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日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

地震が起きようと起きまいと

2011-04-11 09:34:56 | (里)のブログ
先週もブログで書いた、東北朝鮮初中級学校への補助金不支給のことについて書きます。
いくつかの報道では、不支給を決めた理由を、
「国が砲撃事件を受けて交付基準を見直したため」(産経新聞)とか、
「昨年11月の北朝鮮による韓国砲撃への県民感情を考慮し、支給を見合わせた他府県と歩調を合わせる」(河北新報)などと報じました。

ちなみに朝鮮新報の4月4日付の記事(朝鮮語)では、
「東北初中教育会理事会は、宮城県が延坪島砲撃事件とそれに対する『県民感情』を口実に今年度予算に計上していた東北初中に対する補助金162万4000円を支給しないとしていることに対し、(決定の見直しを求め)抗議していくことで合意した」と報じています。

今回の決定は学校側に、文書などではなく口頭で伝えられたということで、
いずれにしろ県の意向がどのようなものであったのかを調べるために、直接宮城県の私学文書課というところに7日午前、電話してみました。

対応してくれた公務員の方は、想像していたよりもとても丁寧に対応してくれました。
以下に要点をまとめます。



●補助金を交付しないことにした理由は、
昨年11月に朝鮮半島で起きた砲撃事件を受け、県議会内で「県民感情を考慮し補助金を見直すべきではないか」という議論が高まり、支給を見合わせた他府県と歩調を合わせた。
砲撃事件後、国が朝鮮学校への「高校無償化」適用をめぐって総理の指示で審査手続きを停止したことから、県の補助金のこともクローズアップされた。

●普段から大阪や東京など、支給を見合わせた他府県と、朝鮮学校のことをめぐって情報交換はしてきた。

●(やっぱり理由がはっきりわからなかったので)「決め手は何だったんですか?」という質問に、「最終的に何をもって決めたかというのは、正直、事務方としてはわからない」と担当者は返答。県内にも両意見がある、と言っていた。

●宮城県では平成4年度から東北初中に補助金を支給してきた。当時、訪朝団なども行き来する中、友好機運が高まり、当時の知事がゴーサインを出した。「拉致問題」が発覚した時も、県は変わらずに補助金を出し続けた。「その時はそもそも、補助金見直しという議論にもならなかった」と言っていた。

●今回の決定は知事の決断。いわば政治判断。知事の判断が変わらない限り、覆されることはない。


なぜ今回宮城県が東北初中への補助金をカットすると決めたのか、
非常にあいまいな理由しか聞くことができませんでした。
「歩調を合わせる」というのは聞こえは良いかもしれませんが、理由としては不十分すぎます。
そもそも、歩調を合わせなければならない理由は何なのでしょうか。
こんな「適当」な感じで朝鮮学校の権利は踏みにじられてしまうのかと、
憤りも感じつつ本当に呆れてしまいました。


しかしこれは私の個人的な解釈ですが、県の行政内でも温度差があるんだな、と思いました。
少なくとも私に対応してくれた担当者は、今回の決定に疑問を感じているようでした。
「今まで支給していたものを何故」という感じでした。
「理由になってない理由」、ちっとも「合理的でない理由」をふりかざして、
等しく震災で被害を受けた東北初中にさらなる打撃を与えようとしているなんて、本当に許せません。


一方宮城県は、昨年度分の補助金に関しては
「砲撃事件」を受けて一時凍結していたものの、「未曾有の東日本大震災の被災地という人道的な見地から支給した」といいます。
しかし、朝鮮学校のような民族学校にも当然、地方行政からの補助金を受け取る権利があり、
そもそも今回のような非常時だから受けられる恩恵的なものでもないはずです。
地震が起きたか起きていないかなんて関係なく支給されるべきです。


宮城県知事は「人道的な見地から」という言葉を発しながら、
人の道に反したことを同時に行っていると思うのですが、違いますか?(里)





こんな時だからこそ、「日本の良識」を信じたい

2011-04-04 09:45:28 | (里)のブログ
先週から東京では桜の花が咲き始めて、いっきに春めいてきました。
日曜は気温が冬並みに低くて寒かったですが、
また気温が上がれば一気に満開となるでしょう^^


話は変わって、この前の出張での話の続きをさせていただきます。
所用があって岐阜朝鮮初中級学校へたずねた時のことです。
その日は日曜日なのにもかかわらず、ハッキョにはたくさんの人が集まっていました。
岐阜県の青商会のメンバーを中心に、学校の遊具などのペンキ塗りをしていました。
女性たちも来ていて、お昼に豚汁をふるまってくれました。


そこで、以前(おととしの7月くらい)福島に出張に行った時会ったことのある男性を見つけました。
私はとっさに思い出して声をかけました。
福島から岐阜に転勤してきたという彼。
私はてっきり福島県出身だと思い込んでいたのですが、彼は宮城県の海沿いの町の出身で、
今回の東日本大震災で実家が大きな被害を受けたそうです。
不幸中の幸いで、家族は無事だったそうですが、
両親が営む店舗は浸水してしまい、営業不可の状態となってしまったといいます。
震災後、実家に戻って被害を確認したそうですが、思わず言葉が出なくなったそうです。
「まぁ、なんとか大丈夫ですよ」と言いながらも、心配そうな表情を浮かべていました。
前の福島の同僚たちのことも、すごく気がかりだといいます。
私はただ、「ご家族が無事でよかったです」と言葉をかけることしかできませんでした。


