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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道131

2008-10-18 19:00:49 | E,霧の狐道
 しばらくして、救急車のサイレンと共に隣の部屋のもう一つ向こうにある処置室が騒がしくなった。

“ 誰かが運ばれて来たんだ。”

俺は寝ている体の位置を左斜めにずらせ、首を回して右上を見た。
こうすれば、少しだけれど、隣の部屋の様子が扉の隙間や扉に嵌め込んであるガラス窓から見える。
 俺は、ベッドで横になったまま首を回し、眼を右上に無理矢理向けて、看護婦さんの慌しい動きを見ていた。
看護婦さんは、隣の部屋を、何回も行ったり来たりしている。
でも、しばらくすると、首を捻った不自然な姿勢が苦しくなってきた。

“ イテテテテテ・・・・・・。
 首を捻っていると、筋がおかしくなりそう。
 それに、眼も右上を向いたままで、もとに戻らなくなりそうだし・・・。”

 俺は、首をもとに戻し、視線を右上から正面に戻した。
仰向けになって、天井が見える。

“ ううう・・、不自然な格好だったから、首の筋が少し引っ張れているぞ。”

 俺は引っ張れが治って来るまで、仰向けの格好で、じっと天井を見ていた。
眼の右端の方には、隣のベッドとの間仕切りのカーテンが壁を作っている。
看護婦さんの行き帰りで空気が流れ、間仕切りカーテンが少し揺れている。

“ 揺れてるな・・・。”

 俺は横目でカーテンを見た。
ひだのあるカーテンが微妙に波打って、波が足元から頭の方に移動して行く。

“ 水面の波と同じように波が移動してる・・・・。”



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