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月刊イオがおくる日刊編集後記

ガンバレ、ハップモ!@栃木ハッキョ

2013-12-12 09:00:00 | (瑛)のブログ


 来年度から始まる新連載「ガンバレ、ハップモ」の取材のため、栃木県小山市の栃木朝鮮初中級学校に行ってきました。栃木ハッキョは各地の初中級学校の中ではおそらく一番敷地が広いのではないでしょうか。広さ7000坪。いちょうの落葉が絨毯のように敷きつめられたハッキョでは、朝からオモニたちが大忙しでした。

 食堂では、給食に出すピラフ、から揚げ、わかめスープ作りに精を出し、午後からのヘグムミニコンサートのため、音楽室では、色とりどりの風船や折り紙で会場の飾りつけに熱中しています。東京に比べ、空気は冷たく、暖房も入らないなかでしたが、オモニたちは慣れた手つきで黙々と仕事をこなしています。



栃木初中には昨春、2人の新任教員が赴任してきたそうです。

 オモニ会では、7人の教員と3人の講師を見守るのも「自分たちの仕事」と、毎週土曜日に交代制で教員たちの昼食を作っています。「大きなお金を作ることはできないけれど、せめて通っている子どもたちやオモニたちが安心できるような環境を作りたい。そのためには、先生たちが置かれた環境がよくならないと。お腹をすかせたり、寒い思いはさせたくない」と話すのはオモニ会会長の李由和さん(43)。栃木ハッキョの卒業生です。



 午後からはオモニ会が女性同盟栃木、オリニサークル「アルム」とともに主催した「ヘグム・ミニコンサート」の上演。東京からやってきたヘグム奏者―河明樹、尹慧瓊さんが「モランボン」「チョンダリ」「アリラン」などを演奏し、ヘグムの魅力をたっぷりと届けてくれました。

 最後は、世代を超えて愛される「ワンホバク」をチャンゴの軽快なリズムを加えながら聴かせてくれました。ウリ音楽の「フン(興)」に乗る子どもたち、傍で見守るオンマたちも合唱に加わり、会場からはアンコールが!アンコール曲の「アリラン」の調べに私自身も知らず知らず涙をこぼしていました。



 広い運動場では、初級部の子どもたちがドッジボール、中級部の生徒たちがサッカーの練習をしていました。みんな東京から来た私に立ち止まって挨拶してくれ、ヘグム奏者の河さん、尹さんを見送るときには全校生たちが集まってきました。礼儀正しい子どもたちです。

大都市に比べて生徒数が少ないのが地方の学校の悩みです。この日もオモニたちからたくさんの話を聞きました。クラス一人では通わせられないと、泣く泣く他県へ引っ越す家族、日本学校へと進路を変える家族…。教室から一人いなくなることの「重さ」は大都市の比になりません。けれどマイナスばかりではない。少ないからこそ、「一人ひとりを大事に」という栃木ハップモ(保護者)、先生方の思いは強いのです。

 茨城朝高学区の6校が集まる「セッピョル学園」は北関東、東北に学ぶウリハッキョの子どもたちがチングを増やすイベントとして好評を博し、5年間続けられていますが、栃木ハッキョも一役買っています。2011年の東日本大震災時に茨城での開催が難しくなった時、会場の名乗りを上げ見事成功させたのです。

 6年前にアボジ会も生まれ、多忙な教員たちが手の回らない草むしりや学校清掃などの地道な活動に熱心に取り組んでいます。

 前回の取材はたしか春だったのですが、校内の小川でカエルを探している様子を微笑ましく思ったものです。
 栃木の子どもたちは素直にスクスク育っているようでした。

 これからも、「ガンバレ、ハップモ!」では、各地のユニークな学校支援活動を紹介していきます。各地のオモニ会、アボジ会情報をお待ちしております!(瑛)

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