日々の恐怖 12月16日 高校球児の朝は早い(6)
こんな風に書いてるけど、当時は本当に参ってて、そのとき感情が爆発した。
「 いいかげんにしろよ、クソババァ!
てめぇのせいで、こっちは頭がおかしくなりそうなんだよ!!
勝手に死ねよ、っていうか死んでくれよ!!!
もう俺の前に現れないでくれ!!!!」
こんな感じのことを言ったと思う。
「 そう・・。
死ねって言うの・・・。
わかった・・・・。」
そう言って老婆は妙な歩き方で帰って行った。
翌朝。
四時半起床。
高校球児の朝は早い。
適当に御飯食べて、歯磨いて、顔洗って出発。
しかし、老婆の姿はそこにはない。
帰りの時間にもいない。
その翌日も、老婆はいない。
そして、あの日以来、老婆は来なくなった。
普通なら喜ぶべきことなんだけど、俺は異様に不安だった。
“ もしかして、老婆は本当に死んでしまったんではないか?”
こんな事考えるほうがおかしいんだけど、当時はそう思っていた。
“ あれだけしつこく来てたのに、急に来なくなるのはおかしい。
かなりひどいことを言ってしまったし、もしかしたら・・・。”
毎日そんなことを考えていた。
老婆が来なくなってから一週間ほど経ったある朝のことだった。
インターホンの音が聞こえた。
朝五時前である。
嫌な予感がして窓から玄関を見るが、誰もいない。
またすぐインターホンが鳴る。
窓から玄関を見る。
“ 老婆だ。
あの老婆がいる。
生きてたか・・・・・。”
玄関を開けてみると、誰もいない。
“ 逃げたか・・・・?”
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