天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

鉱脈と命脈の源

2011年07月18日 | 科学
 深海の海底には、水温400°Cにも達する熱水が噴き出している噴出孔があります。深海の高い水圧により、この高温でも水は液体のままで沸騰しません。その水は豊かな無機物を含み、太陽の光は届きませんが、無機物から有機物を合成する生物活動が活発です。鉱脈と命脈の源といえます。

 超高温の熱水に溶解している鉱物が0°Cに近い海水と接触すると、接触面で化学反応が進み生成物が析出・沈殿してチムニー(煙突)ができます。銅・鉄・亜鉛などの硫化物がチムニーをつくり、黒い雲状の物質を噴出するものをブラックスモーカーと呼び、バリウム・カルシウム・ケイ素などから成るものをホワイトスモーカーと呼ぶ。沖縄トラフではブルースモーカーが発見されています。
 チムニー周辺には、本来、生物に有害であるはずの硫化水素やメタンなどを材料に有機物を合成する熱水生物群集や、鎧のような硫化鉄の皮膚を持つ生物などが発見されています。また、熱水噴出孔近傍の海底下に生息している好熱性の微生物も熱水に巻き込まれて大量に噴出してます。多くはバクテリアですが、温度の上昇に伴い古細菌の割合が増加します。

 バクテリアは各種硫化物から有機物を合成します。バクテリアの大部分に金属耐性があり、嫌気性金属呼吸(テルル酸呼吸)をして、嫌気的に金属を還元します。バクテリアは増殖して厚いマット状に広がり、これを餌にする端脚類やカイアシ類などが集まってきます。そして巻貝・エビ・カニ・チューブワーム・魚類・タコなどより大きな生物とともに食物連鎖を形成します。
 チューブワームには口も消化管もなく、バクテリアを体内に寄生させます。チューブワームは先端の赤い冠毛状の部分で硫化水素・酸素・二酸化炭素などを取り込み、特殊なヘモグロビンと結合させて、寄生するバクテリアに供給します。その代償にこのバクテリア(イオウ酸化微生物)は有機化合物を合成してワームに供給します。
 アメリカ領サモアのNafanua海底火山近くでは、ウナギばかりが固まって生息する通称Eel Cityが発見されています。