直接被災したわけでなくとも、家族や親戚、友人などが被災地にいるという人はたくさんいると思います。
私は今回の大震災を経験して、恥ずかしながら初めて災害に対する危機感というか、恐怖を抱くようになりました。
そしてこんな時に、家族が離れ離れだったらどんなに不安だったかと考えます。
出張中も、テレビの画面に「緊急地震速報」のテロップが流れるたびに、家に電話をかけていました。


このたびの地震による死者・行方不明者数は、発生時から現在までで恐ろしいほどに膨れ上がっています。
そして家族や友人、知人など、その数の何倍、何十倍、何百倍の人々が、悲しみや無念の思いで押しつぶされそうになっているのかと思うと、
本当に苦しすぎます。


テレビを見ればわかる通り、被災地へエールを送るCMがたくさん流れています。
私の家の近所のスーパーの入り口には、「がんばろうニッポン!」と大きく貼紙が貼ってありました。
何万という死者・行方不明者がいて、まだまだ過酷な環境で避難生活を続けている方が何十万といらっしゃる中、
日本中のたくさんの人たちが引き続き被災地に関心を持ち続け、何か一つでもできることをやっていかなければならないんだと、本当に思います。


ですが、3月31日、宮城県が新年度の東北朝鮮初中級学校への補助金を交付しないことを決めたという驚くべきニュースを耳にしました。


こんな状況の中で、こんな決定しか出せないのかと、正直本当に悲しかったです。
東北初中の関係者たちが、日本の友人たちのために炊き出しを行ったその姿を、県の当局者たちは知らないのでしょうか。
現在、日本政府は昨年11月に朝鮮半島で起こった「砲撃事件」を理由に「高校無償化」をいまだ朝鮮学校に適用しないでいますが、
県は別にそんな国の姿勢にならう必要はなく、独自の判断で朝鮮学校に対する施策を講じればいいのではないでしょうか。


テレビで芸能人らが、「日本の力を、信じてる」と繰り返していますが、
それよりもまず、「日本の良識を、信じたい」と言いたいです。(里)

関西出張中です

2011-03-28 09:27:50 | (里)のブログ
先週から関西に出張に来ていて今日が最終日です。
久々の出張でしたが、今回もさまざまな出会いがありました。

東京では毎日のように大小の余震が続いていたのに比べ、こっちはまったく揺れを感じません。
ただ、街を歩けばいろんなところで東日本大震災の被災者たちへのカンパの呼びかけなどが行われていたり、
一部地域でペットボトルの水などが品薄になっていたり。
また各地域の総聯支部で「今回、春の花見は自粛するようにした(心情的なものを配慮して)」などという話を聞くたびに、
改めて大震災があったということを実感させられました。

私が泊まった京都の某ホテルの入り口には、こんな貼紙が貼ってありました。

(写真めちゃくちゃ大きいですね、すみません)
西日本で節電をしても、東日本の電力不足にはたいして影響がないそうです。
西日本と東日本の電気の周波数はそれぞれ違っていて、西日本から東日本に電気を送電する際は専用の施設で変換して送るのですが、
そこでどう頑張っても1日に100万KWしか変換できない、つまり送れないそうです。
しかも現在西日本の余剰電力というのがすでに100万KW以上あるために、節電したところで東日本への電力の供給量がアップするわけではないのです。
でも多分、西日本での「節電」はただ電気を節約するというよりも、生活の中のいろんなことを少しずつ節約して被災地への支援にまわそうという意味だと思います。


今回、阪神淡路大震災で甚大な被害を受けた地区である、新長田駅周辺を訪ねたのですが、
きれいに区画整理された街並みを見ながら、16年前の光景はどんなものだったんだろうか、
また今回津波で跡形もなく流されてしまった宮城や岩手の町たちもこんな風に姿を取り戻せるのかと想像してみました。
いまの東北地方は、まだまだ避難所生活を余儀なくされていて、瓦礫の撤去や仮設住宅の建設などが急務で、
「復興(~いったん衰えたものが、再び元の盛んな状態に戻ること)」を目指すのはもう少し時間がかかりそうです。
でも神戸の街並み、人々の姿は、どんな災害が起ころうと時を経て必ずその姿を取り戻せるという確信を与えてくれるようでした。


被災地ではこれからが本当の正念場というか、長いたたかいが始まるのではないかと思います。
物質的な面でなくしたものもそうですが、それ以上に精神的な辛さを乗り切っていくエネルギーが必要になります。
月刊イオではそんな被災地の同胞たち、また被災した家族を持つ同胞たちに向けた応援メッセージを募っています。
(イオのホームページからお願いします)http://bit.ly/eneaaE
たくさんの方たちのご協力をお願いしたいと思います。希望がわいてくる言葉、勇気の出る言葉などを寄せてください!(里)

震災から10日、被災地は

2011-03-21 11:20:19 | (里)のブログ
震災から1週間以上が経ちました。
先週に引き続き、各被災地の情報を載せたいと思います。

岩手、宮城、福島、茨城などには日本各地から救援隊がかけつけ、物資の配達や同胞からの激励のメッセージを届けています。
また、総聯中央では「総聯中央緊急対策委員会」を立ち上げ、被害を受けた総聯本部との連携の下、
24時間体制で同胞たちの安否を確認し被害状況を調べ、必要な対策を立てています。
現在、第一次救援隊が東日本大震災の被災地で活動を行っています。
総聯や民団の組織の垣根を越えて、またそれらの組織に属さなくとも、震災によって被害を被ったすべての同胞たちのために、
「東日本大震災被害同胞救援募金(※)」を設け、幅広い同胞たちが参加するよう呼びかけています。


【宮城】
昨日のお昼、東北朝鮮初中級学校主催の炊き出しが、近隣の八木山中学校で行われました。
日本各地の同胞たちから届けられた救援物資を使って、400食分の豚汁、おにぎりなどを作ってふるまったそうです。
もちろん、キムチもありました。400食が全部なくなり、大好評だったといいます。
そしてこのようすは、地元・東北放送でテレビ放送されました。

