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東京医科大の女性差別、ふざけんな

2018-08-08 09:34:14 | (K)のブログ
 驚かされた事件があった。
 東京医科大が医学部医学科の一般入試で、女子受験者の得点を一律に減点していた事件。3日には抗議行動が同大正門前で行われ、抗議した人たちは「ふざけんな」と怒りをあらわしている。
 本当に「ふざけんな」の一言である。
 これほどのあからさまな女性差別が堂々と行われていることにただただ驚かされる。受験という一番公正が求められるところで、女性だというだけで減点される。本来、合格していた人がそのことで不合格となる。テレビのニュースでは、不合格となり医者の道をあきらめたという女性の声が紹介されていた。人生を大きく左右する差別で、大学はどのように責任を取るのだろうか。このようなことが他の大学でも行われているという話も出てきているし、大学を擁護する発言も出てきているのにも驚きだ。
 東京医科大のこの問題で、内部調査委員会が昨日、報告書をまとめ発表した。女性だけでなく3浪以上の男性の合格者数を抑制していたりといった不当な差別は06年からだという。逆に文科省の前局長の息子などには入試の点数を不正に加点していたことが明らかになっている。
 医療現場の仕事環境が劣悪ならそれを改善するのが先だ。女性が出産しようが何の心配もなく働ける社会、家事や育児の負担を女性に押し付けない社会を作ることが大切だと改めて痛感する。私を含め同胞社会も猛省しなければいけない。

 「ふざけんな」の一言で終わらせると短いので、同じ受験つながりでもう一つ書きたい。
 けっこう前になるが、電車に乗っていると、車内広告に受験関連の会社の次のような広告=問題が掲載されていた(写真)。


※  ※  ※
「働く」ということについて、次の文章を読み、あとの問いに答えなさい。

かつてあるイギリスの経済学者は、「将来は一人が一週間に15時間働けば十分な世の中になる」と言いました。また、生活を送るために十分なお金を全員に与える「ベーシックインカム」という取り組みを実験的におこなった地域もあります。さらに、「AI(人工知能)の発達によって不要になる職業」も最近話題となりました。このように考えると、「人が働くのは当たり前」という考え方自体が大きく変わるのかもしれません。

問:働かなくても生活をするために十分なお金が国からもらえるとしたら、あなたは
働きますか? 働きませんか? どちらか一方を選んだ上で、その理由を具体的に答えなさい。
※  ※  ※

 この問題はある中学の入試問題だ。
 この問題を見たときも驚いた。純粋に受験生の論理性を見極めるための問題なのだろうか。受験生にしてみれば、「働きません」とはなかなか書けないのではないか。「『人が働くのは当たり前』という考え方」となっているのも気に入らないし、「十分なお金が国からもらえるとしたら」という部分もひっかかる。
 自分がこの問題を出されたら、「働くとはどういうことか?」という概念を説明することから始めて答えるのだと思う。しかし、これは受験の問題としてふさわしいものではないのではないか。思想や倫理観などを探っているように思えて違和感があるのだが、どうだろうか。(k)
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