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日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

学美、2018年度がスタート

2018-08-22 09:53:20 | (K)のブログ


 日本各地の朝鮮学校児童・生徒たちの美術作品を展示する巡回展、在日朝鮮学生美術展(学美)が今年も開催される。第47回を数える。

 学美では、子どもたちの作品に対し、金賞、銀賞、銅賞などの賞が与えられる。作品を一堂に集めての中央審査会が19日の日曜日から朝鮮大学校で行われ、初日に少しだけ顔を出してきた。審査には各地の朝鮮学校の美術教員が集まる。今年は31人の先生たちが集まった。
 地方ブロック別の審査を経て朝大での中央審査が行われる。今年、日本各地の朝鮮学校の児童・生徒たちが応募した作品の総数は1万827点、中央審査には初級部から高級部まで、2370点の作品が集まった。

 審査初日、19日午後4時過ぎから、まず高級部美術クラブ1年生の作品の審査が始まった。審査会場にずらりと作品が並べられる。どれも力作で、北南・朝米の首脳会談をテーマにした作品もあった。それを先生たちがぐるぐると回りながら見ていく。近くで凝視したり遠くから眺めたり、どこの誰の作品かをチェックしたり…、メモを取りながら審査していく。
 審査を経て、クラブ部門の金賞、銀賞、銅賞、一般部門の優秀賞などの各賞が選ばれていく。審査は明日の23日まで続けられる。





 朝鮮学校の美術活動は活発だ。近年、益々作品のレベルが上がっているように思う。作品を通して、朝鮮学校での子どもたちの様子を垣間見ることができるし、同胞社会や日本社会に対する視点、祖国・朝鮮への思いなどを知ることができる。初級部児童たちの作品は天真爛漫なものがほとんどだが、成長する中で日本社会の中で暮らす自分たちの精神世界を表現する作品が増えてくる。そういった変化も学美を見る楽しみだと思っている。

 今年の学美巡回展は、9月12日の神戸展からスタートし、11ヵ所で行われる。
神戸展(9月12~17日)兵庫県立美術館王子分館/福岡展(10月11~14日)九州朝鮮中高級学校体育館/大阪展(10月31日~11月4日)東大阪市民美術センター/広島展(11月10~17日)広島朝鮮初中高級学校体育館/京都展(11月22~25日)京都朝鮮中高級学校/東京展(11月28~12月2日)埼玉会館第1、2展示室/千葉展(12月4~9日)千葉市美術館市民ギャラリー/神奈川展(1月11~16日)川崎市教育文化会館/東海展(1月29~2月3日)名古屋市博物館/北海道展(2月15~17日)札幌市民ギャラリー第1、2展示室/鳥取展(3月15~17日)米子市美術館



 近くで開催される時に足を運んではどうだろうか。開催会場などの詳しい情報は、学美のHPにまもなくアップされるはずだ。https://gakubi.jimdo.com/ HPには過去の巡回展の作品もアップされている。(k)

東京医科大の女性差別、ふざけんな

2018-08-08 09:34:14 | (K)のブログ
 驚かされた事件があった。
 東京医科大が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点していた事件。3日には抗議行動が同大正門前で行われ、抗議した人たちは「ふざけんな」と怒りをあらわしている。
 本当に「ふざけんな」の一言である。
 これほどのあからさまな女性差別が堂々と行われていることにただただ驚かされる。受験という一番公正が求められるところで、女性だというだけで減点される。本来、合格していた人がそのことで不合格となる。テレビのニュースでは、不合格となり医者の道をあきらめたという女性の声が紹介されていた。人生を大きく左右する差別で、大学はどのように責任を取るのだろうか。このようなことが他の大学でも行われているという話も出てきているし、大学を擁護する発言も出てきているのにも驚きだ。
 東京医科大のこの問題で、内部調査委員会が昨日、報告書をまとめ発表した。女性だけでなく3浪以上の男性の合格者数を抑制していたりといった不当な差別は06年からだという。逆に文科省の前局長の息子などには入試の点数を不正に加点していたことが明らかになっている。
 医療現場の仕事環境が劣悪ならそれを改善するのが先だ。女性が出産しようが何の心配もなく働ける社会、家事や育児の負担を女性に押し付けない社会を作ることが大切だと改めて痛感する。私を含め同胞社会も猛省しなければいけない。

 「ふざけんな」の一言で終わらせると短いので、同じ受験つながりでもう一つ書きたい。
 けっこう前になるが、電車に乗っていると、車内広告に受験関連の会社の次のような広告=問題が掲載されていた(写真)。


※  ※  ※
「働く」ということについて、次の文章を読み、あとの問いに答えなさい。

かつてあるイギリスの経済学者は、「将来は一人が一週間に15時間働けば十分な世の中になる」と言いました。また、生活を送るために十分なお金を全員に与える「ベーシックインカム」という取り組みを実験的におこなった地域もあります。さらに、「AI(人工知能)の発達によって不要になる職業」も最近話題となりました。このように考えると、「人が働くのは当たり前」という考え方自体が大きく変わるのかもしれません。

問:働かなくても生活をするために十分なお金が国からもらえるとしたら、あなたは
働きますか? 働きませんか? どちらか一方を選んだ上で、その理由を具体的に答えなさい。
※  ※  ※

 この問題はある中学の入試問題だ。
 この問題を見たときも驚いた。純粋に受験生の論理性を見極めるための問題なのだろうか。受験生にしてみれば、「働きません」とはなかなか書けないのではないか。「『人が働くのは当たり前』という考え方」となっているのも気に入らないし、「十分なお金が国からもらえるとしたら」という部分もひっかかる。
 自分がこの問題を出されたら、「働くとはどういうことか?」という概念を説明することから始めて答えるのだと思う。しかし、これは受験の問題としてふさわしいものではないのではないか。思想や倫理観などを探っているように思えて違和感があるのだが、どうだろうか。(k)