3月27日に、同校の食堂で卒業式が行われます。

そして昨日、同胞医師、看護士などからなる総聯医療団、朝青、青商会の代表らも同校に到着し、被災者の健康診断を行いました。
怪我や病状を訴える方は幸いいなかったそうですが、ストレスなどから血圧が高くなっている方などがいたとのこと。
明日は別の避難所にも診断に行くそうです。
仙台は3月いっぱい断水が続く見込みで、引き続き大変な生活が予想されます。

イオ編集部からは(相)さんが先週明けに茨城に入って取材したのに続き、
木曜日からは宮城に取材に行っています。
先週土曜日には津波被害が深刻だった気仙沼市にも入って同胞への取材を行いました(下の写真は壊滅的な被害を受けた気仙沼市内のようす)。

各地の同胞たちから届いた救援物資のありがたさに、涙を流す1世同胞もいたそうです。
被害状況については、いまだ連絡がつかない世帯があるそうで、まだまだ心配な状況といえます。

【岩手】
岩手県にも各地からの救援物資がたくさん届いています。
県内、県外問わず、たくさんの同胞たちから「何の物資が必要か」など、問い合わせが相次いでいるそうです。
総聯本部が把握している被害状況によると、県下の同胞たちはすべて無事だったそうですが、
被害の大きかった沿岸部に住む同胞たちをはじめ、引き続き一戸ずつ訪問して物資を届けていくといいます。


(※)「東日本大震災被害同胞救援募金」について



口座名:東日本大震災被害同胞救援募金
口座番号:ハナ信用組合 本店営業部
       普 1131243


被災地への支援物資を届ける手順は現在、以下のようになっています。
http://www.chongryon.com/jisin/sien.html
確実に支援物資を届けるため、配送するときは必ず事前に、最寄の総聯本部、支部にお知らせくださいとのことです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



最後に、一つお知らせがあります。
3月30日に、元東京朝鮮歌舞団の舞踊手で、最近では舞台「パッチギ!」の振り付けをはじめ、
各公演を手がけていらっしゃる金有悦さんの舞踊・チャンゴ教室発表会が行われます。
震災を受け、一度は中止も考えたそうですが、色々な方たちの励ましやアドバイスをいただき、諦めずに開催することを決めたといいます。
そして今回の発表会を、チャリティ発表会として開催するそうですみなさま、是非是非足を運んでください!




日時:3/30(水)18:00~(開場17:30)※当初より、30分繰り上げて開始することになりました。

場所:日暮里サニーホール(JR・京成日暮里駅徒歩2分、ホテルラングウッド4階)

チケット代:一般2000円、学生1000円(前売3000円)、学生席1500円(高校生以下)

問合せ:(090-1657-4997)


※当日チケットの売上げはすべて募金します。
※当日はロビーに募金箱を設置します。チャリティーにご協力お願いします。



(里)





東北地方太平洋沖地震

2011-03-14 10:35:34 | (里)のブログ
東北3県の現在の状況をお伝えします。


【宮城】
東北初中の校舎は校内の壁が崩れ落ちガラスも割れ、入るのが危険な状態だといいます。


学校全体が少し傾いているように感じられたそうです。

若干の同胞たちは学校(校舎は危ないので寄宿舎)で集まってすごしているといいます(写真はおととい晩、カレーを作って食べた時のもの。給食用にハッキョに備蓄されている米とカレー粉、プロパンガスを利用して作ったそうです)。

避難所となっている近隣の八木山中学校で給水などが行われており、同胞たちもたくさんいます。
今日の夜中に八木山中学校含める八木山近辺の電力が復旧しましたが、水道、ガス等はストップしたままだといいます。
他地域にくらべ、一番ハッキョの建物被害が深刻そうです。今日からの授業は教室では困難なので、食堂を分割して行うそうです。
また、原発のことで少し困惑しているといいます。連絡がつかない同胞も多数とのこと。

【福島】
福島初中では地震後、校舎内に数ヶ所の亀裂が発生したため、児童・生徒たちは全員帰宅させたといいます。

教員たちは全員で教室に避難し、一夜をすごしました。
また同校では、太平洋側のいわきなどから避難してきた同胞たちも受け入れているそうです。
みな、放射能の話などしながら相当不安がっているといいます。
水道水ではなく井戸水である同校には、水を求めに来る同胞もいるといい、
水を配る用意もあるそうです。
昨晩の時点で郡山市内は地域によってまばらなものの電気が復旧したそうですが、水が出ない状況は続いていました。
昨晩は同胞とその近所の友人たち8名が学校の教室で泊まったそうです。
まだ同胞の人的被害情報はありませんが、安否不明の同胞が複数いるそうです。

【茨城】
地震後、茨城初中高の校舎の窓ガラスにヒビが入ったそうですが、大きな被害はなく、
児童・生徒たちは11日はハッキョに泊まったそうです。
昨日の時点で茨城初中高に学生、教員、イルクン、同胞らが避難し、少数ですが日本の方も来ていたといいます。
茨城では火力発電所(東海村)で働いていらっしゃった広島出身の同胞2人が亡くなられました(煙突で作業中に地震に遭われて、転落してしまったそうです)。
一番被害が大きかったのは、ハッキョがある水戸よりも、県北地域だそうです。幸い昨日回った同胞宅は無事でしたが、津波の爪あとは大きかったそうです。
今日から高級部生と卒業クラス(中3と小6)は登校し、授業が行なわれるそうです。

