おととい、東京大田区で、朝鮮学校への高校無償化を求める全国集会が行われました
会場となったホールには、1400人もの人々が集いました。
集会のキャッチフレーズは、「もう待てない、高校無償化」。
高校無償化適用をめぐる状況、関係者の心情をそのまま表したものでした。
朝鮮学校に対する「高校無償化」はいまだに実現されていません。
昨年11月、菅直人前首相が朝高の無償化審査手続きを「凍結」した時から、
半年以上もの長い間、審査再開を求めてたくさんの人たちが闘ってきました。
今年8月、菅前首相が退任とともに「凍結」を解除したことにより、事態の進展が期待されましたが、
3ヵ月が経った今もなお、審査が済んでいません。審査にかかる時間は2ヵ月程度だという話だったのに。
その背景の一つには、朝鮮学校に対する国の無償化審査再開を「暴挙だ」として、妨害する勢力の影があります。
11月末に、民主党と文科省を訪れ、朝高無償化の早期実現を求めたという日本の市民団体の方は、
「教育上の観点からぜひ実現までがんばっていきたい。ただ、菅首相が審査再開指示を出した後、
反対、妨害の意見が多数寄せられ、その対応に追われている現状がある。今しばらく時間をいただきたい」と言われたそうです。
さらに警戒すべきなのは、地方自治体による、各級朝鮮学校への補助金打ち切りの広がりです。
東京、埼玉などの自治体は2010年度の補助金を実際に打ち切り、その影響が各地に広がっているのが現状です。
集会でも、そのことについて発言する方が多くいました。
ある区議会議員は「議員たちの中には、『国も朝鮮学校を高校無償化から外しているし、東京都も補助金を停めているのに、区はどうして補助金を出し続けなければいけないのか』と迫る者もいる」と警鐘をならしていました。
埼玉の市民団体の人は「次々と難題を突きつけて、補助金の支給を引き伸ばしていこうというやり方は許せない」と怒りをあらわにしていました。
埼玉県知事は朝鮮学校の教科書の内容に問題があるとした上に、さらには整理回収機構(RCC)の債権問題まで取り上げ、補助金を打ち切りました。
「教育問題に政治や外交を結びつけるべきではない」「教育内容に対する不当な介入をしてはならない」といった論は、
まったく通用しない状況が広がってしまっています。
集会は「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の主催で行われました。
ほとんどが日本の方々です。
そして韓国からは、地震被害を受けた朝鮮学校を支援するための団体である「モンダンヨンピル」代表の
クォン・ヘヒョさんはじめ、支援者が駆けつけてくれました。
「日本社会の人権意識を問う問題だ」「私たち自身の未来の問題だ」と、本当に熱い気持ちを寄せてくれていることに、
ただただありがたいな、と感じます。希望もわいてきます。
でもそれとは逆に、「朝鮮学校つぶし」を「熱意を持って」行う人たちが存在することもまた、事実です。
それが大きく露呈したのが、この「高校無償化問題」だと思っています。
朝鮮学校を守るために、そして私たちが暮らす日本社会をよくしていくために、
この闘いから引き下がることはできないと、いま一度感じさせられました。(里)