大きな被害をもたらした7月の異常気象

2018-07-31 09:38:20 | (K)のブログ
 今日で7月が終わる。
 今年の7月は非常に暑かった。
 暑かっただけでなく、西日本で豪雨被害が起きた。
 そして最後には台風が日本を直撃した。この台風12号、普段とは逆に東から西へと進んで行った。記憶してる限り、こんな台風は初めてだ。

 日本だけでなく朝鮮でも同じような気候だったという。
 朝鮮中央通信が24日に伝えたところによると、江原道の元山で22日に39.7度を記録。39度を超える地域がいくつか出た模様で、これは観測以来もっとも高い記録だと言う。また、11日の朝鮮中央通信は、9日から11日にかけて朝鮮西海岸の広い地域で大雨が降ったことを伝えている。「平安南道甑山郡で10日の一日の雨量が233ミリで一日の最大雨量としては気象観測史上、最も多かった」とこれも気象観測史上最大だったようだ。

 西日本豪雨での死者は昨日の報道によると15府県で225人にのぼったそうだ。行方不明者がまだいるので死者の数はさらに多くなるだろう。熱中症による死者も60数人にのぼっている。台風も各地に爪痕を残した。こんな炎天下の中で子どもに運動場を何週も走らせたりする大人が今もいる。


 西日本豪雨では、同胞にも多くの被害が出た。朝鮮新報でも被害の状況や支援活動の様子が伝えられている(写真)。しかし、被害の状況はあくまでも総聯組織が把握している範囲での話。朝鮮半島に何らかの繋がりがある人たち(同胞)を考えれば、もっと被害は多いのだと思う。

 近年、毎年のように起こる猛暑や豪雨被害。多くの人命や財産が奪われている。これからもこのような気象状況が続くのだろうか、これからも多くの被害が出るのだろうか。その可能性が高いと思うが、悲しすぎる。
 8月はなんとか穏やかな気候になってもらいたい。(k)

演劇「キャラメル」各地で上演始まる

2018-07-23 09:35:51 | (K)のブログ


 在日朝鮮人の日本軍性奴隷被害者の人生を描いた芝居「キャラメル」(作:きむ・きがん、出演:きむ・きがん、洪美玉)のことは、月刊イオの6月号やこのブログで紹介しました。今年の4.23アクションのために作られた作品で、2日間の上演で約300人の観客が詰めかけました。
 イオの記事の中で、「たった2回だけの公演ではもったいないと声があがっている。演じた二人も日本全国を回って公演したいという思いをもっている」と書きましたが、さっそく各地での上演が始まります。



 まずは劇を作ったきがんさんの地元・滋賀公演。
 日時:2018年 8月11日 (土) 18:00開演(17:30開場)
 場所:栗東芸術文化会館 さきら 中ホール
 チケット代:前売り2500円 当日 3000円 学生1500円(当日も同じ) 対象:中学生以上
 問い合わせ☆チケット予約 k.kija.tol@gmail.com

 次に大阪公演。
 日時:2018年 8月14日 (火) 18:30開演(18:00開場)
 場所:イコーラム(若江岩田駅前)
 チケット代:前売2500円 当日3000円 学生1500円(当日も同じ) 対象:中学生以上
 問い合わせ☆チケット予約 uhz1969@gmail.com 


 その後、宝塚公演(9月1日)、東京公演(10月16日)と予定されています。「キャラメル」や「在日バイタルチェック」などきがんさんの公演の予定は「きむきがん ライブ☆公演 スケジュール」のHPをご覧ください。http://blog.livedoor.jp/kigang-kigang/


 私は月刊イオの記事の中で次のように書きました。
 ――スッキは叫ぶ。「15歳に戻してくれ! それがでけへんのやったら、ちゃんと謝れ! 心の底からちゃんとした態度で謝れ! 二度とこんなことしません、ゆうて、世界中の前で、私らに膝をついて謝れ~! 私らの人生を返してくれ~!」――と被害者・スッキのセリフを紹介し、
 ――物語は、ハルモニが尊厳を取り戻す様子が描かれるが、性奴隷とされた被害者たちが本当に尊厳を取り戻すためには、日本が過去をすべて清算しなければならないはずだ。――

 自分で書いた文章ですが、ずっと心の中に引っかかっています。日本が過去を清算したからといって、ハルモニたちは尊厳を取り戻せるのかと。
 日本が被害者たちを15歳に戻すことは不可能です。犯した罪は取り返しがつかない。日本が過去をすべて清算しても、過去は消えません。
 それほど、日本はひどいことをしたわけです。過去の清算、心からの謝罪、次世代への教育、補償などは最低限の責任だと言えます。しかし、それがなされていない。まったく逆のことをしている。被害者たちはそのことに憤りを感じ苦しんでいます。日本は、被害者たちに加害を続けています。
 ハルモニたちが尊厳を取り戻すことと日本の過去清算は別の問題だと言えるでしょう。ハルモニたちの心の痛みを少しでもやわらげることにつながるのかもしれませんが。


 在日1世の被害者の姿を描いた演劇を、在日3世の二人が演じます。二人には被害者ハルモニたちの心に寄り添い心の痛みを少しでも癒そうという思いがあるのではないでしょうか。
 演劇「キャラメル」、これから日本各地で上演されると思います。ぜひご覧ください。

 最後にお知らせです。「キャラメル」に出演している洪美玉さんは、東京演劇アンサンブルという劇団に所属しています。その東京演劇アンサンブルの本拠地である「ブレヒトの芝居小屋」が来年3月に閉じ移転することとなりました。劇団では、「劇団移転応援基金ならびにクラウドファンディングのお願い」(Http://www.tee.co.jp/?p=555)を行っています。「キャラメル」が上演されたのも「ブレヒトの芝居小屋」でした。私もこれまで何十回と足を運んだ小屋で愛着があります。移転は残念ですが、仕方がないようです。ご協力ください。(k)

