のブランド卵が高く買われる傾向がある。
 ウインドレス鶏舎で生産された卵を買うなら、ブランド卵を避け、値段の安い卵
 を
選べばいい。
 ケージ飼いでも、開放鶏舎で、鶏にできるだけ広いスペースを与え、健康的に飼
 っ
ている鶏なら、病気にかかりにくいので、虐待している鶏の卵より昧がいい。
 品質に
明らかな差があるから、全国流通のブランド卵より少し高くなっても、開
 放鶏舎で
飼っている鶏の卵を選ぶのがいい。
 エサの安全性にまでこだわって卵を生産する生産者も、全国にいる。
 鶏のエサは、遺伝子組み換え品種を用いて、収穫後に農薬を混入したトウモロコ
 シ
が一般的だが、遺伝子組み換えでないトウモロコシを植えて、ポストハーベス
 ト農薬二〇〇ページ参照)を使用していないトウモロコシを指定して買い付ける
 のだ。ただ、そういう良い卵を買う人が少ないため、値段差が大きくなっている。
 消費者は、黄身の色が薄い着色されていない卵を手掛かりに、鶏を開放鶏舎で健
 康的に飼っている生産者を探して、少し高くても、元気のいい鶏の卵を選ぶのが
 いい。
 開放鶏舎で、鶏にいいエサを食べさせて健康的に飼っている生産者を数例挙げる
 と青森県の「トキワ養鶏」、仙台に本社がある「花兄園」、富山県の「仁光園」、
 山口県の「秋川牧園」がある。
 こういう貴重な卵を扱っている生協は、生活クラブ生協、パルシステム、グリー
 ンコープ、東都生協、やまゆり生協、なのはな生協、愛媛有機農産生協、コープ
 自然派など多数があるが、安ければいいという生協は、こういう卵の販売をやめ
 ている。
 共同購入では、大地を守る会、大阪愛農食品センター、オルター、らでぃっしゆ
 ぽーや、全国有機農法連絡会などで、遺伝子組み換えをせず、ポストハーベスト
 農薬も使用しないエサで飼っている鶏の卵を人手することができる。
 今のところ、福島県産以外の卵は、放射能の心配をしなくていい。

                            小若順一 著 『食べるな危険!』、PP.78-88


ここで、抗生物質(飼料添加用)の種類には、ポリペプタイド系、テトラサイクリン
系、マクロライド系(そのほか、ポリエーテル系など)数種類のものが使われていて
これらは、細菌内部タンパク質と反応することで代謝阻害作用を発揮するもの。なお、
ケンタッキーフライドチキンが中国の養鶏農家との契約を打ち切る事件で問題ともな
った成長促進剤などのホルモン剤などはここでは対象外。ところで、ブログ掲載した
こともあるが、米国で毎年200万人以上が抗生物質に耐性を持った菌による感染症にか
かり、そのうち少なくとも2万3000人が死亡する、と米政府は16日の報告書で発表して
いる。報告書は悪化する公共衛生問題に積極的な対策を打ち出すよう求めているが、
これ以外に年間約25万人がクロストリジウム・ディフィシレという細菌に感染し、こ
のうち1万4000人が死亡する。米疾病対策センター(CDC)は、細菌の脅威や抗菌剤に
耐性を持った細菌の被害者数の概要を示す初めての報告書で明らかにした。こうした
耐性菌が大半の感染症を引き起こしている。抗生物質などの新規薬剤アレルギーと耐
性菌による疾病というダブル・パンチ(二重薬剤禍)が誰の目にも明瞭になっきてい
るという事実に驚愕するわけだ。 

  

※ 抗生物質耐性遺伝子の農業環境中における分布と拡散に関する研究、2007.01.26 


この時点で結論を求めることはできない。例えば、人工物の無添加、平飼いにすれば
生産
性低下は避けられないが、安全な食品は手にすることができる。しかし、異常気
象やイ
ンフルエンザなどによる疫病禍などの耐性(レジリエンス)は、十分でない。
とはいえ耐性菌
の生産は低リスクだろう。ということで研究実践段階へシフトするわ
けだが、これが大変なことも少ない経験から理解できている。さて、どうする?!

 

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免疫力と自動車購買力の低下

2013年12月20日 | 医療健康術

 

【免疫力とは何か】 

腰痛はほぼ完治したが、そのかわり、夏登山のアクシデントから肩の痛みで間接的な運動不足が引
き金となったのか、急速に免疫力が低下し、風邪の諸症状が現れ易くなっている。医師への診断も
症状が軽く、二の足を踏んだ状態にいる。ところで、免疫力って定量評価(数値化)できるのだろ
うかと思い調べてみる。免疫力は主に感染(細菌・ウイルス・カビなど)そして癌から身体を守る
能力をさす。働きの異なるいろいろなリンパ球細胞が、協調し総合的な機能を発揮し、身体を感染
癌から守っているが、その免疫力は、いろいろなストレス、不適切な生活習慣、偏った食事、そ
ていろいろな病気になると低下することは分かっているが、免疫力の測定で健康診断では発見で
きない未病状態(病気になる前の状態)を見つけることが出来るが、最近まで、免疫力の総合的な
測定方法がなかったが、上図のような免疫機能に絞って検査することで、免疫力を客観的な評価判
定を数値化する方法を東京医科歯科大学で考案し、特許を取得している(免疫力判定検査特許番号
4608704号)。 ということで、なにがしかの検査料金を支払えば簡単に検査してもらえることが理
解できた。課題は検査価格の逓減がポイントのようである。

国際特許200/145333「免疫力評価方法、免疫力評価装置、免疫力評価プログラム、及び免疫力評価
プログラムを記録した情報記録媒」によれば、体血液中のリンパ球は免疫力を担当する中心的細胞
であり、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)等、機能の異なる細胞(亜集団)か
らなっている。また、T細胞も一様ではなく、機能的に互いに異なるCD4T細胞、CD8T細胞
と呼ばれる亜集団からなる。これら細胞はそれぞれ特異な表面タンパク質(抗原)を有する。そこ
で従来、これら抗原に対するモノクローナル抗体を用いて染色し、フローサイトメトリにより特定
の細胞の数や割合を測定していた。また、培養条件下で、各リンパ球の増殖能力や増殖に関わるタ
ンパク質(サイトカイン)を測定することで、機能測定を行っている。そして、このような方法に
より、リンパ球の亜集団の構成やそれらの機能が、加齢により変動あるいは低下することを、明ら
かにしている。

※“Differential age-change in the number of CD4+CD45RA+ and CD4+CD29+ T cell subsets in the human
   peripheral blood”
 Mechanism of Ageing and Development.,1992.03.15.vol.63 pp.57-68

しかしながら、同上東京医科歯科大学の特開2010-145205「免疫力評価方法、装置、及びプログラム
によれば、これら文献に示される個々のパラメータは、各亜集団の比率や機能を示すものではあ
るが、必ずしもヒトの総合的な免疫力を高精度に反映するものではないので、総合的な免疫力を高
精度に評価できる免疫力評価方法、装置、及びプログラムを得ることを第1の目的とし、総合的な
免疫力を高精度且つ簡便に評価できる免疫力評価方法、装置、及びプログラムの提供を第2の目的
とするように改良する。
驚くべきことに、CD8陽性細胞(キラーT細胞)を構成するCD28陽
性T細胞の数または割合が総合的な免疫力が高精度で反映することを発見。そして、採取した血液
から免疫力を評価する免疫力評価方法として、採取した血液における、CD8陽性且つCD28陽
性また陰性である特定T細胞の数を計測する計測手順と、T細胞の数に依存する特定パラメータ及
び年齢の相関関係に基づいた回帰式と、計測した特定T細胞の数とに基づいて、Tリンパ球年齢を
求める算出手順を特徴とした総合的な免疫力を高精度に評価できる免疫力評価方法、装置、及びプ
ログラムに改変する(図5参照)。



参考に、免疫力評価方法の手順を記載すと、採取した末梢血液についてフローサイトメトリ解析を
行う。(1)末梢血50(μL)を試験管に分注→(2)蛍光標識抗体溶液を試験管に添加→(3)
30分間、暗所に放置→(4)赤血球溶血剤2(ml)を添加し攪拌→(5)10分間放置して赤血球

を溶血→(5)PBS溶液3(ml)を加えて1200(rpm)で5分間の遠心分離を行う→(6)上清を
吸引除去→(7)PBS溶液500(μL)を加えて、細胞を再浮遊させる細胞浮遊液を調製→(8)
フローサイトメーターにて蛍光標識抗体陽性細胞率を機器専用ソフトによって算出する。

また、算出手順では、特定T細胞の数に依存する特定パラメータ及び年齢の相関関係に基づいた回
帰式と、計測した特定T細胞の数とに基づいて、Tリンパ球年齢を求める。ここで、特定パラメー
タは、特定T細胞数に依存する変数である限りにおいて特に限定されず、特定T細胞数そのもので
あっても、なくてもよい。ただし、特定パラメータは、総合的な免疫力をより高精度に評価できる
点で、所定量血液あたりの特定T細胞の数、及びCD8陽性細胞数に対する特定T細胞数の割合か
らなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。

さらに、CD8陽性細胞数に対する特定T細胞数の割合と、年齢との相関関係に基づいた回帰式を
健常人約300人から得たデータに基づいて作成し、図3に示す。なお、図3における特定T細
胞はCD8陽性且つCD28陽性のT細胞であり、上記割合をCD8CD28陽性率と称する。
図3に示される回帰式は、y=-0.47x+82.8(式中、xは年齢、yはCD8CD28
陽性率の予測値である)であり、高い相関係数(R=0.43)を示す。また、CD8CD28
陽性率と、T細胞増殖能との相関関係に基づいた回帰式を、健常人約300人から得たデータに基
づいて作成し、図4に示す。なお、T細胞増殖能は次の手順に従って算出した(後略)。

以上であるが、工学的にはこの一連の操作を自動化し例えばすべてのタクト(操作時間)を数十秒
間で結果判定することで設備コスト上昇分をランニング・コストを例えば1検体当たり百分の1以
下にしメリットを引き出すことがミッションとなる。あるいは、コンパクトにしコミニティー単位
に導入する、あるいは各家庭用に結果のフォロー(健康向上)方法を付け加えリースすれば、健康
維持に貢献でき、併せて医療費を抑制できるだろう。もっとも、非接触での検査法が開発されれば
それが最善だ。

 

紐なし衛生マスクの進化、でも口だけマスクというのも欲しい!?(口呼吸 vs 鼻呼吸)





【先進国で進む若者の車離れ】

どうも若者の車離れは日本だけではないようだ。米国でも10代の若者が以前と比べて車の運転に興
味を示さなくなっているという
。そんな中、米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は年次報告
書の中で、今後25年間の輸送エネルギー消費動向について、伸び率が大幅にダウンするとの見通し
を示したという。EIAでは、12月16日付で発表した2014年版年間エネルギー見通しの中で、「自動車
走行距離」(VMT)の伸び率が今後大幅に縮小するとの予測を示した。EIAの新たな予測では、VMTの
年間成長率は0.9%とされているが、これはわずか1年前の予測と比較しても25%のマイナスという
大幅な下方修正という。

この変化は、人口増加の鈍化に伴う部分もあるが、世代交代も理由の1つになっているという。過
去1年に発表された研究もこの点を裏付けているという。米国では、前の世代に比べて若者の間で
運転をしない傾向が高まっており、そもそも運転免許を取得しない者も増えている。こうした世代
の変化に、今後見込まれる大幅な燃費改善を加味すると、米国において、燃料で走る自動車のエネ
ルギー消費量は、2040年までに現時点から25%減の約1兆2766億メガジュールになるとEIAは予測す
る。いま米国でのその原因調査研究では次の4つの根拠が議論されている。

(1)「バーチャル世界へのアクセスで車が不要に」説
(2)「不況による経済的要因」説
(3)「若者の自動車観に変化」説
(4)「単に時間的余裕がない」説

(1)はミシガン大学の交通研究所(UMTRI)による調査で、運転をする若者の割合は、インター
ネットのユーザー率と反比例の関係が判明している。この結果を踏まえ、調査チームでは、ソーシ
ャルメディアが車による移動に取って代わっているのではないかと結論づけている。(2)米国高
速道路安全保険協会(IIHS)の調査部門、ハイウェイ事故データ研究所(HLDI)だ。アメリカにお
ける自動車保険の契約状況の分析も、若者の車離れを裏付けており、保険の対象となる10代のドラ
イバーの数は、2006年との比較で12%のマイナスとなっている。しかし、HLDIでは、このような現
象は失業率の増加と並行して起きており、ドライバー全体と比べても10代では失業者の増加が顕著
だったと指摘する。(3)公共利益調査グループ(PIRG)は、若者の自動車観に根本的な変化が起
きていると主張。「ジェネレーションY(1975〜89年生まれの世代)に属する人たちの多くは、運
転を控えるようになっている。通学や通勤、レジャーの際にも車以外の交通手段を選び、できるだ
け車を運転しないで済むライフスタイルを選ぶ人も多い」。全体的な車離れを論じた報告書の中で、
運転する人の割合が大幅に減った街でも、減少幅が比較的小さかった街と比べて、特に失業率が高
くはなかった点を指摘している。(4)は、ミシガン大学の調査では、免許を持たない理由として
自動車が環境に与える影響への懸念を挙げた若者は、わずか9%。免許取得をためらう最大の理由
として回答者の37%が挙げたのは、「忙しすぎて免許を取る時間的余裕がない」というものだ。
いずれにしても、高度消費社会になり、社会基盤が一応世界トップ水準になれば、贅沢品というよ
りも、自動車利用価値が低下したというのが真実に近いように思える。あるいは、「都市 vs.農村
」的側面から、都市部より農村部の若者の方が利用価値が高いという理由に帰着するのかもしれな
い。(1)に至ってはもろに『デジタル革命渦論』そのものということになる。