ガソリン不足は3地域で共通しています。物資があっても移動が困難で配給が難しいそうです。
各県(とくに宮城)の被害状況はまだまだ明らかになっていない状況です。


※これらの情報はツイッターを中心に情報収集したものです。写真は朝青埼玉のモバイルサイトから転載させていただきました。いずれも現場の状況は時々刻々と変化していると思われます。タイムラグが生じていることはご了承ください。今後の詳しい動向は、下記の各サイトでチェックしていただくことをお薦めいたします。

●朝鮮新報
http://www.korea-np.co.jp/sinboj/

●青商会のモバイル対応掲示板です。被害情報、安否情報の交換がされています。
http://ameblo.jp/kyccenter/page-2.html#main

●朝青埼玉モバイル。東北初中の被害状況を写真と文章で伝えています。
http://96.xmbs.jp/schochong/

●東京・江戸川青商会、康勝恩さんのブログ
http://ameblo.jp/sanpurena/


犠牲となった同胞のご冥福を心よりお祈り申し上げると同時に、
被災者の方たちの安全が1日も早く保障されるよう願うばかりです。
東京も都内のハッキョは全校休校措置がとられ、交通規制のため私たちもさまざまな困難が生じています。
しかしながら、現地の皆さんのことを常に思い、できることをしっかりやっていきたいと思います。
同胞のみなさん、皆でしっかりとつながって、この試練を乗り越えていきましょう。(里)







「留学生裁判」から「高校無償化」問題を考える

2011-03-07 09:43:17 | (里)のブログ
先週、「2.26朝鮮学校への『無償化』即時適用を求める大集会」のことについて書きましたが、
そこで言及できなかった問題をまた一つ、書きたいと思います。


大集会ではさまざまな団体の代表が発言を行いましたが、
その中で田中宏先生(「外国人学校民族学校の制度的保障を実現するネットワーク」、一橋大学名誉教授)は、
各種学校の認可を受けている外国人学校41校のうち、朝鮮学校10校のみが除外されていること、
そしてそれがきわめて政治的な理由からであることを指摘しながら、
かつて自身がかかわった留学生裁判のことについてお話されました。
以下に、田中宏先生の「最終講義ノート」(http://bit.ly/dYpyW2)を参考に、その内容を載せます。


「留学生裁判」とは1964年、日本政府の国費留学生が政治活動を理由に奨学金を打ち切られたことに対し、
文部大臣を相手にして起こした裁判のことです。
判決は、「留学生らは自己の意志の及びようもない自国政府の要請を常に念頭において不安のうちに勉学に従事しなければならなくなるのであって、右のような解釈は、留学生個人の意志と人格を尊重し、個人の同意を前提として留学生として採用することを基礎として成り立っている国費留学生学生制度を根底から覆すものとして、とうてい許されないものというべきである」(判例時報、555号、1969年)ということで、留学生の全面勝訴となりました。
これはすなわち、教育に政治を介入させることが厳しく戒められたということです。
この判例は、現在政治的な理由で「無償化」から朝鮮学校が除外されている事態の不当性をあらわにするものだと思います。


「最終講義ノート」の中には、こんなエピソードも。
…1963年11月、千円札が「聖徳太子」から「伊藤博文」に変った時の(ある留学生の)こんな発言は忘れられない。
即ち、「今度、千円札が伊藤博文になったが、戦時ならともかく、戦後の民主主義日本で、どういうことなのか」、
「日本で最も多い外国人は在日朝鮮人でしょう。毎日使うことになる彼らの身にもなってみたら……」、
「言論の自由が保障されている日本で、誰も批判の声をあげない。うす気味が悪い……」。

この話は「イオ」2009年4月号に田中先生が寄せてくださった、「在日朝鮮人とわたし」というタイトルのエッセイでも取り上げられていました。
この国に根をはった「朝鮮人蔑視感」は当時のみならず、今でも「高校無償化」からの朝鮮学校除外という形で露出しています。


最後に「2.26大集会」で朗読された、95歳の日本人女性が書いた詩を紹介します。
「わが10代のころより見聞きする差別なり 朝鮮人を差別する日本人はだれぞ」
「無償化は在日の問題にあらず 日本人が歴史の責任を果たすことなり」
「恥ずかしくないのか、菅さん日本人 我は恥ずかしい、朝鮮の子だけはずして」(里)

怒りの大集会

2011-02-28 09:46:42 | (里)のブログ



先週の土曜、「2.26朝鮮学校への『無償化』即時適用を求める大集会」(「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会主催)が開催され、
会場となった東京の代々木公園野外ステージは2000人以上の参加者で埋め尽くされました。
大集会が行われている最中、近くでは「在特会」も数十人集まっていました。
よく聞こえなかったのですが確か、「○△□×帰れー!!」「○△□×認めないぞー!!」などと叫んでいました。
しかし、予想された混乱もなく、無事に大集会は進行していきました。
そして集会後には、渋谷一帯で怒りをぶつけるデモ行進も行なわれました。


この日は約300人の朝高生たちも参加しました。
東京、神奈川のみならず、茨城からも数十人の生徒らが駆けつけました。
高3の生徒たちは、1週間後には卒業式を迎えます。
ふりかえれば昨年2月に「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外が持ち上がり、
当時の高級部3年の学生たちは「後輩たちのために」と街頭に立ち署名を集め、
「朝高にも無償化を」と訴えながら卒業し、「無償化」のためのたたかいは
在学生たちに引き継がれていきました。
しかし丸一年経った現在、状況はまったく変わっていないばかりか、むしろ後退してしまいました。
政府が朝鮮学校に対する「無償化」手続きを停止していることを受け、
大阪府や東京都をはじめとする地方自治体が、それまで何の問題もなく支給していた各種補助金を打ち切る動きを見せています。
これは、「朝鮮学校つぶし」以外のなにものでもないです。
「高校無償化」からの朝鮮学校排除が、その序章とでもいうのでしょうか。


