梅雨に入ってから雨が降ったり止んだり、まあ当たり前のことですが。梅雨は湿っぽくてうっとうしい季節ではありますが、私はそれほど嫌いではありません。この時期に現れる生き物は結構面白いものが居たりしますし、出掛けても真夏の暑さに比べればずいぶんと楽です。
梅雨に入る前から気になっていたものが居ます。うちの近所にも棲息するモリアオガエルです。いちど産卵しているところを見てみたいと思っていました。いつ産むのかも分からないし、どう予想して見に行けばよいのか分からないので、休日に見に行って泡の固まりが増えているのを見て、何度となく残念に思っていました。
何せ産卵は深夜なので、もう寝ようと思う時間に見に行かなければなりません。しかし昨日は思い切って、起きていることにしました。深夜になるまでは蛾などの夜間撮影をして回って時間つぶしをして、いちど12時頃に見に行ってみるという段取りです。今日は産卵の日などと予想したわけではなくて当てずっぽうです。このあたりは少し遅いとは言っても、もう時期的にも産卵のピークは過ぎています。もう終わりかなと思いつつ、胸の中は期待でいっぱいです。
梅雨時とはいえ、灯火に集まる蛾類は思った以上に大勢居てなかなか楽しめます。それを見て回っていると充分時間つぶしができました。そして帰る途中に目的のものを見に行ってみました。
すると、居ます居ます。まだ産卵は始まっていませんが、枝の上で待機しています。
2010年6月23日 京都府乙訓郡大山崎町
葉陰にいる大きなお腹をしているのは♀。そしてそれにしがみついている♂が2匹見えます。この♀の大きなお腹は、卵がいっぱい詰まっているのではなくて、泡の卵塊を作るために大量の水を飲み込んでお腹に蓄えているからなのだそうです。
これはいけると取り敢えず帰って、産卵の時間になるまで待機していることにしました。しかし帰ってから少し経つと、土砂降りの雨が降り始めました。せっかく卵塊を作っても雨に流されるかも知れないので、もしかしたら今日は取り止めかなぁと思いましたが、何せカエルにとっては本能に基づく行動です。いちど入ったスイッチは終わるまで切れることはありません。2時も回った頃、傘を差して見に行ってみました。
思った通りあきらめてはいませんでした。泡の固まりもだいぶ大きくなっていました。
じっと見ていても、ときどきもぞもぞと動くくらいで、あまり動きがありません。雨で流されてしまうのではと思いましたが、葉陰にぶら下がっているので多少の雨でも大丈夫なのでしょうか。しかし雨に当たるような場所にある必要もあります。去年はオタマジャクシが中で育ってもうまく雨で流れずに、そのままひからびているものもありました。タイミング良くまとまった雨が降らないとだめなようです。
葉が茂った場所なので少し見づらいです。何せ池の上なので思うような位置に立てません。少し離れますが正面から見てみました。
位置関係から見ると♂は3匹居るようです。とても複雑な家族です。産まれてきた子の父親はどの♂か分かりません。何てことは全く考えもしていないでしょうが。やっぱりできたての泡は白いです。たいてい見ているのは表面が乾いて少し黄色っぽくなったやつです。
一番最初の写真とカエルの色が違うと思いますが、カメラを換えたせいだと思います。もしかするとカエルの色が少し変わったかも知れません。懐中電灯の明かりでしか見ていないので、本当のところはどんな色をしていたのかはっきりとは分かりません。
初めてモリアオガエルの産卵が見ることができました。まあ機会はいくらでもあったのでしょうが、産卵の日も予想が付きませんし深夜ということもあって、なかなか難しいところがあります。私も見てみたいという人が居ても、こればっかりはいつ行ったら見られるよなどと当てずっぽうでしか言うことができませんので、頑張って見に行ってください。
満足して帰る途中で車の前にイノシシが姿を現しました。2頭がじゃれ合っています。民家のすぐ側です。この頃はよく家の近所でもイノシシを見かけます。山も世知辛くなったのでしょうか。今度はイノシシを撮ってみようかなどと考えています。