 

話は水俣のこと。チッソは1906年、野口遵によって曾木電気株式会社が創業されたことにはじまる。
1908年、曾木電気株式会社と日本カーバイド商会が合併し、日本窒素肥料株式会社に変更。1931年
宮崎県延岡市に延岡アンモニア絹絲株式会社(現旭化成)が設立(日本窒素肥料からの分離・独立)。
水俣工場、昭和天皇が臨幸 。水俣工場の橋本彦七・製造課長がアセトアルデヒド製造の特許を取得。
通算7件の特許のうち1件は「高価有毒な水銀を系外に排出せざる」が記載される。1932年、水俣
工場でアセトアルデヒドの製造開始(水銀触媒を使用、メチル水銀漏出し水俣病へと展開)。1941年
水俣工場で日本最初の塩化ビニール製造開始。工程は塩化第二水銀・昇汞が含まれる。興南工場で
アセトアルデヒドの製造開始。廃水溝の水銀は回収せず廃液は城川江にたれ流。1947年、
公職追放
令で戦前の経営陣が退陣。財閥解体により「積水産業」(現積水化学工業)設立(後に積
水化学の
住宅部門が分離独立し積水ハウスが設立)。水俣工場の肥料生産量は戦前の水準を超える。
1950年、
企業再建整備法の適用により日本窒素肥料株式会社は解散し、第二会社として新日本窒素
肥料株式
会社が設立。1956年、日窒アセテート株式会社(現・旭化成守山工場)を設立し合成繊維事業に参
入。1960年、アセトアルデヒド生産量がピーク。1965年、チッソ株式会社へと改称。1971年3月、水
俣工場で有機水銀を排出するアセチレン法ビニル工程の稼働を中止。1973年、五井工場のポリプロ
ピレンプラント爆発事故で死者4名、重軽傷者9名を出す。1978年、債務超過と無配継続のため、上
場廃止。2005年、五井工場で核燃料物質を含む廃触媒を保管しているが、核燃料物質を含む廃棄物
の管理状況についての報告が1992年以降行われていないことが明るみに。2005年、韓国にLCD用配向

膜及びオーバーコートの製造設備完成。2011年1月12日、事業子会社として「JNC株式会社」設立。
2011年3月31日、機能材料分野、化学品分野、加工品分野等において営む事業をJNC社に譲渡。

※液晶ディスプレイ向けの液晶材料の世界最大手は,ドイツのメルク社で70%程度のシェアを握っ
ていると見られる。それに続くのが日本のチッソでこの2社で世界市場をほぼ独占。また、世界に
冠たる塩化ビニールメーカであったことを思うと「富国強兵」→「高度経済成長」の光と「公害」
の影をまさに体現してきた企業体であることが分かる。その当時、「未来共有」「企業内福祉」「
製造責任(外部不経済を含む)」「安全設計」という基本的な理念が確立されていたならば、このよ
うな"負の歴史"は成り立たなかっただろう。まさに"人命軽視"の歴史でもあった。戦前と戦後の枠
組みを考えたとき、皇室が果たした機能の有りようも見えてくる。個人的ではあるが、短歌を学ぶ
ものにとって、万葉集などで皇室が係わる意味で興味があるが、現在の皇室に対しては言うほどに
興味は湧かない。天皇制という差別体系と硬直した国家主義とが結びつくことのデメリットを危惧
する。さように、故吉本隆明が言ったように"最終形態の宗教としての国家"とはやっかいな鵺なの
だ、と。

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呼吸と疾病

2013年12月17日 | 医療健康術

 

 




【呼吸と疾病の関係】

長年、気管支を緩慢的に痛めてきた加減で、目覚めると同時に咽頭部リンパ腺が腫れと痛み、
気管
支の炎症で背中から胸部かけての痛みが走る。これは”ベンザブロクL”を服用しなけれ
ばと、目覚ま
し代わりにテレビを突けると「口呼吸による疾病」の解説番組が映し出されてい
たので、これがいけな
いかと興味を惹く。そこで、彼女にそのことを尋ねると、いつも口を開
けて寝ているよ!と言う。洗面と
朝食を済ませ、薬を服用し、暫く、定常作業を始めと、それ
っきり作業に没頭してしまい、日暮れ時に
なり、朝の残件の作業に切り替えた。そうすると、
口呼吸が、さまざまな病気の原因となっている可能
性についてを元東京大学医学部口腔外科講
師の西原克成の情報が注目されていることを知る。

※  西原克成:日本免疫病治療研究会会長。「顔と口腔の医学」西原研究所所長。1940年、神
奈川県生まれ。東京医科歯
科大学卒業後、東京大学大学院博士課程修了。東京大学医学部講師、
同附属病院で長く臨床に携わる。

口呼吸チック項目

  • 無意識のうちに口が半開きになる
  • 唇がカサカサに乾燥している
  • 朝起きた時に、のどがヒリヒリ痛む
  • 鼻の穴を意識して動かすことができない
  • 唇を閉ざすと、あごのとがったところに“梅干”ができる
  • 鏡を見ると、口が「へ」の字だ
  • クチャクチャと音を立てて食べる
  • いびきをかく
  • 唇の厚さが上下で著しく差がある
  • 受け口である
  • 歯並びが悪い、または前歯が出ている
  • 片方の歯で噛むくせがある

 

呼吸には二つあり、その一つが「鼻呼吸」で、もう一つが「口呼吸」。ところで、「あん(阿
吽)の呼吸」とは 仏教の呪文(真言)の1つで、悉曇文字(梵字)において阿は口を開いて
最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、そこから、それぞれ宇宙の始まりと終わ
りを表す言葉とされた。また、宇宙のほかにも、前者を真実や求道心に、後者を智慧や涅槃に
たとえる場合もある。次いで、対となる物を表す用語としても使用された。特に狛犬や仁王、
沖縄のシーサーなど、一対で存在する宗教的な像のモチーフとされた。口が開いている方を阿
形(あぎょう)、閉じている方を吽形(うんぎょう)と言う。転じて、二人の人物が呼吸まで
合わせるように共に行動しているさまを阿吽の呼吸、阿吽の仲などと呼ぶというが・・・話は逸
れた。

鼻呼吸の特徴は、(1)吸い込んだ空気の除塵する:私たちが、吸い込む空気には、さまざま
な病原菌が含まれていますが、病原菌の50~80%は鼻の粘膜に吸着され、処理される。(2)
吸い込んだ空気の加湿する:鼻呼吸の場合は、冷たくて乾いた空気でも、鼻腔で暖められ、湿
度を含んだ状態で、のどまで到達。加湿が不十分だと肺胞の粘膜になじみにくく酸素がスムー
ズに吸収されない。(3)病原菌の繁殖を抑える:吐く息も、鼻腔を通ることで、鼻腔を適度
に乾燥させ、カゼのウイルスなどの病原菌の繁殖を抑える効果を発揮。この三つの機能が働き
(1)免疫向上(2)酸素が行き渡り、脳・筋肉が活性する。と、いうわけだがこれに関する
臨床試験データの調査はまだ。これに対し、口呼吸の特徴は、(1)病原菌が白血球の中に入
り込み、全身に運ばれてしまう:口から吸引した空気は、そのままのどまで行ってしまいのど
の粘膜が、さまざまな病原菌に無防備となる。病原菌が白血球の中に入り込み、全身に運ばれ
てしまう。(2)のどを乾燥させ、加湿不十分な空気が肺に入る:のどには、温度、湿度の調
節機能がないので、ほぼ吸い込んだときと同じ状態の空気がのどを直撃し、のどを乾かしたり
冷やしたりして、リンパ組織に損傷を与える。(3)鼻腔や副鼻腔に細菌やウイルスが増殖し
やすくなる:空気が鼻腔を通らないと、汚れがたまり、常にじめじめした状態になるため、免
疫力低下、酸素が吸収されにくいことになる。具体的には、口呼吸によって引き起こされる病
気の主なものは、リウマチ、ぜんそく、花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、肺
炎や腎炎も引き起こしやすく、糖尿病や高血圧症、白血病、悪性リンパ腫、潰瘍性大腸炎など
の原因にもなるとされるというが、これも詳細については未調査である。それ以外に(1)舌
の粘膜が乾燥するため味覚障害になる可能性が高くなる。(2)鼻の機能が低下するため嗅覚
障害になる可能性が高くなる。(3)口呼吸の場合は口が開いている為、口の周りの筋肉が緩
み、舌が気道を塞いでしまい、睡眠時無呼吸症候群になる可能性が高くなる。(4)加湿不十
分な空気が肺に入り、肺胞膜を痛める、肺胞の粘膜がなじみにくいので、酸素が吸収されにく
いkとが指摘されているわけだが、いずれも、その他の環境条件が入れば、ここで想定されて
いる最悪のケーズは簡単に回避されだろうから、参考意見として受け止めておく。

これは面白と思ったことは、日本人は離乳の時期は一歳前後が常識で、海外では、三、四歳と
短く、これが口呼吸依存体質に変えてしまうのだという。それじゃ、矯正方法は?といえば、
(1)おしゃぶりをくわえて、日常生活を送る(2)1日3回、合計1時間ほど、口を閉じて
ガムをかむ(3)食餌での咀嚼回数を増やす(30回/度)(4)医療用テープを口に貼り、
日常生活をする(5)鼻孔拡大装置を鼻にはめる。そうすれば矯正効果は2~4週間で現れる
とのこと。(1)については、大人の玩具じゃないけれど、余り気が進まない。(4)の口の
マスキングについて要商品開発。(5)はアレルギー体質には逆効果になりはしないかと心配
する(鼻孔マスク=鼻孔栓が市販されている)。結局、(2)の1日3回、合計1時間ほど、
口を閉じてガムをかむが即応できることと判断し、励行することを確認した

 

1)口腔領域における機能性疾患の診断と治療(1) 総論、歯界展望 91(1):195-203, 1998
2)口腔領域における機能性疾患の診断と治療(2) 各論、歯界展望 91(2):449-459, 1998
3)口呼吸習癖による免疫系・骨格系の機能障害とその治療、日本一般臨床医矯正研究会 8:
  67-90, 1997.

4)免疫系疾患と口呼吸習癖との関連、日口診誌 7(2):243−262,1994.


【ガラパゴスが世界化 ?!

 

   

【植物工場の近未来】

昨夜は「環境バイオセンサ事業の展開」として、植物工場事業について掲載してみた。しかしながら、
高度な環境制御と周年栽培を実現する植物工場施設の面積は世界全体でみても非常に小さいも
のである。太陽光
利用型ではトップリーダーであるオランダでは施設園芸の80%以上が植物工
場に分類できるほど、ハイテクな施設が普及している一方で、日本の場合は約6万2,000haのう
ち、植物工場が占め
る面積は1,000haにも満たない、と推計される。日本の施設園芸の多くが
ハイブにフ
ィルムが張った簡易的なハウスであり、加湿・冷却装置や自動開閉カーテン、そ
他の環境モニタリング制御機器といった装置・システムの導入施設は極めて少ないのが現状。
こうした設備投資には、導入資金の調達と投資回収が可能な採算性が求められる。大きな設備
投資が必要な施設園芸・植物工場ビジネスヘの参入には、大手企業による単独参入、または大
手企業が出資を行いながら地元農家と共同で農業生産法人を設立する形が一般的である。

また、葉野菜やトマト・パプリカといった野菜の生産・販売事業にて採算性を考えた場合、ある
程度の大規模化が必要となる。例えばレタス類を生産する場合、太陽光利用型では1ha(1日
5,000株~)、完全人工光型では1,000平方メートル(1日1万株~)くらいの規模が必要とされ
が(補助金なしを想定)、このような大規模施設となると国内では数カ所に限られている。
現在
の政府方針は、農地の集約化や農業法人への出資規制緩和など、民間企業による農業参入
を推
進しており、今後は国内においても植物工場の施設面積の拡大が見込まれる。



高度な環境制御と周年栽培を実現する植物工場施設の面積は世界全体でみても非常に小さいも
のである。太陽光利用型ではトップリーダーであるオランダでは施設園芸の80%以上が植物
工場に分類できるほど、ハイテクな施設が普及している一方で、日本の場合は約6万2000haの
うち、植物工場が占める面積は1000haにも満たない、と推計される。日本の施設園芸の多くが、
ハイブにフィルムが張った簡易的なハウスであり加湿・冷却装置や自動開閉カーテン、その他
の環境モニタリング制御機器といった装置・システムの導入施設は極めて少ない。こうした設
備投資には、導入資金の調達と投資回収が可能な採算性が求められる。大きな設備投資が必要
な施設園芸・植物工場ビジネスヘの参入には、大手企業による単独参入、または大手企業が出
資を行いながら地元農家と共同で農業生産法人を設立する形が一般的である。また、葉野菜や
トマト・パプリカといった野菜の生産・販売事業にて採算性を考えた場合、ある程度の大規模化
が必要となる。例えばレタス類を生産する場合、太陽光利用型では1ha(1日5,000株~)、完全
人工光型では1,000平方メートル(1日1万株~)くらいの規模が必要とされるが(補助金なしを想
定)、このような大規模施設となると国内では数カ所に限られている。