現実的な話として、今年度分の就学支援金の支給ができるのは3月末まで。
それまでに結論が出されなかった場合、学校側は訴訟を起こす方法をとらざるをえないでしょう。
(現にそのような提案も、大集会ではありました)
しかし仮に、裁判を行なって勝訴し、「無償化」が適用されたとしても、
それは少し悲しいことです。
裁判所の判決の強制力をもってしか、朝鮮学校に通う生徒たちの学びの権利が保障されないのでしょうか。
そうではなく、やはり日本政府自らの判断を引き出した結果として、「無償化」が適用されるべきだと思います。
でないと、本質的な問題の解決には至らないでしょう。


卒業を控えた神奈川朝高の女子生徒が「『高校無償化』問題は当事者である私たちの問題であり、
後輩たちに残してはいけないこと」と話す姿を見ながら、先輩として胸が痛くなりました。
私は自分が朝高生だった時、「自分は日本の学校ではない、朝鮮学校の生徒だ」という自覚くらいはあったにしろ、
根本的に自分の立場が揺らぐとかいう危機感みたいなものは、感じたことはありませんでした。
それを今の朝高生たちは街頭で、「私たちも同じ高校生です」と訴えなければならない状況に立たされている。

しかしながら、日本に何十、何百万といる高校生に対し、
朝鮮高級学校の生徒は2000人弱。
そんなマイノリティに対して、徹底的に排除の論理をふりかざす
日本という国の懐の小ささを感じずにはいられません。



本日午後、大集会で採択された朝鮮学校への「無償化」即時適用を求める決議書をもって、
菅直人首相と高木義明文科大臣に向けた要請行動が行われる予定です。(里)


アンケートにご協力お願いします。

2011-02-21 09:43:31 | (里)のブログ
アンニョンハシムニカ!
昨日、今日と冬の寒さがまだきびしいですが、
今週も元気にがんばっていきましょう^^/

さて、今年号から月刊イオでさまざまなアンケート企画を連載しているのをご存知でしょうか?
1月号と2月号ではウリハッキョ(朝鮮学校)のことについて、
そして先週末に発刊された3月号では、結婚に対する意見を集めて掲載しました。


来月号のお題はズバリ、結婚式(挙式・披露宴です。
さまざまな理由あって結婚式を挙げない方たちもいらっしゃいますし、
「予算はおさえて内容はリッチに」といういわゆる「スマ婚」が話題となるなど、
結婚式に対する意識は今後、変わっていくのかもしれませんが、
今回イオでは「同胞ならではの結婚式」について議論したいと思います。


同胞の結婚式の良いところとそうでないところなど、
皆さんの感じたことを教えてください。
未婚の方には、いろんな式に参加してみて感じたことを教えていただけたらと思いますし、
既婚者の方にはご自身の結婚式を振り返ってみての話も聞きたいと思います。
(結婚に興味のある)未婚の方にとって、経験者の声はやはり貴重です!




★アンケートはこちらからどうぞ→http://www.io-web.net/anq_iwasete/



「なあがら」フォーラム

2011-02-14 10:12:32 | (里)のブログ

先週の土曜日、青年・学生実行委員会「なあがら」が主催する
「過去事清算」の現状とわたしたちの課題―日本の朝鮮植民地支配は何をもたらしたか―
というフォーラムが開催されました。
「韓国強制併合」から100年を迎えた昨年に結成された、青年・学生実行委員会「なあがら」は、
韓日両国の青年が共に植民地主義を克服していくことを目的とした活動を行っています。(「なあがら」とは、朝鮮語で、「良くなれ」「前進せよ」「痛みが治癒されよ」という意味を持つ)
この日は、日頃から歴史サークルの活動を行う韓国・イェイル女子高の生徒たちもはるばる訪れ、
同時通訳機を耳にかけ、話に聞き入っていました。

「過去事清算」という言葉は、韓国の民主化運動の進展とともに韓国で進められてきた歴史清算事業を指すもので、
韓国で使用されている言葉をそのまま直訳したもの。
ただ、このフォーラムでは韓国での取り組みに限定して使用するのではなく、
日本の植民地支配にまつわる歴史の清算のこと、すなわち日本政府による「戦後補償」や植民地支配責任の問題なども含めた
広義で使われています。


フォーラムでは、韓日(韓国人、日本人、在日朝鮮人)の若者たちがそれぞれの研究テーマを発表しました。
発表は「日本における戦後補償の現状と課題」(千地健太・一橋大学大学院博士後期過程)、
「韓国における過去清算の成果と課題」(金賢泰・韓国・フォーラム「真実と正義」事務局長)、
「日帝末朝鮮人強制動員の形態と方式」(金鎭英・韓国・慶熙大学校史学科博士課程)、
「継続する植民地主義と在日朝鮮人」(金優綺・在日朝鮮人人権協会)の4編でした。


在日朝鮮人人権協会の金優綺さんの発表では、
いま問題の「高校無償化」制度からの朝鮮学校除外問題や「在特会」によるヘイトクライム、
そして2012年から導入される「みなし再入国許可」(~永住資格を持つ在日外国人の日本への再入国許可を一定期間免除するというものだが、朝鮮民主主義人民共和国の旅券所持者はこの対象から除外されるという差別的な制度)などの日本における差別に加え、
朝鮮籍者への韓国入国拒否問題や、朝鮮総聯と関わる活動をしている韓国籍者へのさまざまな嫌がらせなど、韓国政府による在日朝鮮人への差別も言及されました。


