龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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5月29日(日)のこと「山下俊一教授のコメントのこと」

2011年05月30日 02時32分12秒 | 大震災の中で
朝日ジャーナルで、鎌田實氏(「がんばらない」の著者)と、山下俊一氏(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)が対談していた。
詳細はそちらをごらんいただければ分かるが、年間100ミリシーベルト以下の積算被曝線量の影響は「不明」だと山下俊一氏自身が認めていて、

「あえて『大丈夫だ』というわけですよ」

「微量の被曝には過敏になるな、と言っているんです」

と述べている(『週刊朝日緊急増刊 朝日ジャーナル 原発と人間』P128-P129)。

福島県が政治的に要求する「状況定義」の文脈を汲んで、「あえて」語っているのだ、ということが確認できる。

だって、同時に
「いまの子どもたちが50,60歳になったとき、本当にこの被曝の影響が出ないのか。僕は広島・長崎を調査したような拠点を福島につくるべきだと主張しているんです」
とも言っているわけ。

グレーゾーンで分からない→敢えて過敏になるなと言っている→調査をして検証しろ

待て待て。「分からない→過敏になるな」がまずおかしい。
分からないのだから、安全側に振った行政の対応を求めるのなら、専門家の姿勢として分かる。
どうして市民の行動を規制・馴致する言説がそこから出てくるのか不審を抱く。

加えて、次の段階がホラーっぽい。
グレーゾーンだから、過敏になるな、と政治的な言説を弄しておいて、調査拠点を作れとか言う。
これは、まるでモルモット扱いじゃないかしら。

終始鎌田氏と山下氏の議論は噛み合っていないのだが、そのすれちがいぶりも含めて、お読みいただければ。

福島県の被曝状況の危険を懸念する鎌田氏に対して、「ロマンチストなあと思ってますから(笑)」とコメントする山下氏の感覚もどうかと思うが、まあ、危険だけを声高に言われても困る、という福島県の置かれた「政治的状況」も理解できないではない。だって、県民200万人のうち、浜通・中通りが危険だとなったら半分以上が避難対象になってしまう。それは「政治的」に明らかに「無理」だろう。原発即時全部停止と同様、やれればいいけど非現実的だ。

だが、だからといって、科学者が「政治的」の要求に応える形で「敢えて」「過敏になるな」というメッセージを県民に「アドバイス」するのは、妥当なのかどうか。

飛散放射能の線量ばかりではなく、政治家の挙動ばかりではなく、科学者ではあっても、公共的なるものに対して公の言説を発した者については、最後まで検証をし続けていく粘り強さが、私達の側にも求められるということですね。
「安全だ」、と言うのも、「危険だ」、というのも、それが公に発せられただけではむしろ単なる「権力」=「状況定義力」の行使として働いてしまいかねない。

でもね、もう誰かの定義を鵜呑み=内面化して生きることはできない、と私は考えます。
関係する機関や東電、研究者のみなさんにはしっかりしたデータを公表しつづけてほしい。

私達は素人ではあっても、世界と向き合って生きていかねばならない。
そういうことを、この二ヶ月で学んだような気がするのです。



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