現在の政府方針としては、農地の集約化や農業法人への出資規制緩和など、民間企業による農
業参入を推進して
おり、今後は国内においても植物工場の施設面積の拡大が見込まれる。ただ
し、小規模農家による露地栽培
(土耕栽培)やこだわりを持った有機栽培も重要であり、様々な
商品を消費者自身が選択していく形が望ましいのだが、
日本国内における有機JAS農産物の割
合が全体の0.2%、有機JAS規格ではない有機農作物を合計しても0.35%の
シェアしかない国内
の状況も一つの課題として挙げられるだろう。太陽光利用型ではオランダの複合環
境制御シス
テムなどを採用しながら、国内の市場ニーズに対応した品種改良や日本の気候(高温多湿)にマ
ッチした冷却技術など、メインはオランダ製を採用しながら、装置・システムの再構築が必要
となる。また日本のような高温多湿に近い気候をもつ東南アジアをはじめとする熱帯エリアヘ
の技術輸出が期待されてる。 

また、完全人工光型では世界でもトップ技術を持つ日本であるが、気候・栽培条件によっては
露地や簡易的な施設園芸での生産が適している地域がある一方で、砂漠や寒冷地などの過酷環
境下では閉鎖空間にて栽培する完全人工光型が生かせるケースも多いだろう。さらに中東など
の砂
漠地帯では、太陽光発電や太陽光をそのまま栽培室内に取り込む技術(国内でも太陽光採
光ま
たは、光ダクトシステムとして、主に住宅・商業ビル向けに普及しつつある)など、自然エ
ネル
ギーを活用しながら省エネ型システムの開発も必要とされる。その他、完全人工光型では
カリウムの摂取制限がある腎臓病透析患者向けにカリウム含有量だけを低下させた低カリウム

野菜や、光条件や温度・湿度環境による外的ストレスを通じて、栄養価を高めたアイスプラン
トが栽培されており、食材だけでなく健康食品や化粧品といった商品にも利用されている。ま
た、有用
なワクチンタンパクを発現する遺伝子を組み込んだ植物に関する研究も進んでいる。
花粉症の緩
和が期待できる“お米"、ペット・イヌの歯周病を予防できる“イチゴ"など、将来
的には植物工場技術を漢方薬の原料の生産など医薬分野へ応用も検討されている。以上のよう
に植物工場技術は未だ発展
途上段階であり、国内外のマーケットにおいて、大きなビジネスチ
ャンスがある。ただし、
システム(太陽光・人工光型)、エリア(気候条件)によって、必要とさ
れる技術開発テーマも異
なることから、各企業が進むべき方向性を正しく理解する必要がある。
自社が保有する技術ノウハウを生かしながら、将来的にニーズがある市場に狙いを絞らなけれ
ばならない。また植物工場で
は、様々な技術が必要とされる。場合によっては、複数社がチー
ムとなってオールジャパンとして海外へ事業展開も想定すべきだろう。

※今夜は、大規模気候変動耐性としての大規模植物工場の事業を食料安全保障として、いいか
えれば、国土強靱化構想に包括される事業として考察してみたかったが、これは残件扱いとし
ておきたい。
   

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フードファディズムか希少糖

2013年12月02日 | 医療健康術

 

 

【希少糖という国産知財】 

 単糖といえば、グルコースやフラクトースなど一般的なもののほかにも、プシコースやタ
ガトースなど多くの物質が存在する。しかし、その存在量は物質により大きく異なり、ごく
微量しか存在しないものも多い。自然界に少量しか存在しない単糖の価格は高く、例えばプ
シコースでは1グラム7万円で取引されるなど、非常に高価なものとなっている。この希少
糖とは、これら自然界にその存在量が少ない単糖とその誘導体を示すもの。現在、希少糖研
究の中心は香川大学が担い、希少糖の定義も2年ごとに香川大学で開催される国際希少糖学
会で2002年に定義されものだという。 

【百円の果糖が二千万円の希少糖に化ける】



 1991年のDTE(D-タガトース 3-エピメラーゼ:D-tagatose 3-epimerase)発見に端を発する
希少糖研究は、香川大学農学部何森(いずもり)健教授が酵素研究を初動させ、その後、D-
プシコースの生産技術、香川医科大学(当時)との連携で希少糖の生理機能研究へと発展す
る。その発見は偶然だった。約三十年にわたって希少糖の研究を続けてきた何森教授の研究
室での九一年のこと。キャンパスの土から分離した微生物を使って希少糖を作る実験をして
いたら、これまで見たこともない変わった物質が出現。そこで、安価な果糖(D―フラクト
ース)を希少糖(D―プシコース)に変える能力に着目し、この酵素でバイオリアクター(
生物反応器)をつくり、1994年D-プシコース生産に
成功、2001年には大量生産技術の成功、
基礎研究から実際の産業利用を目指した研究に発展。香川大学農学部と香川医科大学(現、
香川大学医学部)との連携により、D-アロースやD-プシコースの生理機能の研究が平行して
実施され、これらの物質において特徴的な生理機能の発見に至る。日本で使用されている希
少糖は、エリスリトール、キシリトールなどで、近年になって新たにD-プシコースなどが
わってきた。エリスリトール、キシリトールなどは天然の糖をもとに、酵母による醗酵や
還元反応を利用して工業的に作られた糖アルコールで、抗う蝕性、非う蝕性を持つ、あるい
はカロリーが少ない、甘味料や食品添加物として市販されている。

 いま、注目を集めているのがプシコースだが、その特徴は、外見的には原料の果糖と同じ
だが、分子構造がほんの少し違うだけで、性質は全く異なる。例えば、澱粉を糖化して糖化
液とし、グルコースイソメラーゼで処理して製造される異性化糖は、生産コストの安さから、
ソフトドリンクや他の飲料に甘味量として広く使用され、米国では800万トン以上消費さ
れている。代表的な方法では澱粉を酵素で加水分解してデキストリンとし、これを更に別の
酵素で加水分解してブドウ糖溶液、すなわち糖化液とする。この糖化液中にはブドウ糖の他
にオリゴ糖が若干含まれる。グルコースイソメラーゼによるブドウ糖の果糖への異性化反応
は平衡反応であり、異性化糖のグルコースとフラクトースとの比率は通常58:42程度で
ある。さらに、甘味不足を解消するために、精製フラクトースを添加する場合があるが、こ
の場合最終のグルコースとフラクトースとの比率は通常45:55程度。このように異性化
糖は、経済的メリットから広く使われているが、日本、米国などの先進国では、高血糖や過
体重(肥満)(「メタボリックシンドローム」)などの原因として疑われている。グルコー
スと比較してフラクトースの肝臓での代謝は脂質生成を促進しやすく、高脂血症や肥満を誘
導しやすいことから、果糖ブドウ糖液糖に含まれるフラクトース摂取量と肥満者(生活習慣
病)の増加の関連について注目されているものの、また、異性化糖の甘味度や甘味質は、広
く一般に使用されている砂糖に比べ、差が見られ、グルコースと果糖の比を変えることにな
どにより、砂糖の甘味度、甘味質に近づける工夫がされているが、満足のいくものは未だ得
られていない。

 一方、D-プシコースは、希少糖の一種であるが、D-フラクトースにD-ケトヘキソース・
3-エピメラーゼ(特許文献1)を作用させるとD-フラクトースから収率20~25%で生
成する。また、D-プシコース・3-エピメラーゼを使用した場合は、40%の収率でD-プ
シコースが生成し、ホウ酸を併用した場合には62%のD-プシコースが生成するとの報告が
ある。精製D-フラクトースの製造を行ってからD-プシコースの製造を行う場合、別々の工程
で行うため、原料、輸送、反応コストやプラント運営コストなどの制約を受け、現実的にD-
プシコースの工業的大量製造は困難を極める。
 また、D-プシコースは、ゼロキロカロリー、食後血糖抑制効果、抗肥満効果など生活習慣
病予防素材としての特質を示すことが明らかにされている。
 さらに、D-プシコースは砂糖の甘味度の70%程度であり、単独で甘味料として用いる場
合には、甘味度および甘味質共に砂糖とは異なっている。

再表2008/142860 砂糖様味質をもつ新規甘味料、その製造法および用途」(松谷化学工業
株式会社 他)の
本発明によると、広く食品業界で甘味料として使われている果糖ブドウ糖
液糖の第一の問題点、甘味度、甘味質ともに砂糖とは異なっていることを解決した、D-プ
シコースより砂糖の甘味度や味質に近い甘味をもち、また、第二の問題点、肥満などの生活
習慣病の原因を解決できる。この発明により、D-プシコースを含む甘味料でありながら低コ
ストでも作ることができる製造方法を提案している。加えて、甘味飲食物、医薬品もしくは
医薬部外品、化粧品への応用展開の道を切り拓いた。尚、エピメラーゼが、D-ケトヘキソ
ース・3-エピメラーゼもしくは、D-プシコース・3-エピメラーゼを用いる。



昨日10月19日に放送された「世界ふしぎ発見75分SP-遺伝と肥満のフシギ」の最後でプシ
コースという、やせる砂糖が紹介され、フードファディズム(思いこみによる過剰反応的な
食行動形態)な現象が起きているといわれている。肥満抑制機構は、ブドウ糖など異なりプ
シコースなどが体内吸収が悪い(※糖吸収孔部を何らかの理由で閉塞するというが、いまい
ち、理解できていない)ことによる。肥満予防の処方箋の最適化という意味では、選択肢は
広いが、健康志向甘味料として世界市場での普及定着には有用だと言えるのではないだろう
か?如何に!

 

※小腸の上皮細胞の毛細血管側には、ナトリウムポンプ(sodium-potassium pump)があり、
細胞内からナトリウムイオンを汲み出している。そのため細胞内のナトリウムイオン濃度は
低く保たれていてさらに、小腸の上皮細胞の管腔側には、SGLT(ナトリウム依存性グルコー
ス共輸送体)というナトリウムの濃度勾配に応じてナトリウムを取
り込むトランスポーターが
存在する。が、ナトリウム単体で取り込むのではなく、グルコースやガラクトースも一緒に
取り込み、細胞内のグルコース濃度が高くてもナトリウムイオン勾配により細胞内へグルコ
ースを輸送する。細胞内から毛細血管へは、GLUT2を介し 毛細血管側へ輸送される。GLUT2
(glucose transporter)は濃度勾配に応じて輸送する受動輸送を担う。

※「国際特許03/097820|希少糖の生理活性作用の利用方法および希少糖を配合した組成物」
の「実施例12|ケトヘキソースの血糖降下に関連する作用」の実験4で、「グルコースの
吸収に与えるD-プシコースの影響を調べるためにラットの腸管を用いてD-プシコースの
吸収に及ぼす影響を解析した。グルコースの吸収はグルコースオキシダーゼ法による定量法
により腸管粘膜を隔てて外部と内部の濃度を測定することで解析する。D-プシコースがグ
ルコースと併存することでグルコースの吸収がどのように変化するかを測定する。またD-
プシコースを長期間投与したラットの腸管を用いて、同様に糖の吸収系がどのように変化す
るかを解析する。グルコースを含む緩衝液中に、図30に示すように、ラット反転腸管を浸
漬し、一定時間後に漿膜側の溶液をサンプリングしグルコース濃度を測定する。種々の濃度
のD-プシコースを添加することによって、粘膜側から漿膜側へのグルコースの輸送に与え
るD-プシコースの影響について検討し、結果を図31に示した。この結果、ラット反転腸
管にグルコースと同濃度のD-プシコースを加えておくと、漿膜側のグルコース濃度の上昇
が有意に抑制された。D-プシコースの添加が、グルコースの輸送系に影響を与えている可
能性が示唆された。以上の結果より、希少糖に属するケトヘキソースは、膵β細胞からのイ
ンスリン分泌を刺激することが判明し」と記載されているだけである。



 




【ドライブ・マイ・カー】 

 

 

