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イチイ、どの?

2023年01月09日 10時04分02秒 | 樹木
2022.11.30撮影

うちには他に赤い実のなる灌木や樹木がないので、このイチイ(Taxus)の実がなってくれるのが、たいへんうれしいです。イチイ科(Taxaceae)イチイ属(Taxus)の植物で、「イチイ」は「一位」と書きます。

日本のイチイ(Taxus cuspidata)は、日本語では、科名、属名、種名、が全て「イチイ」。センリョウ科センリョウ属センリョウ(Sarcandra glabra)、みたいなもんです。

和名 イチイ(一位)
イチイ科(Taxaceae)イチイ属(Taxus
学名 Taxus cuspidata「尖ったイチイ」
英名 Japanese yew「日本のイチイ」
原産 日本、朝鮮半島、中国北東部、ロシア最南端
雌雄異株

学名の cuspidata「尖った」というのは、葉の形から来ています。でも、痛いほど尖っているわけではありません。

2022.11.30撮影

冒頭の画像と上の画像は、うちのイチイですが、これらではなく、次の「植木ペディア」に挙がっている日本のイチイの葉の画像をご覧ください。


若葉、そして、比較的若い葉なのであろうと思われる葉は、軸に対して両側に出てペタンとついています。でも、枝先で若葉でないように見える葉は、葉の軸に対するつき方が、不規則に揺れたようになっています。

ここで、これを、うちのイチイの葉とお比べください。うちのイチイの葉は、上の画像と冒頭の画像に見えるように、葉が軸を取り囲んでほぼ螺旋状についています。葉と葉の間には隙間があります(上の画像中、真ん中上)が、枝の先端の方へ行くと、より密接しています。

葉のつき方からだけでも、このうちのイチイは日本のイチイ(Taxus cuspidata)ではないことがわかります。

それでは、ヨーロッパイチイ(Taxus baccata)なのか。

和名 ヨーロッパイチイ
イチイ科(Taxaceae)イチイ属(Taxus
学名 Taxus baccata「ベリーのなるイチイ」
英名 Yew「イチイ」
別名 Common yew「一般的なイチイ」
原産(イギリス、アイルランドを含む)西部、中部、南部ヨーロッパ

名称を見ると、「おらがとこ」中心、ですね、どこも。ヨーロッパでは、ヨーロッパイチイ(Taxus baccata)が Yew「イチイ」で、日本では、日本のイチイ(Taxus cuspidata)が「イチイ」なわけです。ごもっとも。

Aril of the European yew(ヨーロッパイチイの実)
撮影者:Didier Descouens
撮影日:2012.08.10
オリジナルからの改変、なし

上の画像は、ヨーロッパイチイの画像です。実を見せるのが目的で、枝を裏側から撮影したものです。葉の裏側からも、葉の軸に対するつき方を観察することができます。このヨーロッパイチイの葉も、うちのイチイのような螺旋状ではありません。(ヨーロッパイチイでも、新芽は螺旋状となります。)

うちのイチイがどの種であるか探索したいんですが、上の画像があんまりきれいなので、その前に、葉の様子を見てみましょう。

イチイ類の葉の裏側は、上の画像に写っているように、このように白っぽく、明るく見えます。葉の中心にきれいに主脈が通っています。そして、その両脇が白っぽいです。さらに、その白い部分の外側は、表の縁が表から裏へやや折り返されたようになっています。

今度は、次の画像(うちのイチイ)をご覧ください。ここで見えている葉は、ほとんどが表ですが、裏からと同様、表からも主脈が浮き上がって見えます。右奥には枯れて茶色くなった葉が見えますが、その左手前に、裏側が見えるのが2枚はあります。ここでも、上の画像と同様、白い筋がきれいに出ています。

こんなふうに見てみると、葉を観察して鑑賞するのも楽しいなあ、と思うようになりました。

2023.01.03撮影

では、うちのイチイは、どの種なんでしょう。次の2点から、Irish yew「アイルランドのイチイ」と呼ばれる種であると確定していいと思います。

1.葉が全体的に螺旋状についている
2.幹が複数本上に向かって伸びている

和名(ないもよう)
イチイ科(Taxaceae)イチイ属(Taxus
学名 Taxus baccata 'Fastigiata'「枝がほうき状のベリーのなるイチイ」
英名 Irish yew「アイルランドのイチイ」
原産 アイルランド

イギリスの「森林信託」
(クリックで開きませんので、アドレスをコピペでどうぞ)
YEW, IRISH(英文+画像)

アメリカ、ワシントン州にある「エリザベス・キャリー・ミラー植物園
(Elisabeth Carey Miller Botanical Garden)」
Taxus baccata 'Fastigiata'(英文+画像)

さらに、その他の記事によると、この「アイルランドのイチイ」は、
・1780年台に
・アイルランドで
・雌株だけが1本
・発見された
ということです。

普通のヨーロッパイチイ(Taxus baccata)の突然変異だと考えられています。そして、増殖は、挿し木でなされてきました。

ということは、うちのも元はアイルランドにあった(まだ現存する、というのもどこかで読んだ)ものの子孫? それも200年以上前からの?

「アイルランドのイチイ」は、横幅をあまり取らずに縦に幹を何本も上げる姿が、美しいです。次の画像でその様子をご覧ください。うちの「アイルランドのイチイ」です。

2020.08.20撮影


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