隣の部屋の騒がしさは、もう収まって静かになっていた。
少し間を置いて、俺の相手をしていた中年の看護婦さんが部屋に入って来た。
“ 親が病院に来たのかな・・・?
ちょっと、早い気がするけど・・・。”
俺はベッドの横まで来た看護婦さんを見上げて言った。
「 親が来たんですか?」
看護婦さんは、俺の顔を見て答えた。
「 いえ、まだ来てないわ。」
「 そうですか。」
「 連絡よ。
病室が決まったわ。
入院になるから、病室を手配してたの。
2号棟の4階の中部屋よ。」
そして、辺りを見回して言った。
「 あ、ちょっと暗いね。
カーテン邪魔かな。」
看護婦さんは、カーテンに手を掛けた。
俺は、その時、隣に人がいるからカーテンを引くのは、マズイいんじゃないかなと一瞬思って言った。
「 あっ、でも、人が・・・。」
看護婦さんは、俺の声が聞こえなかったのか、ザ~ッとカーテンを引いた。
そして、俺を見ながらニコニコして言った。
「 ほら、明るくなった!」
「 でも・・・。」
俺は、取り払われたカーテンの向こうにあるベッドを見た。
「 えっ、いない・・・!?」
白いベッドには、誰もいなかった。
天井の蛍光灯が、ベッドの上を冷たく照らしていた。
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