  彼の所属する事務所が、給与支払いのための正式の書式を必要としていたので、みさ
 きに現住所と本籍地と生年月
日と運転免許証番号を書いてもらった。彼女は北区赤羽の
 アパートに住んでおり、本籍地は北海道中頓別町、二十四歳になったばかりだった。中
 頓別町というのが北海道のど
のへんにあるのか、家福には見当もつかない。しかし二十
 四歳というところが胸にひっかかった。
  家福には三日だけ生きた子供がいた。女の子だったが、三日目の夜中に病院の保育室
 で死んだ。前触れもなく突
然、心臓が動きを止めてしまったのだ。夜が明けたとき、
 ん坊は既に死亡していた。心臓の弁に生まれつき問題が
あったというのが病院側の説明
 だった。しかしそんなこと
はこちらで確かめようもない。また本当の原因がわかった
  ころで、それで子供が生き返るわけでもない。幸か不幸
か、名前はまだ決めていなかっ
 た。その子が生きていれば
ちょうど二十四歳になる。その名前のない子の誕生日に、
 福はいつも一人で手を合わせた。そして生きていればな
っていたはずの年齢を思った。
  子供をそんな風に唐突に失ったことで、二人はもちろん深く傷ついた。そこに生じた
 空白は重く、暗かった。気持ちを立て直すまでに長い期間が必要だった。二人は家の中
 にこもり、多くの時間をほとんど無言のうちに送った。口を開けば、何かつまらないこ
 とを言ってしまいそうだったからだ。彼女はワインをよく飲むようになった。彼はしば
 らくのあいだ、異様なほど熱心に書道に凝っていた。真っ白な紙の上に黒々と筆を走ら
 せ、様々な漢字を書いていると、自分の心の仕組みが透けて見えてくるようだった。
  しかしお互いを支え合うことで、二人は少しずつ傷の痛みから回復し、その危うい時
 期を乗り越えることができた。そして以前より深く、それぞれの仕事に集中するように
 なった。彼らは貪欲なまでに、自分たちが与えられた役柄の役作りにのめり込んだ。「
 悪いけれどもう子供は作りたくないの」と彼女は言って、彼もそれに同意した。わかっ
 た、もう子供は作らないようにしよう。君がいいと思うようにすればいい。
  思い起こしてみれば、妻がほかの男と性的関係を持つようになったのは、そのあとか
 らだった。あるいは子供を失ったことが、彼女の中にそういう欲求を目覚めさせたのか
 もしれない。しかしそれはあくまで彼の憶測に過ぎない。
 かもしれないというだけのことだ。




 「ひとつ質問していいですか?」とみさきが言った。
  考え事をしながらぼんやりまわりの風景を眺めていた家福は、驚いて彼女の顔を見た。
  ニケ月ほど一緒に長く車に乗っていて、みさきが自分の方から口をきくことはきわめ
 て希だったからだ。
 「もちろん」と家福は言った。

 「家福さんはどうして俳優になったんですか?」
 「大学生の時、女友だちに誘われて学生劇団に入った。演劇にもともと興味があったわ
 けじゃない。本当は野球部に入りたかったんだ。高校時代にはレギュラーのショートス
 トップで、守備には自信があった。でも入った大学の野球部は、僕にはいささかレベル
 が高すぎた。だからまあちょっと試しにやってみようというくらいの軽い気持ちで、劇
 団に入ったんだ。その女友だちと一緒にいたいということもあったしね。でもしばらく
 やっているうちに、自分が演技を楽しんでいることがだんだんわかってきた。演技をし
 ていると、自分以外のものになることができる。そしてそれが終わると、また自分自身
 に戻れる。それが嬉しかった」
 「自分以外のものになれると嬉しいですか?」
  「また元に戻れるとわかっていればね」
 「元にに戻りたくないと思ったことってないですか?」
  家福はそれについて考えた。そんな質問をされたのは初めてだ。道路は渋滞していた。
 彼らは首都高速道路で竹橋の出口に向かっているところだった。
 「だって他に戻るところもないだろう」と家福は言った。
  みさきはそれについて意見を述べなかった。

 

                        村上春樹 『ドライブ・マイ・カー』
                          文藝春秋 2013年12月号掲載中



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スポーツと体格

2013年08月05日 | 医療健康術

 

 

【水泳革命-体格形成のビックXをつかめ】

朝目覚めのテレビで、一瞬、男子4百メートル個人メドレー決勝で19歳で早大1年の瀬戸大也が
4分8秒69で優勝たという放送が流れた。これは後でわかった話で、その時は気付かなかった。
日本人選手が個人メドレーで金メダルを獲得したのは、五輪、世界選手権を通じて初めて。世界

選手権の競泳種目優勝者も、2003年バルセロナ大会の男子平泳ぎ2種目制覇など計3回優勝の北
島康介、09年ローマ大会の男子百メートル背泳ぎを制した古賀淳也に次いで、史上3人目という
から記録からも大したことではないかと感心していたが詳しいことはてん分からないでいたが、
へぇ~萩野公介選手でなかったのに何故なろうとそちらの方がインパクトが大きかったのだ実は。
当の萩野は後半失速して5位に終わる。瀬戸は萩野と同学年で小学生時代からライバル関係にあ
ったが、萩野が昨年のロンドン五輪で銅メダルを獲ったのに対し、瀬戸は代表落ちするなど大き

く後塵を拝していたというから唐突な感じはごく自然な反応だったんだ。ところで、競技に出て
いる水泳選手って体格が立派というか大きい。そこで。個人メドレー男子及び背泳男子の瀬戸大
也・ 堀畑裕也・萩野公介・入江陵介の体格を調べてみた。

  身長 cm 体重 kg
瀬戸大也 174 70
堀畑裕也 169 63
萩野公介 175 70
入江陵介 178 64

身長では入江が一番背が高いが、体重では瀬戸・萩野の一番重いものの、外国選手と比べて飛び
抜けて大きいとは思えない。因みに、スリム度=身長÷体重も計算したが、2.49、2.68、2.50、
2.78と入江が一番スリム度が高く、瀬戸が一番低い。因みに平泳ぎの北島康介は、身長178cm、
体重73kg。スリム度2.43となり、スリム度が一番低くなる。これは日本男子の20から24歳の平均
値は、身長171cm、65kg、スリム度2.62(下表参考)となり、身長・体重双方ともおおよそ2~3
%大きいが飛び抜けているともいえないようだ。スリム度も変わらないように思える。とすると
トレーニングによる筋肉や骨格の特徴パラメータを見つけ出した方がよさそうだし、ネット情報
では萩野のタフネスは半端じゃなくて遺伝子依存性、あるいは先天的な特徴パラメータ、あるい
は素質に依存するとコーチが解説していたから、トレーニング度×素質という風なことに落ち着
ついた。

 

これじゃ困るねぇ~~~。思いつきに、もしかして水泳というスポーツに、ある特徴パラメータ
ーが他の競技と比較しずば抜けていていれば、水泳と他のスポーツ、例えばバスケットを年齢と
いう時間軸を考慮し組み合わせ理想体型をつくる方法を編み出せば、日本人特有の身体能力の劣
性を克服する基礎トレーニングに変えることができるのではないかなと思いついた誇大妄想?!
だった。具体的には硬式テニスをイメージしていたわけで、体格の良い外人選手に互する身体能
力を備え、それと日本人の優れた心技体にかかわる特徴パラメーターを組み合わせれば、ウイン
ブルドンで優勝できるのではと思ったわけだ。こういった誇大妄想は、些細なことに違いないが
また違った展開を見せるのではないかと思ったりしている。

 

【半導体のエコノミーとグリーン】

半導体のDRAM製造メーカの業界再編が加速している。キマンダの破産以降は大手による市場での
寡占がより進んだ。コスト競争力の乏しい下位の会社は、今後も撤退、吸収が予想される。微細
化に伴い露光装置の導入費用がさらに高くなるため、資金面での競争力の差が顕著になり、世界
的な再編が始まる。
キマンダの消滅後、台湾5メーカー(Inotera、Nanya、Powerchip、ProMOS、Win-
bond
)のうちNanyaがシェアを伸ばし、業界第5位となっている。業界第4位のMicronは2008年に
Nanya及びInoteraと提携を結んだ。かつての大手5社ではキマンダに続いてエルピーダも、2009年
6月30日より産業活力再生特別措置法に基づいて再建を行っていたが2012年2月についに力尽き
会社更生法適用を申請し破綻、2013年7月にMicronの子会社となり、業界は大手3社体制となる。
思えば勤労国民の血税なども投入し、敢えなく国産DRAMは消滅することになる。

時代は量子ドットといわれる段階に差し掛かっている。量子ドットとは、電子をその波長とほぼ
同じ大きさの空間に注入すると、三次元のどの方向にも自由に移動できず、特定のエネルギー状
態をとる。このエネルギー状態は、量子ドットの大きさを変えることで、ある程度自由に変化す
る。このたおめ、新しい機能を発現する素材をつくることができ、量子ドットレーザー・単電子
トランジスタ・量子コンピュータなどの応用が進んでいるが、量子ドットスケールは、直径数~
数十ナノメートルの半導体結晶を取り扱う。ところが、シリコンをベースとした半導体製造技術
でのダウンサイジングの進展が、微細加工が微塵加工に変化することで従来のリソグラフィから
ナノリソグラフィへの移行には大きな問題が立ちはだかる。それが、リソグラフィ設計の煩雑性
(=非効率)とダブルパターニングなどのような生産コスト逓増、あるいは、極紫外線露光時の
ノイズやラインスペース形状バラツキにあらわれ、20nm以下にうまく対応できず技術開発のロー
ドマップの進捗を遅延させているからだ。この現状を、今年3月にセミコンダクター・マニュフ
ァクチャリング&デザイン(SMD)社は、ナノインプリントリソグラフィツールサプライヤーの分
子インプリンツ社(MII)のナノインプリントリソグラフィツールサプライヤー社はマーク・メ
リア・スミス長兼最高経営責任者(CEO)とリソグラフィの動向についてインタビューからも窺
うことができる(“Making An Impression with Nanoimprint”2013.03.21 )。



そこで期待される技術として従来の露光装置を使わずに、原版を基板に押し当てることで微細加

工いや微塵加工を実現する技術を「ナノインプリント」が登場する。この技術の調査研究にわた
しも従事していた経験があるが、そのことは置いておいて、ナノインプリントをLSI製造に使う際
の利点は、高解像度、優れた寸法制御性、低コストの三点にまとめられる。解像度は現時点で数
10nmを実現できており,原版さえ準備できれば、数nm級が達成できる。寸法制御は、既存の露光
技術で問題になっているバラつきが少なく、装置コストも量産による価格逓減が見込めるが、ゴ
ミなどの付着による欠陥(オーバーレイ)、位置合わせ、スループットの三点が課題となってい
たが、それも研究開発の進展と共に改善・改良を遂げている現状である。

 

ナノインプリントは写真製販技術がコアとしてあり、スループットの悪さが懸念される粒子集積
化技術の
革新と競い合っているが、もともとは、従来のコンバーティング・テクノロジー(=表
面加工技術)に包括
される様々なコーティング技術及び産業は拡大成長を遂げてきたが(上表)<
そのナノ領域を占める技
術に位置するものの材料部材で見る限りこれからというになる(下表)。

そして、微塵表面加工技術とし、ネオ・コンバーティング・テクノロジーとして21世紀に誕生す
る。そこでは、半導体の微細化、寸法逓減(ダウンサイジング)に伴い製造エネルギー(二酸化
炭素排出量)、製造費が逓増し、もはや「ムーアの法則の限界」が強く意識されだし、ナノリソ
グラフィを
担う量子ドット形成技術の1つとしてのナノインプリントの研究開発に拍車がかけら
れている現状があるが、この技術開発の成功
、グリーン(環境リスク逓減)とエコノミー(
コスト逓減)の両面に大きく貢献できるものと期待されている。

ゴーグルを下ろし、水面下に身を屈め、両手を頭上に構え後ろ足でプール側面をキックしそのま
ましばらく潜水し、前に交差した両手、身体と後ろ足を数回ドルフィンキックさせ、やがて水面
に頭をだし泳ぎはじめる。右肩の痛みを押して、50メートルをゆっくり遊泳し、水中歩行を50メ
ートルこれを数回繰り返し早めに上がる。そんなことがここ数週間つづいている。
 いずれ回復す
れば負荷を懸けていこうと思っている。

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サニーサイドパンツなガスタービン

2013年07月20日 | 医療健康術

 

 

朝から滋賀県竜王町にある三井アウトレット・パーク(『被災と環境と休息』)のモンベルでトレ
ッキング補充品を調達に出かける。片道の所要時間40分。ただし、国道八号線経由。車中は久し
ぶりの国道ロードということで沿道の変化を確認しながああだ、こおだと言いながら目的地へ。拡
張新設エリアから入るが、似たような店舗展開で記憶が混同し目眩を覚える。パークナビゲータの
若い女性が説明してくれるのだが、それを断り記憶のみでモンベルを探し出す。店内はトレッキン
グブームで盛況で目的の商品を試着購入(下図)し、ランチは摂らずに戻ってくる。途中、彼女が
熊が人間の肉の味を覚え凶暴している話をしてくれたので、カラスや人間の学習能力や進化の話題
となる。昼食は眼精疲労対策もあり徳兵衛でトロを食べに立ち寄るが、当たりが好かったのか、格
別に美味しく感じ、はじめての経験だと話したが妙な感じがした。
 

     

 

ところで、ここ一ヶ月右肩に痛みが取れないでいるが、六十肩というのはあるのかネットで下調べ
たところ、四十肩も五十肩も正式病名でなく、いずれも病名は肩関節周囲炎という。肩関節周囲
炎は
繰り返す事があり、早く治療するのがこつとかで、痛みを我慢していて、関節が硬くなると治
療に時
間がかかり、整形外科で治療した方がいいとのことだが当面静観することに。ところで、加
齢による
筋肉の減少(サルコペニア=加齢性筋肉減弱症)が原因で起こる肥満症が話題となっている。
筋肉の減少と共に脂肪を燃焼させる力が低下したことで、脂肪が蓄積しやすい体質となり、肥満が
進行する。糖尿病や高血圧などの生活習慣病になるリスクが高まるほか、要介護や寝たきりの原因
にもなる。対策としては、筋力トレーニングとたんぱく質を多く含む食品の摂取により、筋肉量を
増やすことが求められるという。というのもジムの鏡で脇腹の贅肉落としの必要性を痛感する。

