頼まれるということはだ。

おいちゃんの子どもの学習机をこさえた。
こさえる、はさすがに標準語ではないだろうけど、こさえた。
ヤスリがけって愛情だと思う。
トゲ刺さんないようにって、シャコシャコ磨くのだ。
「いっぱいお絵描きするんだろう。」
「勉強もするんだろう。」
そんなことを思いつつ、シャコシャコ磨く。


本当にいろんな事を頼まれる。
風呂を入れ替えたい。
キッチンは手作りで。
床を断熱にしてくれ。
店を出すから、なんとかして。
部屋の雰囲気を変えたいのだが。
照明を一緒に選んではくれまいか。
Ｔシャツのデザインを頼む。
お菓子工場をデザインしてけろ。
マンションをリフォームしなさい三部屋も。
うちの学校に講演にきてくれよ。
CMを作りたいからコンテを考えなさい。
応援に来てくれ。
下駄箱作って。
コンテナハウス設置するから、なんとかして。
犬を飼いたい。
壁じゃ暗いから、灯り取りの窓をつけてくれ。


もうね、なんでも言って。

昔話には偶然に掴んだ一本のわらしべを元に長者になった人がいる。
ああだこうだと深く考えもせずに、困った人に片っ端から親切にしていたわけ。

要は。
訪れた「チャンス」かどうかも分からないその機会をちゃんと受け入れていったら話がでかくなっていったわけだ。
天からの機会っていうのかね？
それを受け入れている。

ただ、奴に必死な感じはしない。
欲もなければ執着もなく、でも、人としてちゃんと生きている。
それだけで奴はいい流れをつかんだ。

頼まれるってのは、そういうことなのかもしらんね。
欲や執着は、いかん。

最後は全て返すわけだから。