去年は3月11日以来、いろんなことが変わってしまった。
地震の後、息子夫婦が我が家に避難して何日か一緒に暮らしたり、福島の事故の悪化に備えて米子へ孫娘を移住させられるか打診に行ったり…。
津波が襲うシーンを何度も画面で見たり、スーパーの棚に物がなかったり、ガソリンスタンドに列ができたり、日常とは違う状況に心が縮こまってしまった。
そんな時に、甥が「定演は地震で中止になったけど、代わりに小さな演奏会やるから来て」と誘ってくれた。
学校の食堂で高校生の奏でる吹奏楽の音は、名演とはいえないけれど、すごく元気の出る音だった。
気持ちよく演奏に浸って、地震以来萎縮していた心が平常に復したような気がしたのを良く覚えている。
あれから一年、今日また、甥っ子の吹奏楽部の定演に誘われた。
彼は、もう3月1日に卒業式を済ませているから、これが最後の演奏会。
制服の胸に赤い花を付けて、トランペットを奏でていた。
なかなか意欲的なプログラム。
マーチあり、クラシックあり、ジャズもあり。
高校生50名ほどが一生懸命音楽に取り組む姿は、本当に美しい。
プロのサキソフォン奏者の客演もあって、耳も、目も、心も、本当に楽しませてもらった。
高校三年間に三度の演奏に呼んでもらい、彼の成長を見せてもらった。
嬉しいと思う一方で、弟にもこの姿を見せてあげたかったなぁとも思う。
弟はどんなに誇らしく、我が息子の姿を眺めたことだろう。
拍手だけでは物足りず、演奏の終わりに、「ブラボ!」の一声くらいは掛けていたに違いない。
演奏会の後、彼がこの4月から1人暮らしをする部屋を覗かせてもらった。
何もかも揃って、もう一人前に暮らしていける、大人の部屋。
おばちゃんとしても、うれしく誇らしい。
これからもすくすくと成長していってくれますように。