大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道198

2009-03-06 18:53:30 | E,霧の狐道
 受話器を置く音がした。

“ ガチャ!”

待ち受け音楽が始まった。

“ 寂しさにぃ~、負けたァ~♪
 いいえっ、世間に負けたァ~♪”

「 ああ、また、この音楽かァ・・・。」

“ この町を、追われたァ~♪
 いっそ、死のうと思ったァ~♪”

「 何か、気分が暗くなって来たぞ・・・。」

“ ちか~らの限り生きたのにぃ~♪
 未練などないわァ~~~♪“

「 うう、手術はイヤだァ・・・・。」

“ ガチャ!”

「 おう、貴志、手術するのか?」

父親が出て来た。

「 しない、しない!
 電話の待ち受け音楽、いい加減に変えて欲しいんだけど・・・。」
「 いいじゃないか、これで。」
「 気分が暗くなるよ。」
「 俺は、これを聞くと元気が出るんだ。
 “昭和枯れススキ”だぞ。
 我が家にピッタリだ。」
「 ピッタリと思ったら、貧乏から脱出しろよォ~。」
「 まあ、これはこれで、しみじみしていいんだよ。
 それで、手術はいつするんだ?」
「 しないんだって!」
「 どうして?」
「 ヒビが入っているだけで、固定しておけば治るんだよ。」
「 何だ、しないのか。
 それで、タヌキの友達が出来たらしいが・・・?」
「 それは、主治医の名前で、狸小路って言うんだよ。」
「 ふ~ん。」



☆HOMEページに戻る。
  HOMEページ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------