十年ほど前のことである。プーケットタウンを歩いていたらトゥクトゥクの運ちゃんが声をかけてきた。さんざん粘られてついにはタダでいいから乗ってくれ、と拝み倒されてお土産屋めぐりをしたことがあった。この時、客が乗る後部座席ではなくクーラーつきの助手席に座ったので、いろいろ雑談をして盛り上がった。
その翌年もプーケットタウンに寄る機会があった。ショッピングセンターを出て歩いていると、なんと、かの運ちゃんのトゥクトゥクが前方からやってきたではないか。手を振ったが客を乗せていたので、そのまま走り去っていったのだった。
津波の一報でまず頭に浮かんだのが、あの運ちゃんは無事だろうかということだった。もっとも彼の営業地域は被害のあったアンダマン海側の海岸線からは離れていたので、確率は低かったのだが。
今回旅の準備をしていてプーケットの資料を漁っていたらトゥクトゥクの写真がでてきた。もしかしたら、とショルダーバッグに入れて持っていった。しかし、今回はプーケットタウンに行く予定がなかった。海岸沿いの道で客待ちをしているたくさんのトゥクトゥクを見ながら、写真のことを思い出してはいたが。ところが、その直後たまたまナンバープレートの1番違いの車を見つけてしまったので、その後100mぐらいにわたって散歩ならぬ、車探しをしてしまった。すると、まさかのまさかである。
「あれっ?」
前方に停まっているダイハツのハイジェット、ナンバー「**143」って?
急いで写真を確認する。色もナンバーも一致していた。まさにあの運ちゃんのトゥクトゥクだ。
そばに行ってみると乗っていたのは見覚えのない面長の人だった。写真を見せると、きょとんとしていた。
「十年ぐらい前なんだけど…」
やっと納得した顔になって、
「それなら俺じゃない。違うよ」
あの運ちゃん、どうしているのだろうか。
その翌年もプーケットタウンに寄る機会があった。ショッピングセンターを出て歩いていると、なんと、かの運ちゃんのトゥクトゥクが前方からやってきたではないか。手を振ったが客を乗せていたので、そのまま走り去っていったのだった。
津波の一報でまず頭に浮かんだのが、あの運ちゃんは無事だろうかということだった。もっとも彼の営業地域は被害のあったアンダマン海側の海岸線からは離れていたので、確率は低かったのだが。
今回旅の準備をしていてプーケットの資料を漁っていたらトゥクトゥクの写真がでてきた。もしかしたら、とショルダーバッグに入れて持っていった。しかし、今回はプーケットタウンに行く予定がなかった。海岸沿いの道で客待ちをしているたくさんのトゥクトゥクを見ながら、写真のことを思い出してはいたが。ところが、その直後たまたまナンバープレートの1番違いの車を見つけてしまったので、その後100mぐらいにわたって散歩ならぬ、車探しをしてしまった。すると、まさかのまさかである。
「あれっ?」
前方に停まっているダイハツのハイジェット、ナンバー「**143」って?
急いで写真を確認する。色もナンバーも一致していた。まさにあの運ちゃんのトゥクトゥクだ。
そばに行ってみると乗っていたのは見覚えのない面長の人だった。写真を見せると、きょとんとしていた。
「十年ぐらい前なんだけど…」
やっと納得した顔になって、
「それなら俺じゃない。違うよ」
あの運ちゃん、どうしているのだろうか。