 

そこで食事では、筋肉を作るのに欠かせないBCAA。BCAAとは、バリン、ロイシン、イソロ
イシンという3つ
の必須アミノ酸をまとめた呼び名で、体の中に入ると筋肉を作ったり修復する。
そのBCAAを豊富に含む食材は、まぐろやかつおなど赤身の魚、レバーなど赤身の肉、大豆製品、
牛乳など。またBCAAを効率良くとるためには、ビタミンB群が必要です。ビタミンB群を豊富

に含む食材は、ごま、きなこ、豚ヒレ肉、玄米など。牛乳、きなこ、すりごま、はちみつを合わせ
たもの、B
CAAとビタミンB群を豊富に含んでいるという。運動メニューは、スクワット、も
も上げ、つま先立ちのSMTが良いとか。スクワット、ローイング、水泳、サウナのSRSSを実
践しているいまはこれも静観することに。

ところで、名古屋大大学院の浅井真人特任講師(腫瘍病理学)らの研究グループが、マウスの実験
から、肥
満を防ぐ遺伝子「MRAP2」を新たに見つけたと、19日付の米科学誌サイエンスに発表。
この遺伝子の欠損したマウスの中には、正常なマウスと比べて体重が約2倍になる個体もいた。M
RAP2はヒトにも存在し、浅井特任講師は「摂取カロリーが同じでも、遺伝子の違いで体重が異
なることがあると分かった。今後、遺伝子面から肥満の解明がさらに進む可能性がある」としてい
るが、ここでも古典的な見解がまたひとつ崩れる。「お腹が減れば、満足するまで食べる」という
単純な行動の裏には、未解析な複雑なプロセスがあるようだ。
 

【14歳からの生物工学入門】

身の回りに急速にバイオ(生物工学、バイオテクノロジー)という言葉が広く浸潤している。例えば、
食品、地球環境、医薬、化粧品、エネルギー、資源など。バイオテクノロジー、バイオインフォマ
ティクス、バイオエタノール、バイオ医薬品など、バイオから始まる言葉も多く、バイオなしには、
語れないかもしれない。遺伝子工学や発生工学、再生医療などの分野の研究が急速に進展し、バイ
オテクノロジーに、改めて大きな期待が寄せられていることのあらわれだろう。バイオと言うと、
物理や化学と
比較し、何となく少し柔らかく感じ、なじみやすいようだが、教科書をじっくりとひ
も解いてみると意外と難しく、あるいは、なんとなく面倒くさいと感じることも多いのではないだ
ろうか。そういうときに
本書はうってつけだろう。最近話題になっているバイオをバイオテクノロ
ジーの基本から最先端の研究、こ
れから発展しそうなことまで、わかりやすく紹介していくれる。
とても読みやすく、難しいことも簡単に理解できるように工夫されている。もちろん、どこから読
んでも楽しい。
本書は、「14歳からの生物工学入門」と副題にあるように、バイオに興味を持ちはじ
めた中高生から大
人まで広範な読者層の疑問に答えてくれるだろう。 

【超臨界圧二酸化炭素ガスタービン】

国内の研究機関や電機メーカーが発電設備から排出された二酸化炭素を、超臨界状態まで温度・圧
力を高め発電に再利用する「CO2ガスタービン」の開発に力を注いでいる。エネルギー総合工学
研究所が
数年後に出力数百キロワットの試作機を開発し、将来的には1千キロワット機で商用化する。また、
東芝は米国の電力会社と共同でCO2もタービン駆動に活用する世界初の25万キロワット級天然ガス火力
ラントを2017年頃に投入する計画だという。オールバイオマスシステム系のバイオマスの燃焼ガ
スとする有力なガスタービンと考えられる。

従来型の発電システムや、単なる超臨界圧CO2ガスタービンサイクルよりもさらに発電効率が高
い発電と熱電可変型の発電システムを併用し、コンパクトで発電効率が高い発電システムを開発と
いうもので、LNG等を燃料とするガスタービンの排ガスダクト内に、その上流側から順に、排ガ
スの熱回収を行う煙道CO2加熱部と蒸気発生器を配置し、煙道CO2加熱部が超臨界圧CO2ガ
スタービンサイクルのCO2加熱器として使用、蒸気発生器で発生した蒸気が従来型ガスタービン
内に注入されるのが特徴だ。複合発電システムの概念図を図9のケース3に示す。LNG等を燃料
とする従来型ガスタービンはコンバスタで燃料を燃焼させることで発生した高温・高圧のガスでタ
ービンを回転させ、発電機を回して電力を外部に送ると共に、自らのコンプレッサを回転させて燃
焼用空気を昇圧。この従来型ガスタービンのタービンの排ガスを煙突に導く排ガスダクト内に煙道
CO2加熱部と蒸気発生器を設ける。両者はいずれもタービンからの排ガスの熱回収を行い煙突か
ら排出される排ガスの温度を下げて、システムの効率を向上させる。この煙道CO2加熱部は図7
に示す超臨界圧CO2ガスタービンサイクルのCO2加熱器に相当し再生熱交換器から出たCO2
を超臨界圧CO2ガスタービンの所定の入口温度まで過熱する一方、蒸気発生器で発生した蒸気は、
ガスタービンに注入されて発電に寄与。この構成により、従来型ガスタービンの排熱を有効に回収
し、その一部を超臨界圧CO2ガスタービンサイクルの加熱源として有効活用すると共に、回収し
た残りで蒸気を発生させ、その蒸気をガスタービンに注入して、発電出力を増大させ、かつ、熱効
率を向上させる。一万kWe級の既存のガスタービンをベースに、他の発電システムとの間で出力
と発電効率を比較(本件の複合発電システム(ケース3)の他に、従来型ガスタービンと蒸気ター
ビンの複合発電システム(ケース1)、超臨界圧CO2ガスタービンと従来型ガスタービンの複合
発電システム(蒸気発生器を有しないもの)(ケース2)、蒸気注入サイクル(ケース4))。

 

上図のごとく、CO2ガスタービンサイクルは1,000kWeから10万kWeの発電領域で従来のガス
エンジンや蒸気タービンサイクルに比べて高い発電効率が得られる
。また、CO2ガスタービンは
一般のガスタービンやガスエンジンとは異なり、完全な閉サイクルであって、サイクルへの熱の供
給は熱交換器壁を介して行う外熱式であるから、バイオマスの燃焼ガスや高炉ガスなどの粒状物を
含む、いわゆる、ダーティなガスも熱源として利用できるという利点があるので、将来この発電領
域での普及が期待されている。
 

特開2013-108491「ソーラーガスタービン」

上図はタワー型集光型太陽光発電システム。集光装置がビームダウン型で、受熱部とガスタービン
の両方とも地上位置にあるため、受熱部からガスタービンまでの高温圧縮空気の導入経路が短く、
熱損失が小さい。また発電のために水を必要としないため、水が貴重な砂漠地域等において有用で
ある。更に空気だけでタービンを回すため、二酸化炭素の排出を完全に抑制することができる既存
の方式よりも熱損失の小さいことを特徴としたソーラーガスタービンシステム。 
 

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抗癌最終戦観戦記Ⅲ

2013年05月02日 | 医療健康術

 

 




【近江八幡水ヵ浜 シャーレ

正午過ぎ、彼女が外に出ましょうというので、手を止めひとつ返事で、水ヵ浜へ車を走らせる。コースは普段と
はことなる湖岸道路から長命寺廻りの北上コースをとる。湖岸を散策し写真を撮り、店内でコーヒーとオレンジ
ジュースを頼み休息、いつものように世間話をして帰路につく。





 

 

神戸大学大学院医学研究科分子生物学分野の片岡徹教授らの研究グループが、大腸がんやすい臓がん
などのがん発症に関わるがん遺伝子のたんぱく質 (Ras) の働きを止める物質を突き止めたという。
それによると、
Rasはその分子表面にポケット構造(薬剤を鍵とすると鍵穴に相当)を持たないため、
Rasに直接結合しその働きを止める物質の開発は不可能と思われてきたが、大型放射光施設SPring-8
協力下で、2005年に世界に先駆けてRasの分子表面にポケット構造を発見
したのを皮切りに、そのポケッ
トに特異的に結合することにより、Ras が引き起こす細胞がん化シグナルの伝達を遮断する3種類の
物質(低分子化合物)を、コンピュータシミュレーションと試験管内及び細胞レベルでの活性検定を
組み合わせた独自の手法を用いることで発見できたという。これらの物質(Kobeファミリー化合物
は、マウスに移植したヒト大腸がん細胞の腫瘍形成を抑制する顕著な抗がん作用を示すという。

抗癌剤の開発も、並み居る欧米を向こうに善戦していることが分かる。これで膵臓癌の脅威を克服できるたな
ら、強いストレス性労働による落命率がゼロの道が拓ける?! 

※ 特開2009-112203 ホスホリパーゼCεを分子標的とした新規抗炎症薬のスクリーニング方法、お
  よび尋常性乾癬様の慢性皮膚炎モデル動物 

※ 再表2011/007773 変異型Rasポリペプチドの結晶

 

【アンチエイジングに朗報か?!】

脳内視床下部に老化に関わる源泉機能を発見。この機能(部位)を制御することで全身の抗老化作用
を高めることができるかもしれない(下図クリック
)。

A Boy And His Atom: The World's Smallest Movie

 

IBMの科学者チームは、同社が開発した「走査型トンネル顕微鏡」の非常に鋭い探針を銅の表面に沿
って操作し、原子や分子を引き寄せて精密に動かすことによって映画を製作した。IBMによると、今
回製作された映画は、ギネス世界記録によって「世界一小さなストップモーション映画」に認定さ
れたという。すごいねぇ~~~、さよなら、バルク、時代は、量子ドット時代へ。





 

  時刻表どおり九時ちょうどに、松本行きの特急列車はプラットフォームを離れた。彼はベン
 チに座ったまま、その明かりが線路を遠ざかり、スピードを上げながら夏の夜の奥に消えてい
 くのを最後まで見届けた。最終列車の姿が見えなくなってしまうと、あたりは急にがらんとし
 た。街そのものが輝きを一段階落としたようにも見えた。芝居が終り、照明が落とされた後の
 舞台のようだ。彼はベンチから立ち上がり、ゆっくり階段を降りた。
  新宿駅を出て、近くにある小さなレストランに入り、カウンター常に座ってミートローフと
 ポテトサラダを頼んだ。そしてどちらも半分残した。まずかったわけではない。そこはミート
 ローフがうまいことで有名な店だった。ただ食欲がなかったのだ。ビールもいつものように半
 分だけ飲んで残した。

  それから電車に乗って自分の部屋に戻り、シャワーを浴びた。石鹸で丁寧に身体を洗い、身
 体の汗を落とした。そしてオリーブグリーンのバスローブを着て(かつてのガールフレンドが
 三十歳の誕生日にプレゼントしてくれたものだ)ベランダの椅子に座り、夜の風に吹かれなが
 ら、鈍くくぐもった街の騒音に耳を澄ませた。もう十一時近くになっていたが眠くはなかった。
  大学生のとき、死ぬことばかり考えていた日々のことを、つくるは思い起こした。もう十六
 年も前になる。その頃は、ただじっと深く自分の内奥を見つめていれば、心臓はやがて自然に
 停止してしまいそうに思えたものだ。精神を鋭く集中し、一か所にしっかり焦点を結んでいれ
 ば、レンズが陽光を集めて紙を発火させるのと同じように、心臓に致命傷を与えられるに違い
 ないと。彼はそうなることを心から期待していた。しかし彼の意に反して、何か月経っても心
 臓は停まらなかった。それほど簡単に心臓は停まらないものなのだ。

  遠くでヘリコプターの音が聞こえた。こちらに近づいてくるらしく、音はだんだん大きくな
 っていった。彼は空を見上げ、機影を求めた。それは何らかの大事なメッセージを持った使者
 の到来のように感じられた。しかしその姿はとうとう見えないまま、プロペラの音は遠ざかり、
 やがて西の方向に消えていった。あとには柔らかくとりとめのない、夜の都市のノイズだけが
 残った。

  シロがあのとき求めていたのは、五人のグループを解体してしまうことだったのかもしれな
 い。そういう可能性がつくるの頭にふと浮かんだ。彼はベランダの椅子に座り、その可能性に
 少しずつ具体的なかたちを与えていった。
  高校時代の五人はほとんど隙間なく、ぴたりと調和していた。彼らは互いをあるがままに受
 け入れ、理解し合った。一人ひとりがそこに深い幸福感を抱けた。しかしそんな至福が永遠に
 続くわけはない。楽園はいつしか失われるものだ。人はそれぞれに違った速度で成長していく
 し、進む方向も異なってくる。時が経つにつれ、そこには避けがたく違和が生じていっただろ
 う。微妙な亀裂も現れただろう。そしてそれはやがて微妙なというあたりでは収まらないもの
 になっていったはずだ。

