酔芙蓉
遠く平安の頃から観賞され、人々に愛されてきた芙蓉の花。古くから栽培されているにもかかわらず、ムクゲと違って変異が出にくく、品種はあまり多くありません。その数少ない園芸品種の一つが酔芙蓉です。
芙蓉は中国ではもともと「蓮の花」のこと。水の中に咲くものを水芙蓉、木に咲くものを木芙蓉と呼んでいました。
日本では、蓮を芙蓉という習慣がないので、芙蓉といえば木芙蓉のことを指します。朝に咲き、夕方には萎んでしまう一日花で、早朝に開花したときには本来の淡紅色、夕方になるにしたがって、その色は次第に濃くなり、そして萎んでいきます。
一方、酔芙蓉は、朝のうちは純白、午後には淡い紅色、夕方から夜にかけては紅色になります。酒を飲むと顔色がだんだんと赤みを帯びるのに似ていることからこの名がついたといわれています。
芙蓉は、全国各地の庭先や公園など、どこででも目にすることができますが、群生している名所となると本寺のように寺の境内が多いです。
酔芙蓉となるとなかなか群生しているところは少なく、千本以上あるところは珍しいようです。
芙蓉の花が短命で、一日花のはかなさに諸行無常の教えを悟り、蓮の花に仏教の縁を重ねるのかもしれません
【名前の由来】花色の変化を、酒に酔っていく様にたとえて名づけられた。
【学名】 Hibiscus
mutabilis f. versicolor
【分類】 アオイ科フヨウ属の落葉低木。
【分布】 原産地は中国、日本。
【花の特徴】 樹形、葉形はフヨウとほぼ同様だが、一重咲きが基本のフヨウに対し、花は八重咲き。時間が経つにつれて変色していくのが大きな特徴である
【花期】 9~10月
【特性】 日当たりのよい場所に、地植えするのがよい。フヨウと同じく肥えた土地を好み、防寒、防湿の必要はとくにない。
【花言葉】 繊細な美、しとやかな恋人
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