軽トラックはヘッドライトを点灯して疾走する。
ガタガタ道は徐々に細くなって来ている。
“ このまま進んで、大丈夫なのかな・・・・。”
俺は段々心細くなって来た。
進む先には、薄く明るさのある空をバックに真っ黒な山々が聳えている。
“ あの山に突入するのかな・・・・。
何か、ヤダなァ・・・。
もう、何が何だか分からない・・・。”
俺の心配を他所に、軽トラックは田圃を抜けて山道に突っ込んで行った。
小さな川に沿ったカーブだらけの山道だ。
“ キュッ、キュッ、キュッ、ズズズズッ!”
軽トラックのタイヤが軋み、車体が横滑りする。
車を斜めにスライドさせながら、体勢を立て直し尻を振りながら加速する。
「 うおォ~~~~!!」
俺は、生きた心地がしなかった。
「 うおぉぉぉ~、爺さん、緩めてくれ~!
スピード、スピード!」
婆さんが、爺さんに言った。
「 爺さん、爺さん、スピードだって!」
「 なに、もっと急げってかァ~!
よっしゃ、分かったァ。
昔、暴走していた頃を思い出すなァ~!」
「 そうですよ、爺さん!
昔は、爺さんを見て、ワクワクしましたよ!」
「 そうじゃ、おまえをオートバイの後ろに乗せて、ぶっ飛ばしてたのう。
あの頃は、青春の血が騒いでよぉ!」
「 爺さん爺さん、わたしゃ何だか、ワクワクしてきましたよ!」
「 おう、婆さん、久しぶりに興奮して来たぞ!」
「 イヤですよ、爺さん、うふふふふふ!」
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