ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

1976年、日本のハード・ロック・ファンに衝撃を与えた「運命の翼」Judas Priest

2024-11-09 16:40:16 | judas priest
1976年は確かヴァン・ヘイレンがデビューして、ハード・ロック・ファンに衝撃を与えた年でした。エディ・ヴァン・ヘイレンの圧倒的なテクニック、特にライト・ハンド奏法は日本のギター少年やロック好きの注目を集めたものです。

そんな時に、若きロック評論家の伊藤正則氏が評論家生命をかける勢いでプッシュしたのが、このアルバムです。
3年ほど前にロック評論家の大貫憲章氏が、クイーンのデビュー時、「女王に神のご加護を!」と強烈にプッシュしたのにあやかったのか、「神のご加護を」みたいな感じで大絶賛したのが記憶に残っています。

当時、日本の洋楽ハード・ロック・ファンにはブリティシュ・ロックのヒーローを待つ気運がありました。クイーンに続く、劇的なハード・ロック・バンドを待ちわびる空気があったのです。当のクイーンが「オペラ座の夜」から「華麗なるレース」にかけてハード・ロックの路線から脱却しようとしていて、その後釜をみんな期待してたのです。
アメリカン・ハード・ロックではなく、イギリスのハード・ロックで新しい音を作るバンドがほしい。ヴァン・ヘイレンのお祭り的ハード・ロックではなく、知的なプログレの要素があるバンドが欲しい(時は1970年代半ばです、ドリーム・シアターのようなバンドが出て来るなんて想像もできません)。
そんな空気の中で、このセカンド・アルバムで日本デビューを果たしたジューダス・プリーストは、凝った構成を好むブリティッシュ・ロック好きのファンに、「おおっ!」と思わせるものがあったのです。

まずご紹介したいのは、やはり「リッパー」です。
当時、ロック評論家で、最も若者の支持を受けていた渋谷陽一氏は自分のラジオ番組でこの曲ばかりというか、この曲しかかけませんでした。
過去にないような劇的な展開と音作り、ロブ・ハルフォードの変幻自在で、ヒステリックな高音ヴォーカル、クイーンのようなバンドを待ち望んでいたファンはけっこう盛り上がったような気がします。まさに、歴史的な名曲だったと思います。

ところが、他の曲については、どちらかというと、ブラック・サバス的な割とスタンダードなハード・ロックが多く、劇的なつくりをされているものの、音が古い感じがするという意見もありました。
そのため、当時を代表する名盤という評価にはなりません。
「新しさ」という点で、やはり物足りない評価だったと思います。

と言っても、聴きこむとかなり凝ったアレンジがされており、やはり平凡なバンドとはクオリティが段違いという事実に気づきます。
まあ、そこまで聴きこむのはかなりマニアックなファンということになります。
このアルバムはかなりの評判を得るものの、ヴァン・ヘイレンとは違って、ニッチで、熱烈なファンを構成することになります。
一般のロック・ファンには「リッパー」で只者ではないという印象を与えたということで成功だったとは思います。

Judas Priest - The Ripper


変わっている曲として、「エピタフ」をご紹介しましょう。
ピアノを中心としたバラードで、コーラスがまるでクイーンです。
地味な曲ですが、クイーン的なものを期待していた人には、この曲も「おおっ!」と思わせるものがあります。

Judas Priest - Epitaph


次に、ご紹介するのは2024年の今でもライブで演奏しているアルバムの1曲目「 Victim of Changes」。
割とシンプルで、引ずるようなリフがブラック・サバス的なハード・ロックを感じさせますが、聴きこむとじわじわ味が出て来る曲です。
地味にいろいろ展開するし、ギター・ソロもきれいに構築されています。聴きごたえのある作品と言えるでしょう。逆にちょっと聴いただけでは魅力はわからないので、何でこの曲が1曲目かな?とは思ってしまいます。
この曲を聴きこめた人は彼らの音にのめりこんで行きます。

Judas Priest - Victim of Changes  

もう1曲ご紹介します。
イントロ的な曲「Prelude」と、流れるように続くスピード・ナンバー「 Tyrant」です。「Tyrant」はいろいろ仕掛けがあって、メロディも起承転結があり、展開が秀逸な曲です。メタル・ゴッドとしての覚醒を予測させるドラマティックなハード・ロックで、2本のギターの使い方が見事。ツイン・ギター・バンドのメリットをうまく活かしてると思います。

