Cephonodes hylas(オオスカシバ)
Zinnia elegans(ヒャクニチソウ)
撮影者:Arthur Murray Harmsworth
撮影日:2016
オリジナルからの改変、なし
ある日、また、実家の庭で庭仕事をしていました。すると、「ぶ〜〜ん」と、かなり大きな羽音が聞こえてきました。
ちょっと興奮して立ち上がり、音の出所を、ざざざざっと見てみると、あ、いた、あそこ、チェリーセージ(Salvia microphylla)の茂み、こんな近くに!
ホバリングしている飛行生物が、ミツを採食中。
その飛行生物の姿は、一見、ハチドリ(蜂鳥:Trochilidae)。
ハチドリなら、例えば、ノドアカハチドリ(Archilochus colubris)は、全長7〜8㎝で、翼の差し渡しは8〜11㎝、体重2〜6g(と、英語版Wikipediaに書いてある)。
Ruby-throated hummingbird (Archilochus colubris)(英文+画像+分布図+音声)
学名 Archilochus colubris
英名 Ruby-throated hummingbird
和名 ノドアカハチドリ(喉赤蜂鳥)
ハチドリ科(Trochilidae)ノドアカハチドリ属(Archilochus)
以下が、ホバリングしながら採食しているノドアカハチドリです。これは、メスなので、「喉赤」という名称でも、喉が赤くありません。
Archilochus colubris(ノドアカハチドリ♀)
Monarda didyma(タイマツバナ)
撮影者:Joe Schneid
撮影日:2006.06.30
オリジナルからの改変、なし
けど、ハチドリは日本にはいない(わ〜〜い、わ〜〜い、わたしのバンクーバーの庭には出没するもん! 今日も来ていたもん、フサフジウツギに)から、あのホバリングしているのはハチドリであるわけはない。
ハチドリ、フサフジウツギで休憩中
それなら、これは、例の大型のガ、スズメガ(Sphingidae)ということになる。
さて、チェリーセージでお食事中のスズメガを見ながら、あんなに空中の1点に浮かんでいられるんだ、すいごいね、それに、ガと言っても、大きいなあ、羽が開いた状態で、7センチはあるよね、と思っていたところ、
そのスズメガが、ホバリングしているまま、角度を変えたんです。
それで見えたのが、透けた羽(翅)。これ、オオスカシバ(Cephonodes hylas)なのか!!! 初めて見る! とさらに興奮しました。
こんなに透けた羽だから、ハチ(蜂)だと思われたりするのよね。
学名 Cephonodes hylas
英名 Coffee bee hawkmoth
和名 オオスカシバ(大透翅)
スズメガ科(Sphingidae)オオスカシバ属(Cephonodes)
Cephonodes hylas(オオスカシバ)
Physostegia virginiana(ハナトラノオ)
撮影者:Rodrigo.Argenton
撮影日:2017.09.09
オリジナルからの改変、なし
で、その透けた羽を見て、いたく感動したのですが、その後、調べれば調べるほど、初めて見た、とは思えないんですね。
なぜなら、わたしが子どものとき、実家にはクチナシ(Gardenia jasminoides)の木があったからです。今は、両親が家を建て替えたので、その木自体はありませんが。
そのクチナシは八重咲きのクチナシで、門を入ったところに植えてあり、季節には毎年いい匂いがただよいました。子ども心に、クチナシの花が咲くのを心待ちにしたものです。
2023.05.26撮影
小学校低学年のわたしは、ある夏、そのクチナシの周りを、胴体の太い大きなガが飛び交うのを見たのです。ひょっとしたら、小学校入学前かも。
そんな大きなガを見たことがなかったのでびっくりして、母親に報告したのを覚えています。
それから、わたしは、そんなガがやってくるのを毎日楽しみにしていました。
しばらくして、細めの(アゲハの青虫みたいにコロコロしていない)イモムシが何匹も出現した。と同時に、葉っぱの量が減ってきた。
それも母親に報告すると・・・おかあさん、イモムシを「処分」しちゃったんです。やめてくれるよう懇願したのに。
それで、わたしは、それ以降、報告するのをやめたんですが、いやあ、もう、ガの幼虫が発生している、というのが、知れちゃいましたからね。幼虫が出てくるかどうか見張られているわけですよ。
クチナシの葉をエサにするのは、オオスカシバの幼虫ですから、やってきている成虫のガは、オオスカシバであったはずなんです。ということは、わたしは、子どものときに、羽の透けたスズメガを見たことがあるはずなんです、何度も、何匹も。
ところが、その見たと思っていたガは、わたしの記憶では、薄茶色の鱗粉で覆われていた。羽は全然透けていなかった。
ですから、今回初めて見た、というのは、記憶違い。
どゆこと?
なぜそんな記憶違いが??? トラウマだったのかも・・・
2022.10.28撮影
実家の庭でオオスカシバがチェリーセージのミツを吸っているところは、カメラが手元になかったので、写真に撮れていません。でも、それに似た画像を見つけましたので、ご覧ください。
オオスカシバ
ところで、先のクチナシの画像ですが、それは、わたしが今回の帰省のごく初期に、懐かしい思いで買い求めて、実家の庭に植えたものです。花をどんどん植えているのは、母が少しでも外へ出るように、と願ってなのですが、実際には母が庭に出ることはもう滅多にありません。ですから、もしオオスカシバがやってきても、また悲劇が起こるとは思いません。とは言え、複雑な気持ちです。