三日目は、ヴェルサイユ宮殿見学をメインにした。
目的地までは、RERという電車に乗っていくらしい。
RERと乗り換えのできるメトロの駅を探し、そこで往復キップを買って…と、観光案内で行き方を入念にチェックした。
そして、オープン時間もしっかりチェック!
観光客の多いところだから、とにかく早めに行って、空いている時間に見てしまわなくちゃと、張り切って早起き。
RERの往復キップ購入、まず機械で挑戦するがよくわからず、対面式のキップ売り場で、「ヴェルサイユ go and return」とお姉さんにお願いした。
そして、どのホームから出るのかも確認したくて、インフォメーションに。
「to ヴェルサイユ」というと、「○番ホーム、大きな電車だよ」と要領よく教えてくれた。
なるほど、やってきたのは、二階建ての(けっこう汚い)大きな電車。
これに30数分揺られて、終点がヴェルサイユ。
けっこう簡単に行けたわ!
さて、ヴェルサイユ駅から歩くこと数分、巨大で豪華な門が見える。
間違いようもない、ここが宮殿への入り口です。
ここで、入場券のない我々は、キップ売り場に並ぶ。
入場券を持っている人は、セキュリティーチェックの列に。
キップ売り場で並んでいると、我々の前にいた親子に話しかけられた。
「日本の方ですか?私たちは韓国です」
「まあ、日本語がお上手ですね」
「30年前に、1年間日本に留学していたので、その時は上手かったんですけどね」
イエイエ、十分にお上手ですよと、韓国人のお父さんと話が弾んだ。
そこへ、「こんにちわ~!母娘で旅行なんですか~?仲良くてうらやましいなぁ~」と、若い日本人の女の子が登場。
「いえいえ、私たち4人家族です」と、韓国のお父さん。
キップ購入を待つ間に、袖すり合うも多生の縁という方達との会話もけっこう楽しい。
さあ、いよいよ宮殿の見学。
宮殿見学は、実はウィーンのシューンブルン宮殿の時に懲りている。
何しろ、宮殿という所は日本人庶民の私が思う以上に巨大なのだ。
あっ、あそこまで近そうと思っても、相手がとんでもなく巨大なので、距離感が狂ってしまい、歩いても歩いても目的に近づかないという経験をした。
3日目になって、足もそろそろくたびれが出ている。
無駄にたくさん歩いて、へばらないようにと、入り口から気を引き締める。
ほら、天井の高さ、廊下の長さ、日本の建物の比じゃあありません。
とはいえ、目を奪われる豪華さ。
ここは鏡の間ね。
燭台一つが、こんなに豪華!
これは、アントワネット様のベッド。
「こんなところで寝る気しないよね」
庶民の母娘は、意見が一致。
ちょっとした廊下の隅でさえ、こんなに凝った造りの大理石。
すごいとは思うけど、どうしてもなじめない。
ヴェルサイユに暮らした最後の住人の末路が頭に浮かぶ所為かもしれない、どうしてもこの豪華さは好きになれない。
やり過ぎだ~と感じてしまう。
庭園も広い!
この写真の右奥の方が、大小のトリアノン。
歩いて行けなくもないらしいが、ここは足を大事にしよう。
プチトランという乗り物で移動することに。
プチトランを見つけて、ドライバーのおじさんに話しかける。
(英語で)「これはいつ出発するの?」
(フランス語で)「20分後だよ」
「それで、次のはいつ来る?」
「15分間隔で運転しているよ」
「チケットはどこで買うの?」
「ボクが売ってるよ」
と、たぶんこんな会話を、英語とフランス語と指と手を使いながら成立させ、停車場所を書いたマップを手に入れた。
トランに乗り込んで出発を待っていると、日本人男子学生が乗り込んでくる。
「これ、いつ出発するんですか?」
さっきおじさんから聞いた情報を教えてあげた。
「いいですね~。フランス語しゃべれて」
「いいえ、まったくしゃべれません」
「だって、さっき話してたじゃないですか~!」
気合いさえあれば、何とかなるもんなんですよ!この程度の簡単なことならね。
プチトランで、羊や馬のいる田園風景を眺めながら、ゴトゴトとトリアノン方面へ。
ここは、大トリアノンのナポレオン夫人のお部屋。
こちらは小トリアノンのアントワネットの音楽室。
宮殿を嫌って、こちらで多くの時間を過ごしたというアントワネットの気持ちがわかるような気がする。
こちらなら、私だって、一晩くらいならとまってみたい気もするもん。
決して質素だなんて思わないけれど、断然暮らしやすさはこっちだと思う!
そして、プチトリアノンの庭園。
この東屋、マンガで見たような気がする…。
「あそこまで行く?もう疲れた?」
娘が気遣って尋ねてくれた。
「う~ん、もう足は限界かも…。でも、今あそこまで行かないと、もう一生行くチャンスないと思うから、行ってあそこのキューピットの顔見てくる」
貧乏性がこんなところで顔を出し、東屋までしっかり足をのばす。
庭園では、ネコヤナギが芽を出し、ラッパ水仙が咲き始め、柳も青く色づいて、春の兆しが感じられた。
9時から2時頃まで、ゆっくり(でも駆け足で)楽しんだヴェルサイユ遠足でした。