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漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 717

2025-04-02 05:10:01 | 貫之集

きみがゆく ところときけば つきみつつ をばすてやまぞ こひしかるべき

君が行く ところと聞けば 月見つつ 姥捨山ぞ 恋しかるべき

 

あなたが行くところが信濃と聞くと、月を見ながら姥捨山を恋しく思い浮かべることでしょう。

 

 この歌は、続後拾遺和歌集(巻第八「離別」 第547番)、新後拾遺集(巻第九「離別」 第853番)に入集しています。
 詞書は 716 と共通。古今集 0878 のよみ人知らずの歌を踏まえての詠歌です。

 

わがこころ なぐさめかねつ さらしなや をばすてやまに てるつきをみて

わが心 なぐさめかねつ 更級や 姨捨山に 照る月を見て

古今集 0878


貫之集 716

2025-04-01 05:39:13 | 貫之集

師氏の少将、信濃へ行く人にむまのはなむけせんとて、よませたまへる

われにしも くさのまくらは こはなくに ものへときけば をしくぞありける

われにしも 草の枕は 乞はなくに ものへと聞けば 惜しくぞありける

 

師氏の少将が、信濃へ旅立つ人へのはなむけとして、よませた歌

私にさえ旅の仮寝をともしようと乞いもせずに旅立ってしまうと聞いて、まことに名残惜しいことであるよ。

 

 どうして一緒に行こうと言ってくれないのか、という気持ちですね。旅立つ相手はもちろん思いを寄せる異性でしょう。

 


貫之集 715

2025-03-31 03:48:49 | 貫之集

たまぼこの たむけのかみも わがごとく わがおもふことを おもへとぞおもふ

玉ぼこの 手向の神も わがごとく わが思ふことを 思へとぞ思ふ

 

道中の手向の神も、私が思っているのと同じように、あなたさまの旅路が無事であるように願い、ご配慮くださりますようにと思う次第です。

 

 詞書は 714 と共通。下二句が印象的ですね。ほぼ同じ表現を用いた歌が 234 にもありました。

 

むれゐつつ かはべのたづも きみがため わがおもふことを おもふべらなり

群れゐつつ 川辺の田鶴も 君がため わが思ふことを 思ふべらなり

(234)


貫之集 714

2025-03-30 04:07:37 | 貫之集

左中弁淑光朝臣の、人のむまのはなむけするところに、幣に書かむとてよませたる

いとまだき みゆるもみぢは きみがため おもひそめたる ぬさにざりける

いとまだき 見ゆる紅葉は 君がため 思ひそめたる 幣にざりける

 

左中弁淑光朝臣が、旅立つ人へのはなむけの宴を催した際、幣に書き込むとして詠ませた歌

とても早く色づいた紅葉は、あなたのために思いをこめて神にささげた幣なのですよ。

 

 左中弁淑光は、古今和歌集巻末の真名序を書いたとされる紀淑望(き の よしもち)の弟、紀淑光(き の よしてる)のこと。第四句「思ひそめ」は、ここでは「思い染め」ですね。


貫之集 713

2025-03-29 04:06:44 | 貫之集

鶴のかたに幣入るるものをしてよめる

ちとせをば つるにまかせて わかるとも あひみることを あすもとぞおもふ

千歳をば 鶴にまかせて 別るとも あひ見ることを 明日もとぞ思ふ

 

鶴の絵をあしらった袋に幣を入れたものを渡して詠んだ歌

千年先のことは鶴に任せて、今日あなたと別れても明日もまた会いたいと思う私です。