島国ニッポンの山国から

地球温暖化、クルマ社会の諸問題、時評、街作り提言などを島国の中の四方を山で囲まれた山形盆地からのつぶやき

クルマ横断のために造られる広い歩道

2009-05-25 22:02:10 | クルマ社会の問題
 前回の記事に続く
 前回の記事にあるように、市街地での道路拡幅事業に伴い、ゆったりとした広い歩道も整備されるのだが、これにより行政は「歩行者に優しい道路環境」の実現を喧伝することになろうし、そのように思う市民も少なくなかろう。
 しかし、広い歩道の整備は色んな側面で歩行環境を一層悪化させる可能性が高い。
 まず、車道を走行するクルマの数も多くなるし、スピードも上昇するから、騒音も排気ガスによる空気汚染もひどくなる。
 また、道路拡幅に伴い、以前沿道に建ち並んでいた商店や住宅などが解体されるのを機会に、その跡地が一部は拡幅歩道と新たな駐車スペースとなる例がすこぶる多く、街路景観が殺風景というよりは劣悪になるだけでなく、新しい歩道の内側に造成された駐車スペースに出入りするクルマがその歩道を横断することが多くなり、歩行者にとっては決して安全な歩道ではなくなる。
 クルマが横断できる歩道上の箇所は仮に平均十数mおきであっても、歩行者が横断できる箇所(横断歩道)は普通200m~500mおきにしか設置されない。
 その他歩行者にとって不都合な点については4月13日の記事で述べたので、ぜひ読んでいただきたいが、ともかくこのままではいくら広い道路が造られても、クルマ優遇、歩行者冷遇の環境はむしろ増加しかねない。
 つまりは街路景観の劣悪化(昨年の9月25日と12月29日の記事参照)とともに、道路拡幅に伴う「街づくり」は「街壊し」に至るのではないかと不安になる。

 ※写真「上」は山形市街北部の拡幅道路と歩道内側の駐車場 
    「下」はJR北山形駅前大通の歩道を横断するクルマ