そして中でも、「日本における『朝鮮』嫌悪の風潮は、日本人だけではなく在日朝鮮人自身の心をも蝕んでいる」という一節が、
深く心に残りました。
植民地支配がもたらした南北分断によって、物理的な分断のみならず、
私たち在日朝鮮人の精神の中にまで分断が持ち込まれていることを自覚しなければならないと思いました。


5時間にも及ぶ長丁場となりましたが、それでも時間が足りないほど、内容の濃いフォーラムでした。
それほど、「過去事清算の現状と私たちが取り組むべき課題」というフォーラムのテーマは複合的な視点を要するもので、
今こそじっくりと検証しなければならないということの表れだと思います。



では、何をもって「過去事清算」は決着をみるのでしょう。
過去清算の大きな目的は、徹底的な真相究明を通じた加害者への処罰、
そして被害者に対する賠償と補償をすることで同じ過ちがふたたび繰り返されないようにすることです。
きちんとした清算がされていないがために、解放から65年という年月がすぎてもなお、
加害と被害の基本的な構図は変わっておらず、私たちは繰り返される歴史に向き合わざるを得ないといえます。
喫緊の課題である「高校無償化」問題なども、まさに過去清算が成されていないという歴史の脈絡から見つめる必要があります。


日本の朝鮮植民地支配と南北分断は切り離して考えられないことです。
フォーラムのまとめでは、南北分断に対する責任を日本社会が自覚しなければならないし、
それを自覚できていない日本が東アジアの連帯をうたうこと自体おかしいという指摘がありました。


私を含む同世代の若い人たちにも、もっとこの問題について考えてもらえたらと思います。
そうでないと、薄っぺらい「未来志向」「和解」論などに淘汰されてしまうかもしれないからです。
現に先述の千地健太さんの研究発表の中では、
「過去の清算をめぐる日本人の意識は後退している」という指摘がありました。
(当時の細川護煕首相が過去の侵略行為や植民地支配を謝罪した1993年の世論調査では、かつての戦争の侵略性を認め、補償問題で何らかの形で要求に応じるべきだとする人が多数派を占めたものの、韓国併合100年の2010年の世論調査では、逆転現象が起こっている)
時代は良くない方向へと逆行しているのです。

歴史を忘却する―そこに待っているのは、歴史問題の解決などではなく、誤った歴史の再生産、ではないでしょうか。(里)



朝鮮学校にも教育の観点を

2011-02-07 09:27:32 | (里)のブログ

日本政府が朝鮮西海で起こった「砲撃事件」を理由に朝鮮学校に対する「高校無償化」の手続きをいったん停止している問題で、

先週金曜日、高木文科大臣は学校法人東京朝鮮学園の異議申し立てに対し、

手続きを再開しないことを学校側に通知しました。

高木文科大臣は理由の一つとして、「北朝鮮が韓国との関係で、緊張緩和に対する姿勢を明らかに示すことがなければ、再開は厳しい」との見解を示しました。

 

これはいわば、「朝鮮学校をめぐっての『高校無償化』問題は、

単なる教育問題ではなく外交的、政治的問題だとあらためて宣言したようなものだと思います。

まだこの論理をふりかざしてくるのか、まだこんな論理がまかりとおってしまうのかという理不尽さを感じながら、

つくづく「どうして朝鮮学校だけがいつまでも除外され続けるんだろう」と頭を抱えてしまいます。

なぜ「理不尽」なのかは、以下の記事やブログをご覧いただければと思います。↓

(「朝鮮新報」:「無償化」の対象は子どもたち、丹羽雅雄弁護士に聞く)http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2010/03/1003j0827-00001.htm

(ブログ:朝鮮高校無償化FAQ) http://news.livedoor.com/article/detail/5314165/

 

日本政府が朝鮮学校にとってきた態度というものは、今も昔もほとんど変わっていません。

日本政府は一言で朝鮮学校の問題を、教育の観点からではなく完全に治安問題として捉えてきました。

一つの象徴として、「文部事務次官通達」を思い出します。

1965年12月28日に、日本政府は各都道府県の教育委員会と知事宛てに

「朝鮮人のみを収容する教育施設の取り扱いについて」という文部事務次官通達を出しました。

これは朝鮮学校の存在意義を真正面から否定するものでした。

「高校無償化」から朝鮮学校を排除しようというのも、根底に変わらずこのような姿勢があり続けるからなんだと思います。

もっともらしい理屈を並べようとしていますが(どれも全部矛盾していて通用するものではありませんが)、

そもそも朝鮮学校の存在が、日本政府にとっては「目の上のコブ」なんです。

そのことを(もう何度目になるでしょうか)、また再認識させられたようで、とても腹立たしいです。

 

本日午前11時から文科省記者クラブにて、関東地方の朝鮮高級学校の校長たちが記者会見を開きます。(里)


祖国と母国とフットボール

2011-01-31 09:33:56 | (里)のブログ
先週の土曜日、サッカーアジア杯の最終予選が行なわれ、
李忠成選手の見事な決勝ゴールで日本が勝利しました。
李選手は日本で生まれ、日本の国籍を取得。そうして日本の国家代表選手として活躍する道へと進みました。
彼は私と同じ歳で、朝鮮学校にも通ったことがあるそうです。
私は同じ「在日」として李選手のことを見て、考えます。

実は2007年、李選手が日本国籍を取得したというニュースをめぐって、
周りではいろいろな物議がかもされていました。
日本代表として活躍することに関しても、在日同胞として複雑な思いを抱く方もいらっしゃると思います。
しかし、名前を残すことにこだわったこと、自分のことを「チュンソン」と呼んでもらうことを望むという話などを聞くと、
いろいろと、単純に決め付けられないところがあると思います。

