Dirty Love (2009 Remaster)
私が日常的に聴いているイギリスのバンド、THUNDER。
1990年発表、あのアンディ・テイラーがプロデュースした1stアルバム「バックストリート・シンフォニー」から数曲紹介します。
私のブログを覗く人はクラシック・ロック、いわゆる1960年代後半くらいから1980年代前半くらいまでのロックを好きな人が多いので、このバンドを知らない(知っていても興味ない)と言う人がほとんどだと思います。このバンドは1990年にアルバム・デビューしていて、アメリカではほとんど成功していないから(ファースト・アルバムは小ヒットはした)、日本における一般のロック・ファンはほとんど知らないのです。
でも、いわゆるハード・ロック、メタルのマニアはこのバンドをかなり評価したりします。
この種のマニアはボン・ジョビやジャーニー系のポップ・ロックから、メタリカやメガデスに象徴されるスラッシュ・メタル、吐き捨てヴォーカルが一般人に衝撃を与えるデス・メタル、そして、ドリーム・シアターに象徴されるプログ・メタル、エアロスミスやガンズに象徴されるロックンロール系等々細分化されたジャンルがあるので、いろいろな嗜好があるのですが、その雑多な集団の中の多くの人がこのバンドを好きだったりします。
まあ、音楽にうるさい人からは大雑把と文句を言われそうですが、一般の人にこのバンドを説明するなら、70年代前半のバッド・カンパニー的な音楽をやるシンプルなロック・バンドと説明するのがわかりやすいでしょう。骨太の王道のロックという表現する人もいれば、古くさい地味なロックと表現する人もいるような気がします。でも、演奏は上手く、歌は絶品。たまに、ハードな曲がありますが、ハード・ロック・バンドというより、ブリティッシュ・ロック・バンドと説明した方がよいバンドです。普遍的なロック、例えばストーンズなどに共通する音楽かもしれません。そんな彼らが、なぜか日本のハードロック・ファンの心をとらえてしまったようなんですね。日本人は堅実な職人肌のバンドが好きなのかなあ。
このバンド、紆余曲折はあったものの、2022年の現在もバンドは継続しており、現役のバンドです。アメリカで成功しなかったけど、日本と本国の英国で深く愛されて、忠実なファンに支えられてきました。主要メンバーは現在61才。音楽は枯れておらず、デビュー時と同じようなエネルギッシュな演奏を聴かせてくれます。
で、本題です。その彼らの原点ともいえるファースト・アルバムから、4曲ほど聴きたいと思います。
まずは、「Dirty Love」。ビデオは彼らが30才頃のもので、まだ、若い!70年代の雰囲気が漂うスロー~ミディアム・テンポのハードロックです。彼らの名刺代わりの曲と言われています。少しだけ、ポップですが、ポップになり過ぎない。渋さも兼ね備えていますね。リフ的にはグラム・ロック的なところもあるかな。安心して聴けるバランスのいい曲だと思います。
次はこの曲。
Thunder – She’s So Fine (Official Video)
最初のシングル化と思います。メディアには「レッド・ツェッペリン」的と評価された1曲です。でも、ネガティブではなく、ポジティブな評価だったと思います。そこは物まねでなく、骨太な演奏と歌のうまさが評価されたのかと思います。けっこう聴きごたえがありますね。実によくできたハードロック!完成度が高い!最新アルバムでも「レッド・ツェッペリン」的な曲がありますよ!
Thunder - Backstreet Symphony (1990) (Music Video) WIDESCREEN 720p
この曲はアルバム・タイトル曲。このギターのリフが好きですねー。まさに音の壁。ロック・ギターのシンフォニーという感じが好みです。この曲のアレンジは独特だなあ。
ルーク・モーリーの左利きギター、かっこいいですね。
Thunder – Love Walked In (Official Video)
今度はバラードです。ダニー・ボウズの歌の上手さが光る曲です。イギリス人らしい、陰りのあるメロディが魅力です。
こうやって、振り返ると、デビュー時からかなり完成されてました。まあ、このアルバム製作時は29才で、それまでに、音楽業界で揉まれてきた経験もあったからでしょうね。ある意味、プロのミュージシャンとしてはベテランになってからの再スタートだったんです。
1990年に1970年代風のロックを作り、それで、熱烈なファンをつかむというのは今となっては正解でした。大成功は得られませんでしたが、息の長い活動と指示を得られるベースになったからです。流行の音楽に乗っていたら、一時的に成功しても上手くいかなかったでしょうね(実際、彼らは1980年代に前身のバンドで失敗しています。)。
まだまだ、サンダーには活躍してもらいたいものです。