日々の恐怖 12月13日 跳ね返り(4)
しかし、その子は根は真面目だったので、A君が、
「 あれ~?
数学の教科書とノートがないな~?」
と言っているのを見て、すぐに白状して泣いて謝った。
A君はどちらも買うか写させてもらえば済むし、気持ちも分かるからと許した。
しかし、その日、教科書とノートを燃やした子の家が火事で全焼した。
原因はストーブの消し忘れだった。
幸いにも死人は出なかったが、A君は自分の影響力をそのとき認識したそうだ。
これはA君の意思とは関係なく発動するもので、相手がA君の好きな人や家族でも同じことが起こるらしい。
神社にお参りにも行ったが、効果はないし、原因自体分からないとも言った。
だからA君は勉強も頑張り、自分なりに気を遣い、人に嫌われないように、不快感を与えないように努めてきたが、Bさんのようにどうしても合わないような人と出会うことがある。
このことはまだ親にも言ったことがなく、話したのは俺が初めてなのだそうだ。
“ マジか~!”
と思いつつも、Bさんのことは俺が何とかすると約束し、
「 特殊能力なんて、漫画みたいでカッコいいじゃん!
すげえ!飲め!」
とべそをかくA君を無理矢理盛り上げて、なんとか笑顔で帰すことが出来た。
不思議だなと思いつつも、人知を超えた力のようなものもあるかも知れないとも思った。
当面、A君もすごく気にしているし、Bさんもこのままではよろしくない。
俺は、
“ 取り敢えず、どうにか引き離さないと・・・・。”
と考えながら、次の日出勤した。
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