60歳からの眼差し

人生の最終章へ、見る物聞くもの、今何を感じるのか綴って見ようと思う。

腰痛 その後

2009年01月23日 09時04分47秒 | Weblog
腰痛で2ヶ月以上休んでいたMさんは年が明けてから出社するようになった。
オーナーとはどのような話しになったのか彼は言わないが、当面は変則の勤務体系を取るらしい。
朝は11時までの出社、夕方は4時を過ぎてからの退社である。
腰痛の症状が消えるまで、通勤ラッシュを避けての特例とのこと、結構温情のある処置である。
しかし、昨年11月から腰痛で休み始めてからはすでに3ヶ月以上が経過している。
「いつまで甘えているんだよ!」周りからはそんな声も聞こえ始めてきた。
今は受注も少なく彼がやっているデリバリーの業務も、他がホローして何とか回っているようである。
しかしあまりに長引けば周りの不満も増し、会社としても配置を考え直さなければいけないのだろう。
この会社で男性が働ける場はデリバリー業務か営業か、後はセンターの入出庫や在庫管理だろう。
しかし、腰痛持ちではセンターの仕事は無理で、また彼の職歴や性格から営業も難しいと思われる。
したがって、継続して努めるこのと出来る場所は今のこの場所しかないようにも思われる。
本人もそれは自覚しているようだが、しかし体と気持ちが付いていないのも実情のようだ。

話では獨協大学での検査の結果、椎間板の一部が突出しており、当面は様子を見るしかない。
このままで症状が改善することもあるし、長引くこともある。これが医者の見解だそうである。
専門医にしてはなんとも頼りない見解である。果たしてそうなのであろうか?
彼は表面的な体裁を取り繕い、人にはあまり本音を見せない性格である。
彼が「これこれこうしよう」と誰かに提案したとして、それに反論されると「うっそぉ~」と逃げてしまう。
相手を見ながら、言葉を選び、弱みを見せれば突いて来る、強気に出れば引き下がる。
決して相手と意見を戦わせず、自分の主張を通すこともない。少し姑息な感じもする性格でもある。
社内には友人は居ず、たぶん自分の奥さん以外は誰にも本音はさらしてはいないように思われる。
そんなことから考えて、彼が言っている病状をそのまま鵜呑みにはできないようにも思う。

本来彼は佐野の新工場移転に伴い、工場で在庫等のコントロールをやるということで入社した。
しかし佐野への移転は延び、デリバリー業務の要員補充の意味もあって今の仕事に就いたのだ。
この会社にとってはデリバリー業務は実務の要であり、社内的には一番神経を使う部署でもある。
得意先から納期の短縮を迫られることも多く、常に慌ただしく、もっともストレスがたまる仕事でもある。
しかし彼は「全然平気です」「ストレスなぞ感じません」と何時も平常心を取り繕っているように見えた。
その強がりが彼の性格なのか、表だっては弱音を吐かず不満も言わず、黙々と業務をこなしていた。
言ってみれば相手には自分の虚像を見せて、自分の実像は覗かせない。そんな性格なのであろう。

しかし現実には仕事上でいろいろなトラブルが発生し、日々問題は積み上がって行く。
誰に相談せず、オープンにしない性格では判断が遅れ、処理が遅れ、相手の不満が増大していく。
周りの不満と比例し彼のストレスも蓄積して行き、やがて耐えられなくなり破綻していったように思う。
以前にも書いたが、腰痛はストレスから来る筋肉バランスの異変が原因になることが多いようだ。
彼もストレスが高じて精神的な変調をきたし、それが腰痛となって発現してきたのではないだろうか。
ストレスが軽い鬱症状を起こすまでになった。だから朝、自分を思うように起動できず遅刻する。
昼間も長時間神経を使って仕事をすることには耐えらず、早退せざるを得なくなる。
そう考えた方が原因と結果は解りやすい。しかし彼はそれを認めない。あくまでも腰痛で通勤ラッシュ
には耐えられないからと周りには言っている。
たぶん私が同じ立場に追い込まれても、彼と同じように鬱は認めなかったのかもしれないと思うが。

一昨日、この冬一番の寒さということであった。こんな時は筋肉は硬直し腰痛が起こりやすいようだ。
私は彼に「寒い時はホカイロを腰に貼った方が楽だよ。今、持っているからあげるよ」と言ってみた。
彼は「以前は腰のところに貼っていたんですよ。だけどもういいんです。痛みが消えるとまずいから・・」
「痛みが消えるとまずい・・・」彼がポロッとこぼしたこの言葉が気になった。
腰痛がなくなると又元の通勤時間で来なければいけない。それは反対に辛い事になってしまうのか。
「腰が痛むから遅れても仕方ない!」そういう言い訳が、自分にも周りにも使えなくなってしまう。
そう考えると、彼が今の仕事を続ける限り、腰痛は治らないような気もするのだが。