Judas Priest - Prelude  
Judas Priest - Tyrant

本作について、まとめるならば、クイーンみたいなレベルではありませんが、緻密な構成が練られた当時としてはドラマティックなハード・ロック・アルバムです。音質的にはややチープというか古臭いし、ロブの声にクセがあるのですが(この声が嫌いという方が当時から多かったですね。)、それでもアルバム・タイトルとアート・ワークから想像させる宗教観というか中世のヨーロッパ的な雰囲気が見事に想像を掻き立てる作品です。ジャケットのイラストはほんとに魅力的で、ジャケ買いした人も結構いるのではと思います。
やはり名盤であり、傑作だと個人的に考える次第です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Judas Priest の原点「Rocka Rolla」 1974年 

2024-09-23 16:12:40 | metal
未だに現存して、世界トップレベルのヘヴィ・メタル・バンドとして存在感を誇示するイギリスのバンド、Judas Priestが12月に来日公演を行います。
それを記念して、彼らの歴史をたどっていきたいと思いました。
まずはデビュー作ですね。

彼らのデビューは1974年9月、 イギリスでデビューしました。
作品は「Rocka Rolla」。
写真を見てわかるように、コカ・コーラとロックを組み合わせたダジャレのようなタイトルであるところに、デビュー時の彼らの不安定さが表れているような気がします。
日本では、大ヒットしたセカンド・アルバムの後に発売されたと思うのですが、あまりにもセカンド・アルバムに比べて、地味であったために、メディアからはほぼ無視されたような記憶があります。

デビュー時のメンバーは今でもライブでパフォーマンスを披露しているロブ・ハルフォード(V)、イアン・ヒル(B)、そして、現在はライブではパフォーマンスができなくなり、曲作り等で貢献しているグレン・ティプトン(G)、そして、脱退して別のバンドを結成したK.K.ダウニング(G)、そして初期のメンバージョン・ヒンチ(D)。
プロデューサーはブラック・サバスやバッジーを手掛けたロジャー・べイン。

1974年と言えば、イギリスではあのクイーンが「クイーンⅡ」で圧倒的な派手なハード・ロック・サウンドをロック界に提示した年。
イギリスのハード・ロックについては、基本的なハード・ロックはピークを過ぎ、新たな展開をハード・ロック・ファンたちが期待していた時期であったはずなのに、
どういうわけかJudas Priestのデビュー作は、非常に地味だったのです。
翳りのあるイギリスのハード・ロックというのは魅力的ではあるものの、ちょっと古い感じに仕上がっていました。

まずは、アルバムのタイトル曲を聴いてみましょう。

Judas Priest - Rocka Rolla (BBC Performance)

この映像は、1974年から1975年頃と思われます。ロブがロング・ヘアであるのが彼らの若さを証明しています。
この曲、「Rocka Rolla」は後の彼らのサウンドにつながるものがありますし、キャッチーなところもありますが、強烈な存在感を示すものはなく、ちょっと残念な出来だったかなと思います。

アルバム全体も、そんな印象で、渋いブリティッシュ・ハード・ロック作品というイメージです。
ブラック・サバスの音が近いような気がしますが、全体的に音がしょぼく、力強さがかけていますね。
ただ、このたび、バンド側が権利を握っていたガル・レコーズから権利を買い取り、名プロデューサー、トム・アロムによるリミックス&リマスターが施され、2024年11月に発売される模様です。
音質の改善を期待しています。
まあ、かなりのファンではないと、このファースト・アルバムを聴く機会はないと思いますけど(笑)。

もう一曲、アルバムのトップの曲をご紹介します。
ハード・ロック・バンドのリーダー・トラックとしては、当時としても、
かなり渋いですねー。
まあ、彼らのアルバムを全作品聴くような私だと、けっこう楽しめるのですけど(笑)。
歴史的なバンドに成長する前の、プロトタイプの時期だったと割り切って聴くと、いろいろ発見があって面白いものです。

Judas Priest - One for the Road

さて、1年後に発表されるセカンド・アルバム「運命の翼」で、彼らはいきなり、表舞台に飛びだしてきます。
ここ日本では、熱狂的に迎えられました。
その辺は次回の話ということで・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これは盛り上がります!サラリーマンも元気になれる「あいさつメタル」!

