地方の女たち

夜の街で出会った女達と男達

性悪女が主役

2022-07-28 09:41:00 | 日記

NHKの朝ドラ「ちむどんどん」は今までの朝ドラと違って、根っからの悪女がヒロインですね。

知性・学力が無い主役はよくあります。話が進む過程で人との出会いや色々と経験する事により、それらが段々と上がっていくパターンはよく見かけます。

しかし、ちむどんどんのヒロイン暢子(のぶこ)は知性・学力が無いだけでなく性悪女です。

話の始まりの頃はアホな長男とよく似た兄妹で、お互いに犯した失敗をそんなに責めないのもアホ兄妹の特徴だと感心して見ていました。

このドラマは沖縄返還50年を記念して作られているので、その当時の沖縄は本土と比較すれば教育レベルも低く、暗にそういう事も表しているのかと思ったりしました。

 

しかし、ヒロインが性悪なのは、普通ありません。

最初に性格が悪く無知な点が強く表現されたのは、レストランで料理長の代理をする時です。

もちろん人事はオーナーと料理長が話し合って決めたので、ヒロイン暢子には何の責任も有りません。

しかし結果的に世話になった先輩を追い越すわけで、普通に常識のある人なら先輩に対して何らかの配慮をしますよね。

ところが暢子は我が強いので、自分がどうすれば料理長代理として上手くやれるかを考えるだけで、敗者の立場になった先輩の事を思いやる気持ちは一切なかった。

この出来事は敗者となった先輩料理人が突然辞める事で、世話になった人々を裏切るような悪者に仕上げて、暢子の出来の悪い人間のイメージを和らげています。

 

そして、ここしばらく続いている暢子の恋愛です。

自分の周りの人達は自分の枠の中に居て欲しい気持ちは誰にでも有るのですが、自分に自信のない人ほどその傾向は強くなります。これは異性に限る話ではありませんが、たまたま異性の場合に性悪な人はその傾向が強く出ます。

自分の友達だった和彦が結婚する事になり、自分の枠から外に出ようとすると・・・性悪女が全開で出てきました。

それを失う事で本当の自分の気持ちに気が付いた風に描いていますが、逆に失いそうにならなければ感じない気持ちが真実の愛なのかと思ったりします。

その「性悪女」を黒島結菜の目がピッタリとはまっていて、これ本当に演技なのかと思うほどです。

 

無知で成長もしない性悪女・・・・もし、こんな人が身近に存在したら不幸の始まりです。

 

現実の社会では性悪女が身近に存在しても男はそんなに被害に遭いません。逆に喜んだりします。

しかし女の人にとっては迷惑この上ない存在となり、不快な思いをする人は続出しますね。

ドラマでは恋人を取られてしまった「愛さん」は、失恋の痛みを和らげてくれる「次の目標」があり、それに向かって進む事で発展しているように描かれていますが。現実の生活で、そんなに上手く「次の目標」を見つける事の出来る人など殆どありえない。

奪われた恋人は同じ会社の人ですから、恥ずかしさや悔しさで引きこもったり、もしかすると自殺未遂などを起こしてしまう事も実社会ではあります。

相手の気持ちが分かっているのに、暢子自身の都合でズルズルと引き延ばされた挙句にふられた「智」も仕事に成功する感じになって。これも「愛さん」同様に「次の目標」を成功させることで、失った余分な時間と傷ついた気持ちの被害を小さく抑えています。

全ての被害者が悪者になるか成功者になり、普通に被害者として悲しい状態になる人は外されています。

その結果、物事の結果に対して、自分に責任はないと、、性悪な人間の特徴ですね。

それは家族の中での会話にも発揮されます。

問題に対して家族で話し合っても、先に他の姉妹や親に言わせて自分は意見を言いません。

それを人の話をよく聞く人だと錯覚しそうになるのですが、暢子はその方法一本やりです。

実は我が強いので、自身の問題以外は興味が薄く、問題を自分のこととして考える事はありません。

 

物語はこの性悪女に優柔不断な男を絡ませてイライラ感満載です。

朝から見るドラマではありませんね。この朝ドラの中にすがすがしさはゼロです。

 

沖縄が絶対的なテーマなので、物語の世界は非常に狭い範囲で進みます。

狭い世界での恋愛物語ですから、複雑な人間関係もより一層複雑になり明るい話にはなりにくいですね。

繰り返しになりますが、あまり清々しい前向きな話にならないので、

「今週はこのテーマか・・・」

「アレッ、同じテーマが今週も続くのか・・・」

そんな感じになり、見るのも飛び飛びになってしまいます。