日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

平壌時間を忘れない【平壌発20】

2017-09-05 15:00:00 | (理)のブログ

 あっという間に平壌を離れる日になった。
 本当に色々なことを感じた3ヵ月だった。

 この期間、一番ショックだったのは、いつの間にか朝鮮で暮らす人々のことを忘れていたと気づいたことだ。

 高級部3年の時、朝鮮大学校3年の時も朝鮮に来て、指導員や講師の先生、青年たち、ホテルの職員…現地のさまざまな人たちと触れ合った。しかし、大学を卒業してから今回ここに来るまで、過去に出会った朝鮮の人々が、私と同じ時間に、ここで生活しているということをすっかり忘れていた。
 日本の「北朝鮮」報道に嫌悪感は抱きつつも、自分自身が朝鮮について積極的に知ろうとしなかった。それが何年間も続いたから、少しずつ朝鮮がよく分からなくなっていたと思う。物理的な距離が少しずつ心理的な距離にもなっていた。むかし出会った人々の顔も忘れていた。
 約10年ぶりに再会できた人もいて、昔話をしながら、すごく申し訳ない気持ちになった。

 上の写真は、平壌にいる間に使っていた腕時計だ。日本よりも30分遅い「平壌時間」に合わせてある。滞在中に感じたこと、出会った人、気づいたことを忘れないように、この時計は日本に戻っても時間を変えないことに決めた。(理)

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