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日々の恐怖 7月13日 女社長

2014-07-13 18:44:17 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 7月13日 女社長



7~8年ぐらい前のことです。
SEの仕事で小さな旅行会社に派遣されました。

社長は女性で経理と内勤の女性、営業の男性二人の会社でした。

女社長は40過ぎぐらいでしたが、背が高く、かなりの美人で面倒見が良く、出張に行ったぐらいでも社員全員にお土産を買って来たリ、高級料理店などに良く連れて行ってくれるような人でした。

私の仕事は新しく入れ替えるパソコンの設置と使い方指導で契約は3カ月。

旅行業務に関してはノータッチでした。

仕事について、一週間ほどした頃、不思議さを感じ始めました。

電話は日に数えるほどしか無く、営業が出てしまうと私以外は暇で女性だけでお茶を飲み、雑談しているサロンのようなんです。

社員の話しでは、女社長の旦那さんが急死し、奥さんが社長を引き継いだとのこと。
その時、会社で掛けていたものと、個人で掛けていたものとで女社長は億単位の保険金を手にして、会社は道楽でやっているようなものと。

旅行のお客なんて、週に1件あるか無いかです。

1カ月ほど過ぎたころ、ツアーで行ったお客さんが旅行先で亡くなりました。

死因はもともと持っていた持病が悪化してとのことで、旅行会社に責任は一切ありませんでした。

しかし、もしものことのために旅行会社では旅行に行く人に保険を掛けているんです。

保険金が下りたことで、遺族にお見舞金として、旅費全てを返しましたがそれでも会社が儲かるほどです。

そんなことが、1カ月間の間に3件も起こりました。

全て旅行会社の責任では無く、病気がちなのに家族が反対しても無理して行ったとか、自由行動で現地の屋台で食べたものに当たって食中毒で死亡とか。

その度に会社は潤います。

女社長も自ら見舞金を持って行くぐらい、人柄の良い人でした。

一番恐かったのは2カ月目に入ろうとした時です。

出張でケニアに行った40代後半の営業マンが脳梗塞で倒れ、現地の医療では間に合わず帰らぬ人となってしまいました。

取締役をしていた方だから会社としてかなりの保険金が掛けられていて、会社としてはウホ状態。

保険金殺人を疑いましたが、パソコン管理は全て私がやっていて、そのような現地とのやり取りも一切無いし、出来ることも無い。

社員たちも恐がってしまい、辞めようとする人たちも出て来ました。

お客さんが現地で死亡も相変わらずあるんですから。

以前の旦那さんの時代にはこんなことは一切起こらず、奥さんが女社長になってから連続しているそうです。

私も恐くなり、派遣会社と相談して3カ月の契約でしたが2カ月で辞めました。

優しい顔をして、知らず知らず人の生き血を吸っている人は本当に存在するんだなと実感した体験です。













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