来週のテレビのリハーサルが早めに終わったので、渋谷Bunkamuraで、「ソウル・ライター写真展」へ。
ニューヨークのナビ派ボナールと言われるだけあって、どことなくヨーロピアンな雰囲気があり、わたしはひと目で好き、と思いました。
この赤い傘の写真は「足跡 Footprints」というタイトルの1950年の作品ですが、目をひくのはこの愛らしい赤い傘。
ライターが傘の写真ばかり撮るので、アシスタントが「傘はもううんざりだ!」と言ったほど。でも、ライターは「でも、ぼくは傘が大好きなんだ」そうで、わたしも大賛成です。
雨の日は、室内に入って折り畳んだ瞬間に、しずくが垂れて、なんとも厄介なオブジェになりますけど、天に向けて傘を広げいているときの雨傘は、とてもチャーミングですよね。
混雑したメトロやバスで、雨に濡れた傘のスマートな収納方法を発明できないかな、と思うのですが、なかなかね。別売りの傘袋もあるようですが、それだって中に水が溜まります。まちがって逆さにした瞬間、どどどと雨水が流出します。
話が脱線しましたが、華やかなキャリアよりも、自分の世界を大切にしたソウル・ライターさんの写真哲学と言うか、人生哲学には共鳴します。ある人に言わせると、彼はチャンスを逃す才能を持っているらしくて、えらい。出世だけがキャリアの頂点じゃない。それでいて、魅力的な女性が彼の周囲にはたくさんいて、ヌードも撮らせてくれるんだもの、幸せな隠遁生活です。
たくさんの人が訪れていたので、きっと共感する人が多いんだろうな。わたしも赤い雨傘の葉書1枚だけ買いましたが、床屋さんの赤白青の円筒が可愛い「床屋」のカード1枚だけ購入している男性がいて、あ、この人は、この絵にびびっときたんだな、共感することが人それぞれというのはおもしろいな、と思いました。