京都では、ブライアン・イーノ展がこの夏の目玉的な扱いなのだけれど、
疲労困憊している頭に自分なりの考察を促されても、ほとんどノーアイデアのような予感がして
熟考の末、却下。
それよりも具体的に心に響きそうな谷口ジロー展に出かけました。200点の原画展です。場所は烏丸御池の京都国際マンガミュージアム。
「描くひと 谷口ジロー展」そしてなんとフランス語でL'Homme qui dessine Jirô Taniguchiという副題まであります。
フランスではもう長いこと谷口ジローさんは漫画界のスターなのですよ。
先日もフランス人監督がアニメ化した『神々の山嶺(いただき)』が公開されたところです。
(未だ見過ごしていますが、まだどこかでやっているだろうか・・)
わたしが彼の存在を知ったのは、パリ留学時代の後半だったと思いますが、
学校(=イナルコ)の日本文学史の授業が面白くて、その流れで明治期の文豪たちを遅まきながら再発見(=正確には発見ですね)し、またまたその流れでフランス人の先生や生徒が明治の文学思想を漫画化した「『坊ちゃん』の時代」(1987-96)にはまっていたのに興味を持って、日本に戻ってから文庫化された全巻を読んだ・・のだったか。原作の関川夏央さんもその頃に知り、けっこうツボでしたので、何作か続けて彼の著作も読みました。
「『坊ちゃん』の時代」はすごいと思いました。漱石はなんだかダメダメな人に描かれているし、ユーモアたっぷりながら、時代の空気は鋭くとらえれらている。勉強になる! 文豪を普通の人として描くのは関川さんからのリクエストだったようですが、展覧会会場では、関川さん始め、谷口ジローさんに関わった方々のインタビューからなるビデオ 48分が流されいて、しっかり全部観ましたが、フランスでは谷口さんは日本の漫画界の小津安二郎の位置づけらしいですね。なるほど・・・です。
(Au temps de Botchan 仏語版です)
あまりにも早い訃報(2017,享年70歳)は、フランスのメディアでのとりあげの方が日本よりもはるかに大きかったですね。
敬意を感じました。
(外国版の谷口ジロー作品のいくつか)
京都国際マンガミュージアムは漫画好きにはたまらない場所ですが
谷口ジロー展は外国の見学者も多かったです。
ミュージアム入場券900円でこの展覧会には無料でアクセスできますので、涼をとりつつ
ぜひ来週29日までの会期中にお楽しみ下さい!