  シロの精神はおそらく、そういう来るべきもの圧迫に耐えられなかったのだろう。今のう
 ちにそのグループとの精神的な連動を解いておかないことには、その崩壊の巻き添えになり、
 自分も致命的に損なわれてしまうと感じたのかもしれない。沈没する船の生む渦に呑まれ、海
 底に引きずり込まれる漂流者みたいに。
  その感覚はつくるにもある程度理解できるものだった。今では理解できるということだ。お
 そらくは性的な抑制がもたらす緊張が、そこで少なからぬ意味を持ち始めていたに違いない。
 つくるはそう想像する。生々しい性夢を後口抜にもたらすことになったのも、おそらくはその 
 緊張の延長線上にあるものだったのだろう。それはまた他の四人にも何かを--どんなものか
 は知れないが--もたらしていたかもしれない。
  
  シロはおそらくそんな状況から逃げ出したかったのだろう。感情のコントロールを絶え間な
 く要求する緊密な人間関係に、それ以上耐えられなくなったのかもしれない。シロは五人の中
 では疑いの余地なく、最も感受性の強い人間だった。そしておそらく誰よりも早く、その軋み
 を聞き取ったのだろう。しかし彼女には、自らの力でその輪の外に逃れることはできない。そ
 こまでの強さを彼女は具えていない。だからシロはつくるを背教者に仕立てる。つくるはその
 時点で、サークルの外に出て行った最初のメンバーとして、その共同体の最も弱いリンクにな
 っていた。言い換えれば、彼には罰される資格があった。そして彼女が誰かにレイプされたと
 き(誰がどのような状況で彼女を犯し妊娠させたのか、それはたぶん永遠に謎のままだろう)、
 ショックのもたらすヒステリックな混乱の中で、彼女は電車の非常停止装置を引くみたいに、
 渾身の力を込めてその弱いリンクを引きちぎったのだ。
  そう考えるといろんな筋が通るかもしれない。彼女はそのときおそらくは本能の命じるまま
 に、つくるを踏み台にして閉塞の壁を乗り越えようとした。多崎つくるならそんな立場に置か
 れても、それなりにうまく生き残っていけるはずだ、シロはそう直観したのだろう。エリが冷
 静にそういう結論に達したのと同じように。
  
  冷静でいつもクールに自分のペースを守る多崎つくるくん。

  つくるはベランダの椅子から立ち上がり、部屋に戻った。棚からカティーサークの瓶を出し
 てグラスに注ぎ、それを手に再びベランダに出た。そして椅子に腰を下ろし、右手の指先でし
 ばらくこめかみを押さえた。
  いや、おれは冷静でもなければ、常にクールに自分のペースを守っているわけでもない。そ
 れはだだバランスの問題に過ぎない。自分の抱える重みを支点の左右に、習慣的にうまく振り
 分けているだけだ。他人の目には涼しげに映るかもしれない。でもそれは決して簡単な作業で
 はない。見た目よりは手間がかかる。そして均衡がうまくとれているからといって、支点にか
 かる総重量が僅かでも軽くなるわけではないのだ。
 
  それでも彼はシロを--ユズを--赦すことができた。彼女は深い傷を負いながら、ただ自
 分を必死に護ろうとしていたのだ。彼女は弱い人間だった。自分を保護するための十分な堅い
 殼を身につけることができなかった。迫った危機を前にして、少しでも安全な場所を見つける
 のが精一杯で、そのための手段を選んでいる余裕はなかった。誰に彼女を貴められるだろう?
 しかし結局のところ、どれだけ遠くに逃げても、逃げ切ることはできなかった。暴力を忍ばせ
 た暗い影が、執拗に彼女のあとを追った。エリが「悪霊」と呼んだものだ。そして静かな冷た
 い雨の降る五月の夜に、それが彼女の部屋のドアをノックし、彼女の細く美しい喉を紐で絞め
 て殺した。おそらくは前もって決められていた場所で、前もって決められていた時刻に。




  つくるは部屋に戻り、受話器をとって、その意味を深く考えないまま短縮番号を押し、沙羅
 に電話をかけた。しかし三回コール音が聞こえたあとではっと我に返り、思い直して受話器を
 置いた。時刻はもう遅い。そして明日になれば彼女に会える。顔を合わせて話をすることがで 
 きる。その前に中途半端なかたちで話をするべきじゃない。それはよくわかっていた。しかし
 何はともあれ、彼は今すぐ沙羅の声を耳にしたかった。それは自然に内側から湧き起こってき
 た感情だった。その衝動をつくるは抑えることができなかった。
  彼はラザール・ベルマンの演奏する『巡礼の年』をターンテーブルに載せ、針を落とした。
 心を定め、その音楽に耳を澄ませた。ハメーンリンナの湖畔の風景が浮かんだ。窓の白いレー
 スのカーテンが風にそよぎ、小さなボートが波に揺られてかたかたという音を立てていた。林
 の中では親鳥が辛抱強く小鳥に啼き方を敦えていた。エリの髪には柑橘類のシャンプーの匂い
 が残っていた。彼女の乳房は柔らかく豊穣で、そこには生き続けることの密な重みがあった。
 道案内をしてくれた気むずかしそうな老人は夏草の中に硬い痰を吐いた。大は幸福そうに尻尾
 を振ってルノーの荷物席に飛び乗った。そんな情景の記憶を辿っているうちに、そこにあった
 胸の痛みが戻ってきた。



  つくるはカティーサークのグラスを傾け、スコッチ・ウィスキーの香りを昧わった。胃の奥
 加ほんのりと無くなった。.大学二年生の夏から冬にかけて、死ぬことばかり考えていた日々、
 毎晩こうして小さなグラスに一杯、ウィスキーを飲んだものだ。そうしないことにはうまく眠
 れなかった。
  唐突に電話のベルが鳴り出した。彼はソファから立ち、リフトでレコードの針を上げ、電話
 機の前に立った。それが沙羅からの電話であることはおそらく間違いない。こんな時刻に電話
 をかけてくる相手は彼女しかいない。つくる加電話をかけたことを知って、コールバックして 
 きたのだろう。受話器を取るべきかどうか、コールが十二回続くあいだ、つくるは迷っていた。
 唇を堅く結び、息をひそめ、電話機をじっと見ていた。黒板に書かれた長く難解な数式の手が
 かりを求めて、少し離れたところから細部を検分する人のように。しかし手がかりは得られな
 かった。ベルはやがて削み、沈黙があとに続いた。含みを持った深い沈黙だった。
  
  つくるはその沈黙を埋めるために、再びレコードに針を下ろし、ソファに戻って音楽の続き
 に耳を澄ませた。今度は具体的なことを何ひとつ考えないように努めた。目を閉じ、頭を空白
 にし音楽そのものに意識を集中した。やがてそのメロディーに誘い出されるように、瞼の裏側
 に様々なイメージが次々に浮かび、浮かんでは消えていった。具象性や意味を持だない一連の
 形象だった。それらは意識の暗い縁からぼんやりと現れ、可視領域を音もなく横切り別の縁に
 吸い込まれて消えていった。顕微鏡の円形の視野を横切っていく、謎めいた輪郭を持った徹生
 物のように。

  十五分後にまた電話のベルが鳴ったが、つくるはやはり受話器を取らなかった。今度は音楽
 も止めず、ソファに腰を下ろしたまま、その黒い受話器をただ注視していた。ベルの回数も数
 えなかった。そのうちにベルは止み、聞こえるのは音楽だけになった。
  沙羅、と彼は思った。君の声が聞きたい。他の何よりも聞きたい。でも今は話すことができ
 ないんだ。
  明日、沙羅はおれではなく、あのもう一人の男を選ぶかもしれない。彼はソファに横になり、
 目を閉じてそう思った。それは十分起こり得ることだし、彼女にとってはむしろそちらが正し
 い選択なのかもしれない。

  相手の男がどういう人間なのか、二人がどのような関係を結んでいるのか、どれくらい長く
 つき合ってきたのか、つくるには知りようがない。また知りたいという気持ちもない。ただひ
 とつ言えるのは、今の時点でつくるが沙羅に差し出せるものは、とても僅かしかないというこ
 とだ。限られた凱の、限られた種類のものだ。そして内容的に見れば、おおむね取るに足らな
 いものでしかない。そんなものを誰かが本気で欲しがるだろうか?
  沙羅はおれに好意を持っていると言う。それはおそらく本当だろう。しかし世の中には好意
 だけではまかないきれないものごとが数多くある。人生は長く、時として過酷なものだ。犠牲
 者が必要とされる場合もある。誰かがその役を務めなくてはならない。そして人の身体は脆く、 
 傷つきやすく、切れば血が流れるように作られている。

  いずれにせよもし明日、沙羅がおれを選ばなかったなら、おれは本当に死んでしまうだろう、
 と彼は思う。現実的に死ぬか、あるいは比喩的に死ぬか、どちらにしてもたいした変わりはな
 。でもたぶんおれは今度こそ、確実に息を引き取ることだろう。色彩を持たない多埼つくる
 は完全に色を失い、この世界から密やかに退場していくだろう。すべては無となり、あとに残
 るのは一握りの硬く凍った土塊だけ、ということになるかもしれない。
  たいしたことじゃない、と彼は自分に言い聞かせる。それはこれまでに幾度も起こりかけた
 ことだし、実際に起こっていたとして何の不思議もないことだった。ただの物理的な現象に過 
 ぎない。巻かれていた時計のねじがだんだん緩んで、モーメントが限りなくゼロに近くなり、
 やがて歯車が最後の動きを血め、針がひとつの位置にぴたりと停止する。沈黙が降りる。それ
 だけのことじやないか。

  日付が変わる前にベッドに入り、枕元の明かりを消した。沙羅が出てくる夢が見られるとい
 いのだが、とつくるは思った。エロテイックな夢でもいいし、そうでなくてもいい。しかしで
 きることなら、あまり哀しくない夢がいい。彼女の身体に手を触れられる夢なら言うことはな
 い。それは所詮夢なのだから。

  彼の心は沙羅を求めていた。そんな風に、心から誰かを求められるというのは、なんて素晴
 らしいことだろう。つくるはそのことを強く実感した。とても久しぶりに。あるいはそれは初
 めてのことかもしれない。もちろんすべてが素晴らしいわけではない。同時に胸の痛みがあり、
 息苦しさがある。恐れがあり、暗い揺れ戻しがある。しかしそのようなきつさでさえ、今は愛
 おしさの大事な一部となっている。彼は自分か今抱いているそのような気持ちを失いたくなか
 った、一度失ってしまえば、もう二度とその温かみには巡り合えないかもしれない。それをな
 くすくらいなら、まだ自分自身を失ってしまった方がいい。
 「ねえ、つくる、君は彼女を手に入れるべきだよ。どんな事情があろうと。もしここで彼女を
 離してしまったら、もう誰も手に入れられないかもしれないよ」

  エリはそう言った。彼女の言うとおりなのだろう。何があろうと沙羅を手に入れなくてはな
 らない。それは彼にもわかる。しかし言うまでもなく、彼一人で決められることではない。そ
 れは一人の心と、もう一人の心との間の問題なのだ。与えるべきものがあり、受け取るべきも
 のがある。いずれにせよすべては明日のことだ。もし沙羅がおれを選び、受け入れてくれるな
 ら、すぐにでも結婚を申し込もう。そして今の自分に差し出せるだけのものを、それが何であ
 れ、そっくり差し出そう。深い森に迷い込んで、悪いこびとたちにつかまらないうちに。




 「すべてが時の流れに消えてしまったわけじゃないんだ」、それがつくるがフィンランドの湖
 の畔で、エリに別れ際に伝えるべきこと-でもそのときには言葉にできなかったことだった。
 「僕らはあのころ何かを強く信じていたし、何かを強く信じることのできる自分を持っていた。
 そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない」
  彼は心を静め、目を閉じて眠りについた。意識の最後尾の明かりが、遠ざかっていく最終の

 特急列車のように、徐々にスピードを増しながら小さくなり、夜の奥に吸い込まれて消えた。
  あとには白樺の木立を抜ける風の音だけが残った。

 

                                     PP.361-370
                         
                村上春樹 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

 



  I once had a girl or should I say she once had me?
 She showed me her room "Isn't it good, Norwegian wood?"

 She asked me to stay
 And she told me to sit anywhere
 So I looked around
 And I noticed there wasn't a chair

 I sat on a rug, biding my time
 Drinking her wine
 We talked until two
 And then she said, "It's time for bed"

 She told me she worked in the morning
 And started to laugh
 I told her I didn't
 And crawled off to sleep in the bath

 And when I awoke I was alone
 This bird had flown
 So I lit a fire
 Isn't it good, Norwegian wood ?

