つきよには それともみえず うめのはな かをたづねてぞ しるべかりける
月夜には それとも見えず 梅の花 香をたづねてぞ 知るべかりける
凡河内躬恒
月夜には、梅の花もはっきりとは見えない。香りをたよりにしてそれと知るのだ。
「闇夜には」なら梅の花が見えないというのは分かりますが、月夜には見えないとはどういうことでしょう。これは梅の白い花が、月の白い光に紛れてしまってはっきりそれとはわからない、ということ。もとより実際に見えないということではなく表現上の誇張ですが、白梅が月の光の中にぼんやりと浮かぶ美しい情景が浮かんできますね。