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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道50

2008-05-05 18:09:40 | E,霧の狐道
俺は、眼を凝らして見た。

“ キツネだ。”

キツネは、由紀ちゃんの靴を咥えて靴箱の一段目に移動させた。

「 あれっ、靴、下の段にあるわ。
 こんな所に入れた覚えが無いのに・・・・・。」

 由紀ちゃんは屈みこんで、一番下の段にある靴を靴箱から出そうと手を伸ばした。
その寸前にキツネは、由紀ちゃんの靴を再度咥えて、靴箱の裏側に走って行った。

「 あれっ。
 また、靴が消えた。
 おかしいわ。
 今、あったのに・・・・・。」

俺は、気が付いた。

“ 由紀ちゃんは、あのキツネが見えないんだ。”

由紀ちゃんは、靴箱の前を行ったり来たりしていた。
 俺は、靴箱の裏にまわった。
キツネは、靴箱の隅っこの一番下に靴を入れていた。
俺は、キツネと眼が合った。
綺麗な金色の毛をした鼻筋の通ったイタズラ好きそうな子狐だった。
 キツネは、キョトンと俺を見た。
俺は、キツネを追い払おうとした。

「 シッ!」

キツネは、“えっ、見えるのか”と言う顔をして俺を見た。
そして、キツネは、生意気そうに“へへん!”と笑って、玄関の扉をすり抜け校舎の外に走った。
そのキツネの姿が、走っている途中で輪郭が薄くなったと思ったら、ゆらゆらと揺らめきながら消えて行った。

“ あれっ、ひょっとして、こいつがゆらゆらしたヤツかな・・・?”

俺は、一瞬そう思ったが、それより由紀ちゃんだ。



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霧の狐道49

2008-05-02 18:55:28 | E,霧の狐道
 しばらくして、俺は一人サッカーにも飽きて玄関に戻った。
そして、校舎の外で由紀ちゃんが出て来るのを待っていた。

“ 由紀ちゃん、遅いなあ・・・。”

俺は、自分の仕事であるにも関わらず、由紀ちゃんが三階で作業をしている教室の方を見て呟いた。
 校舎の二階にある職員室には、もう電気が点いていた。
昇降口の靴箱の所が、開いた玄関の扉の間から見える。
 少し間を置いて、由紀ちゃんの姿が廊下を昇降口の方へ移動して来るのが、廊下の窓越しに見えた。

“ やっと来た。”

俺は、昇降口の方に眼を遣った。

“ おやっ?”

 昇降口の靴箱の所を、猫ぐらいの大きさの動物が動いていた。
綺麗な金色の毛をしている。
 俺は、玄関に近付いて中を覗いた。
由紀ちゃんが昇降口にやって来て、俺を見て言った。

「 あっ、お待たせ。
 思ったより時間がかかったわ。
 靴を履き替えて直ぐに行くね。」

由紀ちゃんは屈みこんで、下から二段目にある自分の靴箱から靴を出そうとした。

「 あれっ、靴が消えた?
 おかしいわ。
 今、確かに此処にあったのに・・・・・?」



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