徳丸無明のブログ

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キングオブコント2022 感想

2022-10-11 22:53:49 | 雑文
急に気温が低くなったり、天候の変化が激しい今日この頃ですが、コント日本一を決める頂上決戦、キングオブコントの感想文などおひとついかがでしょうか。
大会の3日後の記事公開という、だいぶ遅めの感想文となってしまいました。速報性より質ということでご寛容下さい。

個別の感想は以下の通り。まずはファーストステージから。


クロコップ・・・遊戯王的カードバトルと思わせておいてのあっち向いてホイ。最小限の状況説明でネタの設定を理解させているので、スムーズに本編に導入することに成功しています。
1回1回の「ホイ」が笑いどころになっているので、とにかく手数が多い。しかもその手数の多さがくどくないんですね。漫才でもコントでも、ひとつでも多くの笑いを取りたいあまり、むやみに手数が多くなってるネタがありますけど、クロコップのこのネタにはくどさを感じませんでした。ひたすらあっち向いてホイの反復だからでしょうか。
BGMもネタのリズムに合っていて気持ちいいですね。「ダブルフィンガー」で同じ方を指しちゃうのはお笑いの基本。
ヘリコプターに乗る動きも秀逸ですね。ホントに乗ってるように見えましたもん。実物を錯視してしまう演技力。
あとですね、これはクロコップ側の責任じゃないんですけど、あっち向いてホイの、「ホイ」の瞬間に審査員の表情を抜いてるカメラに切り替わる場面が何度もありましたよね。あれはダメですね。「ホイ」の時の、2人の動きがどうなっているかが面白いところなのに、それが映し出されてないんですよ。
あれは、本当に、よくない。ほんっっっっっとに、よくない!
カメラのスイッチング担当の人は1時間正座して反省すること。

ネルソンズ・・・僕は前回のKOCの敗因は、和田まんじゅうのキャラを前面に押し出したネタにしなかった選択ミスだと思っています。そして今回、和田のキャラは立っていました。しかし青山と岸のやり取りがメインになっていて、和田が後景に退いてしまっている。そこがちょっと失敗でしたかね。
結婚式の最中に花嫁を奪いに来たと思わせといて、あとで2次会でしたって明らかにするところはよかったですね。ある程度のキャリアがあっての成せるわざ。
あと、「千鳥のクセがスゴいネタGP」でやってる『ウォーキング・デッド』風のドラマはもう終わりにしたほうがいいと思います。

かが屋・・・ストイックコント職人、かが屋。ストイック過ぎて加賀が体調を崩したことも。
僕は優勝予想の記事で、「かが屋はリアリティを重視しすぎてる。現実的な世界を描きつつも、わずかながら非現実を入れていかないと爆発力のある笑いは生まれない」と書きました。今回は職場の先輩の、妙に芝居がかった、それこそSMの女王様のような口調が、「こんなヤツいねえだろ」ってツッコみたくなる非現実感があってよかったです。でも終盤にもうひと段階、さらに強まったSっぷりを見せてほしかった。そしたらもっと大きな笑いにつながってたと思います。
最小限のセリフと表情で感情と態度の変化を伝える演技力はさすがですね。観客は2人の気持ちを察した瞬間に共感の笑みを浮かべます。
トイレに行く際の、カウンター席→トイレ→電話という一連の流れがゆっくりめで、少し間延びしてるように感じました。僕はあそこの動きを少し速くした方がいいと思ったのですが、あれもかが屋のリアリティなのでしょうか。電話中に席で待ってる相手の表情がじわじわ面白い。
小峠が「扉を使う回数が2回なのがちょうどよかった」って言ってましたけど、僕は逆で、それぞれあと1回くらいトイレ行ってほしかったです。そしたら、カオリとの前後の会話に変化が出たはずで、その落差で笑いが生まれたんじゃないかと思うんですよね。あと最後、大将が絡んでくるのではなく、2人をくっつけるべく裏で糸を引いているとおぼしきカオリが何らかの形で出てきたらよかったんじゃないか、って思っちゃいました。