兵庫の朝鮮学校に対する二つの訴えに賛同を

2018-07-12 09:16:31 | (K)のブログ
 今日は、兵庫県の民族教育(朝鮮学校)に関連する訴えの賛同・署名について紹介します。

 一つ目は朝鮮学校に対する補助金の問題。
 4月6日の日刊イオで(瑛)さんが兵庫県が朝鮮学校への補助金を減額」(https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/a4bb750d11e6c1a02578e611b6eebd2e)というタイトルのブログをアップし、「兵庫県は2月15日、県内の外国人学校を支援するための「外国人学校振興費補助」に関する予算案を県議会に提出し、朝鮮学校の補助金を2分の1に減額するという決定を下した」ことを報告しています。
 この朝鮮学校だけを狙い打ちにした行政の暴挙に対して、7月1日、日本人の研究者有志らが、「朝鮮学校に対する兵庫県の不当な補助金減額に抗議する研究者有志の声明」を発表し、賛同をつのっています。https://hyogo-hojokin-seimei.hatenablog.com/

 声明文の冒頭は次のように綴られています。
 「2018年2月、兵庫県は県下の外国人学校へ支給してきた「外国人学校振興費補助」に「教員の2/3以上が日本の教員免許を所有すること」という新たな交付基準を設け、外国人学校12校中これを満たさない朝鮮学校6校への補助金を2分の1に大幅削減することを一方的に兵庫朝鮮学園へ通達しました。わたしたち研究者有志は、この兵庫県の措置が、朝鮮学校のみを狙い撃ちにし、朝鮮学校へ通う子どもたちの学習権や民族教育の意義を真っ向から否定するものと捉え、強く抗議します。」

 呼びかけの趣旨について、次の5つの理由を明記しています。
「わたしたち研究者有志は、この兵庫県の措置が、
〇民族教育の意義を認めないばかりか、それが日本の教育より劣ったものであると考え、「外国人学校振興費補助」の意義をみずから否定する、矛盾に満ちたもの
〇2016年3月29日に送付された文部科学大臣通知を踏まえた判断であるため、教育への不当な干渉であるだけでなく、地方公共団体の権限をみずから放棄したもの
〇日本の朝鮮侵略・植民地支配を背景に、日本に定住せざるを得なかった在日朝鮮人の子孫が、朝鮮人としてのアイデンティティを形成するために設立された学校であることを無視したもの
〇人権に関する国際基準に照らして、極めて不当なもの
〇昨今の朝鮮半島をめぐる情勢の急激な展開に逆行し、排外主義を追認・助長するもの
であると考えています。
 以上の観点から、今回の兵庫県による措置が、朝鮮学校を狙い撃ちにし、朝鮮学校へ通う子どもたちの学習権や民族教育の意義を真っ向から否定するものと捉え、強く抗議するとともに、一刻も早く朝鮮学校へ適切な補助金支給を再開することを求めます。」

 この声明に対する賛同の第1次集約締切は7月17日(火)となっています。研究者のみなさん、賛同をお願いします。

 二つ目は、「神戸朝鮮高級学校生徒のお土産没収への抗議と要請」への賛同です。6月28日に神戸朝高生が祖国・朝鮮への修学旅行から戻った際に関西航空の税関で祖国のお土産をほとんど没収されるという事件が起こりました。そのことについては、日刊イオでも何度か報告しました。
 この抗議と要請は、安倍晋三総理と世耕弘成経済産業大臣に対して行われるものです。「日本の朝鮮植民地支配によって生み出された在日朝鮮人が祖国との関係をもつことを遮断し「違法」化する対朝鮮独自制裁措置は、過去を清算し、その権利を保障すべき立場にある日本政府がとるべき姿勢とはおよそ真逆のものであり、到底許されるものではない」と指摘しています。
 呼びかけ人は、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の長谷川和男代表。抗議と要請に対する賛同は17日までで、19日に日本政府、関係省庁に提出するということです。
https://goo.gl/forms/9emm9DjLidl2v0Zg1

 日本当局は、在日朝鮮人の民族教育、朝鮮学校を抹殺しようと露骨に弾圧を加えています。民族教育を守ることはイコール、在日朝鮮人社会を守ることです。日本社会のためにも必要なことです。この二つの訴え、要請にご協力をお願いします。(k)

神戸朝高生のお土産押収事件、根本には犯罪的な日本の対朝鮮「制裁措置」

2018-07-04 09:33:27 | (K)のブログ


 6月28日に神戸朝鮮高級学校の生徒たちが修学旅行で朝鮮を訪問し日本に戻ってきたとき、関西空港での税関検査で、朝鮮の親戚などからもらったお土産を押収されるという事件が起こった。このことは、翌日のSNSなどで拡散され、在日同胞社会はもちろん、韓国社会でも問題となり、7月3日、韓国の日本大使館前で250余団体の賛同のもと抗議の記者会見を行ったと伝えられている。総聯中央は、6月29日夕方に記者会見を開き日本当局を糾弾している。総聯中央の記者会見(写真)の模様は(理)さんがこのブログで報告している。https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/025f5e9bf8ab5bdd7a1845aa4b2ef178 朝鮮新報の記事はこちら。http://chosonsinbo.com/jp/2018/06/0030/

 朝鮮を訪問した在日同胞がお土産を日本の税関で押収されるということは、これまで何度も繰り返されてきた。イオ編集部にいた(里)さんも同じように押収されたことを12年5月の日刊イオで綴っている。「みんな取り上げられました。」https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/2a3cf6938270f73cc33d5f97b5c433f2

 今回、朝鮮高校の生徒が修学旅行での朝鮮訪問でこのような事件が起きたことで注目が集まったともいえるが、学生であれ成人であれ、お土産を押収するということ自体が差別的で非人道的な許されない行為である。