 



 

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チューリップの粉茶

2013年04月10日 | 医療健康術

 

 

 【能見マートン、1Q84 Book3】

 

 

 

【チューリップの粉茶】

今朝は、日々の疲れの蓄積かスケジュール通りの仕事を果たさず、途中から別のことを考え出し。と
いうよりか、チューリップの「心の旅」の歌と共に25年前ごろの仕事中の思い出が去来したというの
が実のところだ。というのもこのブログを立ち上げてすぐに「医食同源」をテーマに漢方薬、薬草を
調べていたが、いろいろと試してみた結果、緑茶が一番という結論に落ち着いた。釈迦に説法なのだ
が、茶葉に含まれるポリフェノールの一種のカテキン類は、お茶の苦味と渋味成分で、すべての味成
分のうち最も多く含まれている。特に強力なのは抗酸化作用で、ビタミンCやビタミンEの数十倍か
ら数百倍にもなる。その他に、リフレッシュ効果をもたらす爽やかな甘みと旨味成分のテアニン、利
尿や体脂肪分解をうながすカフェイン、そしてビタミンCが含まれる。それだけでない、カテキンの
一種と男性機能不全(ED)治療薬を併用投与することで、正常な細胞を傷つけずにがん細胞のみを殺
し、高い抗がん作用を発揮することが突き止められている(『抗癌最終戦観戦記Ⅰ』)。




今夜はその話ではない。プラザ合意以降のわたしの職場は増産につぐ増産で、文字通り飛ぶ鳥を落と
す勢いだった。記憶は当てにならないが、どういう訳か頻繁にコンタクトするようになった(商売に
余りならないのにだが)。来るもの拒まずで、ソーダニッカの若き営業マンとその後数年間関係がつ
づく。
その彼が静岡出身といこともあり、ある日、お茶の話になりお茶のレクチャを受けていた時、
「茶葉
だけでなく、小枝を含めてミーリングして販売すれば、無駄なく、有効成分の品質も落とすこ
となく
結構な売り上げになるのでは?」と話を持ちかけたことを記憶している。いまでこそ、回転寿
司では
粉茶が当たり前に出されているが、当時は、そんなどころでなく、緑茶の売り上げの最低を記
録する
1992年前の市場状態だったから、話だけで終わるのだが、今ならさらに用途は拡大する状態だ
から、
二人で世界市場をにらみ、飲料水だけではなく医療、畜養の食餌向けに顧客として相当の事業
ができ
ていたはずだとそんなことを考えた。 

 


そこで、粉茶製造機について、リフレッシュ感覚でネット検索する。医療品業界や健康⾷品業界など
で数ミクロンから数10ミクロンの微粉末原料を用いた新規カテゴリー商品の開発や現有商品の付加価
値向上が大きな流れとなっているが、1つには、食材の微粉化が現在の健康志向の高まりに合致した
新たな価値を新商品に付与でき、さまざまな食材をこれまで以上に細かな微粉末にすることで、従来
商品では達成できなかった食材が本来有する有効成分の摂取が可能となり、新商品の魅力的な付加価
値にできる。また食材の微粉化が食品廃棄物低減の有効な手段となり、廃棄物がもたらす環境への負
荷は大きな社会問題で製造過程で、大量発生する食品廃棄物の減少が重要テーマとなっている。高度
な度な粉砕技術、粉砕するときに発生する熱で素材の変性や異物混入可能な限り抑制する微粉砕技術
が求められている。これまで食品原料の粉砕に使用されてきた粉砕機には回転衝撃式、ロール式、媒
体式、石臼式、カッター式などあるが、原料に衝撃、圧縮、摩擦、せん断といった機械的外力を加え
素材を細かく粉砕しようとすればするほど、粉砕時の熱の発生が避けられず食品原料を熱の発生を抑
えて微粉末化することはきわめて困難とされてきた。それを解決する装置が上図のドリームミルであ
る(図をクリック)。 

また、上図(図をクリック)は、植物の生の葉にマイクロ波を一次照射した後、一定の休止期間をお
いて水分と
温度を均してからマイクロ波を二次照射し、次いで粉砕処理することによって微粉末化し、
生葉の葉
緑素を容易に、効果的に摂取又は抽出可能な方法で、生葉全体に均一に内部の水分が外部に
発熱移行
して蒸発させ効果的に乾燥させ、次いで行われる微粉末化処理が円滑かつ効果的に行う。休
止期間を
おくと歩留りが向上し、二次照射による焙煎効果によって香りが増し、また葉緑素や有用成
分の吸収
が容易となり植物の生葉から効果的に機能し易い活性化葉緑素を量産すると共に、活性化葉
緑素を摂
取し易いような生葉の微粉末を簡易な方法で効率的に、均質に製造可能な技術を実現する。
いわば、
電子レンジの大きくしたものを利用するのだが、25年前はまだ電子レンジが普及していな
かった時
代だ。因みに、1966年のシャープ(早川電機工業)の国産初のターンテーブル式のR-600 は
198,000円
だった。

さて、植物の葉に含まれている葉緑素(クロロフィル)は、タンパク質などの頑固な汚れを分解する
作用がある。石鹸やクレンジングなどに配合すると洗顔料などとして適し、小腸の絨毛間を掃除する
ので、小腸内のデトックス効果も期待でき、また、紫外線を防ぐ作用があるので、化粧品などに含ま
せると、肌への進入を防げる。さらに、傷んだ肌の再生を早めるので、皮膚の組織が活性化し、自然
治癒を促すほか、インターフェロンを増やして免疫力を強化する作用やコレステロールの抑制作用も
注目され、加えて、葉緑素の化学式は、人間のヘモグロビンの化学式と極めて近似し、血液サラサラ
作用や造血作用、抹消血管拡張作用、血液をきれいにするので自然治癒力も向上。お茶をはじめ多く
の緑色植物の特徴とする「葉緑素」は植物の「葉」の部分に多く含まれて、今日多くの企業がこの葉
緑素の抽出による健康食品や化粧品、医薬品等への利用を目論み様々な抽出法の取り組みが行われ、
桑の葉の粉末はじめ多くの緑色葉の粉末商品が市販されているが、細胞壁が障害となりその特有とす
る各成分が十分に抽出されない。この新規考案の特徴は、新鮮な植物としての水分が残存した状態の
生の葉から、葉緑素としての効能を発揮し易い活性化状態の生葉粉末と各種生葉特有の有用成分を均
質にかつ安価に抽出採取又は製品化可能なマイクロ波加熱乾燥法を実現すると共に生産した生葉微粉
末の効果的な活用法を実現することにあり、この応用に薬用的有効成分の他、葉に由来する赤、黄色、
紫など花の色素も抽出することができ、この色素原料の粉末化も可能となる。



ところで、その後彼はどうしているか?年賀状が届く程度だが、相当優秀な若者という印象が残って
いる。しかし、余り欲張ってもしかたないが、もっと楽しいビジネスを彼のために展開させたかった
という思いが残った。その当時、金星社(LEG)のプラント建設のスーパーバイズで朴大統領の出
身地の亀尾市の工業団地出張などで忙しくしていたが、そんなときに大阪で彼らと食事して、カラオ
ケでチューリップの“心の旅”を歌っていた記憶がクロスした。

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抗癌最終観戦記Ⅱ

2013年03月19日 | 医療健康術

 


 

 

緑茶に含まれるカテキンの一種と男性機能不全(ED)治療薬を併用投与することで、正常な細胞を
傷つけずにがん細胞のみを殺し、高い抗がん作用を発揮することを、九州大大
学院農学研究院の立
花宏文教授の研究チームが突き止めたニュースをこのブログで掲載したばかりなのに(『抗癌最終
観戦記Ⅰ
』)、九大生体防御医学研究所の中山敬一教授らの研究チームは、抗がん剤が効きにくい
がん幹細胞を標的にした治療法を開発、マウスで効果を実証したニュースが届く。それによると、
増殖が速いがん細胞は、常に細胞分裂を行い、抗がん剤や放射線治療はこの分裂中の細胞を標的に
している。一方、がん幹細胞は増殖が遅く、ほとんどが増殖しない「静止期」にとどまり抗がん剤
などは効きにくく、再発のもとになっていたが、細胞を静止期にとどまらせる遺伝子「Fbxw7」に
着目。血液のがんである白血病を発症させたマウスの同遺伝子が働かないように操作したところ、
静止期にとどまるがん幹細胞が急減。このマウスに抗がん剤を投与すると、無治療のマウスや、抗
がん剤のみを投与したマウスに比べ、生存率が大幅に向上。同様の仕組みは、白血病以外のがんで
も予測されているほか、同種の遺伝子はヒトでも確認されているという。中山教授は「増えない細
胞がなぜ静止期にあるかを突き止め、静止期から追い出して、たたくことができた」と話しており、
今後数年をかけて、Fbxw7を一時的に働かなくする薬の実用化のめどを付けるという。

それにしても癌細胞を根絶する抗体医薬品アプローチとはどんなものなのか?ここで再びお復習い
してみた(『進化を続ける抗体医薬』、角田浩行・服部有宏@「バイオサイエンスとインダストリ
ー vol.71 N0,2(2013)」)。ゲノム創薬や、標的分子
に特異的に作用する分子標的医薬の創製
(→分子標的治療)が盛んに行われ、分子標的医薬の中で抗体医薬品は、標的分子に対する高い特
異性と少ない副作用という特長から、21世紀に入り最も注目されている医薬品だ。
抗体の代表的な
分子であるIgGは、H鎖(VH、CH1CH2、CH3からなる)とL鎖(VL、CLからなる)の2
種のポリペプチドが
それぞれ2本ずつ、計4本がジスルフィド結合により結合した糖
タンパク質(上図参照)。可変領域
(VHおよびVL)のアミノ酸配列の多様性により多様な標的分子に対し
て高い特異性と親和性が生み出
され、抗体は元来が生体内分子のため副
作用が少なく、高い安全性が期待されているものだ。


また、体内で安定かつ血中半減期が長いために効果が長期間持続
する。さらに、抗体は多様な作用
メカニズムの薬効特徴をもち、(1)
受容体に結合し生体の反応を遮断する中和作用を有し(2)
標的分子を追尾能力を持つ-専門的に「抗体のFc領域はNK細胞やマクロファージ上のFcレセプタ
ーに結合することにより、これらの細胞
を活性化させ、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を誘導する。
エフェクター細胞ではなく、血液中の補体成
分を活性化させ補体依存性細胞傷害活性(CDC)を誘導す
」ということになる。なので、ここでは出来る限り分かりやすいように?翻意したい。

1975年にKohlerとMilsteinが細胞融合技術を応用したモノクローナル抗体作製法を報告して以来、
ノクローナル抗体は医学・生物学の研究材料、臨床診断薬として貢献をする。1980年代後半には
遺伝子工学的手法を利用して、マウス抗体の可変領域や抗
原との結合に直接関わる抗原結合部位
(CDR)を残し、他の部分をヒト抗体に置換したキメラ抗体やヒト化抗体を作製する技術が確立。
1990年代以降には、ファージ提示法を用いたヒト抗体ライブラリー技術、ヒト抗体遺伝子座をマウ
ス染色体に移入したヒト抗体産生トランスジェニックマウスを利用し
た抗体作製技術が確立され、
免疫原性の問題が
回避できるようになり、抗体の医薬品への応用が急速に加速する。

過去10年間で抗体医薬品の承認数は急速に伸び、2012年末までに日欧米で承認された抗体医薬品は、
マウス/ラット抗体5種、キメラ抗体6種類、ヒト化抗体16種類、ヒト抗体9種類を含む合計36品
目に達
している。マウス抗体では80%の高頻度で免疫原性が確認されていたが、キメラ抗体では改
善がみられ、
ヒト化抗体、ヒト抗体では15%以下まで低減されており両者はほとんど差異のないこ
とが報告されている。


図 抗体医療品の作用メカニズム

抗体医薬品が有する作用機序を上図にまとめると、最も多い作用機序は 上図右のリガンド(=免
疫原性)と受容体の結合や受容体からのシグナル伝達を阻害する作用。がん治療用抗体の中で、こ
の作用機序を有するものがBevacizumab、Cetuximab、Panitumumab、Trastuzumabであり、免疫炎症
領域ではすべての抗体医薬品がこの作用機序で効果を示す。Bevacizumabは、血管新生に関与する
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に結合してその作用を阻害する抗体で、がん組織への血管形成を妨げ
ることにより、栄養供給を断ってがん細胞を傷害する。Bevacizumabは多くの種類のがんに対して
有効であると考えられており、米国では結腸・直腸がんや非小細胞肺がん、HER2陰性の乳がんへの
適応が承認されている。また、現在も多種類のがん種に対して化学療法剤との併用による臨床試験
が行われている。


CetuximabPanjtumumabは上皮性増殖因子(EGF)の受容体を標的とする抗体であり、EGFによる増殖
シグナルを遮断してがん細胞の増殖を抑制する抗体であり、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直
腸がんに
対して承認されている。Trastuzumabは標的分子であるEGF受容体ファミリーの1つである
HER2を過剰発現する転移性乳がんの治療薬である。HER2に結合することにより増殖シグナルを遮断
するという作用のほかに、ADCC
によりがん細胞を殺傷することが主な作用機序とされている。ADC
CやCDCは、がん治療用抗体に広く
利用可能な作用機序である。これらの作用を有する抗体で、2010
年の医薬品売上でも上位に入るのが抗
CD20抗体のRituximabである。Rituximab はOKT3に次ぎ1997年
に承認され、非ホジキンリンパ腫に対
して著効を示したことから、リンパ腫の治療体系を変えた画
期的な薬剤の1つである。それ以降、CD20を
標的とした抗体医薬が各社で開発されている。承認ま
たは臨床開発中の抗CD20抗体は19種類にも及ん
でいる。

  

