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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道136

2008-10-28 18:22:03 | E,霧の狐道
 隣の部屋の騒がしさは、もう収まって静かになっていた。
少し間を置いて、俺の相手をしていた中年の看護婦さんが部屋に入って来た。

“ 親が病院に来たのかな・・・?
 ちょっと、早い気がするけど・・・。”

俺はベッドの横まで来た看護婦さんを見上げて言った。

「 親が来たんですか?」

看護婦さんは、俺の顔を見て答えた。

「 いえ、まだ来てないわ。」
「 そうですか。」
「 連絡よ。
 病室が決まったわ。
 入院になるから、病室を手配してたの。
 2号棟の4階の中部屋よ。」

そして、辺りを見回して言った。

「 あ、ちょっと暗いね。
 カーテン邪魔かな。」

看護婦さんは、カーテンに手を掛けた。
俺は、その時、隣に人がいるからカーテンを引くのは、マズイいんじゃないかなと一瞬思って言った。

「 あっ、でも、人が・・・。」

看護婦さんは、俺の声が聞こえなかったのか、ザ~ッとカーテンを引いた。
そして、俺を見ながらニコニコして言った。

「 ほら、明るくなった!」
「 でも・・・。」

俺は、取り払われたカーテンの向こうにあるベッドを見た。

「 えっ、いない・・・!?」

白いベッドには、誰もいなかった。
天井の蛍光灯が、ベッドの上を冷たく照らしていた。



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