 日本当局がこのようなことをするのは、朝鮮を敵視しているからに他ならない。そして、朝鮮に対して独自の「制裁措置」を続けているからである。「制裁措置」がスタートしたのが06年。もう12年も続いていることになる。最初は半年だった「制裁期間」も09年から1年となり、13年からは2年となっている。
 ここでは月刊イオ2015年6月号に掲載された「人権蹂躙、生活へのダメージ 日本による「制裁」がもたらすもの」という記事をもとに日本の「制裁措置」について見てみたい。

 日本は06年7月の朝鮮のミサイル発射訓練を口実に、万景峰92号の入港禁止措置などを実施、日本単独での「制裁措置」に踏み出した。さらに、06年10月の朝鮮の核実験を口実に「制裁」を強化。その後も、09年5月、13年2月の核実験のたびに強化されてきた。「制裁」は、朝鮮→日本、日本→朝鮮のヒト、モノ、カネを遮断しようというものだ。
 日本による「制裁」は、「外国為替及び外国貿易法」と「特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法」に基づくものである。この二つは、拉致問題以降、日本が朝鮮に対する独自の「制裁」を目的として、それぞれ04年2月と6月に改定、成立させたものだ。「制裁」が事前に準備されていたことがわかる。

 日本による「制裁」は、今回の「お土産の押収」だけでなく、在日同胞の生活に大きなダメージを与えてきた。朝鮮と日本をつなぐ船・万景峰92号が入港禁止になったことにより、高齢者や障害者、病弱な人たちは飛行機での移動が困難なため、実質的に祖国との往来の道を閉ざされてしまった。朝鮮高校生徒の祖国訪問も、飛行機便への変更により一人当たり約15万円も負担額が増えた。朝鮮に粉ミルク支援を行っている日本の団体も船がストップしたことにより支援に支障をきたしている。
 朝鮮との輸出入が全面的にできなくなったことにより、朝鮮との貿易業を営んでいた人たちはすべて窮地に追い込まれた。朝鮮へ中古車などを輸出していた愛知の同胞企業は09年に貿易業を廃業した。朝鮮の書籍を売るコリア・ブックセンターも朝鮮からの書籍が入ってこないし、06年7月以降に出版された朝鮮の本の販売が禁止されている。
 06年の「制裁」開始直後、日本社会の中で在日朝鮮人に対する民族差別、迫害行為が多発した。06年10月末の段階で、朝鮮学校生徒らに対する暴行やいやがらせが169件、総聯機関に対する放火や破壊行為、脅迫などが200件を超えている。拉致問題以降、日本社会に形成された「反北朝鮮・反総聯」の風潮が、「制裁」によって増幅され在日朝鮮人に直接の暴力が向けられた。
 07年1月の大阪府警による滋賀朝鮮初級学校に対する不当な強制捜索をはじめ、日本の公権力による総聯各機関への弾圧、「無償化」排除や各自治体の補助金支給停止など日本政府をはじめとする朝鮮学校への露骨な差別も、「制裁」がそれを許す一つの支えになっている。さらに日本社会全体の中で在特会などによるヘイト・クライムを助長してきた。

 日本が独自で行ってきた主な「制裁措置」には次のようなものがある。
●「朝鮮民主主義人民共和国」籍者の原則入国禁止
●すべての朝鮮籍船の入港禁止
●在日朝鮮人の最高人民会議議員などの朝鮮を渡航先とした再入国の不許可
●日本の国家公務員の朝鮮への渡航の原則見合わせ。日本国からの朝鮮への渡航自粛
●日本と朝鮮間の航空チャーター便の日本への乗入れ不許可
●朝鮮を仕向地とするすべての貨物の輸出を禁止
●朝鮮を原産地または船積地域とするすべての貨物の輸入を禁止
●朝鮮と第三国との間の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(仲介貿易取引)を禁止
●輸入承認を受けずに行う、原産地又は船積地域が朝鮮である貨物の輸入代金の支払の禁止
●携帯輸出の届出を要する額を100万円超から30万円超へ引下げる措置及び支払報告を要する額を3000万円超から1000万円超へ引下げ


 最後に、在日本朝鮮人人権協会が出している「在日朝鮮人の人権を侵害する制裁措置の廃止を求める意見書」(2017年10月30日)を紹介する。http://k-jinken.net/?page_id=341

 意見の趣旨として次の二つをあげている。
1 日本政府が、朝鮮民主主義人民共和国に対して発動している経済制裁は、国際法・人道法上の制約を逸脱して在日朝鮮人の人権を侵害しているから、ただちに廃止すべきである。
2 経済制裁と並行して、日本政府や地方自治体によって、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除や補助金の停止・削減など在日朝鮮人を標的とした権利侵害が多発している。これらは朝鮮民主主義人民共和国への事実上の「制裁」として行使されているところ、本国政府に対して政治・外交上の圧力を加えることを目的として日本国内の永住市民の人権を侵害するものであって違法・不当であるから、そのような権利侵害行為はただちに停止されるべきである。

 「日本独自の制裁措置」の非人道的かつ違法・不当性について次の4つをあげている。
1 一般市民への影響を考慮しない全面的禁輸措置・支払禁止措置である点で非人道的であり、
2 制裁目的との合理的関連性を欠くものであって、国際法の一般的理論からは正当化されず、
3 制裁発動国に在住する旧植民地出身者の永住市民を対象とする異例の措置であって、不必要・不相当であり、
4 制裁目的が達成されないまま時間的制限なく継続しており、異常である。

 北南首脳会談、朝米首脳会談が実現し、朝鮮半島をとりまく情勢は急激に好転している。そのなかで、日本も日朝会談について言及するようになった。こんな犯罪的な「制裁措置」をそのままにして在日朝鮮人を人質のように弾圧しいじめておいて、本当に朝鮮との関係改善をするというのだろうか? 今回の神戸朝高生のお土産押収事件で、その根本となる日本の朝鮮に対する「制裁措置」の犯罪性について知ってもらいたい。(k)