図 フコース非修飾抗体が高ADCC活性を発揮するメカニズム

ADCC を主な作用機序とするRituximabOfatumumabに加え、放射性同位元素イットリウム90で標識
された抗CD20抗体であるいibritumomabtiuxetanやヨード131で標識された抗CD20抗体であるiodine-
131tositumomabが承認され、いわゆるミサイル療法としての抗体医薬品も実用化されてきた。
ibritumomab tiuxetan はRituximabに抵抗性の症例に対しても有効性が示されている。ミサイル療
法による抗体医薬品に関しては、細胞傷害活性を待つ低分子化合物を抗体に結合させたAntibody
Drug Conjugate (ADC)という分子形の開発が注目を浴びている。最初に承認されたADCは2000年に
上市されたGemutuzumab ozogamicinであり、Calicheamicinを結合した抗CD33抗体である。その後
の10年間は様々なADCが開発されたが、副作用が原因で承認には至っていない。これらADCの研究開
発から明らかになった課題は、標的抗原の発現量やがん細胞特異性および抗体結合後の細胞内移行
性、抗体と化合物を結合させるリンカーの設計で、申請中のTrastuzumab emtansine(T-DM1)は、
Trastuzumabにmaytansinoid cytotoxinを結合しがん細胞内に取り込まれた後にDM1を放出し
がん細胞を傷害するように設計されており、Trastuzumabで効果が弱かった患者群にも効果を示すこ
とが確認されている。また、2011年に承認されたBrentuximab Wdotin は、抗CD30抗体にMonomethy
l
auristatin E(MMAE)を結合した新しいタイプのADCであり、この技術を保有するベンチャーのSeattle
Genetics社が関発した初めての抗体医薬品である。2011年にがん治療用抗体の1つが細胞傷害性T
リンパ球抗原(CTLA-4)に対する抗体lpilimumabである。通常、がん治療用抗体の標的と成り得る抗
原は、がん細胞特異的に発現する表面分子やがん細胞の増殖に関与する可溶性分子から選定された。
一方で、lpilimumabは免疫機能を抑制するCTLA-4の機能を阻害し、細胞傷害性T細胞の働きを高め
がん細胞を殺傷する新しいタイプのがん治療用抗体である。進行したメラノーマは治療選択肢が限
られている深刻な疾患であったが、lpilimumabは新しい作用機序により転移性メラノーマ患者の生
存期間の延長を示した最初の医薬品として注目されているという。


その他の疾患領域の抗体医薬品の中で、RSウイルス(呼吸器多核体ウイルス)のFタンパク質に対す
る抗体Palivizumabは比較的古く1998年に承認された医薬品である。RSウイルスは乳幼児に重症の
肺炎気管支炎を起こすウイルスで、通常は感染しても数週間で回復するが、先天的に呼吸器に疾患
を持つ乳幼児が感染すると重症化しやすい。そのため、感染抑制のため予防的に投与される。2012
年に炭疸菌の毒素に対する抗体RaxibacumabがFDAに承認された。バイオテロ対策という特殊な
事情から、臨床試験を実施せずに非臨床試験のみで承認された抗体医薬として話題になった。

現在、臨床試験が実施されている抗体医薬品の数が、2012年末時点で約400種類が報告されている
が、
多くの開発品が同一抗原に集中しており、抗原ごとに開発品目を整理すると約150種類の抗体
医薬品
は20種類の抗原に集中している。このように熾烈な開発競争が行われている状況下で価値の
高い抗
体医薬品を創出して医療の発展に貢献するためには、有用な抗体創製技術を継続的に開発す
る必要
があり、抗体の改良技術は可変領域の改良と定常領域の改良に分類することができる。可変
領域は
主に抗原に対する結合特性に関与しているが、薬物動態や物理化学的性質にも影響を与える
ことか
ら、可変領域を改変し性質を向上させることができる。定常領域は主にエフェクター機能
薬物動態に関与し、様々なFc受容体に対する結合特性を制御す
ることで、これらの性質を改良する
ことが可能である。なお、抗体医薬の改良ポイントは、①薬効増強・
副作用低減、②利便性の向上
③コスト低減の3つに大別できる

さらに、①薬効増強・副作用低減として、(1)抗原体の結合親和性の制御(2)バイスペシフィ
ック抗体(3)エフェクター機能誘導活性の制御などからのアプローチが、また、②利便性の向上
のために、
抗体医薬の低用量化や投与頻度の低減は、静脈内投与を皮下投与に切り替えることがで
き、また通院回
数を減らすことにつながるため利便性の向上に寄与し、抗体医薬の投与量や投与頻
度は、抗原と抗体の体
内動態により決定される。③コスト低減として  

コスト低減の観点では、バイオ後続品(バイオシミラーとも呼ばれる)があり、
先行バイオ医薬品の
特許が満了し、異なる製造販売業者により開発される同等のバイオ医薬品と定
義されるがバイオ後
続品は、低分子医薬品の後発品(ジェネリック医薬品とも呼ばれる)と異なり、科学的
に「同一」では
ないことから、異なる開発プロセスや要件が必要とされ、新薬開発と同様のフル
パッケージの申請
データにより承認申請を行い、先行バイオ医薬品との比較から得られたデータに基づき、
先行バイ
オ医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として開発できるが、
フルパッケー
の申請データが必要であることや、製造に関しての投資が高額となり低分子医薬品の場合のように
はに行かない

 
        
この領域における技術革新は日進月歩で、一般的なIgG分子に関する改良技術は成熟しつつある。た
だ、
技術がますます成熟し普遍化すると、技術による差別化ができず、近い将来に開発される抗体
医薬品は、フォロワーの余地を残さない完成度の高いものがいきなり市場に投入されると考えられ
るが、完成度の高いもの、抗体分子の特性を熟知し、常に最先端の技術とノウハウを確保し、独自の
技術を磨く必要がある。抗体分子の複雑さや生体機能の複雑さから一朝一タに獲得できるものでは
ない。成功の最大の鍵は、良い標的抗原の選択と、それに対する抗体にどのような機能を付与する
か、それらの組み合わせる独自アイデアが前提になる。標的抗原と病態との関連を深く知る医学・
薬学の、抗体分子の限界と可能性を熟知した抗体創薬の研究者の密接な連携の重要性が指定されて
いる。

慌ただしく、新しい情報に食らいつく習性は個性といえばそうなんだろうが、専門用語が続出する
医療・薬学用語は、経験からすると役立つ確率が低いが、その後役に立ったことがあった(微量成
分自動測定器や廃液の生物処理装置などの開発)。そんなことを考えながら、“進化は自然な生き
る証”なんだと自嘲気味に腑に落すと同時に「オールバイオマスシステム構想」(エネルギー環境)
が浮かんできた。これは早くまとめなくちゃと...。


   

 

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抗癌最終戦観戦記Ⅰ

2013年01月30日 | 医療健康術

 

 

  Zuppa di cipolle gratinata

 

【イタリア版食いしん坊万歳 オニオン・グラタン】

材 料:タマネギ 1.5kg、バター 120g、フォンティーナチーズ 100g、パン,パルメザンか
    パダノのおろしチーズ、塩、コショウ、ブイヨン、(グリュイエルチーズ,卵黄)




作り方:これはイタリア北部ロンバルディア地方特有の調理法で、まずバターの半分をフライ
    パンで熱し、薄く刻んだタマネギを加える。色
づかないように弱火で、タマネギがと
    ろとろに煮くずれするまで炒
め、水分がなくなってきたら、沸騰させたブイヨンをレ
    ードル1杯
分加え、最終的には全部を注ぎ込み、塩、コショウで調味する。スープが
    濃くなるように30分ほど煮込み、全体を裏ごしする。煮
込んでいる間に、パンの薄切
    りを12枚作り、バターで炒めて狐色に
し、それらの上に薄切りにしたフオンティーナ
    チーズをのせる。バ
ターを塗った天仮にそれらをのせて、オーブンの中に入れ,チー
    ズ
が柔らかくなるまで焼く。そうしたら、6枚の薄切りを浅鍋の底に敷くが、浅鍋は
    なるべく
陶器のものがいい。そこにスープを層になるように注ぎ込み、その上にあと
    の6枚の薄切りをのせ、さらに残りのスープを注ぎ、
上にパルメザンかパダノのおろ
    しチーズをたっぶりとかける。後
はグラタンを作るようにオーブンに入れる。


 

 

【史上最強のタックル】 

緑茶カテキンが一般医療品ではなく、健康食品として、高騰する医療薬剤費抑制に有効で、米国の
オバマ大統領も注目していることなどブログ掲載してきたが、体内脂肪燃焼効果があるとして花王
の「ヘルシア」が売り上げを続伸し、他の製薬、飲料水、化粧品メーカなども追随し市場も安定し
てきている。現在では、カテキンの生理作用として、抗酸化作用、抗ガン作用、抗アレルギー作用、
血圧上昇抑制作用、動脈硬化抑制作用、脂質代謝改善作用などが報告されており、お茶による生活
慣病の予防効果に期待が寄せられている。このうちの抗ガン作用について漠然として効果があり
そうだという程度で疫学的レベルで認識されてきたが、その作用機構については定かでなかった。



ところが、このほど緑茶に含まれるカテキンの一種と男性機能不全(ED)治療薬を併用投与するこ
とで、正常な細胞を傷つけずにがん細胞のみを殺し、高い抗がん作用を発揮することを、九州大大
学院農学研究院の立花宏文教授の研究チームが突き止めたのだ。わかりやすく言うと、ヘルシアと
バイアグラの最強タックルでガンから身を守れるのではという福音が届いたのだ。さて、研究成果
は25日、米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に掲載された。

立花教授によると、これまで抗がん剤が効かなかったケースでも、高い効果が期待できるという。
早ければ年内にも米国で臨床実験を実施する。同教授のチームは2004年、「エピガロカテキンガレ
ート(EGCG)」と呼ばれるカテキンの一種ががん細胞の細胞膜表面にあるたんぱく質と結合するこ
とで、がん細胞を特定して殺す仕組みを解明。今回の研究では、EGCGの抗がん作用を阻害する酵素
に着目し、この酵素の働きを抑える化合物を含むED治療薬を投与したところ、抗がん作用を高める
ことに成功した。
マウスにヒトの乳がん細胞を移植した実験では、2日に1回、EGCGED治療薬を投
与した結果、16日間でがん細胞が死滅した。多発性骨髄腫や胃がん、膵臓
がん、前立腺がんでも同様
の効果が得られたという。

立花宏文教授らは、カテキン類の保健作用がその高い抗酸化活性と関連させたものがほとんどの中
緑茶カテキンがガン細胞の増殖を抑制し、その抑制効果がカテキンの種類によって著しく異なるこ
と、さらに抑制効果のあるEGCGはガン細胞の表面に結合することができるが、抑制効果のないカ
テキンには結合性がないことに気づく。緑茶カテキンを受け取ってその生理作用を仲介する分子が
細胞表面上に存在するのではないと考えた。しかし、そのような分子の存在はこれまでに報告され
ていず、そのため、テキンの細胞表面上の標的分子を遺伝子工学的手法で明確にした(ここで、凄
いことだ!と感心するが、ここからが専門用語のオン・パレードで難解となる)。

茶カテキンを体内に取り込むために(下図参照)、67kDaラミニンレセプター(67LR)という、基
底膜の主要な構成成分のラミニンに結合する細胞膜タンパク質で、悪性度の高いガン細胞では大量
増殖(高発現)する、その増殖、浸潤、転移などに関わり、この67LRがプリオンタンパク質の受容
体と機能する。最近では病原性プリオンタンパク質(別称「発狂するタンパク質」)の増殖に関係
している分子だ。遺伝子学的手法による検討の結果、この67LRが緑茶カテキンの受容体とし働く可
能性を見出し実験を行った。
これまでEGCGの抗ガン作用の研究の多くは、10~100μMという高濃
度で行われていたが、数杯のお茶を摂取しても、EGCGは血中に約1μM程度しか認められていず、
67LRをより多く発現させたガン細胞を用いて生理的な濃度(1μM)でのEGCGの作用を調べたとこ
ろ、顕著にその増殖が抑えられ、
一方、67LRに対する抗体でその細胞の表面に発現する67LRを塞ぐ
と、EGCGの結合が低下し、細胞増殖抑制作用も阻害することを突き止める。つまり、67LRは生理
的な濃度でEGCGの作用を仲介する分子だと。

 

ところで、バイアグラ(シルデナフィル)は、生体内で環状グアノシン一リン酸 (cGMP)の分解
を行っている型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の酵素活性を阻害する。これが陰茎周辺部のNO
(一酸化窒素)
作動性神経に作用して血管を拡張させ、血流量が増えることで機能すると考えられて
いるが、立花教授のチームは2004年に前述したカテキンの「エピガロカテキンガレート(EGCG)」
の一種ががん細胞の細胞膜表面にあるたんぱく質と結合し、がん細胞を特定して殺す仕組みの知見
をベースに、EGCGの抗がん作用を阻害する酵素に着目、この酵素の働きを抑える化合物としてバ
イアグラを含む勃起不全治療薬を投与したところ、抗がん作用を高めることに成功したというわけ
だ。これでこそ‘セレンディピティー’の至福の具現ということだろうが、バイアグラの服用に要
注意ということで今夜はこの辺で!

※ アポトーシス (apoptosis) とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体を
より良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログ
ラムされた細胞死(狭義にはその中の、カスパーゼに依存する型)のこと。これに対し、血行不良、
外傷などによる細胞内外の環境の悪化によって起こる細胞死は、ネクローシス (ギリシャ語の「ν
έκρωσις、necrosis」) または壊死(えし)と呼ばれ、これと区別される。Apoptosis の語源
はギリシャ語の「απόπτωσις 、apoptosisアポプト-シス」:「apo-(離れて)」と「ptosis
(下降)」に由来し、「(枯れ葉などが木から)落ちる」という意味。



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