2021.07.31撮影
Joe-Pye weed「ジョウ・パイ草」とは、上の画像の植物であります。なんだ、フジバカマか、なんて言わないで! わたしは Joe-Pye weed とフジバカマを結びつけるのに、何年もかかって、さらに、その後、両者を区別するのにまた数年かかったんですから。
学名 Eupatorium japonicum
和名 フジバカマ(藤袴)
キク科(Asteraceae)ヒヨドリバナ属(Eupatorium)
特徴 葉が深く3裂する
学名 Eutrochium fistulosum
英名 Common Joe-Pye weed「普通の、ありきたりの、ジョウ・パイ草」
和名(ないもよう)
キク科(Asteraceae)エウトロキウム属(Eutrochium)
特徴 葉が茎に対して輪状につく
そもそもは、ジョウ・パイ各種は、フジバカマやヒヨドリバナ(鵯花 Eupatorium makinoi)と共に、ヒヨドリバナ属(Eupatorium)に下位分類されていました。しかし、北アメリカ原産のジョウ・パイ各種が、ヒヨドリバナ属から新しく独立させられて Eutrochium 属と命名されたのです。
つまり、ジョウ・パイ各種は、学名が Eupatorium から Eutrochium に変わったんです。そんなこと、わたしが即座にわかると思いますか、特に、そっくりな名前で。数年悩みましたよ。名称が変わると、古い名前も使い続けられるので、ますます末端のわたしなどはこんがらがりました。
次は、ジョウ・パイ草がツボミの時です。
2022.08.11撮影
次は、上の画像を拡大したものです。ひとつひとつの「ツボミ」に見えるものをご観察ください。花茎があり、緑のガクのようなものがあり、その上にピンクのガクのようなものが続きます。一体どこまでが「ガク」なんでしょうか。この「ガク」のように見えるものは、総苞片です。
2022.08.11撮影
このジョウ・パイ草の「ツボミ」と、次のフジバカマの「ツボミ」とを比べください。上段右端の画像に写っている「花」のうち、糸状のものが飛び出していないのが「ツボミ」です。ジョウ・パイ草とフジバカマと、「花」の構造がよく似ていますね。
フジバカマ(藤袴)
「松江の花図鑑」
「松江の花図鑑」によると、フジバカマは、ひとつの「ツボミ」に小花が5つ包み込まれているそうです。ジョウ・パイ草各種のうち、Eutrochium fistulosum には、小花が4〜7個つきます。
なお、fistulosum というのは「チューブの、パイプの」という意味で、茎の構造を形容します。「茎がチューブのジョウ・パイ草」は、3メートル以上にもなり、庭に植えられると、安定感をもたらします。
次の画像は、花が咲いているところです。糸状に見えるものは、メシベです。
2021.09.27撮影
「松江の花図鑑」には、フジバカマのメシベは柱頭(メシベの先端部)が2裂する、と書いてあります。「茎がチューブのジョウ・パイ草」がどうなのか見てみると、そのメシベも柱頭が2裂しているようです。以下の「花」を拡大した画像をご覧ください。
そして、このように拡大してみると、「花」の中の小花も見えてきます。これ、裸眼で見るのは大変なんです。また、ふたつ上の画像で緑であった最下段の総苞片が、季節が進んでピンクに変色していることもわかります。
2021.09.27撮影
ジョウ・パイ草各種は、夏の中頃から秋を通して咲き、その間、チョウ、ミツバチ、マルハナバチ、その他のミツを求める虫たち、に食糧を提供します。こんな小さな花からどのようにミツを吸い取るのか、という不思議さがありますが。
タネができるようになると、次の画像に見られるような綿毛になります。そして、チョウやハチの代わりに、鳥がタネを求めて訪れるようになります。
2022.09.29撮影
Eutrochium 属の各種植物が「ジョウ・パイ」と呼ばれる語源のひとつは、かつて、英語の名前が Joe Pye という原住民(いわゆる、インディアン)が、現在ジョウ・パイ草と呼ばれる植物を薬草として使って、マサチューセッツ(アメリカ東海岸)の植民者たちの間で流行ったチフスを治した、というお話しによります。
ニューヨークタイムズ(The New York Times)に、次のような、再録された記事(英文)があります。そこには、Eupatoriums という属名が現れます。1993年の記事なので、分類、属名、改訂前の記事でしょう。
GARDENING; How Joe Pye Gave His Name to a Weed(英文)