期待したい北と南のスポーツ交流

2018-06-25 09:45:29 | (K)のブログ
 6月14日からロシアでサッカーのワールドカップが始まっている。
 ワールドカップは1974年の西ドイツ大会からリアルタイムで見続けているが、回を追うごとに興味が薄れていき(朝鮮民主主義人民共和国が出場した2010年の南アフリカ大会は別)、今回のロシア大会は、まったくと言っていいほど関心を持てないでいる。始まる直前までその存在を忘れていたほどだ。関心が薄れていくのは、オリンピックも同じで、年齢を重ねていることが原因なのだと思うが、今回のロシア大会の無関心は他の原因がある。
 年初から劇的に変化する朝鮮半島情勢の方に関心が全て向いてしまった。板門店での首脳会談や朝米首脳会談などに夢中で、ワールドカップのことは完全に直前まで忘れてしまっていた。

 18日に北南スポーツ会談が板門店で行われた。7月に平壌、秋にソウルで北南統一バスケット大会を開くこと、8月にインドネシアで開催されるアジア大会での開閉幕式で合同入場し一部競技で合同チームを結成することなどが合意された。今後、板門店宣言を履行していく中で、北と南の合同チームが結成されるなどスポーツ交流が進められていくはずだ。大会そのものよりも、北と南の交流の方に関心が行く。

 2020年の東京五輪に北と南はどのように参加するのだろうか? ぜひとも合同入場をこの目で見たいものだ。また、2022年にカタールで開催されるサッカーワールドカップには、北と南の合同チームで参加することになるかもしれない。2030年のワールドカップの北南の共同開催という話も出ているらしい。

 もう一つサッカーに関する話題。23日の土曜日、インターハイ進出をかけた東京都予選の東京朝高と関東一高校との準決勝の試合が駒沢第2競技場で行われた(東京朝高は準々決勝で強豪の帝京高校を4―3でくだし準決勝に進出。東京都からは2校が出場するため準決勝で勝利するとインターハイ出場となる)。
 会社でSNSを通じて送られてくる経過に注目していた。試合は壮絶な闘いだったようだ。点の取り合いのなか、2-3で朝高がリードされたまま後半アディショナルタイムに。そこで劇的な同点弾が決まり3―3に。延長戦でも決着がつかず。勝負はPK戦にまでもつれ込んだが、結果は4―5で破れてしまった。インターハイまであと一歩だった。激闘の模様は朝鮮新報のHPで。http://chosonsinbo.com/jp/2018/06/0623yd-2/
 東京朝高サッカー部、年末の全国大会で悲願の「全国大会出場」を果たしてほしい。(k)

歴史に刻まれた6.12朝米首脳会談

2018-06-15 09:24:55 | (K)のブログ
 今日6月15日は2000年に実現した初めての北南首脳会談で共同宣言が発表された日である。6月25日は朝鮮戦争が始まった日とされている。そして新たに、6月12日が歴史的な日として記録されることとなった。
 6・12――初めての朝米首脳会談の実現と共同声明が発表された日として歴史に刻まれることになる。両国国旗の前で両首脳が固く握手する姿は今後、繰り返し目にされるだろう。

 朝米共同声明では、大きく4つのことが合意された。
1. 朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は平和と繁栄を願う両国人民の念願に基づいて新たな朝米関係を樹立していくことにした。
2. 朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は朝鮮半島で恒久的で強固な平和体制を構築するために共に努力する。
3. 朝鮮民主主義人民共和国は2018年4月27日に採択された板門店宣言を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを確約した。
4. 朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は、戦争捕虜および行方不明者の遺骨発掘を行い、すでに身元が確認された遺骨を即時送還することを確約した。

 1と2は、朝鮮と米国は、朝鮮戦争を終結させて平和協定を結び、国交正常化を実現させるために努力することを約束したものだと私には読める。その上で朝鮮半島の非核化の実現。会談後の姿や報道を見ていると朝米両国とも会談と合意内容に満足していることがわかる。
 3年間の朝鮮戦争では北と南など合わせて500万人の死者が出たと言われている。朝鮮全土は米国の猛烈な爆撃を受け、特に平壌は完全に廃墟となった。「朝鮮が復興するには100年かかる」とまで言われたほどだ。米国は核爆弾の使用も考えていた。そして、休戦後も米国は一貫して朝鮮の政権を崩壊させるために、軍事的・経済的圧力をかけ続けてきたのだ。
 その朝鮮と米国の首脳同士が直接会って話し合い共同声明が発表されたのである。日本のマスコミは、「具体策がない」などと言って文句をつけているが、とてつもない大きな意義があり画期的な出来事だ。スタートを切ったにすぎないとも言えるが、偉大なスタート、第一歩だと強調しておきたい。

 声明にも明記されているが、今後すみやかに政府間で話し合いが持たれ具体的なことが決められ積み重ねられていくことだろう。休戦協定が結ばれた7月27日、8月15日の解放の日、9月9日の朝鮮の建国70周年にどのような行事が行われるのか、文在寅大統領が秋に平壌を訪問するのか、今後も朝米首脳会談が平壌やワシントンで開かれるのか……板門店宣言、朝米共同声明の履行の中で、これからの様々な日程がどのように進められていくのか。歴史・世界の大きな変化を目撃したい。最後になったが、朝・日の会談にも期待したい。(k)