2024-08-12 09:03:52 | コミック・ロック
[MV]ザ・リーサルウェポンズ & マーク・ハドソン(DragonForce) / あいさつメタル

メタル好きかどうかは別にして、この曲からは元気がもらえます。
日本人(アイキッド)とアメリカ人(サイボーグジョー)のコミック・ロック・ユニット「ザ・リーサルウェポンズ(THE LETHAL WEAPONS) 」が楽しい曲を作ってくれました。
何と、イギリスのスーパー・ヴォーカリストをゲストに本格的な?コミック・メタル・ソングを発表しました。
これが実に楽しい!
メロディック・スピード・メタルというジャンルでの最高峰のバンド、ドラゴン・フォースの2代目ヴォーカリストで有名なマーク・ハドソンですが、日本では、バンド抜きで有名になりそう(笑)
朝の情報番組(ジップとかめざましテレビ等)とかで流してほしい曲です(笑)
CM曲にもぴったり!
どこかの企業か、電通・博報堂とかが食いついてほしいな(笑)

とにかく、この曲で暑い夏を乗り切れそうです。
「おはーようござーいます!こんちーは!こんばんはー!」で始まる歌詞は素晴らしい!
最高の曲ですねー!
笑顔になれますよ^^
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プログレ・ハードの前夜に存在した稀有なセンスのバンド Nektar / A Tab in the Ocean 1972年 

2024-07-15 10:04:18 | プログレハード
Nektar / A Tab in the Ocean

久々に更新です。
今回は1972年のネクターのセカンドアルバムから、アルバムタイトル曲を選びました。長尺の大作です。
ヴォーカルの録り方が古いので、古臭いと苦手意識を持つ人もいるでしょうが、プログレの雰囲気を持つ、ハードロック的バンドで、私は好きです。
アイアン・メイデンにカヴァーされたりして、知る人ぞ知るマニア向けのバンドかもしれません(笑)

ネクターはドイツで結成されたイギリス人のバンドでわかりにくい(笑)。
当時は出稼ぎ的なロックバンドが多かったようですね。
1972年と言えば、難解なプログレが流行した時期ですが、このバンドは非常に聴きやすく、ポップで、ハードロックの味わいもあり、のちのカンサス等につながるイメージがあります。
コーラスの雰囲気やヴォーカルが古い(録音が古い?)ので、ディープ・パープルの初期とか、イエスの初期の感じもして、今一つあか抜けないという印象かな?でも、演奏はけっこうかっこいいと思うのです。

ここにスティーブ・ペリーとかフレディ・マーキュリーみたいなヴォーカルが入れば一挙に曲がドラマティックになるのでしょうけど、それはないものねだりになるんでしょうね。

日本人にはあまり有名ではないバンドですが、聴きこむとけっこう楽しめるバンドです。クラシック・ロックの面白いバンドを探している方にお勧めです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レジェンドたちの素晴らしさ! Bon JoviとSebastian Bachの新曲を聴こう!

2024-06-08 06:24:56 | HARD ROCK




やはり20世紀に伝説をつくったロッカーの作品は心に響いてきます。
年をとっても、名曲を作ってくれるというのは実にうれしい。

まずはボン・ジョビ。前作『2020』から4年ぶりとなるニュー・アルバム『Forever』を6月7日リリースです。その中から素晴らしく明るい曲「 Legendary 」 を聴きましょう。
これは、フジテレビのドラマにもあっという間に採用されました。
やはり、テレビ局のお偉方の年齢層も50代から60代であるわけで、ボン・ジョビの新曲がリリースされれば使いたいのでしょうね。若者の視聴率を気にするならば、ここはボン・ジョビではなく、韓流とかなのかなとは疑問に思うのですけど。
そんな疑問はさておき、ポジティブで明るいこの曲はやはり名曲だと思います。リッチー・サンボラがいないのが残念ですが、ボン・ジョビらしさはたっぷりあります。


Bon Jovi - Legendary (Official Music Video)


そして、セバスチャン・バック。あのスキッド・ロウの初期フロントマンで通称「バズ」。アクが強いけれども、強烈な個性を振りまいて聴き手を圧倒するのは先輩のデビッド・リー・ロス同様で、魅力的なヴォーカリストです。
彼も5月10日にニュー・アルバム「CHILD WITHIN THE MAN」をリリース。
アルバム最後を飾る「To Live Again」は素晴らしいパワー・バラード。これも名曲!
人を感動させるパワーとオーラがすごい。
もちろん、脇を固める人が超一流というのもあります。

SEBASTIAN BACH - "To Live Again" (OFFICIAL AUDIO)   


しばらく、この2曲がヘビロテになりそう。
中高年ロック・ファンにとっては、嬉しい2人の活躍です。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする