とんねるず主義+

クラシック喜劇研究家/バディ映画愛好家/ライターの いいをじゅんこのブログ 

第4講コメディ学入門 報告

2013年07月10日 00時09分28秒 | 執筆・イベント



もう2週間以上もたってしまった。神戸映画資料館で定期開催しているコメディ学入門の、4回目が、無事終了!皆さん、ありがとうございました。


第3講の大反響をうけて、テーマは《続・3ばか大将!!!》。1930年代から70年代まで、40年以上にわたってひたすらドタバタ喜劇をつくりつづけた、まさにドタバタ職人たちであります。

おかげさまで、たくさんの方に来ていただき、今回も大いに盛り上がりました。初回からずっと参加してくださっている常連のみなさん、そして今回初参加のみなさん、それぞれの笑顔が思い浮かびます。


2時間を20分に編集したダイジェスト版を、YouTubeにアップしています。そのうち非公開にするかもしれないので、お早めにチェックしてみてください。雰囲気だけでもつかんでいただけるかと。


第4講コメディ学入門《続・3ばか大将!!!》ダイジェスト







今回は、前半は3ばか大将の歴史、後半は3ばかのスラップスティック論と、2部構成に。いろいろな貴重なクリップも見ていただきました。そのうち、特にお客さんが興味をしめしてくれたものをいくつか、ここでご紹介しておきます。





KEYSTONE COMEDY BILLY BEVAN CLAM GAG





Curly vs. the Oyster Soup







スラップスティック論、ということで、サイレント時代からトーキー初期にかけて、ビジュアルギャグがいかにして継承されてきたか、そのさわりをすこしお話しました。

上にリンクしたふたつの動画のうち、ひとつめは、1920年代後半に活躍したサイレントコメディアン、ビリー・ビーバンの有名なギャグ。クラムチャウダーの具の貝とビリーがケンカするというもの。そのギャグを、3ばか大将のカーリーが再現したのが、ふたつめの動画です。


貝のギャグといえば、3ばかのカーリー版が有名なんだけど、元祖はちゃんとあった。ビリー・ビーバン以前にも、もしかしたらすでに誰かがやってたかもしれない。


これと同じようなことは、たとえばチャップリンがやって有名になったパンのダンスとか、マルクス兄弟の鏡ギャグとかにも言える。誰がそのギャグを有名にしたかはさておき、そのコメディアンのオリジナルネタかということになると、実は慎重になる必要があるのです。

これは、剽窃だとか、パクリとか、そういうネガティブなことじゃないんですね。もちろん、何の工夫もせずただマネするだけでは、パクリと責められたり、ヘタしたら訴えられてもしかたないかもしれませんが。


伝来の古典ギャグを、さらにアレンジしてもっと磨きをかける。それによって、ギャグは生き続けるわけです。


わたしは、なぜかこの<ギャグの伝承>というものにとても興味があります。今回のコメディ学では、せっかく3ばか大将をふたたびとりあげたので、かねてから関心をもっていたギャグの伝承について、その一端をお話させてもらいました。

しかし、準備不足もあって、どうも自分の中で消化不良に終わってしまったので、いずれ機会があったら、もっときちんとした形でプレゼンしたいと思っております。



<ギャグの伝承>でいちばんわかりやすいのは、パイ投げ合戦。これだけは、時代が変わってもすたれることがないんですね。パイ投げの歴史にトリビュートをささげたファンビデオが、こちら。


Pies in the Skies




サイレントから70年代まで、さまざまな映画のパイ投げシーンのコンピレーション。こういうビデオをあくせくつくる物好きな方が、いてくれるのがうれしい(笑)

使われてるクリップは、ローレル&ハーディ『世紀の対決』、チャップリン『舞台裏』から、3ばか大将の作品、ブレイク・エドワーズ監督『グレート・レース』などなど。キートンの姿も見えますが、キートンは自分の監督作ではパイ投げをしたことはない。




3ばか大将は、自分たちの短編作品で、もちろん何度もパイ投げをやってます。


The Three Stooges - Pie Fight









3ばかのリーダー、モー・ハワードが、70年代にテレビのトークショウに出演して、パイ投げの芸術(笑)を伝授したときの映像が、こちら。


Moe Howard on Mike Douglas Show



コメディ学で皆さんにとても喜んでもらえた映像でした。モーが楽しそう♪






このように、今回は多少理屈っぽいお話もしました。んが、やはり結局のところ、大勢の観客といっしょに3ばかを観る、コメディを観てみんなで大いに笑う、これができたことが、一番の喜びでした・・・講師が一番楽しんでてどーする、って感じですが。


コメディ学入門を始めて、一番良かったこと。それは、映画館で映画を観ることの良さを、あらためて実感できたことです。

家でひとりで観るのより、劇場での笑いは何倍も増幅される。ひとりでは気づかなかった笑いを、他のお客さんの笑いによって教えてもらえる。発見できる。これ、ほんと最高です。


この感覚を味わうためだけにでも、どうぞ一度コメディ学入門へ足をはこんでください。


今回は、なんと名古屋から参加してくれた方も。フェイスブックでお友だちになった女性で、ムービーゴーアー(Moviegoer)というネットショップの店長、Saworiさんです。映画にインスパイアされたとてもすてきなお洋服を販売されていて、お気に入りのお店。

コメディ学でも毎回Moviegoerで買ったワンピースを着てるのです。女子のみなさん、ぜひ一度のぞいてみてください!


ショップHPはこちら
コメディ学入門について書いてくださったブログエントリーはこちら





Saworiさんにインスパイアされたり、神戸映画資料館支配人からの提案もあり、で、さっそく第5講のテーマが決定しました。次回のテーマは、ずばり、コメディ女子!!


《メイベルに恋して~無声喜劇のジャンヌ・ダルクたち~》


と題しておおくりします。9月7日(土)開催です。


映画草創期からサイレント時代を中心に活躍した、おもしろすぎるコメディエンヌたち、美しすぎるアイドルたち、そして才能豊かすぎる女性映画人たちを、たっぷりご紹介します。いわゆる“女芸人”の元祖たちです。


いや~このテーマ、個人的にもわくわくしてます。女子パワーに共感するもよし、才能と美にホレてしまうもよし。1910~20年代のフラッパーガールたちのクラシカルなファッションも、超ステキなんですよね・・・


詳しくは、神戸映画資料館イベントページまでどうぞ!
ご予約はeyanfire@gmail.com(いいをじゅんこ宛)でお待ちしております。















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