Siberian Khatru by Yes in HD
イエスの曲を1曲選ぶとなると、やはりこの曲になってしまう。跳ねるようなリズムに複雑にからみあうベースとギターとキーボードとボーカル。イエスの魅力が凝縮された曲である。
イエスの全盛期はやはり「こわれもの」「危機」「イエスソングス」の頃と私は思う。商業的には「ロンリーハート」の頃がもっとも成功しているかもしれないが、イエスの長い歴史のなかで、プログレの最高峰としての輝きをもっとも放っていたのが「危機」の頃だと信じて疑わない。
しかし、よくこんな複雑な曲を考えたものである。万華鏡のような音の連続だ。
それでもこのSiberian Khatruは聴きやすいほうである。
私が初めて聴いた曲は「危機」なのだが、最初はよくわからなかった。それまで聴いていた、ヒットチャートで流れるポップスやロックンロールとは曲の構成やメロディの展開が全然違うからである。普通の曲にあるイントロ、Aメロ、Bメロ、サビという流れがなく、聴き込まないと頭になじんでこないのだ。
でも、いったん耳に馴染み始めると、これが麻薬のようにくせになる。本当に音に凝っているバンドなのだ。
私は、クリムゾン、イエス、ELP、ピンク・フロイド、ジェネシスをプログレ5大バンドと呼んでいるが、アレンジの複雑さやメロディ展開の意外さではイエスが一番だと思っている。