漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0986

2022-07-12 05:23:56 | 古今和歌集

ひとふるす さとをいとひて こしかども ならのみやこも うきななりけり

人古す 里をいとひて 来しかども 奈良の都も うき名なりけり

 

二条

 

 ふるさとは人を古いものとする里ということで、それを避けてやって来たのだけれど、この奈良の都も 「ふるさと」と呼ばれる嫌な名前の場所であった。

 現代語では「ふるさと」は生まれ故郷の意ですが、古語においては「古い里」はみな「ふるさと」で、故郷の他に「行ったことのある場所」「かつて都があった場所」といった意味があります。この歌においては過去の都の意ですね。
 作者の二条(にじょう)は、平安時代初期の貴族源至(みなもと の いたる)の子という以外、詳細不明の人物。古今集への入集はこの一首のみです。