朝鮮半島情勢の進展に生還の喜びを感じる

2018-06-06 09:40:19 | (K)のブログ
 朝鮮半島を取り巻く情勢が日々動いている。
 12日に、当初の予定通り朝米首脳会談が実現するようだが、月刊イオ7月号の締切りから雑誌ができる1週間ほどの間に会談が開かれるので、次の7月号には朝米首脳会談のことは掲載できない。しかし、雑誌が読者の手に届く頃には会談が終了しているはずで、その内容は世界のマスコミはもちろん、朝鮮新報でも報道されており、非常にピント外れの内容でお届けすることになる。月刊誌の宿命だといえばそれまでだが、こういうことがあるたびに、もやもやしてしまう。
 朝米首脳会談の話題は8月号に掲載することになるが、仕方がない。でも、朝鮮半島の真の平和の実現、朝鮮戦争の終結について、どの程度まで合意し見通しが立てられるのか。ワクワク、希望が自分の中に充満しており、非常に楽しみで仕方がない。

 統一問題、朝鮮半島の出来事を自分の問題として捉えるようになって、40年ほどが過ぎた。短くない歳月だ。3年前にくも膜下出血で倒れ、生死の淵をさまよったが、今年に入っての北南関係の進展、両首脳の逢瀬の姿をこの目で見ることができて、生還できたことの喜びをかみしめている。生きている間に朝米首脳会談を見ることができるかどうか、疑っていただけに12日が本当に楽しみだ。

 今月に入り、月刊イオの編集の仕事の立場が少し変わった。北と南、朝鮮と米国、朝鮮と在日同胞が住んでいる日本との関係がどのようになるのか、そして在日同胞の生活がどう変化するのか…。今後も紆余曲折があるだろうが、どのような立場であれ、関与し、見守り、伝えていきたい。(k)

自分にはウソをつけない

2018-05-28 09:43:31 | (K)のブログ
 安倍首相の森友学園、加計学園問題は、なかなか終わりそうにないが、最近では大学アメフト部の反則タックル問題がモリカケ問題を消し去るかのように世間をにぎわせている。昨年の相撲の暴行問題もそうだが、アメフトのような問題、本当に日本のテレビは好きだ。こんなに長く伝えなくても良いのにと、あきれてしまう。
 これらの問題、いつどこで、誰に会って、どう発言したのか、残っている記録やいろんな人たちの証言によって事実を追及することが大切だ。
 しかし、国会などで元首相秘書官など関係者が参考人として発言しても真実を語っているかどうかはわからない。アメフト部の監督やコーチの発言を聞いていても本当のことを言っているのかどうか、疑ってしまう。

 子どもを育てるとわかることだが、やらなければならない決まりごとを、やらない、できないことが多い。例えば歯磨き。まだ幼い頃、した形跡がないので「歯磨きしたのか?」と聞くと、面倒なのか、「したよ」と言うことがある。ウソなのかと疑っても、あくまでも「した」と言われると、そうかと引き下がる。でも、したかしていないかは、本人が一番わかっている。
 会ったのか会っていないのか、こう発言したのかしなかったのか、確かに忘れることもあるだろう。また、どれだけ悪意があって、例えば反則を指示したのかどうか、本当のところは他人には証明することはできない。しかし、権力構造の中で特定の人間に特別に便宜が与えられたのかどうか、自分がどれだけの気持ちで選手に指示を出したのかどうかなど、自分自身が一番わかっていることだ。
 自分にはウソをつけない。

 日常の生活の中で、良心の呵責を感じることは少なくない。企業の悪事が内部の告発によって表に出ることがあるが、自分にウソをつくことに耐えられなくなり、公表に踏み切るのだろう。アメフトの当事者の選手が記者会見したのも良心の呵責、自分にこれ以上ウソをつきたくないという気持ちがあったからだと思う。

 今も昔も、良心の呵責というものと無縁の人間がたくさんいる。ウソをつくこと、悪事をはたらくことに、何の良心の呵責も感じない人間がいかに多いことか。
 朝鮮問題に関しては特に良心の呵責は無くなって久しい。アメフト問題で大学をあれだけ批判するマスコミも、「北朝鮮問題」で何の根拠もないデタラメな報道、悪意に満ちた報道を垂れ流している。明らかな差別であるにもかかわらず、朝鮮高校だけを高校無償化制度から除外しつづける。それを許している社会がある。そもそも、自分が間違ったことをしているという認識自体がないのではないか。そうすると良心の呵責を感じることもあるまい。
 高校無償化裁判でひどい判決を出した、広島、東京、愛知の裁判官に聞いてみたい。「どのような理由であのような判決を出したのか?」「良心の呵責はあるのか?」と。なぜあのような判決を出したのか、自分自身が一番知っているはずだ。(k)

(理)さんの入管問題の短期連載

2018-05-16 09:27:57 | (K)のブログ
 月刊イオの6月号は明日の17日に納品される予定です。6月号の中に、「緊急ルポ 入管収容問題を追って」という記事が掲載されています。これは5月号から始まった短期連載記事で、3回連載の第2弾。(理)さんが担当しています。(理)さんはこのブログでも入管問題を何度も発信しています。
 (理)さんは2月10日の日刊イオで、「メルバンさんを助けたい」(https://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/eb20dd64820cb7a78e93a893d5be65b6)という文章を発信しました。そこでも紹介されていますが、私も2011年にこの問題を取材し月刊イオで4回にわたり連載しました。連載当時は多くの関係者と会い、一緒に入管に対する要請行動も行い、収容されている人たちを励ます活動も行っていました。しかし、取材が終わった後は、直接、行動をともにすることもなくなっていました。
 茨城県牛久市の東日本入国管理センターで難民申請中のインド人男性が自殺(4月13日)するなど(5月13日にも自殺を図った収容者がいたという情報があります)、収容されている人たちは劣悪な環境におかれており、日本の入管行政の問題点は7年前と何も変わっていません。
 その現状を(理)さんは改めて取材し報告しています。

