全く意見の合わない友人がいる。彼とは、カントを読んだりヴァレリーを読んだりスピノザを読んだりアーレントを読んだりするのだが、ほぼ立ち位置の一致を見ない。
私は文学好きで、スピノザをこよなく愛し、しかし書く文章はいつもグダグダ。
彼は文学フラグが立った瞬間に興味を失うし、スピノザなんて全く興味がなさそうだし、真っすぐやろうとすることに向き合って邁進する。やっていることは狂気的だが、文章は論理的だ。
私は何も出来ずにただ脇でうろうろしているばかり。
こう書いてくると、彼と私は本当に友人なのかどうかすら怪しくなってくる。
つまり、私と彼はほとんど関心に重なりがない。
それでも、私は勝手に友人だと思っている。
なぜなら、意見や立場、興味を異にするお互いを、どこか存在としては認めて話ができるからだ。
そんな友人が本を出した。
「わがままに生きる哲学」
友人にこれほどふさわしい題名もない、というぐらいわがままな友人なのだが、だからこそ、どこを開いても
面白いのだ。
この本は、一応、 「お悩み相談」の枠組みを取っている。
この世界を生きていくときに生じるさまざまな疑問について、あらゆる世代の執筆者(6人)がアドバイスを書くという形式で、各々のわがままっぷりを開陳するという内容になっている。
もちろん、彼が書いている部分はやっぱり納得できないことも多い。
「まったくぅ、らしいけどさぁ」
と思うところだらけだ。
だがこの本の醍醐味は、一つの質問に複数の世代のわがまま回答者が、てんでに己のわがままな視点で極めて無責任でかつ誠実な回答を並べている転だ。
題名の 「わがままに生きる哲学」が単に質問者に向けられたものではなく、まずなによりも回答者自身の答え方に向けられたものなのだ。
わがままは生きるに係っているが、哲学は誠実で複数的で普遍的で実践的で肯定的なものだ、ということがどのページを開いても実感できる。
つまり、この本を読むことは、もしかすると友人の彼と改めて出会い直しているのかもしれない、と思えてくる。さらにうれしいのは、そんな全く意見の合わない友人が一人だけではなく、一度に6人も、寄ってたかって 「回答」しだすのだから、これは面白くないはずがない。
回答はけっして収斂しない。新たな問いを誘ったり、全く別の答えを招き寄せたりし始める。
そんなライブ感覚は、読者にいつのまにか 「哲学の実践」をさせてしまう…………そんな 「ぞわぞわ」する本、ですらあるのだ。
もちろんごく普通のお悩み相談Q&Aとしても読めるのだが、それだけじゃもったいない。
佐藤和夫先生のゼミの超楽しい成果ってことなんだろうか?
他のメンバーのことはよく知らないけれど。
とにかくこんな玩具箱のような楽しい本は手にしたことがありません。
今すぐ注文しましょう!
気持ちとしては私が本代を持ってあげたいぐらいです(笑)。
私は文学好きで、スピノザをこよなく愛し、しかし書く文章はいつもグダグダ。
彼は文学フラグが立った瞬間に興味を失うし、スピノザなんて全く興味がなさそうだし、真っすぐやろうとすることに向き合って邁進する。やっていることは狂気的だが、文章は論理的だ。
私は何も出来ずにただ脇でうろうろしているばかり。
こう書いてくると、彼と私は本当に友人なのかどうかすら怪しくなってくる。
つまり、私と彼はほとんど関心に重なりがない。
それでも、私は勝手に友人だと思っている。
なぜなら、意見や立場、興味を異にするお互いを、どこか存在としては認めて話ができるからだ。
そんな友人が本を出した。
「わがままに生きる哲学」
友人にこれほどふさわしい題名もない、というぐらいわがままな友人なのだが、だからこそ、どこを開いても
面白いのだ。
この本は、一応、 「お悩み相談」の枠組みを取っている。
この世界を生きていくときに生じるさまざまな疑問について、あらゆる世代の執筆者(6人)がアドバイスを書くという形式で、各々のわがままっぷりを開陳するという内容になっている。
もちろん、彼が書いている部分はやっぱり納得できないことも多い。
「まったくぅ、らしいけどさぁ」
と思うところだらけだ。
だがこの本の醍醐味は、一つの質問に複数の世代のわがまま回答者が、てんでに己のわがままな視点で極めて無責任でかつ誠実な回答を並べている転だ。
題名の 「わがままに生きる哲学」が単に質問者に向けられたものではなく、まずなによりも回答者自身の答え方に向けられたものなのだ。
わがままは生きるに係っているが、哲学は誠実で複数的で普遍的で実践的で肯定的なものだ、ということがどのページを開いても実感できる。
つまり、この本を読むことは、もしかすると友人の彼と改めて出会い直しているのかもしれない、と思えてくる。さらにうれしいのは、そんな全く意見の合わない友人が一人だけではなく、一度に6人も、寄ってたかって 「回答」しだすのだから、これは面白くないはずがない。
回答はけっして収斂しない。新たな問いを誘ったり、全く別の答えを招き寄せたりし始める。
そんなライブ感覚は、読者にいつのまにか 「哲学の実践」をさせてしまう…………そんな 「ぞわぞわ」する本、ですらあるのだ。
もちろんごく普通のお悩み相談Q&Aとしても読めるのだが、それだけじゃもったいない。
佐藤和夫先生のゼミの超楽しい成果ってことなんだろうか?
他のメンバーのことはよく知らないけれど。
とにかくこんな玩具箱のような楽しい本は手にしたことがありません。
今すぐ注文しましょう!
気持ちとしては私が本代を持ってあげたいぐらいです(笑)。
素敵なブログですね。
遅きに失して申し訳ありませんでした。
さて、拙著について、このようなありがたいご感想をいただけましたこと、誠にありがとうございます。
冒頭、「そうかぁ、仙人さんとはそんなに意見の一致を見ないんだぁ」と思いつつ読み進めていくと、「えっ!それってワタクシのことっすか!」と気づき、爆笑しました。
「友人」なんて、それは違いますよ。
一回り以上も年の離れた「大先輩」を友人だなんて、恐れ多くて恐れ多くて…
(と、書くとまた「このヤロー!心にも思ってないことを!」とお怒りになられるのでしょうね)。
いや、ありがたくも恐縮です。
ぜひ、「友人」枠に入れて下さい。
根本的な意見は、それほど異なっていないと思っているのですが、でも全然立ち位置が異なっても、一緒に活動したり話したり考え合える関係性って、しかも年齢に関係なくなりたつこの関係性って、かなり個人的には素敵だと思っています。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
それにしても、そんなにワタクシ、「わがまま」ですかね…
しかも狂気じみているなんて…
(たしかに佐藤ゼミの人々は狂気じみた人が多いですが…)
公平公正と理性主義を信条としているはずなんだけれどなぁ…
ともかく、執筆者一同にこのブログを紹介しました。
心より感謝です。
ぢゅん
笑ってください。
でも、確かに「公平」ですよね。
たぶん私も違ったところから、それを目指しています。そしてそれは不思議にある種の極端さ(それはこの本でわがまま、と呼ぶモノにどこか、似ているかな)というか、過激さをもっているのかもしれません。
とにかく素敵な本ができあがったなあ、というのが正直な感想です。早速図書館に入れました。授業でも進めます。
廊下に「としょかん黒板」を二枚置いてあるので、そこでも紹介の予定です。