2月11日から公開のフランス映画です。
セーヌ川、今、少し増水しているみたいですけど
この作品『マーメイド・イン・パリ/Une sirène à Paris』は、マチアス・マルジゥ監督が2016年のセーヌ川増水で魚や鴨が座礁するのを見て、超やばいけどポエティック、まるで嵐の後の絶景だと感動し、その後、どてんと体を横たえるナマズに、これなら人魚もありだ!というのが着想点のようです。
マルジゥ監督はフランスで人気のディオニゾスのボーカルでもあり、小説家でもありのすごい多才なアーチスト。わたしは今回、初めてその存在を知りましたが、ネットのテレビインタビューなど見てると「なんか、この人、知ってる・・」と思わせる(=あ、オタクってことか?)、不思議な詩的な空気を纏っておられます。
『Une sirène à Paris /マーメイド・イン・パリ』も彼の小説が先です。
それにしても、河岸で瀕死の人魚を救おうと奔走する青年ガスパールがなんとニコラ・デュヴォシェルくんです!
ちょっと意外なキャスティング。いつも、影のある・・世の中を斜に見てるような(=やさぐれた感じ?)役柄が多い彼ですが、今回、とってもキュート! そして本物の尾ひれつけて(=CGじゃないってことね)人魚のルラになりきってるマリリン・リマも、あ〜こんなフレンチマーメイドいそう〜と思ってしまう可愛さです。
ガスパールがフランスでは定番の冷凍の白身魚フライをささっとフライパンで焼いて、浴槽に浸かってる人魚ルラに食べさせるんですよ。
人魚が白身魚フライですよ、けっこう美味しそうなので笑います。
(余談:マーメイドといえば、NHK朝ドラ『あまちゃん』で歌われる「潮騒のメモリー」で、マーメイドが連呼されるのを思い出します・・・。唄っているのも、小泉今日子、能年玲奈&橋本愛の「潮騒のメモーリズ」ユニット、極めつけは薬師丸ひろ子、とキュートな女子ばかりです。)
美術も小道具もかなりレトロで、そうですね、ジャン=ピエール・ジュネ(『アメリ』の監督)の世界観にも近いかな。
しかも、脇役の役者が渋い。ガスパールのお父さん役にチェッキー・カリヨ。初めて知ったのはエリック・ロメールの『満月の夜』で、パスカル・オジエ演じるルイーズの同居彼氏役だった。ふ〜ん、こういう男性が80年代半ばのフランスでは受けるのか?と頭をひねったが、その後、アクションもので大活躍されていますので、やっぱり強面でしょ、この人!
そして、『野生の夜に/les Nuits fauves 』(1992) で鮮烈な印象を残したロマーヌ・ボーランジェが女医さん役でけっこう重要な役で出演してます。ボーランジェと言えば、お父さんのリシャール・ボーランジェは私世代では『ディーバ』(1981)でやはり浴槽に浸かってたおじさんです。
ということで、意外にマティアス・マルジュウ監督はわたし世代と共通の趣味多いやん、と親近感を覚えた次第です。
アニメのオープンクレジットといい、遊び心いっぱいの作品ですので、ちょっと現実逃避したい今、おすすめです。
自分では選ばなそうな映画ですが、人見さんのブログを読み、HPで監督のポップな写真を見て、観てみようかなっと行ってきました。ファンタジーな感じだけだと思っていましたが、フランス映画ですね。歌も、アニメーションもとってもかわいくて、とても気に入りました。人魚と暮らすなんてと思うのですが、空想的に思えないのが不思議です。
俳優さんも皆さん素敵で、ブログでご紹介されている映画も観てみようと思います。
新しい世界を紹介していただきありがとうございます!
Re-bonjour です。そう、わたしも自分ではあえて観に行かないかなと思っていた作品でした。
でも、パリの街を走る時代錯誤(地域錯誤?)の三輪車タクシーの窓から堂々と飛び出てる人魚の尾ひれとか、そのシュール感は単なるファンタジーじゃなくて、さすがシュールレアリスムの国ですよね。
アルモドヴァール作品の常連女優さん(=ガスパールのお節介だけど心優しい隣人)の存在感も、シュールさを増幅させてます!
冒険して下さってありがとうございました!