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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道122

2008-09-30 18:51:29 | E,霧の狐道
 軽トラックはヘッドライトを点灯して疾走する。
ガタガタ道は徐々に細くなって来ている。

“ このまま進んで、大丈夫なのかな・・・・。”

俺は段々心細くなって来た。
進む先には、薄く明るさのある空をバックに真っ黒な山々が聳えている。

“ あの山に突入するのかな・・・・。
 何か、ヤダなァ・・・。
 もう、何が何だか分からない・・・。”

俺の心配を他所に、軽トラックは田圃を抜けて山道に突っ込んで行った。
小さな川に沿ったカーブだらけの山道だ。

“ キュッ、キュッ、キュッ、ズズズズッ!”

軽トラックのタイヤが軋み、車体が横滑りする。
車を斜めにスライドさせながら、体勢を立て直し尻を振りながら加速する。

「 うおォ~~~~!!」

俺は、生きた心地がしなかった。

「 うおぉぉぉ~、爺さん、緩めてくれ~!
 スピード、スピード!」

婆さんが、爺さんに言った。

「 爺さん、爺さん、スピードだって!」
「 なに、もっと急げってかァ~!
 よっしゃ、分かったァ。
 昔、暴走していた頃を思い出すなァ~!」
「 そうですよ、爺さん!
 昔は、爺さんを見て、ワクワクしましたよ!」
「 そうじゃ、おまえをオートバイの後ろに乗せて、ぶっ飛ばしてたのう。
 あの頃は、青春の血が騒いでよぉ!」
「 爺さん爺さん、わたしゃ何だか、ワクワクしてきましたよ!」
「 おう、婆さん、久しぶりに興奮して来たぞ!」
「 イヤですよ、爺さん、うふふふふふ!」




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