日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

新潟・福島ハッキョ合同生活~先生編~

2011-12-08 09:20:53 | (K)のブログ


 私の昨日のブログ「新潟・福島ハッキョ合同生活とオモニたち」の続編です。今回は先生たちのことを書きたいと思います。

 合同生活でもっとも苦労をしいられたのは、やはり先生たちではなかったでしょうか。
 福島のある先生は、最初、学校ごと新潟に移るという話を聞いた時、「そんなことが可能なのかと思った」と語り、新潟のある先生は「学校をどのように運営するのか不安だった」と語っていました。新潟6人、福島8人のすべての先生たちが、多かれ少なかれ不安を抱えていたのは間違いありません。当然です。

 まず、合同生活の期間が最初から12月3日までと決まっていたわけではありません。最初は6月中旬の運動会までとなっていました。それが1学期末まで、2学期末までと延長されていき、最終的に12月3日になったわけです。だから、「計画を立てて進める」ということが難しかったでしょう。
 また、合同生活といってもいろんな形が考えられます。新潟には移るが、クラスも授業もまったく別々に行うということも考えられたそうです。最初から「このようにする」と決まっていたわけではなかったといいます。
 結局、校長も2人、担任も2人、クラスはひとつにし子どもたちの学校生活はすべて一緒に行うということになりました。

 同じ朝鮮学校とはいえ、細かな点では当然違いがあります。学校として取り組んでいくこと。例えば、「ウリマルの模範学校を目指す」とか「勉強を頑張る模範学校を目指す」とかという大きな目標。初級部高学年以上は「少年団活動」というものを行いますが、その運営のしかたも違っていたり、授業の進度も微妙に違っていたといいます。(学校の目標に関しては、両校の目標2つをまとめてやってしまおうということになったそうです)
 「両校の先生が心を一つにするのが一番大切だったし、一番たいへんだった」と福島の具校長は語ります。
 新潟と福島の先生たちは、常に話し合いを持ち、一つひとつに合意をみて、慎重に学校生活を進めていきました。お互いの児童・生徒がどのような子どもたちなのか、クラス指導をどうするのか…。

 福島の先生8人はもちろん、新潟の先生6人も全員がもともと寄宿舎生活をしていました。新潟ハッキョを卒業した先生が2人いますが、新潟市外の出身だからです。
 だから学校で授業を教えることだけをやれば良いわけではありません。もともと寄宿舎にいた新潟の子ども3人(きょうだいです)に福島の16人がプラスされ寄宿舎で暮らす子どもたちは19人に。学校が終わると、先生から「お兄さん」「お姉さん」になって子どもたちの面倒をみなければいけません。初級部低学年だとまだ、洗濯やお風呂、掃除など身の回りのことができないし、病気にもなる。当然、ホームシックにかかる子どもたちが多かったそうです。泣きながら「寝られない」と言ってくる子どもたちを元気づけることも何度もありました。
 当番制で、朝・昼・晩の食事の準備の補助をするのも先生の仕事でした。
 本当に24時間、子どもたちのためにがんばっていて、頭が下がるというか、私には先生たちがスーパーマンに見えました。




 そんな先生たちのことが、子どもたちも大好きで、初級部の低学年はいつも先生のひざの上に座ったり、だっこしてもらったりとなついていました。


 先生たちも、学校全体の規模が2倍になり活気が溢れたことを喜び、そのメリットを享受していました。「本来の学校らしい学校生活を送れるようになった」「他の先生といろいろと相談できることがうれしかった」「もしかしたら一生会話を交わすことがなかったかもしれない先生と深く付き合うことができた」とそれぞれの先生が語っていました。
 そしてすべての先生が、新潟の同胞たちの支援、日本全国からの支援に心からの感謝を語ってくれ、「合同生活をやって本当に良かった」と振り返っていました。

 12月3日に行われた合同学芸会の最初の演目は、全校児童・生徒による合唱でした。そこで歌われたのが、「우린 한마음」という曲。日本語に訳すと「私たちの心はひとつ」とでもなるでしょうか。

 この曲は、福島の国語の先生が子どもたちの心情を集めて詩を作り、新潟の音楽の先生が作曲してできたものです。合同生活の中で生まれた数多い結晶のひとつです。(k)

※次回は子どもたちについて書きたいと思います。ご期待を。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (クレア)
2011-12-08 13:35:28
「우린 한마음」という曲、ぜひ聞いてみたいです!!!
返信する
クレアさんへ ()
2011-12-08 19:35:21
良い曲です。ぜひ聴いてほしいです。
写真が小さいので楽譜が読めるかどうか微妙ですね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。