日々の恐怖 1月10日 歌舞伎町 (3)
浴槽にお湯をはると、必ず自分の髪の毛じゃない髪の毛が何本も浮くから、浴槽にお湯をはらなくなった。
時々スーツ姿の人が、ソファーに座って読書してた。
これは特に怖くはなかった。
ただ指の数がおかしかった。
近所で異臭騒動が起きた時、間違いなくゴミ置き場の建物からだろうと確信してたけど、怖くて何も言えなかった。
警察までが出る騒動になったけど、警察がうろつき始めたら臭いがなくなった。
きっとあの管理人が片付けたに違いないと思ってる。
ヤクザと水商売の人間しか住んでないカオス物件だったから、色々亡くなった人がいてもおかしくないマンションだった。
夜職の中では、もっぱら幽霊マンション、ヤクザマンションで有名だった。
一度だけ危険な感じがしたことがある。
たぶん同業だと思うが、見たこと無いヤツだった。
そいつと階段で一緒だった。
別にそいつが何をした訳じゃないが、セメント袋を担いでいた。
まさかガーデニングでもあるまいし。
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