 (理)さんはネットでこの問題を知り、その深刻さに取材をやりたいと思ったそうです。それで、私に提案してきました。誰かがやらせたわけでもなく企画会議で決まったことでもありません。記者・編集者として大事なことは、いろんな問題に興味をもって納得するまで調べてみることだと思います。(理)さんがこの問題を改めて取材し記事にしたのはうれしいことでした。
 イオの6月号、そして「緊急ルポ 入管問題を追って」、ぜひお読みください。(k)

首脳会談、無償化裁判の27日に名古屋へ

2018-05-07 09:48:39 | (K)のブログ
 板門店で北南首脳会談が行われた4月27日以降、お互いが板門店宣言の履行のために積極的に動いている。北は3年ぶりに標準時間を30分ずらして南に合わせた。軍事境界線付近での宣伝用のスピーカーも撤去。連休初日の3日にはスウェーデンで開催中の卓球世界大会で女子団体の統一チームが実現した。今後、鉄道が連結されるなど、どんどん平和と繁栄、統一のための北と南の動きが進むだろう。

 4月27日のことを思い出して書きたい。その日、私は名古屋へと出張に出かけた。倒れて以来、約3年ぶりの本格的な地方出張だった。その日に判決が出る愛知高校無償化裁判の取材のためである。
 首脳会談が9時半からなので、中途半端に出発すると歴史的瞬間を見られないと、東京駅から9時前の新幹線に乗った。窓際のコンセントがついている席を確保して、スマホの画面で生中継を見ていたのだった。新幹線がトンネルに入るたびに画面が途切れ、危うく境界線上で両首脳が握手する場面を見逃しそうになったが、何とか歴史的な瞬間をこの目に焼き付けた。

 境界線を挟んで両首脳が固く握手。金正恩委員長が左足で境界線を越える。何か会話を交わしたあと、二人は手をつなぎ一緒に南から北側へ足を踏み入れる。その姿に、こらえていた涙がこぼれてしまった。

 午後に行われた愛知高校無償化裁判の判決は、このブログで(理)さんが詳細を報告しているので、ぜひ読んでほしい。朝鮮学校の教育内容まで持ち出し、朝鮮学校を排除するまったくひどい判決だった。
 感激の午前と、怒りの午後。極端な一日となった。

 29日まで名古屋に滞在し、愛知朝鮮中高級学校で行われた東海地方6・15学生青年協議会が主催する「南北首脳会談祝賀会」を取材。地元のNHKも取材に訪れ、関心の高さを示していた。
 集会の最後に、参加者全員がカードに「統一のために何をするか、統一したら何をしたいか」というそれぞれの決意をしたためるイベントが行われた。「南から北へ自転車で縦断したい」といった夢を各自が綴っていた。目だったのが「平壌で冷麺を食べたい」といった書き込み。SNSを見ても、首脳会談の後で、冷麺を食べている姿を投稿する人たちが多い。私も連休中に食べようと思っていたが食べることができなかった。平壌に行って食べたいと思う。

 祝賀会で目を引いたのが、白地に青で朝鮮半島が描かれた統一旗(写真)。昨年9月に東海地方6・15学生青年協議会が10・4宣言10周年を記念する統一コリアライブを行ったのだが、その時に参加者たちが手形を押して朝鮮半島を描いたのだそうだ。
 若い世代の統一に対する思いが溢れた素敵な祝賀会となっていた。(k)

圧巻だった2人芝居「キャラメル」

2018-04-24 10:01:18 | (K)のブログ


 今日、4月24日は、4.24教育闘争から70年目に当たる日です。70年前の闘いですが、この70年間、ずっと在日朝鮮人は闘い続け今も闘っています。逆に言うと、日本当局の在日朝鮮人に対する弾圧は70年間続いているということです。
 教育闘争と根っこを同じくするのが日本軍「慰安婦」問題です。この問題をテーマに22日、23日に行われたのが、「いま、日本軍性奴隷問題と向き合う 被害者の声×アート」。このブログでも2度紹介したイベントで、私も参加しました(ブレヒトの芝居小屋)。
 イベントではパネル展示やアート作品の展示、トークなど様々な催しが行われたのですが、ここでは、2人芝居「キャラメル」について書きたいと思います。

 圧巻の内容でした。2日間とも会場は満員。特に日曜日は立ち見客が溢れるほど観客が詰めかけました。
 幼馴染の二人のハルモニが出会うところから物語が始まります。物語の舞台は、そのうちの一人のハルモニの葬儀の場です。これまで多くの被害者が名乗り出ていますが、その何倍もの被害者が名乗り出ることも訴えることもできず、亡くなっていったことでしょう。芝居はそのようなハルモニたちの存在にスポットを当てます。



 この2人芝居「キャラメル」。作ったのは「在日バイタルチェック」でおなじみのきむ・きがんさん。きがんさんと丁々発止の掛け合いを見せるのが東京演劇アンサンブルのホン・ミオクさん。在日朝鮮人の役者2人が、在日朝鮮人の被害者の存在を思い舞台を作り上げました。

 舞台の後半、スッキハルモニが告白と告発を行います。十数分にわたる場面です。
 日本の植民地支配により生活を破壊された朝鮮民族。資源や食料を奪われ、みなが貧しく暮らします。そんな生活でも、アッパ、オンマとの暮らしがありました。しかし15歳の時、キャラメルひとつで騙され戦地へと連れて行かれる少女。そこでは日本軍の相手をさせられ、殴られ、刀で切り付けられ…。解放後も故郷に帰ることができずに日本で懸命に生きてきたハルモニたち。
 スッキハルモニは叫びます。「15歳に戻してくれ! それがでけへんのやったら、ちゃんと謝れ! 心の底からちゃんとした態度で謝れ! 二度とこんなことしません、ゆうて、世界中の前で、私らに膝をついて謝れ~! 私らの人生を返してくれ~!」