いぬ・・・ジムのインストラクターと生徒のネタ。お互い前日に同じ夢を見ていて、それが予知夢であったかのように現実になっていく。
飯塚も指摘してましたけど、男同士のキスってちょっとズルいですよね。笑いの取り方としては安易なんで、やるなら1,2回にしとかないと。
相手の腰に足を絡めて上体を持ち上げる動きは、彼らの得意技なのでしょうか。特技をやや強引に詰め込んだ感が否めませんでした。
「ザ・ベストワン」の座談会で、空気階段の2人から優勝候補に名指されていたいぬですが、結果はこの通りに。たぶんほかにもいいネタ持ってるはずなんで、今後に期待します。

ロングコートダディ・・・まず、帽子が看板に引っかかる、ってのが直前にわかっちゃったんですよね。明らかに看板の位置が低かったので。「ああこれ引っかかるな」って思って、実際そうなっちゃったから、個人的にイマイチの滑り出しになっちゃいました。やっぱそういう仕掛けは気づかれないようにしないとダメですね。
「全然」の繰り返しと、感情がまったくわからないシェフの無表情は面白かったです。感情のわからなさが、何を考えてるかわからない不気味さから、単純なプログラミングのロボットを見ているような気持ちになってきます。ADに共感して「雑にあつかっちゃえよ」って言いたくなっちゃう。
吸った息を吐かないって、どうやってるの?
2020年に決勝進出するも、浜ちゃんに顔を覚えてもらえなかったロングコートダディ。今回はどうなるでしょうか。

や団・・・平凡で大人しすぎるネタの入りだったので、少し不安になりましたが、すぐに加速を始めてスピードを増していき、いっさい減速することなく最後まで駆け抜けましたね。
3者3様の役割があり、それがきれいに組み合わさって、全体としてのバランスも取れています。トリオでよくあるような、誰かひとりが働き少なめになったりすることもなく、完成度の高さを感じました。
淡々と殺人の隠蔽を遂行しようとする冷酷さと、異様な状況になってなおネタバラシをしようとしない極度の無邪気さ、どちらが怖いのか。2種類の狂気が共存することの怖面白さ。笑いながら死体の処理法も学べちゃうお得なコント・・・なのか?
優勝予想の記事で、「何度かネタ観たことあるけど印象に残ってない」って書きましたけど、今回で完全に覚えました。や団、侮っていてごめんなさい。

コットン・・・まず、浮気の証拠を隠滅する「浮気証拠バスター」という、ありそうで実在しない職業が面白い。この設定を思いついたというだけで拍手喝采を送りたい。コットンは「容疑者のプロフィールに合わせてカツ丼を作る警察官」のネタとかもありますけど、そういう「実際しないモノ作り」が上手いんですね。
「けっこう長いこといらっしゃったんですね」とか「反動で」とか、私的な感想を挟んでくるうっとうしさも笑えます。「部屋がきれいすぎると逆によくないからワザと髪の毛をまく」とか、「スミノフ、澪、ほろよいは男がひとりで飲まない」などのリアリティも素晴らしい。
冒頭の紹介映像で「きょんの髪型変わったな」って思ってたんですけど、最後の男装のための坊主頭だったんですね。

ビスケットブラザーズ・・・奇天烈なセーラームーンのような原田の格好。そこまでやるかってくらい見た目で笑いを取りに来てる様に、冷めてしまいました。冗談でしかあり得ないミニスカートのセーラー服に、丸見えブリーフ。うーん・・・。
冷淡な気持ちのまま最後まで鑑賞したせいか、イマイチ面白くなかったというのが正直なところ。これで高得点を獲得したのが納得いかないです。僕の感覚がズレてるのか?
ブリーフ引っぱって「大学も行ってる」はよかったですね。あとなんか、似たようなぽっちゃり体型であることからくる面白さというのもあるということがわかりました。
TMレボリューションは「なちぃ~」(by.EXIT兼近)

ニッポンの社長・・・バケモノ(怪獣?)を倒すため、ロボットのパイロットにスカウトされる少年という、『エヴァンゲリオン』的設定。その気になるたびに裏切られ、呆然とした表情で立ち尽くす。
この顔はケツの最大の武器ですね。僕は暗転の多用がそんなに悪いことだとは思わないのですが、ケツの表情に頼りすぎてしまったきらいはあるかもしれません。というより、表情ありきでネタを作ったのでしょうか。僕はわりと面白いと思ったのですが、武器も使い方次第ということですね。

