あづさゆみ ひけばもとすゑ わがかたに よるこそまされ こひのこころは
梓弓 引けば本末 わが方に よるこそまされ 恋の心は
春道列樹
梓弓を引けば本と末が自分の方に寄る、その夜にこそ恋心がまさるのであるよ。
弓の「本」と「末」とは、弦が結び付けている弓の両端のこと。弓を引けば、その両端が自分に近づくということで、「よる」を「寄る」と「夜」に掛けることで、第三句の「よる」を導いています。「梓弓」は「引く」の枕詞、第三句までが「よる」を導く序詞、「よる」は掛詞と技巧満載の歌ですね。こういう歌に接するといつも、三十一文字の制約の中でどうしてこんなにうまく詠めるのかと思います。
今日から7月ですね。いよいよ夏本番。体調には気を付けて過ごしていきたいものです。皆さまもどうぞご自愛ください。