 ハルモニたちは被害者である前に、一人の女性、一人の朝鮮人、一人の人間であると、訴えます。物語は、ハルモニが尊厳を取り戻す様子が描かれます。しかし、性奴隷とされた被害者たちが本当に尊厳を取り戻すためには、日本が過去をすべて清算しなければなりません。
 ハルモニたちの孫がハルモニたちのことを知り、受け継いでいく、そのことが亡くなったハルモニの心を癒したのではないか。と勝手に解釈しています。

 前半のハチャメチャで笑いに溢れたストーリー。酒飲みの二人は舞台上でぐいぐいと飲みます。イッキもしちゃう。ラストとのギャップが見事です。
 この演劇は2回だけの公演では実にもったいないということで、日本各地で上演したいと考えているようです。そのためには資金が必要です。広くカンパをお願いしたいと思います。



 さて、今日4月24日、大阪では4.24教育闘争70周年を記念する火曜日行動が行われます。、正午から大阪城公園の教育塔前に集合です。ぜひご参加ください。(k)

編集作業の昔と今―白黒フィルムの製造中止報道を見て

2018-04-13 09:33:43 | (K)のブログ

 朝鮮半島情勢は日々、変化し、日本では安倍政権に対する厳しい追及が起こっている。気になる事件としては、相撲の巡業の際に、土俵上で倒れた市長を助けようとした女性らに、土俵から降りるようアナウンスし塩を撒いたという出来事。
 しかし、今日はそういうこととはまったく関係のないことを書きたいと思う。

  少し前にネットで次のニュース(4月6日毎日新聞ネット版)を見つけた。感慨深いニュースだった。
 「富士フイルムは6日、白黒写真用のフィルムと印画紙の製造・販売を終了すると発表した。カラー用製品の製造・販売は今後も継続する」

 

 カメラがフィルムからデジタルに移行してずいぶんと経つが、大手富士フィルムでついに白黒写真のフィルムと印画紙の製造・販売が終わる。今は、仕事でもプライベートでもフィルムはまったく使わない。完全にデジタルカメラで撮影する。

 私がカメラを撮るようになったのは社会に出て、雑誌編集の仕事をするようになってからだ。シャッタースピードや絞り、露出のことなど、基本的なことから学んだ。当時のカメラは自分では何もやってくれなくて、ピントも人間が合わせていた時代だ。当時作っていた雑誌が白黒印刷の雑誌だったから、撮影する写真も白黒だった。

 写真撮影の基礎と同時に、白黒フィルムの現像と印画紙に焼付ける方法も教えてもらった。当時の会社には暗室があって、取材し撮影したフィルムを自分たちで現像していたのだ。詳しい手順は忘れてる部分も多いが、相当な数のフィルムを現像し焼付けて写真を作っていた。手間と技術、時間がかかるのが焼付けで、一旦、暗室にこもると2時間ほどはあっという間に経っていたと思う。

 

 雑誌編集の仕事も長いので、カメラだけでなく、この間の技術の変化は大きい。活字による活版印刷からオフセット印刷へ。いつのまにか活字がなくなり写植もなくなった。レイアウトも紙に手で線を引いていたのが今は画面上で行う。鉛筆がワープロになり、パソコンが支給されている。原稿の受け取りも、郵送や足を運んでいたのがFAXになりメールになった。

 技術が発達することで、非常に作業は楽になったが、失われたものもあるのではないか。原稿の受け取りも、筆者と直接顔を合わせることで学ぶことも多かったと思う。今も近くなら会えばいいのだけど…。富士フィルムが白黒フィルムと印画紙の製造・販売を中止したことで、白黒写真が完全になくなるわけではないが、一つの時代の終わりを象徴する出来事だと思う。

 自分がやってきた編集という仕事の一つの節目をつける象徴的な出来事だと、感慨深く少し寂しいものがある。(k)


総聯中央銃撃事件、同胞学生たちがアピール

2018-04-04 09:53:07 | (K)のブログ

 

 3月30日の金曜日の夜、JR池袋駅の西口で、「3.30緊急アクション」と銘うたれた、在日朝鮮人・朝鮮総聯へのテロ、迫害行為に抗議する街頭宣伝が行われました。

 これは、2月23日午前4時ごろ起こった総聯中央本部に対する銃撃事件に対応し、日本の大学に通う在日朝鮮人大学生たちが起したアクションです。私も昨日にブログデビューした(全)さんと現地へ行きました。

 30数名の大学生や日本人が集まり、道行く人たちにマイクで事件の経緯や本質などをアピールしビラを配りました。ちょうど金曜日だったので、文科省前での金曜行動に参加した日本人が多数合流していました。

 

 配られたビラには、次のような文章が書かれていました。

 「これは在日朝鮮人の生活と権利のため、そして日本社会との友好のために活動してきた朝鮮総連への偏見と、在日朝鮮人に対する差別感情によって引き起こされた許しがたい暴挙に他なりません。…日本政府がこれを紛れもないテロ・迫害行為であると自覚し、このような事件が二度と繰り返されぬよう厳格に対処することを強く求める…」

 

 事件から1ヵ月以上が経ち、在日朝鮮人に対する許しがたいテロ行為であるにも関わらず、事件は日本社会から忘れ去られようとしています。そもそも、事件が起こったその時も、関心を集めていなかったし、ネット上では、実行犯をほめたたえるものや「総聯の自作自演」といった書き込みが多くみられました。

 事件は、「北朝鮮」を悪魔化し攻撃を続け、高校無償化からの朝鮮学校排除に象徴されるように「北朝鮮と繋がる者」には何をやっても許されるといった、風潮が日本社会のなかに充満していることが引き起こしたものです。同胞学生たちは事件を風化させず、日本政府に責任を問い、日本社会の現状に警鐘を鳴らすために行動を起したのでした。

 同胞学生たちの思いと行動力、それに連帯し声をあげる日本人…、活動を続けることで、日本の社会状況を変えることができると感じられる時間でした。(k)