大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道204

2009-03-19 19:14:44 | E,霧の狐道
俺は不信感でいっぱいだった。

“ 人が相談してるのに・・・。”

俺は不満な顔をしてトメさんを見た。
 トメさんの後ろにある大きな木から、風に吹かれて落ち葉が散っている。
そして、そのうちの一枚がトメさんの頭に乗っかった。
トメさんは、それを手で払い除けもせず眼だけで上を見た。

「 あら、落ち葉だね。
 何回、箒で掃いてもきりが無いねぇ。」

そして、それは顔の方にずり落ちて地面に落ちて行った。
トメさんは俺を再び見て、ニヤッと笑った。
 看護婦の井上さんが近付いてくるのが、トメさんの後ろに見える。

「 あ、トメさん、ありがとう。」
「 いや、この子と話が出来て良かったよ。」
「 そう、急に呼ばれたから・・・。」
「 風が吹いて来たよ。
 そろそろ、病室に連れて行った方がいいね。」
「 うん、そうだね。
 じゃ、戻るか!」

井上さんは、車椅子の後ろに回って車椅子を押し始めた。

「 じゃ、またな!」

トメさんは箒を持ったまま、そう一言言って俺たちを見送ってくれた。


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