いろいろと考えさせられる中で、スポーツライターである慎武宏さん著の
「祖国と母国とフットボール ~ザイニチ・サッカー・アイデンティティ~」を
読んでみたいと思いました(以前イオでも紹介しました)。
韓国籍でありながら朝鮮代表として戦う鄭大世選手などをはじめ、
日本を母国とする彼らにとって、祖国とは何なのか、など、
掘り下げた内容となっています。  

「在日」のサッカー選手はとりわけ、さまざまなものを背負っている、
ある意味、背負わされていると思います。
先の李選手の中にある「祖国と母国」について知れば、
彼の見方もまた違ったものになると思います。(里)

「高校無償化」とは、生徒たちのためのもの!

2011-01-24 09:12:18 | (里)のブログ
先週のブログで、朝鮮学校に通う生徒たちへの「高校無償化」適用をめぐるタイムリミットが迫っていることを書きましたが、
ついに先週21日、東京都内の朝鮮学校の運営法人(学校法人東京朝鮮学園)が文科省に対して法的な争訟手続を行ないました。
朝鮮半島のヨンピョン島で起こった「砲撃事件」を受け、日本政府が朝鮮学校への「無償化」適用の審査手続きを停止していることについて、
「就学支援金の支給対象校に指定しないのは行政の不作為に当たる」として、行政不服審査法に基づく異議申し立てをしたのです(17日付で異議申し立て書を提出)。
「不作為」とは、行政庁が法令に基づく申請に対して期間内に応答しないことを指します。

これを受け、高木文科大臣は同日の会見で、「法令に従って対応してまいりたい(申し立て後20日以内に手続きを再開するか、審査手続きを停止している理由を書面で説明する)」と述べたうえで、
「いま、総理の指示によって審査手続きを停止している状況だが、私どもとしてはできれば年度内に何とかしたいというこれまでの考え方は念頭にある。いつ頃までにかということも含めて、こういう事実(異議申し立て)も出ているので、改めて対処の方針を考えてまいりたい」と、あくまでも文科省としては従来通りの姿勢に変わりないことを表明していました。
※会見のようすは文科省のHPで見ることができます。↓
http://www.youtube.com/mextchannel


17日に自由人権協会が発表した声明の中でも、
「朝鮮高校はすでに申請を済ませ、申請が文部科学省に到達している以上、行政手続法7条の規定にしたがって、同省は遅滞なく審査を開始し、その諾否についての処分を行なわなければならない。文部科学省が、迅速に審査を行うことが出来るにもかかわらず、これを怠っていることは行政手続法7条に違反する」と指摘されています。


しかし、一方でいまだ朝鮮学校と外交問題をくっつけようとする動きは止まりません。
先週土曜の産経新聞で、「朝鮮学校へ補助金交付 神奈川県はまった術中」という記事が。↓
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110122-00000120-san-soci
神奈川県が朝鮮学校への補助金交付を決めた事に対し、政府の拉致問題対策本部が県側に事情説明を求めていたそうです。

また、肝心の朝鮮学校への手続きが停止されたままなのにも関わらず、朝鮮学校への適用を判断するために作られた審査規定に沿って申請を行なった別のインターナショナルスクールの手続きが進められていることも明らかになりました。
(朝日新聞/朝鮮学校凍結でも… 高校無償化、他の国際学校は審査)http://www.asahi.com/special/08001/TKY201101200239.html


以前、ご指摘のコメントをいただきましたが、
「高校無償化」の対象は「学校」ではなくその学校に通う「生徒」一人ひとり。
少し話は変わるかもしれませんが、認可を受けていない外国人学校への適用をめぐっても、「無償化の対象は生徒であり、一種の奨学金のようなもの。(認可の有無よりも)高校相当の教育内容を受けているかどうかを優先的に考慮すべき」と判断基準の見直しが必要との声があがっています。
(東京新聞/「高校相当」の7割、無償化対象外 ブラジル系突出)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011010702000033.html


「無償化」が学校で学ぶ生徒たちのためのものである以上、
朝鮮学校に通う生徒たちへの「無償化」適用をめぐって「拉致問題」や朝鮮半島情勢、外交問題をからませることは、
とんだ筋違いな論理だし、つくづくおかしな話です。
以前「朝鮮学校の生徒が『砲撃』したのですか?何の関係があるというのですか?」と訴える日本の方がいらっしゃいましたが、本当にそうです。
何よりも無償化制度に関して民主党政権は「朝鮮学校と外交は絡めない」との立場をとってきました。
これ以上の矛盾はないのではないでしょうか。
高校相当の教育を実施していることが認められた(都道府県から各種学校の認可を受けた)外国人学校は
日本全国に41校。
そのうちの31校にはすでに「無償化」は適用されており、10校だけが除外されている状況です。
その10校とは、ほかでもない朝鮮学校です。(里)

タイムリミット迫る

2011-01-17 09:27:59 | (里)のブログ
先週12日、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会のメンバーらが内閣府と文科省に対し、朝鮮学校への「高校無償化」即時適用を求める要請を行いました。
気温10℃を下回る寒空の下、首相官邸前や文科省の前でリレートーク、ビラ配りなども行われ、
文科省記者クラブで記者会見も行われました(写真)。