最高の人間・・・優勝予想の記事をちゃんと調べずに書いたんですけど、岡野陽一と吉住のユニットだったんですね。お恥ずかしい。去年からユニットでのエントリーが可能になりましたが、ユニット初の決勝進出。これだけで記念すべきことです。
イカレたテーマパークの支配人と代表スタッフ。仕事のために人格を破壊しようとする。
ザ・狂気。好きな世界観です。観客から悲鳴が上がる場面もありましたが、それも含めて「いいね」って思っちゃいました。
ナンシーの陽気なキャラから素に戻っての「逃げて」は、今大会中一番声を上げて笑いました。高い演技力あればこそですね。ぶどうに爆弾が仕込まれているとわかりながらも食べて、狂気の上塗り。
回想シーンは必要性あったのでしょうか。なんか「イッツ・ア・スモールワールド」流したかっただけのような気がしなくもないです。吉住は音楽使うの好きですね。
飯塚に緊張を指摘されてた岡野。1回「日常」を噛んで「日常生活の◯◯」って言い直してましたけど、最後の言葉が聞き取れませんでした。「日常生活の基本」って言ったの?


続きましてファイナルステージ。


や団・・・最初は登場人物が何者なのか、どのような人間関係なのかわからないまま始まり、話が進むにつれ明らかになっていきます。それも、ただ明らかになるだけじゃなく、いつも観ている気象予報士に裏切られたからびしょ濡れであることが判明するという、笑いをともなったネタ明かしになっているのですね。この物語の流れ、ドラマ性が実によくできています。
今回は中嶋(ちょいふっくらした博多大吉)が出番少なめかと思いきや、そらタローの中の人だと明らかになる後半あたりから巻き返して、2本目もトータルでバランスよくできてると感心しました。
前半で「母親もファンなんです」ってセリフがあって、最後にその母親が布団を取り込んでくれていたことがわかり、伏線回収とは違いますけど、物語の組み立てとしてよく出来ていると思いました。「可動域なめるなよ」のやり合いもうまい。
2本とも素晴らしかったです。文句なしに今大会のMVP。

コットン・・・お見合い中の男女。女性はお堅いお嬢様かと思いきや、ヘビースモーカーであることが判明する。
タバコ以外にもお嬢様らしからぬ特徴が次々出てくるネタかと思いきや、タバコ1本でしたね。それで正解だと思います。色々出てくると、ひとつひとつの特徴を掘り下げることができないから、内容が浅くなっていたことでしょう。
きょんは普段からタバコを吸うのでしょうか。「いかにもヘビースモーカー」という演技が秀逸。1本目は発想力、2本目は演技力が光っていましたね。
「ニコチンでんじろう」というワードにセンスを感じました。

ビスケットブラザーズ・・・バイト先で仲良くなった2人の女性。しかしフミコは変装したダイスケだった。
これねぇ、キミカの心理がよくわかんないんですよ。フミコがダイスケだったとわかった時点で、もうフミコは存在しないわけでしょ。なのに「もう1回フミコと話をさせてほしい」とは?自分でも「友達はたった今ひとり減った」と言っておきながら。
再びフミコに戻ったダイスケ相手に、フミコとして接するって、おかしくないですか?2重人格と捉えているということでしょうか。なんかフミコ/ダイスケよりもキミカのほうがおかしいような・・・。
いや、ビスブラは面白いとは思ってるんですけど、今回のネタはちょっとねぇ・・・。やっぱり僕がズレてるんでしょうか。


僕はたまに、自分のお笑いの感性が世間とズレていることを感じることがあるのですが、今大会のビスケットブラザーズにもそれを感じました。2015年のKOCでもあったんですよね。ロッチの「試着室」、全然面白いと思わなかったんです。逆にウケなかった2本目の「ボクサー」のほうが面白かったんですよ。なんなんでしょうね、こういうの。
あと、クロコップのところで触れましたけど、「ネタ中に審査員の表情を抜く問題」、1回考え直したほうがいいと思います。前々から「余計じゃないか」って意見ありますけど、せめて頻度は落とすべきじゃないかと思うんですよね。ネタの映像が途切れる割合がだいぶ高いので。じゃなきゃワイプにするとかね。
今後ビスブラは間違いなく売れるとして、や団もほんのちょっとでもいいから売れてほしいです。願わくばクロコップも。
総評は、「やっぱり今年も(バイきんぐの)西村はいらなかった」。
次はM-1グランプリでお会いいたしましょう。ではまた。


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