日々の恐怖 12月26日 ビジネスホテル(4)
私が部屋の奥の風呂場の方を向いて、Sが窓の方を向いていました。
しばらく話をしていると、Sが急に私の話に対して生返事をするようになって来ました。
私は、
” 疲れているせいだな・・・、そろそろ少しでも寝るか・・・・。”
と思い、ふと部屋の奥の方を見ました。
するとさっきまで気がつかなかったのですが、閉めたはずの風呂場のドアが開いているのが目に入りました。
そして薄暗くて良く分からないのですが、そのドアの開いた隙間の床を、何かもぞもぞと動いているのが見えました。
” 何だ!今度はネズミか!?”
と驚いていると、その少し上方に黒くて丸いものが見え始めて来ました。
私は次の瞬間、自分の目を疑いました。
それが、何であるのかが分かったからです。
それは間違いなく髪の長い女性の頭部でした。
最初にネズミと思ったのは、その女性の手でした。
つまり正座をして床につけた両手を大きく前に突き出すような、土下座をするような格好をした女性が、
” ずる・・・、ずる・・・。”
と、少しずつ這うようにして、風呂場から出て来ているのです。
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