60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

君の名は。

2016年09月23日 08時30分48秒 | 映画
  9月19日日経新聞の春秋というコラムに下記のような映画の紹介があった。・・・・「君の名は。」-現在ヒットしているアニメ映画の題名だ。往年の名作ラジオドラマと混同しそうだが、末尾のマルで区別するらしい。舞台も現代であり、全く別の話だ。しかし共通点が2つある。男女のすれ違いを描くことと、物語の背景に大きな災厄があることだ。
 ▼ラジオドラマ「君の名は」では、東京大空襲と戦後の混乱が、主役2人の運命を大きく変えていく。放送開始は終戦からわずか7年後。空襲もその後の混乱も、まだ同時代の体験だった。翻弄される2人の姿には、作り事のメロドラマを超えたリアリティーがあった。人気を博した裏側には、そんな共感もあったのだろう。
 ▼現代の「君の名は。」はスマートフォンを操る若者達の話だ。前半は甘酸っぱい恋愛話かと思わせ、後半はぐっと色彩を変える。内容の詳細にはふれないが、やはり東日本大震災を経て生まれた作品だと感じる。都会の人間は、遠い地方の災害を見世物として楽しんではいないか。そんな問題提起も、見る人たちの心に迫る。
 ▼今年はゴジラ映画の最新作も議論を呼んだ。第一作は終戦から9年後、空襲や水爆実験を背景に作られた。最新作は東日本大震災や原発事故を大怪獣と重ねて描き大人の客も呼ぶ。ドラマなどの娯楽作品だからこそ表現できる心の振るえがある。震災から5年半、新世代の作り手が練り上げた「災後」映画の問いかけは重い。
 
 何かの媒体で映画の解説を読むことで、行ってみようという気になる。雨の祭日、このコラムを読んで早速見に行く気になった。いつもは30分前に行っても見られる映画館だが、さすがに100億円突破目前と言われるだけはあってすでに満員、結局2回待ちになってしまった。映画は田舎町に住む女子高校生と東京に住む男子高校生、性別も住む環境もまったく異なる2人が夢の中で入れ替わるファンタジックな設定で始まる。やがて女子高校生が住む田舎町がすい星の落下で大きな災害に見舞われることになる。その間の2人の入れ替わり、男子高校生が住む現在と、災害に見舞われた3年前とのタイムスリップ、ストーリーはめまぐるしくその設定場面が入れ替わる。
 
 緻密で美しい描写の風景、テンポの良いストーリー展開、これがポスト宮崎駿と目される新海誠監督作品なのであろう。ジブリの作品は中高生が主体だったように思う。今回の新海作品は20代前後の若者がターゲットなのだろう。ファンタジーなのかSFなのか、どちらかと言うと論理立ててものごとを考えるタイプの私には、その新海ワールドに戸惑いを覚えてしまう。しかし戸惑いながらも映画の中に引き込まれていく。
 
 上映が終わって、館内を出るとき隣を歩いていた大学生風の2人の男子、1人が「映画で泣くことはないのだが、今日は涙が出て止らなかったよ」と話す。もう1人も「そうだよな、久々に感動する映画だった」と答えている。映画を見ながら終始「???」を繰り返していた私は涙など出る閑はなかった。もう1、2度見ればそれを感じることができるかもしれない。やはり私には小学生の時ラジオで聞いた「君の名は」の方が、分かりやすく心が震えたように思う。それほど今の若者と比べ感受性が衰えているのであろう。

   

   

   

   

   

   
 
 

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