ご周知の通り、昨年ヨンピョン島で起きた「砲撃事件」を理由に、
朝鮮高校の「無償化」に向けた手続は停止させられたままとなっています。
「高校無償化」法は公立学校だけではなく、私立や外国人学校にも適用されるというのが当初の趣旨だったはず。
「高校相当」とみなされる各種学校である朝鮮学校は、もちろん適用対象となるのが筋です。
しかし、日和見主義というか、政府の態度が一貫していないがために、
今まで朝鮮学校への「無償化」は先延ばしにされ続け、
遂には年を越してしまいました。
審査~「就学支援金」支給までは約2ヵ月はかかるとされており、
このままでは今の高3生徒たちが卒業するまで間に合わない恐れが出てきました。


連絡会メンバーの日本の方たちはじめ、この日は茨城初中高の崔校長と、東京中高高3オモニ会代表の李さんなどが当事者として参加されました。
私も最近知ったのですが、茨城初中高はいまや寄宿舎を完備するウリハッキョの中で、
寄宿舎生がダントツ多い学校。
東北朝高が休校となり、東北各県から生徒を受け入れている同校は、
高級部生のうちの70%が寄宿舎生だといいます。
それだけ、「(保護者の)金銭的負担があまりにも大きい」と崔校長はもらしていました。


たくさんの人たちが、「生徒たちの深いところに傷を残すのか」「これこそ『反日教育』ではないか」と訴えていました。
生徒の身になれば本当にそうです。
高3オモニ会代表の李さんは「この間、子どもたちに日本での差別をはっきりと認識させてしまった」と話していました。
この1年間、日本各地の朝高生は、一緒に連帯してくれる多くの日本人と出会えたことも事実ですが、
それ以上に、日本社会の自分たちへの風当たりの強さというものを嫌と言うほど感じてしまったのではないでしょうか。
その責任は本当に重いと思います。

年末年始に行われた全国高校ラグビー大会でも、
大阪朝高が2年連続ベスト4の成績をおさめ、
朝鮮学校の存在を堂々と示してくれました。
同じグラウンドで同じスポーツをしているというのに、
一方は「排除」されていたというのもまた悲しい事実です。

「無償化」をめぐったタイムリミットはもうすぐそこに来てしまっています。
高木文科相は1月中旬までには手続を再開したいと言っていました。
誠意だけではなく、すぐさま行動に移してもらいたいです。
このままでは高3生徒たちは卒業してしまい、
その子たちへの差別は残されたままになってしまいます。(里)

東京第2の「校舎お別れイベント」

2010-12-27 09:11:47 | (里)のブログ
東京朝鮮第2初級学校の新校舎が完成に近づいています。
子どもたちが旧校舎で授業を受けるのは今年までで、
来年3学期からは、新校舎での生活が始まるそうです。
すでに旧校舎の横には、エンジ色のモダンな新校舎が建っています。
そこで同校では12月26日から29日まで、
「校舎お別れイベント」が行なわれています。

内容は、さまざまなアーティストたちによるパフォーマンス、
そして校舎内でのさまざまな展示…等です。

去る22日には、在校生たちによる「お別れ行事」が行なわれました。

「コッスレ」という神輿のようなものを担いで枝川のトンネを一周して、
「ハッキョの神様」を旧校舎から新校舎に移動させ、
自分たちが学校生活を送った思い出の校舎に、
「アート」をほどこしていました。

「旧校舎に送る手紙」を書いたり、
やがて取り壊される校舎の壁や窓などに絵やメッセージを書いたり…。
「ウリハッキョは春になったら桜がたくさん咲くから、桜を描こう!」
「全校生と、先生たちの名前を書いておこう!」
などとやりとりしながら校舎との別れを惜しむ姿は、
ぐっとくるものがありました。
「最後まで旧校舎で学びたかった」と話す6年生児童もいました。

29日の最後は「焼肉」で〆る予定です。
屋外での焼肉といえば、同校、そして枝川トンネにとっての風物詩だとか。
旧校舎とともに味わう最後の焼肉、ということになります!
最後の別れを惜しむように、校庭からは煙がもくもくと立つことでしょう。
あいにく焼肉パーティ参加の締め切りが終了したみたいですが、
その前までの催しには、多くの方が参加してくれることを願っています。
ともに46年間頑張ってきた旧校舎とお別れをしましょう。(里)

イオのアンケートにご協力を!

2010-12-20 09:00:00 | (里)のブログ
2011年のイオでは、月ごとにテーマを決めて、読者の皆さんの「本音」を集め、
誌面を通じて深みのある議論をすることを目的とした
アンケート企画を打ち出しました。
企画のタイトルは「私にも言わせて!」、です。

はじめに扱うテーマは「ウリハッキョ」のことです。
すでに1回目はイオの新年号(12月17日発売)に掲載されました。
内容は、ウリハッキョを選ぶ理由、ウリハッキョに通って(子を通わせて)良かったこと、そしてその一方で感じている、ウリハッキョに対しての不安などについて、意見を集めまとめたものとなりました。
1回目のアンケートにご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。

2回目は、~より良いハッキョにするために~を合言葉に、
ウリハッキョを取り巻くさまざまな問題をどう改善していくか、
そしてこれからのウリハッキョ像について、読者の皆さんと共に考えたいと思っています。

「イオ」が中心的読者層と定める30、40代同胞の皆さん、
またウリハッキョを卒業して間もない20代の若者や、経験豊富な50代、60代の方たちまで、
一緒に考えてもらえたらと思います。
もちろん、ウリハッキョに深く携わってくださっている日本人の方たちもご意見くださるとありがたいです。

同胞が集まれば、いわゆる「ウリハッキョ談義」は活発に行われると思いますが、
各地の同胞たちが意見を交すことができる、そんな誌面づくりに努めてまいります。



●第2回目のアンケートページのURLはこちら↓

http://www.io-web.net/anq_iwasete/



たくさんのご意見を、お待ちしています!(里)