The Phantom of the Opera / Gaston Leroux

ガストン・ルルー原作「オペラ座の怪人」

「ライフ・オブ・パイ」覚書

2013年03月14日 | 映画について

 


横たわるヴィシュヌ。
ヴィシュヌ派の創世神話によると、宇宙が出来る前にヴィシュヌは竜王アナンタの上に横になっており、ヴィシュヌのへそから、蓮の花が伸びて行きそこに創造神ブラフマーが生まれ、ブラフマーの額から破壊神シヴァが生まれたとされている。

 

 

「ライフ・オブ・パイ」についてアン・リー監督の言葉を拾ってみました。

 

「主人公・パイについて「パイ(π)は割り切れない数字であり、割り切れない人間性を表している。つまり、私たち全てを象徴する存在なのです」

「サバイバルを通したイノセンスの喪失」

「困難に直面した時、人間は自分を覆っているマスクを脱ぎ捨て、本性を見せなければならなくなる。そうすることで、互いに深くつながり、深く理解し合える。私たちの日常では自分をさらけだすのは難しいが、映画ではそれができるのです」

「最後の3ヶ月は順撮りしたから、パイの旅と並行して、彼はどんどん痩せていった。現場では誰にも彼と話をさせず、わざと孤独にした。彼は少しずつスピリチュアルになっていき、頬はこけ、目は落ちくぼんで、内なる狂気と闘っていたよ。それは17歳の少年にとって、とても大きな試練だった」

「彼を演出していると、まるで小さなブッダのようで、僕は彼が前世で経験したたくさんのことを思い出させているような感覚になった。彼との撮影は素晴らしい、有意義な体験となったよ。彼を通じて、そもそもなぜ自分たちが映画を作りたかったのか、初心に立ち戻ることができた。彼の母親は僕を先生と呼んでいたのだが(笑)、彼に教えることで、僕も多くを学ぶことができた」


「希望と想像力を失わないでほしい。それに、生身の人間と交流すること。パソコン上の交流は、どちらかというと見せかけだと思うよ(笑)僕はたとえどんな状況でも、証明できないことに対して希望や信頼を抱くことは大切だと思っている。それはとても重要なことだ。それに、クリエイティブであること。そうすることによって、辛い状況からも自分を見出せるはずだ」

「これはさまざまな方向に解釈できる作品だと思っている。僕は観客があらゆる角度から観ることになるだろうと念頭に置いて、今作を作っていた。それと同時に、とてもシンプルな冒険物語でもあるわけ」


「僕自身の考えに絞るとすると、今作の最も大きなメッセージは、物語を伝える力の素晴らしさだろう。人生は筋の通ったものではなく、我々は自然を理解するには小さ過ぎる存在だ。しかし、人は想像力や物語を伝えることによって、正気を保つことができる。長い物語を語っている時、人はあまり孤独を感じないものだ。たとえそれが空想だったとしても、物語を伝える力は、とても必要なものなんだと思う」

「だから僕は証明できないことを大切にしたいと思っている。自分にとって、それは盲信なんだ。もちろん、僕はスピリチュアルに考えがちだ(笑)神が外的な存在なのか、内なる存在なのか、それを証明するものはない。それでも僕は、神とコミュニケーションを図ることは大切だと考えているよ」

「パイ」には「割り切れない数字」の意味もある。パイは万人を表す人物だ。漂流して社会や人との交流を断たれ、組織だった宗教心も持っていない。海上で抽象的な意味での神と対面する。宗教心や信仰を持たない人が、神をどうとらえるか。「すべてを取り仕切る存在」と受け取るか、または「自分の中に存在する」ととらえるか―。私はパイをすべての人間を象徴するキャラクターにしようと考えたんだ。

パイは安全な環境で育ったが、楽園を失い試練を受ける。彼がどうサバイバル本能を使うか。"リチャード・パーカー"(トラの名)も1つの試練といえる。パイが純粋さを喪失し、いかに大人になるか。純粋さや空想の力とは何なのか。抽象的な力、愛情、哲学的な部分を描くのは大変だった。

あと、(作品の完成は)俳優の力によるところが大きい。脚本はとても抽象的で、色をつけたのは俳優だ。作品には父や母が象徴するもの、心理的なシンボルを盛り込んだが、それを私が解説してしまっては面白くない。映画を見て感じてほしい。

 

これは監督でない他の方の意見⇒「肉食≒汚れ=煩悩のようで、人の夢も思想も宗教も現実とつながっており、全てひっくるめて生命の営みだということ。原題のLife of Piは、円周率(227日)が無限に続く「永遠の生命」という二重の意味が込められているようだ。」

 

うっかり3Dを見損ないました。時間があったらまた見てみたいです。